香港から深圳への行き方

香港から深圳への行き方


香港から広州への行き方についてはこちらのページで分かりやすく説明しています。

2018年9月に開通した広深港高速鉄道(香港新幹線)乗車記はこちらです。

深圳・広州に行ってみよう 

羅湖イミグレーション通過後の深圳市の風景
羅湖イミグレーション通過後の深圳市の風景

 香港と陸続きの街、深圳。写真は、香港の羅湖とつながる中国側のイミグレーションを抜けたところで目にする深圳駅前の光景です。

 かつては人口わずか3000人の漁村だった地域が、鄧小平さんの改革・開放路線の象徴として、1980年に経済特区に指定された以降、あっという間に人口が膨れ上がってきました。深圳の人口は2010年には1400万人を超え、2024年には1799万人に達しています。これは常住人口といって戸籍を移していない人を含めた人口だろうと思います。東京は深圳に並ばれたと思っていたら、あっという間に引き離されてしまいました。

 
南山区前海地区(ここから見えるビルはすべて2020年以降の竣工)
 
 さて、私が仕事をしていた90年代前半の時代は、まだまだインフラが整備されていない状態でしたが、21世紀になり、道路や建物、それに道行く人たちを見ていると、随分と先進国に追いついてきたという感があります。地下鉄に乗れば、香港にいるような感覚になりますし、道行く人もファッションセンスは、見違えるほど良くなりました。
 今では街を歩いていても日本と変わらないというよりも、日本よりも進んだ生活スタイルになってきたと言えます。深圳の生活水準は日本のそれをもう上回ってしまったなぁと私が感じたのは、コロナ前の2010年代後半で、それ以降の生活水準は東京が深圳に引き離される一方だという感覚です。

 そういうことで、深圳に入るにあたって、日本人なら安全面とか不便さというものは感じないと思います。逆に面食らうのは、スマホ活用レベルが日本より遥かに進んでいることくらいで、これについても予め準備しておけば、現地で慌てることはないでしょう。
香港・深圳間の移動方法の考え方
 
 さて、香港から深圳への移動について話を始めます。
 香港・深圳間の移動には時間がかかります。香港・深圳間にはいくつものイミグレーションがあって、しかもイミグレーションによっては長い行列を立ったまま待たなければならず疲労します。ですから、効率的な移動を心掛けるべきです。
 誰が考えても分かるのですが、香港・深圳間の移動時間は上の足し算になります。私にとってルート選択の一番の要素は移動時間ですが、これに交通機関やイミグレ通過時の快適性を考えたり、あるいは手持ちの現地通貨が少ない場合に経済性を考えたりすることもあります。

朝の深圳湾口岸(中国側)
朝の深圳湾口岸(中国側)
 
 香港から深圳に行くのにどのイミグレを通ったら良いのかという質問には、上の計算式で考えるので一概に言えないとお答えしています。つまり、
①香港のどこから来るのか。尖沙咀から来るのと香港空港から来るのとでは、各イミグレーションへのアクセス時間が異なります。
②深圳のどこに行くのか。羅湖区か、福田区か、南山区か。あるいは塩田なのか、龍崗なのかといった深圳市内の行き先と各イミグレとの位置関係により、利便性はかなり異なります。
③荷物は多いか少ないか。荷物が多ければ入出国手続きであまり並ばないイミグレを選ぶべきでしょう。
といった具合に、上の計算式を解くだけでも一概にここがおすすめとは言えないことが分かるのです。

香港MTR羅湖駅からイミグレーションへの道
香港MTR羅湖駅からイミグレーションへの道
 
 そういうわけで、私のサイトでは香港と深圳・華南地域間の移動をいくつかのページに分けて紹介しています。香港と深圳・華南地域間のルートについての本サイトでのページ分類は次のようになっています。
香港出発地 イミグレ  備考 
香港市街 羅湖・落馬洲 MTR東鉄線ルート
なお、香港から広州への行き方はこちらです。
 香港市街 深圳湾  香港内はバス、深圳内は地下鉄。
南山区、宝安区に行く際の深圳内移動時間が短い。
香港島 蛇口  フェリールート
香港市街
香港空港
文錦渡 バスと鉄道の組み合わせルート。
混雑時の抜け道ルート。
香港空港 羅湖・落馬洲 バスと鉄道の組み合わせ。上水・羅湖ルート。
香港空港 深圳湾 香港空港から深圳に入る最速ルート。
スカイリモルート(車に乗ったままイミグレ通過)
バス乗り継ぎルートもある。
香港空港 蛇口 フェリールート 

