アジア写真帳アジアグルメ図鑑マレーシア料理の老舗、マダムクワンズ

マダムクワンズでラクサ(クアラルンプール)|アジアグルメ図鑑


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マダム・クワンズはマレーシア料理の人気店


 タイ料理とかベトナム料理は日本にも多くの専門店があって日本人の中にも沢山のファンがいます。では、マレーシア料理はどうでしょうか。
 そもそもマレーシアという国家は華人(中国系)、インド系とマレー系の大きく三つの民族が混在する国家で、料理も中華料理、インド料理と狭い意味でのマレー料理がもともとの出発点となります。民族が交わるうちに料理も交わって、中華料理にマレー系のスパイスが使用されるなどして生まれたニョニャ料理に代表されるように、マレーシアならではの文化のミックスされた料理が生まれ、逆にそのことが観光客から見てマレーシア料理としての分かりづらさというか、中途半端さというか、そんなものを感じさせているのではないでしょうか。
 じゃあ、マレーシア料理って何だろう。それを知るためには、このページで紹介するマダム・クワンズに行ってみるのが良いのではないでしょうか。マダムクワンズは2016年2月現在、クアラルンプールに7店舗を有するチェーン店で、ランチ時などはどこも行列ができる人気店です。


 KLCCやブキットビンタンのパビリオン・ショッピングセンターといったクアラルンプールを代表するショッピングセンターにも店を構えてはいますが、私としてはできるだけマレーシアのローカルの人たちばかり集まるような店ということで、ミッドバレー・メガモールという観光客は滅多に行かないであろうショッピングセンター内にある店舗に行ってみることにしました。
 上の写真がミッドバレー・メガモールの建物内です。イオンのスーパーも入っていて、日本でよく見かけるイオンのショッピングセンターのような雰囲気です。


 ショッピングセンター内には店舗のほか、たくさんの飲食店が入居していて、はなまるや吉野家といった日本でもおなじみのお店も入居しています。客層は地元の方が殆どで、たまにクアラルンプールに居住していると思われる外国人の姿も見かけます。上の写真にあるように、お洒落していく場所ではなく、普段着でぶらりと立ち寄る街のショッピングセンターです。
 こういう場所に立地しているお店なら、観光客に媚びた味ではなく現地のマレーシア人向けの味付けで出されるに違いない。そんな思いで、ミッドバレー・メガモール店に来たわけです。



ニョニャ料理の代表、ラクサ 


 メニューを見ると沢山の料理が並んでいます。ある程度注文する料理を予め決めておかないと、時間がかかってしまうに違いありません。あれも食べたい、これも食べたいと目移りしそうなくらいです。
 ただ、私はマダム・クワンズでラクサを食べると決めていたので、一品目は迷わずチキン・ラクサです。ラクサは麺類をカレー味のスープに入れて食べる、日本人から見るとカレーラーメンのようなものです。一般的にココナッツミルクも入っているので、見た目ほどには辛くないカレーラーメンです。また、具に豚肉が一切使われていないのはモスリムでも食べられるようにするためで、モスリムの多いマレーシアではラクサはモスリムが食べても良い料理とされています。


 麺が見えないので麺をスープの中から引っ張り出しました。中華麺が使われています。一般的にラクサでは中華麺とビーフンが使われていて、注文時に麺を指定するのですが、ここマダムクワンズでは麺の好みは一切聞かれませんでした。
 このラクサはニョニャ料理といって、中華料理をベースにマレーシアの香辛料も使用してマレーシアの中で育まれてきた料理です。もともと中国では麺というと様々な種類があって、日本人が言ういわゆる中華麺と、米からできた太麺、細麺やビーフンなどなどです。私の友人のマレーシア人の話では、このうちマレーシア料理の中でよく使われるのは中華麺、ビーフンと米からできた太麺の平打ち麺の3種類だそうで、さらにこのうちラクサに使われるのは中華麺とビーフンで、ニョニャ料理レストランではどちらを食べるかはお客さんが指定するという話でしたが、そういう意味ではマダムクワンズはそれほど伝統的な料理を提供するレストランではなく、上等なファミレスといったレベルではないでしょうか。
 実際にラクサを食べてみると、スープはマレーシアらしい味付けで、ココナッツミルクがかなり使用されています。食べやすいという印象はありますが、もっとスパイシーにしてくれないか、なんて注文を付けたくなります。ペナンやマラッカの方では香辛料が強くもう少しスパイシーなラクサが食べられるそうなのですが、クアラルンプールですと、本当のニョニャ料理の味は楽しめないということでしょう。


 もう一品は、メニューでエビと豆と野菜の味噌炒めみたいな紹介がされていた料理です。もちろん、初めて食べる味です。思っていた以上に豆だらけでエビがほとんど見えません。写真左上に見える味噌ベースの香辛料で辛さを調節できるようになっています。


 食べてみると、この料理は結構辛いです。これもニョニャ料理だったようです。白いご飯か炒飯に合いますね。味噌ベースの香辛料を7割くらい入れて食べたのですが、辛さが心地よく、舌がピリッと痺れます。その痺れた舌をラクサで和らげるといった具合です。見た目よりずっと美味しい料理でした。

 実はこの日は、朝食にフィッシュヘッドカレーをお腹いっぱい食べていました。ですから昼食を食べた4時になっても、まだ十分に空腹ではありませんでした。だからなのかも知れませんが、マダム・クワンズの料理は上品すぎて、悪く言えば香辛料の使い方がおとなしすぎてあまり印象がありません。ラクサに使用されているエビも、フィッシュヘッドカレー屋で食べたエビカレーのエビに比較すると、貧弱そのものです。美味しくないとまでは言いませんが、わざわざ行列に並んで食べるほどの味ではないと思います。日本人観光客にとってうれしいのは、清潔であることとメニューがしっかりしていることくらいではないでしょうか。
 次回のクアラルンプール旅行時には、違うレストランを選ぼうと思っています。





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