新型肺炎感染拡大化の香港・深圳

新型肺炎感染拡大化の香港・深圳

 2月8日から本土からの来港者は14日間の強制隔離

 2020年1月の新型肺炎(新型コロナウイルス)の拡大が、武漢、湖南省といった局地的な流行から中国全土、さらには全世界へと広がりを見せるなか、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は2月5日の記者会見で中国本土からの入境者を14日間、強制隔離する措置を8日から導入すると発表しました。
2月4日から、羅湖と落馬洲の鉄道駅、紅磡の高鉄駅(香港新幹線駅)に加え、24時間オープンの皇崗のイミグレーションを閉じ、香港と中国本土を結ぶルートを深圳湾大橋とマカオ ・珠海を結ぶ港珠澳大橋に絞ったばかりでした。正直言って、この2月4日の措置によって、中国と香港との行き来がとうとう最小限の範囲に制限されたなと、これ以上は絞るまいと私も判断した矢先の発表でした。
 実際に14日の強制隔離と言っても、どこでどのように隔離するのか、空路で大陸から例えば日本を経由して入ってきた場合の運用はどうするのか、など不明な点が多いです。ただこの措置が新型肺炎の香港での流行を防止するための措置であるだけに、自分だけの安易な判断で香港に入ろうとすると、14日間の強制隔離で身動きが取れなくなるリスクも覚悟しなければなりません。 実際の運用を見るまでは出来るだけ慎重に動くべきです。
 このページでは、本規定の運用開始後の状況も紹介していきますので、時々覗きに来てください。


強制隔離の運用について

 
 2020年2月13日付けの広東省における新型肺炎患者数(累計発生者数で完治者、死亡者数も含みます。)です。深圳市での患者数は累計でちょうど400名で、広東省で最も多くなっています。中国全体で見ても、湖北省を除くと温州市、重慶市に次ぐ人数です。

 香港への入境情報です。キャセイ航空のホームページによれば、2020年2月14日現在次の通りになっています。

香港特別行政区およびマカオ特別行政区のパスポートでご旅行のお客様を含む全てのお客様で、過去14日間に中国大陸に入国または滞在した方は、香港へ入境後すぐに14日間隔離されます。
次の条件にあてはまる方は香港に入境できません:
  • 発行地が湖北省の中華人民共和国のパスポートまたは中国IDでご旅行の場合。
  • 過去14日間に湖北省に滞在したことがある場合。
  • 過去14日間に中国大陸に滞在し香港への入境許可(例:ビザまたはその他の許可書)が14日未満の場合
適用除外:香港乗り継ぎのお客様と、香港IDカード保有者は入境できます。

 


 新型肺炎(新型コロナウイルス)の感染は怖い

 では、今回の新型肺炎(新型コロナウイルス)はどのくらい危険なのでしょうか。 ニュース等での紹介を見る限り、死亡率は比較的低いやに報じられています。でも、果たしてその見方は正しいのでしょうか。 2月5日の数字で解説します。実はこの日においては中国での感染状況に変化が見られました。この時点で。累計患者数は24363人です。 このグラフからは疑わしい人の数が頭打ちになってきていることが分かります。良い傾向です。疑わしい人が減ると翌日の新規感染者が減ります。ですから、疑わしい人が継続して減ると、新規感染者数が減少傾向になります。
二つ目のグラフでは、国内移動の制限により、湖北省以外の患者数が頭打ちになってきていることが分かります。早期発見・早期隔離の取り組みが功を奏しているとともに、春節休暇を延長して移動を制限した効果と見られ、この制限をもう暫く延長することができれば、さらに顕著な成果が期待できると考えられます。
  三つ目のグラフです。死亡者数と治癒者数のグラフです。この新型肺炎にはワクチンはありません。ここがインフルエンザとの決定的な違いで、新型肺炎が怖い点です。罹った時には安静にして治癒するのをじっと待つことになります。したがって患者数が多いのです。病気になればすぐに、あるいは一週間、二週間で治ったり死んだりという結論はあまり出ません。患者数が増えるばかりなのに、患者数を含めて死亡率を計算すると、死亡率は低く見えます。でも良く考えてみてください。本当の死亡率というのは、完治した人と死亡した人の合計人数を分母にして計算するべきなのです。この時点で、累計治癒者は892人、累計死亡者は491人。死亡率は約35%です。治癒者が増え、死亡率は徐々に低下していますが、依然として高いのです。現在の患者は一人も死なないのであれば、分母に患者数を使っても良いですが、これまでのデータを見る限り、治癒する人と死亡する人の割合は2対1なのです。
 こうしたデータの見方からすれば、香港が大陸からの入境者を限りなく絞りたいという考え方はよく理解できますし、その方針に私たちも異を唱えるべきものではないことがよく分かるはずです。 日本政府や日本のマスコミによる楽観的な情報や報道に惑わされずに、冷静に事実を見る必要があります。核心を隠蔽された情報からは正しい判断は生まれてきません。


 深圳の感染状況

 深圳市では厳しい管理のもと、患者数は低位に推移していましたが、春節後のUターン者が増加した1月末から感染者が爆発的に増加してきており、2月5日には感染者が300人を超える水準となっています。
 私も1月25日に深圳の自宅に帰りましたが、深圳湾口岸から南山区の自宅に帰るまで3回も検温され、健康申告書を提出させられましたが、このように早期発見・早期隔離を厳しく管理しているため、他都市よりも発見が早いという特性もあります。
 しかし、上記のように、広東省内でもトップの患者数となっており、確認漏れとなっている患者も少なからずいることを考えれば、かなり危険な状態と言えます。
 2月5日時点で、運休しているバス路線は少なくなく、地下鉄も一部の駅を通過している状況です。街を歩く人はほとんど見かけない状況です。
 明日以降、もう少し詳しく深圳の状況をお伝えします。