 
 
 参考までに、香港MTRの路線図を載せておきます。深圳のおもな口岸への最寄り駅は次の通りです。
 ①深圳 羅湖口岸 MTR羅湖
 ②深圳 福田口岸 MTR落馬洲
 ③深圳 皇岗口岸 MTR落馬洲(バス)
 ④深圳 深圳湾口岸 MTR天水圍または屯門(バス)
 ⑤深圳 文錦渡口岸 MTR上水(バス)
 ⑥深圳 蓮塘口岸 MTR上水(バス)

 
高鉄(中国新幹線)福田駅
高鉄(中国新幹線)福田駅

 そして、こうした多様な行き方に、新たに広深港高鉄(広州深圳香港新幹線)という新しい交通手段が2018年9月23日に加わりました。
 広深港高鉄(広州深圳香港新幹線)は中国の新幹線網の一部で、深圳と広州間は数年前から供用されています。この路線が香港まで延伸されたということです。この開通により香港の九龍西駅から深圳市の福田駅まではわずか14分(68元、78香港ドル)で、広州市の広州南駅までは47分(215元、247香港ドル)で結ばれました。香港からの入出境と中国への入出国手続きは、いずれも香港の西九龍駅に新設されるイミグレーションで行われますので、時間もあまりかかりません。
 但し、中国の新幹線は、日本の新幹線と異なり発車の5分くらい前までにホームに入らないといけないことや、特に中国内ではチケットの購入や予約購入済みチケットの受け取りに一時間程度かかることもよくあります。したがって、新幹線は速いから到着が速いかというと決してそう単純なものではありません。
 詳しくはこのページに広深港高鉄特設コーナーを作りましたのでそこで紹介します。

香港人の北上行動(週末の深圳湾イミグレ)
香港人の北上行動(週末の深圳湾イミグレ)

 香港に旅行する日本人は多いのですが、深圳や広州まで足を伸ばす人はまだ少ないようです。日本人にとって香港は居心地が良くて何日でも滞在していたい街なのだと思います。
 ですが、香港人はそうでもないのです。最近は週末になると香港人がグルメやレジャーを楽しみに深圳に行く「北上行動」(深圳は香港の北に位置しています)が起こっています。深圳に行けば」、香港より美味しいものを食べられるし、しかも安く食べられる。マッサージなんか香港の半分以下の値段だ。こういう感覚で週末になると、上の写真のように、深圳とのイミグレーションに香港人が殺到するのです。

 深圳・潮香四海の潮州料理
深圳・潮香四海の潮州料理
 
 そんな香港人の行動を見ていると、日本人はもっと深圳に来ても良いのになと私などは思ってしまいます。香港よりも安くて美味しいグルメ、中国文化が感じらっれる古い街並み、そして何よりも日本の10年先20年先を行く先端技術が生かされた深圳の生活。楽しめること、見るべきものは深圳には沢山あります。
 多くの日本人の頭の中では、20年前30年前に中国に行った人の感想がこびりついていて、2000年くらいの中国を今の中国だと勘違いされているような気がします。香港まで来たら、ぜひ深圳や広州まで足を伸ばしてください。今まで中国に対して持っていた印象が全く間違っていたことに気づくはずです。

 深圳・蔡瀾点心の蒸し点心四点セット
深圳・蔡瀾点心の蒸し点心四点セット

   また、私の香港旅行の目的はグルメにあるのですが、姉妹ページのアジアグルメ図鑑(香港)には、広州や深圳のグルメ情報も載せていますので参考にしてください。
 また成田や関空と深圳空港は直行便で約4時間で結ばれています。日本から深圳へ行く最短ルートがこの直行便の利用です。深圳航空直行便で東京や大阪から深圳空港へ入る方法は別ページで紹介しています。深圳空港を使えば、香港・深圳間の入出国手続きの悩みから解放されます。深圳や東莞、恵州に行く場合はこのルートも検討すべきでしょう。
 深圳での美味しい情報はこれをご覧ください。

 

 



