レパルスベイ(浅水湾)とベランダレストラン

レパルスベイとベランダレストラン

レバルスベイのビーチ 


 香港島は、中環や湾仔など北側は繁華街であったり下町であったりしていますが、南側に行くと綺麗な海が広がりマンションが点在する高級住宅街もあります。高級住宅街のエリアとしては、レパルスベイ(浅水湾)からスタンレーあたりが、その代表的なエリアでしょう。
 私も、縁あってレパルスベイの海の見えるマンションで半年ほど暮らしたことがありますが、眼前に海が広がり、暖かい太陽がサンサンと部屋に差し込む環境は、香港島の北側や九龍地区などの喧騒からは、まさに別世界のものです。 
 上の写真はイギリス植民地時代のレパルスベイホテルを改造したベランダレストラン。ペニンシュラホテルグループの経営のこの高級レストランは、香港のアフタヌーンティーでナンバーワンだと評価しても良いと思います。
 このページではレパルスベイとベランダレストランのアフタヌーンティーを紹介します。


 レパルスベイは、日本のガイドブックを見るとビーチリゾートのように書かれていることがあります。上の写真の通りビーチはありますが、正直言って大したビーチではありません。夏のシーズンになるとビーチを楽しむ家族連れなどの姿はありますが、ビーチとしてにぎわうというイメージではありません。

 
 ですから、海水浴場だと思って気合いを入れてレパルスベイに行くと、きっとがっかりします。施設としての海水浴場はありますし、海水浴場に家族客はいるのですが、なかなか華やかさがないんですね。
 何故なんでしょうか。海の水が汚いからなのか、砂が白くないからなのか、香港人の水着が意外に地味だからなのか、海の家が少ないからなのか、何なのでしょうか、心が弾みません。私も半年間レパルスベイに住んでいて、しかも夏の期間だったのにもかかわらず、海水浴客として海岸に出たことはたったの1回しかありません。

 

 レパルスベイはむしろ、海水浴客のいない海岸で、静かに海を眺める場所なんじゃないのかな、なんて思ってしまいます。海岸から見える風景は、意外と風光明媚です。
 上の写真はレパルスベイの海岸から見える海の風景です。適当に小島が浮かんでいたりして、ちょっといいですよね。レパルスベイから東側の海岸からは、大体こんな感じの広々した海が眺められます。
 香港島の中心街、セントラルから車で20~30分くらいで、こんな風景が広がっているなんて、贅沢な環境です


 海岸線に建つマンション群です。このあたりは風景もいいですし、環境抜群なので、とんでもない住宅価格になっています。1億円ですか?その金額を倍にしても手の届かない価格ですよ。



 ザ・レバルスベイ

レパルスベイ・ベランダレストランからの眺め

 そのレパルスベイのビーチと道路を挟んで反対側の山側にあるのが、ザ・レバルスベイというマンションです。これは英国植民地時代のレパルスベイレストランの場所に建てられたマンションの名称で、その一階部分にベランダレストランが入っています。
 レパルスベイホテルは植民地時代に宗主国である英国人のトップクラスが別荘として利用していた施設ですから、レパルスベイでも最も景色の良い場所に建てられています。上の写真はベランダレストランの前庭から見た風景です。どうです、香港とは思えない景色ではないですか。

 
ザ・レバルスベイ

 ザ・レパルスベイはレパルスベイのマンションの中でも最も目立ちます。建物の真ん中に穴が開いているのは、風水の関係だと聞いています。
 私の家からもこのマンションが見えていたので、とても懐かしく感じます。私も一度、このマンションに住むご家庭を訪問したことがあるのですが、窓から眼下に広がる絶景に感動したものです。

ザ・レバルスベイ

 もう,築30年以上のマンションですが、外観、デザインともに古さを感じさせませんね。
 上述の通り、このマンションの下には、ペニンシュラホテル系のベランダレストランやショッピングセンターがあります。そちらを見てみましょう。

