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鳳城酒家北角店で脆皮炸子鶏


 鳳城酒家北角店で脆皮炸子鶏(鶏のロースト)

 庶民の街、北角の有名店

香港北角・春秧街の市場を走るトラム

 
庶民の街、北角(northpoint)は市場の中をトラムが走ることで有名です。大変な現代都市・未来都市へと変貌した香港ではありますが、ここ北角の街を歩くと、昔の香港の庶民的な姿がそのまま残っています。私が香港に住んでいた頃も良く訪れた街ですし、今でも香港に行くと必ず立ち寄りたくなる街です。

トラムの二階から見た北角・春秧街

 トラム(二階建て電車)の2階の一番前の席からの眺めです。そんなに広くない通りには、屋台がせり出してきていますし、トラックは通るし、一般の乗用車も通ります。もちろん、マーケットですから、買物客で賑わっています。ここをトラム(二階建て電車)が通り抜けるのです。
 上の写真は2014年2月のものですが、相変わらずなかなかの迫力です。因みにトラムの通るこの通りが春秧街(CHUN YEUNG St.)です。

香港・北角の鳳城酒家北角店

 今日の夕食は、この春秧街(CHUN YEUNG St.)に並行して海側を走る渣華道(Java Rd.)にある鳳城酒家北角店です。トラムが市場の中を走る通りと同じブロックになります。位置的には、一つ上のトラムの二階席から撮った写真の左手の建物の裏になります。
 鳳城酒家北角店は老舗の広東料理店で、昼の飲茶も評判が良いのですが、鳳城酒家の飲茶については上環店銅鑼湾店で紹介していますので、そちらを参照してください。

鳳城酒家北角店のメニュー

 さて、テーブルに案内されると、例によって飲み物を何にするか聞かれますので、普洱茶(ポーレー茶)を注文しました。そして、机の上に置いてあるメニューで料理を選びます。広東語で書いてあるだけですので、これでは分からないという方は写真つきのメニューをもらってください。写真つきのメニュー(恐らく英語で書いてあるのだと思います。)では、料理種類がある程度限定されているようですが、やむを得ないでしょう。。

鳳城酒家北角店のおすすめメニュー
 
 また、壁には推薦料理リストが貼られています。今日はカミさんと二人で来たのであまり沢山は食べられません。推薦料理リストから二品、メニューから二品を選びました。
 この店では何と言っても脆皮炸子鶏(鶏のパリパリロースト)がおすすめですから、この料理は外せません。下から二つ目の鳩ミンチのレタス包みも食べたかったのですが、お店の人から「そんなに食べられるはずないからやめなさい」とアドバイスされたので、今日は泣く泣く注文を見送りました。


 鳳城酒家北角店の広東料理

脆皮炸子鶏(鶏のパリパリロースト)

 まず、最初に出てきたのは脆皮炸子鶏(鶏のパリパリロースト)です。香港では美味しい焼き味(ロースト)をいろいろな店で食べることができます。ガチョウのローストと言えば香港島セントラルにある鏞記(ヨンキー)が有名ですし、子豚のロースト(化皮乳豬)も広東料理の名物です。香港の街を歩けば、焼き味(ロースト)専門店はあちこちにあって、店先に美味しそうな焼き味(ロースト)がぶら下がっています。
 そんな焼き味激戦地の香港にあって、私の印象が最も強いのがここ鳳城酒家の脆皮炸子鶏(鶏のパリパリロースト)です。先ほど紹介した鏞記(ヨンキー)のガチョウのローストが美味しいなどと言う日本人は多いのですが、正直申し上げると鏞記(ヨンキー)のローストは日本人には脂っこすぎると思います。鏞記(ヨンキー)が美味しいと言われる人には、ぜひ鳳城酒家の脆皮炸子鶏(鶏のパリパリロースト)を味わってもらいたいと思います。

鳳城酒家の脆皮炸子鶏(鶏のパリパリロースト)

 中華料理の名前には、調理法が入っているケースが良くあります。日本語で「焼く」という意味の漢字だけでもいくつもあります。「脆皮炸子鶏」という字の「脆」の字は食材の表面をパリパリに焼くという意味合いになります。その名前の通り、パリパリに皮が焼かれて出てくるのが、この脆皮炸子鶏(鶏のパリパリロースト)なのです。いい焼き色ですね。そして、光沢も素晴らしいです。
 因みに、中国料理で使う調理法の漢字をいくつか紹介しておきます。
 【炒】強火で炒める 【爆】強火ですばやく炒める
 【煎】少量の油で炒め焼く 【〔火考〕】直火であぶり焼く 
 【炸】多量の油で揚げる 【煮】スープに煮込む 
 【焼】水分が無くなるくらいに煮込む  【灼】ゆでる 【湯】スープ 
 【鹵】たれにつけこむ 【〔保/火〕】土鍋煮込み 【酔】紹興酒に漬け込む