 香港・深圳間のイミグレーション

 MTR東鉄線羅湖駅は深圳への入り口
MTR羅湖駅から羅湖のイミグレーションに向かう人々

 では、香港・深圳間にあるイミグレーションのいくつかについて、その特徴を紹介します。イミグレーションとはチェックポイントのことで、国境みたいなものです。国境と言わない理由は、中国と香港は一つの国だからです。香港は「一国二制度」という政治体制であることは皆さんも聞いたことがあるでしょう。
 まず、羅湖のイミグレーションです。通行可能時間は6:30から24:00です。
 MTR東鉄線で紅磡(ホンハム)駅から40分強で直行できることから、行き方が最も分かりやすいイミグレーションです。平常時は30分もあれば通過できますが、朝晩の通勤・通学ピーク時や春節などの旅行シーズンなどには通行客が集中しやすい特徴があり、そうした時には通過に一時間以上かかることもしばしばです。
 また、中国側には地下鉄駅が隣接していますが、深圳内移動では南山や宝安などには時間がかかるため注意が必要です。鉄道(動車)の深圳駅や華南地域の都市への長距離バスターミナルも隣接しているので、東莞、恵州などの隣接都市に行く場合も利用価値が大きいと思います。

 
落馬洲のイミグレーションは開設が比較的新しい

 同じくMTR東鉄線で紅磡(ホンハム)駅から直行できるイミグレーションに落馬洲(中国側は福田)があります。MTR東鉄線は上水駅で羅湖行と落馬洲行とが分離します。大体3本に1本くらいが落馬洲行です。通行可能時間は6:30から22:30です。
 落馬洲イミグレーションの利用価値は、深圳側に深圳地下鉄4号線の福田口岸駅が直結していることです。これにより、会展中心、福田や深圳北の各駅には大変行きやすいロケーションになっています。特に、福田と深圳北駅で高鉄(中国新幹線)への乗り換えが可能ですので、深圳から高鉄を利用する予定がある場合は使い勝手の良いイミグレーションと言えます。今は中国の高鉄(中国新幹線)が香港西九龍駅まで伸びていますが、香港まで来る列車は少なく、深圳北まで行くと中国各地への列車が数多く走っています。
 一方で、最近は利用者の増加が著しく、比較的混みやすいイミグレーションになりつつある印象が私にはあります。私の経験では羅湖よりも時間がかかることが多くてイライラするイミグレーションです。

 
 落馬洲ー福田ルートの良い点は福田区に直接アクセスできることですね。上の写真は落馬洲駅から深圳福田方面を見たところですが、すぐ間近に福田のビル群が迫っています。また、中国内の高鉄を利用する人は、地下鉄福田駅や深圳北駅まで深圳地下鉄で乗り換えなしで行けるという強みもあります。
 その一方で、深圳でのグルメやショッピングモールを楽しもうと思うと、今の深圳は南山区の方が魅力的です。南山区に移動する時は、後で紹介する深圳湾の方が利便性が高いと思います。

皇崗は24時間オープンしているイミグレーション
皇崗は24時間オープンしているイミグレーション

 次に紹介するのは皇崗イミグレーションです。 皇崗のイミグレーションは、香港・深圳間にあるイミグレーションの中で唯一24時間開いているイミグレーションです。利用価値はまさにその点に尽きます。
 位置的には落馬洲に隣接していますが、落馬洲は鉄道による通過、皇崗はバス等自動車による通過のためのイミグレーションだと理解してください。また、香港空港からのスカイリモ(乗合タクシー)もこのイミグレーションを通過します。スカイリモ(乗合タクシー)に乗れば、香港空港から車に乗ったままイミグレーションを通過できますので、空港から直接深圳に入る場合に利用価値が高いと思います。(深圳湾のイミグレーションを通過するスカイリモもあります。)
 皇崗イミグレーションの特徴として、中国人団体客の利用が多いということがあげられます。中国人団体客を乗せたバスが次々と到着し、その結果、建物内は常にごった返していて、長期休暇の時期には最も混雑するイミグレーションです。また、香港側のイミグレーションと中国側のイミグレーションの間をバス移動しなければならないので、初めて利用する人にとっては分かりづらい点もあります。(香港・中国それぞれのイミグレーション間をバスで移動するのは、文錦渡や沙頭角も同じです。)

 