レパルスベイ・ベランダレストラン入口
 
 ベランダレストランです。
 ここのアフタヌーンティーが良いとの評判が立っていますが、それもそのはず、ペニンシュラホテル系列のレストランですから当然です。しかも本家本元のカオルーンのペニンシュラホテルの方は、ちょっと評判が落ちてきています。
 私が以前住んでいたころは、時々日曜に、朝食を家族で食べに来ました。子供にマナーを教えながらベランダレストランの味と雰囲気を楽しんだものでした。その頃は、日曜日だけ朝食を出していましたが、今も日曜日朝に営業しているのかどうかは分かりません。

 レパルスベイ・ベランダレストラン入口付近

 でも、私が心配するのは、日本からの旅行客の恥知らずな行動でこのベランダホテルのハイカラな雰囲気が落ちてしまわないかということです。このベランダレストランは、上の写真のように、現在では香港島南部にお住まいの方々がリラックスに来られる場所です。そこが街中にあるペニンシュラホテルとの違いです。ペニンシュラホテルは装飾も音楽も含めて素晴らしい環境です。でも、いつも観光客でにぎわっていて静かにくつろげる場所ではありません。
 その点、ここベランダレストランは特にウィークデイなどはお客さんが少なく、本当にくつろげる場所です。ワイワイガヤガヤする場所ではありませんので、ベランダレストランに行かれるのであれば、ぜひマナーを守って雰囲気を味わっていただきたいと思います。



レパルスベイ・ベランダレストラン入口付近
 
 ベランダレストランの前庭から入口方面を見たところです。私は見たことがありませんが、このベランダレストランの入り口は、レパルスベイホテルの入り口をそのまま模して建てられているそうです。雰囲気良いです。

 レパルスベイホテルの写真
 
 上の写真が当時のレパルスベイホテルです。レパルスベイホテル以外何もありません。今のベランダレストランがレパルスベイホテルを模して建てられていることも分かると思います。

植民地時代の香港の自動車
 
 当時は今のように香港島の南北を貫くトンネルなどありませんから、山を越えてくるわけです。当時の自動車ならセントラル(中環)から1時間くらい揺られたかもしれませんね。こちらに来る目的は、リフレッシュでありホリデイであったに違いありません。当時の英国支配者たちは、オフィスはセントラル(中環)、住居はピーク(山頂)で、リゾートは香港島南側、すなわちレパルスベイだったのです。

レパルスベイ・ベランダレストラン内装
 
 さて、ベランダレストランのある建物の中の様子です。上の写真のように、可能な限りレパルスベイホテル時代の雰囲気をそのまま残しています。コロニアルな雰囲気が特徴です。

レパルスベイ・ベランダレストラン中庭
 
 コロニアルな雰囲気と言えば、この中庭でしょう。レパルスベイホテルの時代は、今のベランダレストランの場所がフロントやレストランなどの共有スペース、さしてこの中庭の周りが客室という配置だったに違いありません。アジアの植民地によく見られるホテルの構造です。

レパルスベイ・ベランダレストラン中庭
 
 この中庭は、現在自由に使えます。上の写真はあるウィークデイの様子です。殆ど誰もいません。この贅沢なスペースで一休みすることも可能です。



 ベランダレストランでアフタヌーンティー

レパルスベイ・ベランダレストランのアフタヌーンティー
 
 こんな素晴らしい環境でアフタヌーンティーを味わうということがどんなに素晴らしいか、想像してみてください。ペニンシュラホテルでアフタヌーンティーを楽しむレストランもベランダレストランです。そうなのです。ペニンシュラホテルと同じレストランがここレパルスベイで経営しているのです。

レパルスベイ・ベランダレストラン

 ペニンシュラホテルの方が格式が高く、レパルスベイの方が少しカジュアルという位置づけです。バックグラウンドの音楽もジャズだったりブルースだったりという日の方が多いです。上の写真ではわかりづらいですが、実は窓越しにレパルスベイの海岸と海が見えるようになっています。つまり、ペニンシュラホテルは街中でビジネスの環境でのアフタヌーンティー、レパルスベイはリゾートでカジュアルな雰囲気でのアフタヌーンティーという形ですみ分けていて、植民地時代からの伝統をそのまま受け継いでいるのです。

