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アジア写真帳(上海):浦東と東方明珠塔

アジア写真帳(上海)


外灘から見る黄浦江越しに見る浦東


 上海のシンボルというと、今は外灘(バンド Bund)から見る浦東地区の風景、特に、東方明珠塔なのではないでしょうか。黄浦江越しに見える浦東のビル群は、未来都市、上海をイメージさせます。
 そもそも浦東地区は、鄧小平の改革開放路線の中で、上海の香港化というか、香港ではない中国の国際都市の開発といった意味合いで、まだ全く未開発だった浦東地区に白羽の矢を立てたのが開発の始まりです。鄧小平さんが、それに先立ち上海・浦東の視察をしたのが1990年、ちょうど中国は、天安門事件の後始末で閉塞感が漂っていた時期です。それを打破するような浦東地区大開発の号令だったのです。当時、香港でこのニュースを聞いた私としては、ちょっと眉唾(まゆつば)の話にも思えたのですが、今や、上海・浦東は押しも押されぬ国際金融都市です。鄧小平さんの先見性と実行力には、まさに脱帽です。
 しかし、上の写真は霞んでいて映りが悪いですね。天気は晴れているのですが、大気汚染なのでしょうか。

外灘から見た浦東(2004年)

 ということで古い写真を1枚。
 この写真は2004年に撮影したものですが、この時は、まずまずよく写っています。年々、いや毎月のように浦東地区には新しい超高層ビルが建ち、その風景がどんどん変わっていってしまいます。
 私が初めて上海を訪れたのが1992年。外灘から見る浦東は一面の緑。林と草に覆われた未開拓の土地でした。今しかご存じない方は信じられないでしょうが、当時は、まだビルが建つ前の状況でしたから、もう全く違う風景だったのです。そもそも浦東という地名は、黄浦江の東という意味で、東京で言う三多摩以上に田舎のエリアをイメージするものでした。
外灘のプロムナード

 上海の名所、外灘前の遊歩道です。
 上海はもともと19世紀の清国の時代に海外に解放された都市の一つで、外灘はそうした時代の上海の中心地でした。中国と世界を結ぶ数少ない窓口の都市だったわけですから、当然のごとく、金融・海運・商社といった当時の大企業が上海に進出してきていたのですが、そうした企業のビルやオフィスが集積していたエリアが、ここ外灘です。上海が「東洋の魔都」などといわれる場合は、この外灘の風景が出てきます。

外灘から見た浦東の夜景(2010年)

 外灘から見る浦東の景色は、昼間は靄がかかったようになっていても、夜はこのようによく見えたりします。外灘のビルもライトアップされて綺麗ですので、上海に来たのなら、昼間も夜も一度くらい外灘のプロムナードを散策されることをお勧めします。
 写真左の東方明珠塔もいいですが、写真右の「愛上上海」の文字も中国らしくていいですね。



外灘観光隧道


 さて、日本人は外灘から浦東の東方明珠塔を遠くに見ると、近くに行きたくなってしまいます。これは、中国人でも同じなのでしょう。しかし、地下鉄で行くと、外灘から南京東路駅までは10分以上歩きますし、タクシーで行っても大回りになってしまいます。
 そこで便利なのが、外灘観光隧道という乗り物で、無人カプセルに乗って黄浦江の下をくぐって、約5分で東方明珠塔まで到着してしまいます。

 
 カプセルは次々とホームに入ってきますので、中国の連休時期とかの観光シーズンを除けば、ひどく待たされることもありません。

外灘観光隧道の無人カプセル内部

 外灘観光隧道のカプセルはこんな感じです。カプセルは次から次へと来ますので、多少人が並んでいてもすぐに乗ることができます。できるだけ、前か後ろの見晴らしの良いところに立ちましょう。

外灘観光隧道

 トンネルの中です。イルミネーションの中を軌道が走り、カプセルが進んでいきます。どんなイルミネーションが出てくるかは乗ってからのお楽しみです。



東方明珠塔

上海浦東の東方明珠塔

 カプセルを降りて地上に出ると、すぐに東方明珠塔です。近くで見ると、ますます高い塔です。

浦東の東方明珠塔

 東方明珠塔は浦東の陸家嘴金融貿易地区に、1994年に建てられたものです。1994年の浦東といえば、上に書いた通りまだ浦東開発が始まったばかりの頃で、その頃でさえ、私個人としてはこの浦東が中国の金融センターになるなどという話は、夢物語にしか思えなかった時代です。外灘の遊歩道から川向こうの浦東地区に忽然と現れた東方明珠塔を見て、こんな所に派手なテレビ等を建てるなんて、などと思ったものです。
 東方明珠塔の高さは467.9mあり、展望台が途中3箇所についています。上海のシンボルにふさわしく、モダンな外観です。

陸家嘴の東方明珠塔
 
 さて、東方明珠塔の展望台に行くのも良いですが、陸家嘴金融貿易地区でグランドハイアットホテルが入居している金茂大廈には、88階に展望台があって、現時点では、最も高い展望台だといわれています。今日は金茂大廈の展望台に行きましょう。

陸家嘴金融貿易地区のロータリー

 東方明珠塔から金茂大廈に行く途中の大ロータリーです。
 このロータリーに沿った歩道橋からの東方明珠塔の眺めも良いものがあります。東方明珠塔から少し距離が離れているため、人の顔を入れて記念写真を撮影するにも絶好の場所です。
 
陸家嘴金融貿易地区

 東方明珠塔のある陸家嘴金融貿易地区は、今は、超高層ビルが建ち並ぶ、押しも押されぬアジアの大金融センターです。東方明珠塔より高いピルがいくつも建てられています。もう以前の面影など全くない現代都市です。



金茂大廈の88階展望台

上海浦東:金茂大廈の88階展望台

 金茂大廈の88階展望台です。結構広いです。中国人も高い所が大好きなので、大はしゃぎしている中国人で賑わっています。
 因みに金茂大廈は、50階までがオフィスビルで、51階以上にグランドハイアットホテルが入居していて、88階に展望台があります。展望台行きのエレベータに乗って上がります。当然ですが、かなりハイスピードなエレベータでした。

上海:金茂大廈の88階展望台から東方明珠塔

 金茂大廈の88階展望台からの眺めです。眼下に東方明珠塔を見て、はるか下に黄浦江を行き交う船や上海の旧市街を見ることができます。確かに、遮るものもない素晴らしい眺めです。が、スモッグがひどくてあまり遠くの方まで見ることはできません。これも、上海らしいところですね。

地下鉄陸家嘴駅入口の鄧小平の大看板

 帰りは地下鉄陸家嘴駅入口の鄧小平の大看板を見ていきましょう。
 上に書いた通り、鄧小平さんなしに今の上海の発展はありません。広東省の深圳もまた、鄧小平さんなしには発展しなかった街で、深圳にも同様の鄧小平さんの大看板があります。改革開放政策を展開した鄧小平さんが、1990年以前からここまでの発展を確信していたとすれば大変な人だと思います。


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