 移転し大きくなった深圳・蛇口フェリーターミナル
移転し大きくなった深圳・蛇口フェリーターミナル

 時間と金に糸目をつけない人におすすめなのは、香港と深圳の間をフェリーで移動するルートです。 香港島上環のマカオフェリー乗り場から深圳南山区の蛇口までフェリーで移動する方法です。蛇口フェリーターミナルでの入出国手続きはフェリーの乗客だけですから混まないですし、フェリー内は確実に座れますので、最も疲労の少ないルートなのです。
 欠点は第一にフェリーの本数が少ないことです。この少ない本数に合わせてフェリー乗り場に行き、しかも一時間前くらい前に着かないといけないので、船に乗っている時間は一時間であっても本当にかかる時間はもっと長くなってしまうのです。運賃はHK$140ですから、他のルートに比較すると高めではありますが、許容できる範囲ではあります。時刻表については運営している珠江客運のホームページを参照してください。
 第二に、蛇口フェリーターミナルが2017年に移転し現代的な立派なターミナルに生まれ変わったのは良いのですが、交通の便が悪いことです。詳しいことはこちらのページに書いてありますが、深圳に慣れていない方はタクシーでの移動を余儀なくされてしまうことです。

 香港空港から深圳へは蛇口フェリールートが楽
香港空港から深圳へは蛇口フェリールートが楽

 フェリーで蛇口ルートが最も威力を発揮するのは香港空港と深圳間を移動する場合です。荷物があっても移動は苦になりませんし、時間的にも速いのです。また、香港空港へ向かう時は蛇口フェリーターミナルでフライトへのチェックインもできるので、利便性が大変高いのです。価格は若干高めになっても、それだけの価値はあります。
 ただ、蛇口から羅湖区等に行くには一時間以上の移動時間を要しますから、深圳の目的地の場所次第だということもできます。
 香港空港と蛇口との移動についてはこちらのページで詳しく紹介しています。

 深圳の文錦渡口岸
文錦渡は香港・深圳の抜け道ルート

 香港・深圳間のイミグレーションには他に沙頭角(香港から塩田区へ行くのに便利)と福永(香港から深圳空港に行くのに便利)がありますが、これはあまり一般的ではないので紹介は省略します。
 もう一つ、紹介しておかなければならないイミグレーションに文錦渡があります。文錦渡は羅湖区に出るイミグレーションなのですが、香港側・深圳側ともに交通の便が悪く、大変空いています。最もスムーズな入出境手続きができるイミグレーションです。特に効果を発揮するのは、連休時や朝夕の混雑時でしょう。まさに香港・深圳間の抜け道ルートとして知っておくと便利です。例えば、香港空港に夕方着いて羅湖方面に行くときなども、羅湖のイミグレーションの混雑を考えれば、ちょっと遠回りして文錦渡を利用するという使い方です。
 中国人にも、深圳以外の人にはあまり知られていませんし、深圳の人でさえあまり使いません。ましてや日本人でここを利用する人は少ないです。それだけに空いているイミグレーションなのです。文錦渡のイミグレーションについてはこちらで詳しく紹介しています。

蓮塘は最も新しいイミグレーション
蓮塘は最も新しいイミグレーション
 
 もう一つ、新しいイミグレーションとして、蓮塘ができていますので紹介しておきます。香港内からは地下鉄上水駅からバスで15分くらいです。建物内と屋根付きの橋をを歩いて、すぐに深圳側に渡れます。比較的すいています。深圳側は地下鉄2号線の駅にそのまま繋がっていて便利です。
 深圳では羅湖より東側に位置していて、深圳内の移動に時間がかかるのが欠点です。ただ、イミグレーションが混雑する時期の迂回ルートとしては利用価値があります。

 深圳地下鉄路線図2017
深圳地下鉄路線図2017(もう古くて使えません)

 深圳の地下鉄路線図です。上述の通り、落馬洲は福田口岸駅に、羅湖は深圳地下鉄の羅湖駅にそれぞれ接続しています。深圳側のアクセスを考えて使い分けると良いと思います。
 が、この地図から9年経って、様相は一変しました。

 
 


 深圳湾に深圳地下鉄が開通して状況が大きく変化


深圳地下鉄種主要地域路線図2026年1月版
 
 深圳はこの10年間でとてつもなく変化しています。地下鉄の地図は上の通りですが、上の写真では半分しか見えていません。地図をクリックすると拡大版が別ウインドウで開きます
 深圳の地下鉄は20号線まで開通していますから、全部を頭に入れるのは深圳居住者以外は無理です。覚えるべきは香港へのイミグレーションがどこにあって、どの地下鉄が接続しているかです。

深圳地下鉄種路線図2026年1月版
深圳地下鉄種路線図2026年1月版
 
 深圳地下鉄路線図を少し広いエリアで表示しました。これでも右側20%くらいをカットしていますが、旅行者の方にはあまり影響がないと思います。地図をクリックすると拡大版が別ウインドウで開きます
  