 
レパルスベイ・ベランダレストランのアフタヌーンティー

 飲み物は何種類からか選べます。この日選択したのはペニンシュラブレンドの紅茶です。アフタヌーンティーですからコーヒーよりも紅茶が良いでしょう。そして、せっかくのベランダレストランですから、ここでしか飲めないペニンシュラブレンドが良いでしょう。

レパルスベイ・ベランダレストランのアフタヌーンティー

 この日は一人でアフタヌーンティーに来ています。一人の場合はHK$328(2019年6月)です。サービス料込みの価格ですが、支払い時にさらにチップとしてHK$22を加えてHK$350を支払いました。サービス料が入っているからチップはいらないと考えている日本人が多いですが、チップというのは別物です。サービスが良ければそれなりに支払うのがマナーです。
 さて、アフタヌーンティーはまず自家製スコーンから始まります。クリームとジャムが添えられています。大変美味しいです。ベランダレストランのアフタヌーンティーは3時からです。この日は朝食を遅めにとりランチを抜いていましたから、特に美味しくいただきました。特にクリームが素晴らしかったです。

レパルスベイ・ベランダレストランのアフタヌーンティー

 そして、お待ちかねの三段セットが登場しました。レパルスベイの明るい日差しが差し込む テーブルでのアフタヌーンティー、何度経験してもワクワクします。食器も落ち着いた色彩で上品ですから、ベランダレストランの雰囲気に合います。

レパルスベイ・ベランダレストランのアフタヌーンティー

 一段目です。本当は二人くらいで来て話しながら食べたいところですが、この日は一人。一つひとつのメニューを味わいながら、また、ペニンシュラの伝統的な紅茶を楽しみながらいただきました。

 
レパルスベイ・ベランダレストランのアフタヌーンティー

 二段目です。美味しいケーキが続きますけど、私は特にここのバナナケーキがお気に入りです。あくせく食べずに一つひとつを味わいましょう。

 
レパルスベイ・ベランダレストランのアフタヌーンティー

 三段目になると、ランチを抜いてきた私でもそろそろお腹いっぱいになってきます。それでも、美味しくいただけるのはやはり一つひとつのケーキの出来が良いからではないでしょうか。遠く植民地時代の香港を偲びながら、日々の自分をねぎらいながら、極上のデザートを楽しみました。

 
レパルスベイ・ベランダレストランのアフタヌーンティー

 仕上げはチョコレートスフレです。これがまたかなり美味しいです。正直言って二回に分けてというか、二日に分けて食べたいところです。こんな美味しいコースを一度に食べてしまうなんてちょっと贅沢すぎます。などと思いながら、約一時間半かけてゆっくりとした時間を過ごしました。

レパルスベイ・ベランダレストランのアフタヌーンティー

 この日はお客さんが10組も入っていない状態で、とにかく静かな環境で素晴らしい景色を楽しみながらの一時間半は、極上の時間でした。二人で来ると話に夢中になったりしますが、一人ですとこの雰囲気は癒しを感じさせてくれます。また、スタッフの目立たないけれども気の利いた対応はさすがにペニンシュラグループを感じさせるサービスと言えるでしょう。




 ベランダレストランの裏にはショッピングセンターやレストラン、スパなどがあります。コロニアルな雰囲気を持ったショッピングセンターで、ちょっと買い物もしたくなる雰囲気です。が、旅行客が欲しがるような商品はあまりないかもしれません。


 さて、セントラル(中環)までバスで戻ろうと思いますが、山際に沿って建つマンション群が目に入りました。古くなったけど、相変わらず雰囲気の良いところです。


 レパルスベイのバス停です。セントラル(中環)まではバスで帰ります。
 いちいちタクシーに乗らなくてもバスの本数は多いし、ここからならダブルデッカーバス(二階建てバス)の最前列にも座れる可能性が高いですから、眺めもいいですよ。ぜひバス利用をおすすめします。