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アジアグルメ図鑑−プーケット 素材を自分で選ぶ 「It's Alive」


(アジアグルメ図鑑)
 プーケットにはこの日の夕方到着しました。今回の旅は珍しく家族4人の旅行で、私以外の家族3人は、3回目のタイ旅行ながら、前2回はいずれも強い香辛料と辛さで、タイ料理にはあまり好印象を持っていないという、私にとっては我が家におけるタイ料理復権のために、是が否でもタイ料理の良さを家族に認識させなければならない旅行でした。
 まず、プーケット到着後最初となるこの夕食は、ちょっと豪勢に素材を選べる店で食べたいなあと計画をしていました。ホテルのあるパトンビーチには、ビーチ沿いに素材を選べる店が沢山あるのですが、たまたま雨季に当たっていたこともあって、万が一雨が降り出してもいけないので、ガイドブックやインターネットを参考に、この店、「It’s Alive」を選びました。場所は、クラブ・アンダマンビーチリゾートホテルの向かいになります。不便な場所ですが、敢えてここを選んだわけです。
 店に入った瞬間、久しぶりのプーケットとはいえ、私にはいやな予感がしました。広い店内はお洒落で、外には気持ちの良いオープンテラスが広がっているのに、そして、夕方7時半というゴールデンタイムにもかかわらず、お客さんは、日本人の若者の団体15人くらいと、日本人観光客が2組、そして、オープンテラスに白人の4人組が1グループしかいなかったのです。
 私としては、白人さんたちがリピーターみたいにうじゃうじゃいる光景を想定していたのですが、ちょっとびっくり。プーケットの安くて旨い店には白人のリピータが多いはずですからね。
 とはいえ、まずは、素材選びをします。レストランの端に写真のように素材が置かれている部屋があって、ここで選びました。潔癖症の日本人好みらしく、室内に清潔に素材が並べられています。
 こんなに飾られている一角を見せられると、「うーん、タイらしくないなあ」と思ってしまう私でした。

 料理の注文は、素材コーナーで行います。勿論メニューもあってテーブルで注文もできるのですが、せっかく素材を選ぶのですから、素材を選びながらどんな風に食ったら旨いのか、意見を聞きながらオーダーしたいではないですか。
 素材コーナーには勿論、シーフードが所狭しと並べられていますが、野菜類も同様に綺麗に並べられています。
 えーっと、青パパイヤはないかなと見渡したところ、見当たりませんでした。タイに来たのだからソムタム(青パパイヤのサラダ)を食いたいですよね。そこで、係の人に質問。「青パパイヤがないみたいけど、ソムタムできる?」これに対して係君、「ソムタムはできないけど、ソムタムに近い味の美味しい料理ができますよ」としっかり英語で答えてくる。「なら、そのソムタムみたいな奴、お願いね。」と注文した「ソムタムもどき」がこれです。 
 ニンジンだらけソムタムですね、これは。香辛料も弱く、刺激なし。食えたもんではありません。何がソムタムなのか、どこがソムタムなのか、と喚き散らしてやろうかというくらいの味です。辛くないので、家族は最初喜んでいましたが、とにかく味付けがなってないので、とうとう帰る時になっても、4分の3は残ってしまいました。

 この店は高級店です。少なくとも見た目は高級店です。
 素材コーナーに旨そうな牡蠣があったのでホーイ・トート(タイ風オムレツ)を注文することにしました。係君に聞くと「牡蠣ならホーイトートよりも、うちの自慢料理を推薦しますよ」と言われたが、私はあえて屋台の味ホーイ・トートを注文して出てきたのがこれ。
 お皿も綺麗だしなかなか上品です。ちょっと牡蠣の数が少なかったのかなあとも思いますが、卵が多くて具が少ない状態です。屋台だったら「この屋台の親父、これっぽっちの牡蠣しか入れないなんてケチだなあ」なんて思うところです。
 でも、これはまだ食えたんです。この日食べた中では、一番まともだったような気がします。これなら、まだ、温厚な私には許せる範囲です。

 イカと野菜の炒め物です。本来の私ならば、イカだったらスパイシーなサラダにするところなんですが、何せ、家族が辛いのが苦手で、今日がプーケットの初日ということもあって、こういう炒め物にしたんです。
 見た目にも綺麗だし、食べてみても別にひどくまずいわけではないんです。私は中国の広州に来たわけじゃないんですから、中華料理食わなくてもいいじゃないですか。(香港でも広州でも、こんなまずい中華料理出さないですよ。)
 味付けはナンプラーの香りもしますが、甘くてとろみもあったりして、これ、タイ料理じゃないです。この料理を食べて、店の選択ミスを心から嘆かないわけにはいきませんでした。
 最後は蟹料理です。
 生け簀の蟹を見て、バンコクにあるソンブーンの蟹のカレー炒めを思い出した私は迷わずパッ・プー・ポン・カレー(蟹のカレー炒め)を頼んだわけです。
 出てきましたよ、私の大好きな料理。でも、ソンブーンのと比べてみてください。もともとこの料理は辛い料理ではないのですが、ソンブーンの方は赤い香辛料の色がよく出ているでしょう。それに比べてこの店の料理は、この色の差でも分かる通り、平板な味です。家族は喜んで食べましたが、私は一口でパス。
 後で夜食を食いに一人でパトンの街に繰り出そうと心に誓ったのでした。

 教訓。
 店を入った瞬間に客層を見て、そこで食べようという計画があったとしても、危ないと思ったら出てくること。そして、いくら他のホームページやガイドブックで誉めてあっても信じてはいけないこと。
 私は二度とこの店に来ることはないでしょう。
 まあ、場所も悪いのに、よくも日本人はこんな店まで足を伸ばすよね、というのが私の偽らざる感想です。


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