 香港深圳間の移動
 
 香港から深圳に来られる方が頭の中に描くべき地図イメージを図示しました。深圳地下鉄で〇印の付いた数字は路線を示しています。(②は2号線を意味します。)地図を頭に描きながら。次の四点を整理すると良いと思います。
①深圳のどこに行きたいのか。(大きく分けて、羅湖? 福田? 南山? )
②行きたい場所に近いイミグレーションはどこか
③(行きたい場所が複数個所ある場合)横移動は大きくならないか。
④帰りはどのイミグレーションから香港に戻るか
地図をクリックすると拡大版が別ウインドウで開きます

 岗厦北は深圳地下鉄で最大の乗り換え駅
岗厦北は深圳地下鉄で最大の乗り換え駅(4路線乗入れ)
 
 要は、深圳というのは東西に長い静岡県のような市ですから、口岸から目的地への横移動が少ない方が時間的に楽なのです。上の図は地下鉄移動をベースに作りましたが、タクシーや網約車(滴滴など)で移動する場合も同じです。



 深圳湾のイミグレーションでは一つの建物で香港と中国の入出境手続きが可能
深圳湾のイミグレーションでは一つの建物で香港と中国の入出境手続きが可能

 深圳における地下鉄路線網の充実により、利便性がより注目されているのが深圳湾イミグレーションです。
 深圳湾イミグレーションの通行可能時間は6:30から24:00です。通行に要する時間は30分以内です。外国人は利用者があまり多くないので比較的スムーズに通過できることが多いです。最短で5分もかかりません。
 最短で5分もかからないという理由は、香港と中国のイミグレーションが一つの建物内にあるからです。イミグレーション建物というのはその国の領土に建てられるのが普通ですが、ここ深圳湾では香港のイミグレーションは中国領土内に建てられた中国政府の建物内にあります。一方で深圳湾イミグレーションの管理は香港政府が行っていますので、イミグレーションが混雑するとゲートを増やすなどの臨機応変な対応が行われています。

深圳湾イミグレーション
深圳湾口岸を香港側から深圳側へ向かう

 イミグレーション間の距離は100mもありません。パスポートチェックは2回受ける必要があるものの、移動時間がかからないのです。そういう意味ではストレスが少ないイミグレーションと言えます。
 深圳湾イミグレーションの問題点は、香港側にも深圳側にも鉄道の連絡がなかったため、バスやタクシーでの利用になっていたことです。不慣れな日本人にはハードルの高いイミグレーションに思われがちでした。実は香港側は、元朗、屯門や天水圍からのバスが頻繁に発着しているなどアクセスは容易でしたので、深圳側の地下鉄開通が望まれていたわけです。

 深圳地下鉄深圳湾口岸駅
深圳地下鉄13号線 深圳湾口岸駅

 深圳湾口岸駅から13号線に乗ると、后海駅で11号線に乗り換えでき、前海方面や宝安方面、さらには深圳空港や東莞市方面に行けます。(深中通道を通る高速バスを利用する人は11号線の2駅目の前海湾で下車してください。)反対側に走ると、福田方面に行けます。11号線は駅が少ないので時間的には速いです。
 また、深大駅では1号線に接続します。1号線は駅が多く時間がかかりますが、本数が多いので便利です。東は福田、羅湖方面、西は南山から宝安方面に行きます。
 乗り換えしなければ、13号線は光明区に入っていきます。香港から光明区に行く最も速い移送手段です。

 深圳湾口岸 香港側
深圳湾口岸 香港側

 既に書いた通り、最近香港では「北上行動」といって、週末に深圳へ出かけてグルメやショッピングモール巡りをすることが流行っています。上の写真は週末の22時頃の深圳湾口岸の様子で、深圳湾口岸から香港に帰る人々が香港側のバスを待つ列です。二階建てのバスが満員になると出発します。結果的に、5~10分おきくらいくらいに走っています。
 では、こうした香港人は深圳のどこで休日を過ごしているのか。羅湖にも行くし、福田にも行くし、南山にも行きます。その時々によって、イミグレーションを使い分けているのです。ただ、深圳湾がある南山地区はグルメやショッピングモールで魅力的なスポットが多いので、香港人の利用は大幅に増えています。 

 