 脆皮炸子鶏(鶏のロースト)、皮はパリパリ、肉はジューシー

 この脆皮炸子鶏(鶏のパリパリロースト)は皮はパリパリの食感で香ばしいですし、肉はとてもジューシーで美味しいのです。この日は二人で半羽食べましたけれども、半羽というのは二人では多すぎるくらいの量です。でも、私もカミさんもお気に入りの焼き味なものですから、見事に平らげてしまいました。美味いです。

  
 

 野菜については、〔保/火〕(土鍋煮込み)にしました。ローストやこの後出てくるエビの揚げ料理なども考えれば、この日の料理は全般的に脂の多い料理になるので、野菜も油で炒めたものではなく鍋にしてさっぱり味にしてもらった方がいいだろうということで組み込んだメニューです。
 その意図通りにさっぱり・すっきり味の鍋なのですが、いかんせん量が多い。美味しくいただけましたが、料理が出てきた瞬間に呆然としたくなるような分量なのです。お店の人に「鳩のミンチのローストまで食べられないよ」と言われたのも当然ですね。

 
鍋貼大明蝦(エビのトースト揚げ)

 そして、これも鳳城酒家のおすすめ料理の一つ、鍋貼大明蝦(エビのトースト揚げ)です。トーストの上にエビを載せてサクサクに揚げたもので、マヨネーズをつけて食べます。鍋貼というのは日本でいう焼き餃子のことですが、中国では焼くだけの鍋貼もあれば揚げた鍋貼もあります。この料理が鍋貼と冠してあるのはエビの下に敷くパンとエビがサクサクに揚げてあるからでしょう。


 マヨネーズも付けたうえで、アップで撮影しました。食べてみると、サクサクした食感はいいですし、エビも美味しいです。でも、さすがにこれを二人で食べきるとなると、パンの部分がお腹に溜まってしまうので、少し脂っこさを感じてしまいます。自慢料理だけあって最初は美味しいと言っていたのですが、二つ食べると三つ目が食べづらくなってしまうのです。一人1~2個で十分でしょう。そういう意味では三人以上で来た時に注文したら良いメニューかも知れません。



福建炒飯(あんかけチャーハン)

 そして、福建炒飯です。日本語でいえば、あんかけ炒飯でしょうね。香港ではあまり炒飯は食べない私ですが、懐かしい福建炒飯を食べたいという気持ちがあって、ついつい注文してしまいました。福建炒飯はもともとは福建料理ですが、今では広東料理としても定着しているメニューです。と、私は福建出身の料理人に聞いたことがあるのですが、一説によると、「天津にはない天津麺」や「中国にはない中華丼」と同じように、福建にはこんな炒飯はないという人もいます。
 さて、普通の炒飯の上にあんかけがかかっている状態で出てきますので、よくかき混ぜて炒飯とあんかけをなじませた上で食べます。鳳城酒家で福建炒飯を食べるのは初めてですが、少し海鮮の具が少なくて見た目に寂しさを感じます。

 福建チャーハンはよくかき混ぜてから食べます

 それぞれのお椀に盛り付ける前に、上の写真の通り、あんが炒飯全体にいきわたるように十分にかき混ぜます。よくよくかき混ぜると様々な具が入っていることが分かります。
 味はやっぱりおいしいです。日本では揚州チャーハンを原形とする玉子炒飯が多いのですが、このあんかけ炒飯も日本人の味覚に合うと私は思います。香港に来たら、ぜひ一度くらいは福建炒飯に挑戦してみてください。

 ここ鳳城酒家北角店、庶民的な店ですが伝統的で美味しい広東料理を食べさせてくれます。混みますから、夜は要予約です。しつこいですが、ここに来たら脆皮炸子鶏(鶏のパリパリロースト)は絶対におすすめですよ。

 
鳩のロースト(順徳、香雲軒)

 鳳城酒家は広東料理レストランですが、広東省順徳が発祥の地です。広東料理にもいろいろあって、順徳料理というのは広東料理の源流の一つと言われている料理です。その順徳に行って、本場の順徳料理を満喫した記録を別ページで紹介しています。興味があればぜひご覧ください。
 今の鳳城酒家は順徳料理ではなく広東料理の店です。お間違えなく。



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