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深水埗のワゴン式飲茶(中央飯店)とレトロな冰室


 下町の電脳街、深水埗のワゴン式飲茶と冰室 


深水埗は香港の下町にある電脳街

香港・深水埗の電脳街

 
上の写真はまるで東京の秋葉原のようですが、実は香港の下町の電脳街、深水埗のビルの中です。香港は日本とは比較にならないほどIT化がすすんでいる街で、今から20年くらい前でももうすでに幼稚園の授業にアップルののパソコンが使われていて、幼稚園の先生に引率された園児たちがアップルでお絵かきをしている姿を見かけたものです。
 そんな香港の中で、パソコンや周辺機器、スマホなどを買うならどこが良いかと言えば、ここ深水埗なのです。

香港・深水埗の街並み

 深水埗は尖沙咀から地下鉄荃湾線に乗って約15分で到着します。私は1992年から3年間香港に住んでいましたが、正直言ってその頃は深水埗に来る機会は殆どありませんでした。もちろん当時から深水埗は電脳の街でしたが、まがい物なども多く、一方でまだ日本製神話があった頃ですから香港でIT機器を買うなんてことは考えもしなかったわけです。
 当時を思い起こせば、深水埗は電脳部品の街というイメージよりも安物の衣料品や雑貨の街という印象の方が強かったと思います。実は深水埗の街を歩くと、今でも電脳と衣料・雑貨の品物があふれています。そういう意味ではメイドイン香港やメイドイン中国の品質が上がった分だけ電脳街としての価値が上がったということができます。
 上の写真は朝の深水埗です。昔ながらの香港が残っているエリアです。

香港・深水埗、ワゴン式飲茶の中央飯店の外観

 こんな深水埗ですから、昔ながらの飲茶の店、ワゴン式飲茶の中央飯店も残っているのです。今の香港ではワゴン式の飲茶は希少価値です。私は香港島に宿泊することが多いので、ワゴン式飲茶に行くときはいずれも上環にある蓮香楼蓮香居を利用することが多いのですが、この二つ以外で本格的なワゴン式飲茶を楽しめるのは、ここ中央飯店くらいしかありません。九龍サイドではここだけなのです。
 深水埗駅から歩いて約5分、道路の反対側に中央飯店の看板が見えてきました。ビルも看板も年季が入っています。



ワゴン式飲茶の中央飯店 

香港・深水埗、ワゴン式飲茶の中央飯店店内

 この日私が中央飯店に到着したのは朝8時前後です。まだお客さんは少ないですが、すでにワゴンのおばさんはフル回転です。古めかしい内装の店内を点心の名前を連呼しながらワゴンを押すおばさんたちを見ていると、懐かしい香港が蘇ります。
 中央飯店は朝6時から営業しています。9時ごろにはテーブルは大体埋まってしまいます。10時くらいの到着だと少し遅いと思います。が、一人か二人で来るなら相席で潜り込めるかもしれません。この日は一人で来たので早く来て二人席を確保しました。もちろん9時半くらいからは相席になりました。

 
深水埗、中央飯店のメニュー

 中央飯店にも一応メニューはあります。ですが、他のレストランのようにオーダーシートはありません。メニューで注文することはありませんが、このメニューに出ている点心がワゴンで順に回ってくると思えば良いでしょう。

深水埗、中央飯店はワゴン式飲茶が楽しい
 
 さて、ワゴン式飲茶の楽しみ方です。
 おばさんは広東語で点心名を叫びますから、私が聞き取れるのは「シュウマイ」と「ハウガウ(エビ餃子)」くらいのものです。では、ワゴン式飲茶の時にどのように点心を選ぶかというと、回ってきたワゴンを止めて蒸籠のふたを開けて点心をチェックするのです。上環の蓮香楼蓮香居ですと外国人客もたまにいるのでそうした風景を時々見かけますが、ここ深水埗には外国人観光客は殆ど来ませんのでそんなことをするのはあなただけかも知れません。ですけど、臆せずにワゴンを止めて点心を見せてもらいましょう。

深水埗、中央飯店のワゴン式飲茶で蟹焼売

 おばさんの「シューマイ」という声に反応して、まず蟹焼売をゲットします。どうです、美味しそうでしょう。実に美味しいのです。と言っても、香港の水準から言えば並みの味です。日本の高級中華料理レストランと比べれば、雲泥の差で中央飯店の点心の方が美味しいです。間違ってもこの焼売に醤油をつけて食べたり辛子をもらって食べようとしたりしてはいけません。そんな調味料を使わなくても美味しく食べられるように点心師の方が味付けしてくれているのです。