 深圳地下鉄13号線は新設される西麗新幹線駅にも接続

 
西丽高铁站(西麗新幹線駅)完成予想図
 
 地下鉄13号線は、光明区に入る手前で、2028年から供用開始予定の西丽高铁站(西麗新幹線駅)の地下に、駅を完成させています。西麗新幹線駅は現行の深圳北駅を上回る規模の新幹線駅で、新幹線だけで25のホームを有しています。完成後には西麗と深圳北駅が深圳の主要新幹線駅になります。
 香港から中国内各地に高鉄で移動する際に、この西丽高铁站(西麗新幹線駅)を起点とすることが今後増えると思います。


 西丽高铁站(西麗新幹線駅)の位置は上の地図の通りですが、現行の深圳北駅が羅湖区や福田区にとっては近くて便利なのですが、ITや先端技術の企業が集積している南山区や宝安区からは不便だという問題意識から生まれた駅です。
 深圳市作成の計画図の中でも意識されているのは、オレンジ色になっている南山区前海や深圳湾・后海もスーパー本部(总部)ゾーンです。深圳市発展の中心が地理的にも産業構造的にも変化してきているなかで、深圳北駅だけでは市の発展の支障になるとの考え方です。
 この深圳市の変化と香港企業や香港人の利便性も考え、南山区の西丽(西麗)に新たな新幹線駅が生まれようとしているわけです。

 


 深圳湾から行ける南山のスポット

深圳人才公園と中国華潤集団ビル(筍ビル)
深圳人才公園と中国華潤集団ビル(筍ビル)

 深圳湾のイミグレーションを通過したときに行きやすいのは南山区です。南山区には世界の窓や中国民俗村といったテーマパークもありますが、そうしたミーハーな場所でなく、深圳の今を感じられる場所をいくつか紹介します。
 まず、上の写真の深圳人才公園です。深圳湾のすぐ近くにあります。日本では考えられないような広大な公園で大変整備された状態で、無料で開放されています。筍ビルというニックネームが付いている中国華潤グループのビルが目立ちます。
 南山区にはテンセントなどIT企業が多くオフィスを構えていて、そこで働く技術力の高い若者が多く住んでいます。優秀な若者を確保するためには、高い処遇だけでなく、生活環境や教育環境なども整備する必要があります。そうした環境整備には深圳市も大きな投資をしています。そんな深圳市の現状を見ることができます。

深圳市の南頭古鎮
深圳市の南頭古鎮

 南頭古鎮です。ここには中華民国時代の建物が多く残っていて、それらを改装してショッピングエリアを形成しています。美味しいグルメの店が多いことで知られています。
 南頭古鎮は深圳湾口岸から車で10-15分程度、地下鉄では12号線南頭古鎮駅が最寄りです。深圳湾口岸から地下鉄で30分くらいです。

深圳市の南頭古鎮の関帝廟
深圳市の南頭古鎮の関帝廟

 南頭古鎮にある関帝廟に鎮座する三国志で有名な関羽。立派な関帝像です。劉備や張飛の像もあって、三国志ファンなら必見です。壁画も三国志の名場面が描かれていて、中国語の説明が分からなくても、三国志ファンならその場面を思い出せるはずです。

深圳市前海地区の高層ビル群
深圳市前海地区の高層ビル群
 
 日本では殆ど知られていますんが、南山区には前海というエリアがあります。新宿区と同じくらいの広さの開発区で、ここにはIT産業を中心に先端技術の企業を集積させるとともに、金融開発区として成長著しいエリアです。
 このうち、開発が進んでいる地下鉄前海湾から桂湾付近には、万象前海をはじめ三つの大型モールが集積していて、30代くらいまでの若者たちの人気を博しています。深圳には若い人が多く平均年齢は30歳強ですが、この街で働き生活する人の平均年齢は30歳未満でしょう。それでいて年収は日本円で平均1000万円を優に超え、2000万円超の人も少なくないようです。そんなハイレベルな若い街を体験してみましょう。

 深圳市にある前海石公園の夕陽
深圳市にある前海石公園の夕陽
 
 前海地区の西端にある前海石公園は夕陽で有名なスポットです。石公園は桂湾公園という東西2kmくらいの広い公園の一部を形成していて、前海地区だけでなく南山や福田、宝安といった近隣エリアからも若者たちが集まる公園です。ここも上で紹介した深圳人才公園と同様に、豊かな生活環境を提供するというコンセプトで開発されたエリアで、10代から30代くらいまでの若者たちが思い思いの時間を過ごしています。
 日本の経済的な遅れや心の貧困さというものがひしひしと感じられるとともに、本物の豊かさやゆとりというものを考えさせられるエリアです。

 深圳湾大橋
深圳湾大橋

 深圳湾口岸に行くときのバスから見た深圳です。香港方面から深圳湾越しに見える深圳の街の威容に驚くはずです。

 
 深圳湾大橋から見る深圳湾の夕陽
深圳湾大橋から見る深圳湾の夕陽
 
 この写真は夕方日没時間にあわせて香港側からバスに乗り、バスから撮影した夕陽です。深圳湾大橋からの風景は、晴れていれば思い出に残る風景になると思います。

 



広深港高鉄(広州深圳香港新幹線) 

 中国の新幹線が香港に接続
 
 さて、いよいよ中国新幹線が香港までつながりました。中国では新幹線を「高鉄」と言います。深圳の羅湖から広州東までを結ぶ広深線も新幹線のようですが、これは「動車」と呼ばれるもので、「動車」は既存の線路の上を走る新幹線で時速250㎞くらいが最高速度です。一方、「高鉄」とは高速鉄道の略で、専用軌道の上を走る新幹線です。高鉄は最高速度350㎞で走ります。
 今回、香港と深圳を結ぶ新幹線は高鉄です。上でも書きましたが、香港の九龍西駅から深圳市の福田駅まではわずか14分(68元、78香港ドル)で、広州市の広州南駅までは47分(215元、247香港ドル)で結ばれました

 中国の新幹線車内(広深港高速鉄道)

 香港・深圳間は10~30分おきに列車が走ります。 16両編成ですから相当の利用者数が見込まれます。香港まで乗り入れるのは多くが広州南駅行きですが、深圳北行きや福田行きという短距離列車もあります。また、一部の列車は北京や上海、福州や桂林などへも行きます。因みに香港の西九龍から北京までの二等車料金は1077元または1239香港ドル、上海までの二等車料金は1008元または1159香港ドルです。
 上の写真は二等車で、日本の新幹線と同じように、一列が二席+三席という設計です。

 中国の新幹線一等車内(広深港高速鉄道)

 一方、上の写真は一等車で 料金は二等車と二割も違いません。私は予約できれば一等車を使っています。日本のグリーン車と広さは変わりませんが、シートは作りが悪いです。それでも二時間程度乗るなら一等車を選んだ方が何かと良いと思います。
 因みに中国の新幹線には自由席はありません。その代わり立ち席というのがあって、席が空いていても座ることはできません。但し、この立ち席については外国語の予約サイトからは予約できないかもしれません。中国語のC-TRIPアプリからは予約できます。なお、この立ち席にも枚数の制限があります。特に春節(旧正月)とか国慶節といった特別な時期でなくても、この立ち席さえ取れないことはよくあります。すぐの列車だけではなく当日の列車すべてが売り切れているということがあるのです。ですから、中国の列車は予約が必須です。

 中国の新幹線車内(広深港高速鉄道)

 高鉄の最高速度は時速350㎞ですが、広州・深圳間では310㎞くらいしか出しません。香港・深圳間は地下区間も多いので250km/h以下で走ります。

 

 高鉄(中国新幹線)陽朔駅の切符売り場

 香港まで高鉄を利用すると深圳が近くなると考える日本人が多いと思いますが、そんなに良いことばかりではないというお話をします。
 高鉄(中国新幹線)を利用するときはチケット買わなければなりません。当たり前ですね。自動販売機もありますが、中国の身分証明書がないと利用できません。ですから、一般の日本人はこの窓口に並んで中国語でチケットを買わなければなりません。また、予約したチケットを受け取る際もこのチケット販売窓口に並ぶことになります。
 窓口で買うとなると、言葉のできない日本人は不安でしょうが、筆談という方法があります。例えば広州南から香港西九龍行きの新幹線切符を買うときは、「○月×日、△▲時左右、広州南→西九龍、一等、二張(二枚の意味)」と書けばOKです。このうち、「△▲時左右」には、午前であれば「上午」、午後であれば「下午」を付けて、午後2時だったら「下午2時」と書きます。「左右」は日本語で言う「前後」を意味します。なお、中国内も、列車内はすべて禁煙です。喫煙席はありませんので、念のため。さらに言えば、深圳市内の福田駅、深圳北駅は構内も禁煙ですから、愛煙家の人は駅に入る前に喫煙しておきましょう。