 
深水埗、中央飯店のワゴン式飲茶の点心

 続いて潮州粉果です。粉果というのは米からできたちょっと厚めの皮に具を入れた点心で、具が多いので皮が厚いのだと思います。それでも透き通った皮からエビや野菜などくるんだ具が見えてきれいです。香港の料理は、点心も含めて目で楽しませて舌でも楽しませる料理でないと評価されません。見た目に美しく作られているのです。そしてもちろん、潮州粉果も美味しいですよ。

深水埗、中央飯店のワゴン式飲茶

 そうこうしているうちに、製造直売のワゴンが近くに来ました。既に隣のテーブルの家族が注文していたので、そのテーブルの脇にワゴンを停めて調理を始めています。調理の音はしますけれども何を作っているのでしょうか。

深水埗、中央飯店のワゴン式飲茶で腸粉
 
 ワゴンの脇に行ってワゴンの中をのぞいてみると、腸粉です。腸粉を炒めているのですね。ワゴン式飲茶がオーダー式飲茶に取って代わられ今やワゴン式飲茶の店が希少価値なっている理由を香港人に聞くと、「オーダー式飲茶の方ができたてのアツアツの点心が食べられるからさ」と言われます。ワゴン式の方が雰囲気があるのは分かるが、味を追求するならオーダー式だという考えです。そんなことを言われるからなのでしょうか。ここ中央飯店の腸粉はまさにできたてアツアツの腸粉です。

 
 ワゴンでは5分以上かけて腸粉を作っています。こんなのを近くで見せられたら注文しないわけにはいきません。ということで、腸粉一人前を注文しました。これがまた大変なボリュームで、腸粉だけでお腹いっぱいになってしまいます。一緒に出てきた特製のたれをつけて食べるととても美味しいです。香港のお母さんの味って感じでしょうか。

香港・深水埗、中央飯店のワゴン式飲茶
 
 このワゴンではお粥が販売されています。お粥をワゴンで配膳するのは初めて見ました。実に食欲をそそる光景です。しかし、今日は腸粉で満腹状態をはるかに超えてしまいました。残念ながらもう食べられません。
 中央飯店の朝飲茶は気に入ってしまったので、また近いうちに来るに違いありません。その時の楽しみに残しておきましょう。



 ノスタルジックな老鳳冰室

香港・深水埗の老鳳冰室のレトロな店内
 
 庶民の街、下町の深水埗は冰室が多いことでもよく知られています。冰室というのは日本で言えば純喫茶のようなもので、香港の昔の喫茶店だと思えば良いでしょう。似たような形態に茶餐庁がありますが、茶餐庁の方は食事メニューが多い喫茶店という感じです。ですから、食事をするために茶餐庁に行くことはあっても冰室に行くことはない、こんな区別で良いと思います。
 この冰室の多い街、深水埗でこの日選んだのはレトロな雰囲気がお洒落な老鳳冰室です。近年チェーン店の茶餐庁の多店舗政策の影響を受け、経営が苦しくなって閉店する冰室が多い中にあって、ここ老鳳冰室は盛況を博しています。

香港・深水埗の老鳳冰室のメニュー
 
 人気の秘密はそのレトロでお洒落な雰囲気です。上の写真は老鳳冰室のメニューです。どうしてこんなところにエアメールがあるんだろうと思ったら、なんとメニューでした。こんなところも老鳳冰室ならではの雰囲気づくりです。

香港・深水埗の老鳳冰室
 
 店内の壁はレトロな写真やポスターで飾られています。香港の昔の写真であったり、オールド上海ということで人気を博したポスターであったり、はたまた毛沢東のポスターであったり、見ているだけで楽しくなる装飾です。ITや衣料・雑貨のショッピングで疲れた身体を休めるにはもってこいの雰囲気です。

香港・深水埗、老鳳冰室のアイスミルクティー
 
 老鳳冰室での人気メニューが上の写真の波波奶茶、アイスミルクティーです。アイスミルクティーは香港の茶餐庁ではアイスコーヒーよりメジャーな飲み物です。もうすっかり忘れられてしまったかもしれませんが、香港という街はイギリスの統治下にあったのです。アイスミルクティーが主役になっているのは、私なんかはその影響ではないかと思っています。
 香港の茶餐庁でよく見かけるアイスミルクティーはミルクティーが入ったグラス自体を氷の入った大きな器に入れてグラスごと冷やすものです。これはイギリスの影響ではなく、グラスに氷を入れると氷ばかり多くしてミルクティーの量を減らしてしまう店が多くなりそうだからという香港ならではの考えです。
 でも、ここ老鳳冰室のアイスコーヒーはグラス自体に氷を入れています。チョコアイスクリームのように見える丸い塊が実は氷です。メニューの写真を見て、私はてっきりアイスクリームだと思っていたぞ。