 
 
 切符を買う、あるいは切符を受け取るというこの簡単なことが、中国では結構大変です。それは言葉の問題ではなくシステムの問題です。上の写真はある新幹線駅でのチケット受け取りの様子です。彼らは自動受取機に並んでいます。ここに並べば恐らく15分か20分くらいで受け取れますが、外国人は使えません。中国新幹線に乗る場合は身分証明書で本人確認が必要です。(これは一般の鉄道や長距離バスも同様です。)本人確認もこの機械で行うのですが、対応しているのは中国人の身分証明書だけで外国人のパスポートには対応していません。ですから、外国人は有人の窓口に行く必要があるのです。
 有人の窓口は、チケットの変更や大人数でのチケット予約の人たちも同じ列で並びますので時間がかかります。最近は予約済みのチケットを30分で受け取れればラッキーだ、すいていたという感じです。どんなに混んでいて乗客が長い時間待つことになろうとも、有人窓口は増えることがありません。期待しない方が良いです。最も時間がかかったのは1時間20分、ただひたすら立って待つだけです。

 

 1時間くらい並んで予約したチケットを受け取ったら、駅構内に入ります。ここで荷物検査のために並びます。上の写真で左側の列が荷物検査の列です。普通は10分かからないで通過できますが、ひどい時はここでも30分近く並びます。信じられないでしょうけど、本当なのです。
 チケットを受け取るのに1時間、 駅に入るのに10分、そうこうしているうちに予約した列車の出発時間が来てしまいます。ですから、私が新幹線に乗る場合には、発車の一時間半前には駅に到着するようにしています。

 高鉄の深圳福田駅

 以上、広深港高鉄の利用方法を説明してきましたが、これが開通したからといって、香港・深圳間をこれで行くことが一般的になるとは思えません。それはやはり乗車するまでの時間がかかるリスクがあるからです。
 上の写真は広深港高鉄開通前の深圳・福田駅の有人のチケット売り場です。福田は停車する列車本数が少ないので、香港新幹線開通後も上の写真のように有人チケット売り場が閑散としている時間帯もあります。が、列車本数の多い深圳北駅はそういうわけにはいきません。ただ、上の写真からも分かるように香港行きのチケット専用の窓口があるので、他の広東省の駅に比較すれば状況は良いかもしれません。(その後も福田駅でのチケット売り場の混雑をチェックしていますが、2019年4月現在混雑がひどいという状況を目にしていません。深圳北駅は福田駅ほどスムーズではありませんが、最悪でも30分程度の待ち時間でチケットを手に入れられます。。)
 一方、香港の西九龍駅はどうでしょうか。香港では客が並べば窓口を増やしてくれます。ですから、チケット受取の待ち時間は30分も見れば大丈夫だと思います。だとすれば、発車1時間前に西九龍駅に行けば良いわけで、多少はストレスが少ないでしょう。

 
 
 結論を言ってしまうと、香港・深圳間であれば、香港から深圳に行くときは広深港高鉄も深圳市内の行き先によっては選択肢に入りうると思いますが、深圳から香港に行く場合は、入出境時間も入れて約2時間前に福田駅か深圳北駅に行かないと心配なため、選択肢には入り得ないでしょう。2時間という時間なら、他のルートならもう深圳から香港の目的地まで着いてしまうからです。(上でも書いたように福田駅から香港に行く場合は、1時間前に福田駅に着けば良いので選択肢に入れても良いかもしれません。)
 なお、香港から深圳に往復するのであれば、香港でチケットを受け取る時に帰りの切符も手に入れればこのリスクはなくなります。チケットさえ手元にあれば、福田駅や深圳北駅への到着が列車発車時刻の40~50分前でも乗り遅れないはずです。

 

 こうやっていろいろ考えていくと、広深港高鉄(広州深圳香港新幹線)ができても、私のように深圳に住んでいる人はあまり利用価値がなさそうです。ですが、ビジネスや観光で日本から来る人にとっては分かりやすいルートではありますので、参考にしてください。恐らくチケットは当日では確保しづらいと思いますので、くれぐれもチケット予約をするようにしてください。
 因みに上の写真は深圳の新幹線玄関口、福田駅前です。

 広深港高速鉄道の香港西九龍から深圳福田まで乗ってみました。西九龍駅への行き方、西九龍駅でのイミグレーションの様子や利用価値などを別ページで詳しく紹介しています。