老鳳冰室、香港・深水埗の老舗冰室
 
 冰室の多い街、深水埗。冰室の激戦地を勝ち抜いている老鳳冰室、少なくとも雰囲気は気に入るはずです。因みにそんなに外国人が来るわけではありませんので、日本語どころか英語も通じません。そんなところも深水埗なのです。

香港での街歩きやグルメ探訪の必需品  「歩く香港&マカオ」

 香港は昔私が3年間住んでいた街です。また、今でも年に数回訪問する街です。そんな私が利用している香港のガイドブックはこれ、「歩く香港」です。新しいビルが次々に建設されている香港の街歩きをするには、最新の地図代わりになるガイドブックが欲しいものです。
 この「歩く香港」では、主要駅を中心に駅周辺のショッピングやグルメの店が紹介されていますので、その点が使いやすいのです。駅ごとに出ている詳細な地図は、私の香港歩きに欠かせません。薄くて軽いことも嬉しいことです。
 さらに言えば、私が買っているのはKindle版です。ご承知のようにKindle版はKindle端末に加え、iPhone、iPadやAndroid端末でも利用できます。私は事前にAndroidのタブレットにダウンロードしていますから、ネット環境がないところでも、旅行先でいつでも自由に情報にアクセスできるのです。


深水埗の電脳街を歩いてみよう

香港、深水埗の黄金電脳商場

 最後に深水埗の街について若干紹介しておきましょう。IT関連の店が多いという話はしましたが、いわゆる実店舗のある店と屋台と両方あります。かつてはまがい物や不良品が多かったと聞いていますし、今でも深水埗で買えば安心なんてことはありません。言葉が不自由な日本人は特に気を付ける必要があります。
 私が比較的安心して買っているのは大きなIT専門ビルに入っている店です。上の写真は黄金電脳商場と言って、おそらく深水埗で最大のIT関連店舗が集積しているビルです。この同じ建物には高登電脳中心(高登コンピュータセンター)もありますが、この二つのIT専門のショッピングセンターは同じビルにありながらも相互に行き来できない構造になっています。どちらも安心して買える店が入居しています。

香港、深水埗のIT関連ショッピングセンター

 黄金電脳商場の店内です。昔の秋葉原のラジオ会館みたいなもので、小さな専門店がたくさん入っています。黄金電脳商場と高登電脳中心を合わせると200店は優に超えるのではないかと思います。パソコン、周辺機器、自作パソコン、スマホ、ゲーム機、ソフトウェア専門店等々、店によって専門性のある店舗が軒を連ねています。通常の買い物であれば、この二つのショッピングセンターを価格チェックしながら見て回れば香港で最も安く買い物ができると思います。
 旺角に旺角電脳中心もありますが、品揃えや価格は深水埗に軍配が上がると聞いています。旺角から深水埗までは地下鉄でたったの三駅ですから深水埗まで足を延ばすことをおすすめします。

香港、深水埗のIT関連屋台

 深水埗の特徴は路上のIT屋台にもあります。スマホのカバー、接続コード、電源プラグ、香港やアジア各国で使えるSIMカードといったものから、新品・中古パソコンやドライブレコーダといったものまで、様々なものが売られています。こういった屋台を冷かしながら歩くのも楽しいものです。

香港、深水埗のIT関連屋台

 と言いつつも私の考えでは、こうした屋台で買うのは不良品でも後悔しない程度の安価な小物にとどめて、ある程度金額が張るものは黄金電脳商場や高登電脳中心を利用した方が無難だと思います。
 また写真にはありませんが、衣料・雑貨の屋台もそれこそ星の数ほどあります。こちらも普段着というか部屋着というか、そんな程度の衣料品の購入とどめるべきでしょう。

香港、深水埗のドライブレコーダ専門の屋台

 上の写真はドライブレコーダの専門店。これは屋台の店です。いろいろ見ましたけれども、ドライブレコーダに関しては結果的にこの店の品揃えは地上店舗よりも良かったです。こういう店もあったりしますから、屋台の店だから駄目だとは一概に言い切れないようです。

香港、深水埗の小食店

 深水埗には冰室も多いし、粥麺店も多いし、焼臘店も多いです。加えて上の写真のような小食店もあちこちにあります。そういう意味では香港B級グルメの展示場みたいなものです。美味しそうなものを見つけたら気軽に食べながら深水埗の街歩きを楽しんでください。


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