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湖南料理の滴水洞湘菜館:アジアグルメ図鑑(上海)


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 激辛の湖南料理に挑戦。まず、前菜。


 湖南料理については日本ではあまり知られていませんし、レストランも殆ど見かけません。けれども、中国では数多くの湖南料理店があり、激辛料理として人気もあります。今日は上海の茂名南路にある滴水洞湘菜館というレストランに湖南料理を食べにやってきました。
 辛い中国料理というと日本人はすぐに四川料理を思い浮かべますが、四川料理が麻(山椒の痺れる味)と辣(唐辛子の刺すような味)の味付けなのに対し、湖南料理は辣の味付けです。湖南料理は久しぶりに激しく食欲をそそられる刺激的な料理でした。
 湖南省は中華人民共和国を建国した毛沢東の出身地です。この毛沢東の言葉に「唐辛子なくして革命ならず」(暑さに負けないスタミナをつけ革命を実現するためには唐辛子が欠かせないということから言った言葉だと思います。)というものがあったとさえ言われています。実際に、唐辛子は毛沢東の大好物だったそうです。
 滴水洞湘菜館の場所は日本人御用達の上海花園ホテルに比較的近いところで、ビルの二階にあります。上海のグルメサイトでは超人気のレストランのようですので、今日は仕事を早く切り上げてほぼ6時にレストランに到着です。


 上の写真の通り、滴水洞湘菜館のメニューは写真付き・日本語付きで日本人にも優しいメニューです。でも、上海旅行に来た日本人がわざわざ湖南料理を食べることもないでしょうし、今日は上海在住の日本人の旧友と来ましたが、上海の日本人社会でもそんなに評判になっているレストランではないようですから、この日本語付きメニューはまだそれほど役に立っているとは思えません。
 さて、今日一緒に来た友人も私も自他ともに認める辛いもの大好き人間です。唐辛子がふんだんに使われた料理写真満載のメニューを見ただけで食欲がモリモリ湧いてきます。

 
 まず前菜です。中華料理の前菜の代表格、クラゲの和え物です。クラゲの和え物というと普通はさっぱり味なのですが、湖南料理ではクラゲも辛く味付けします。実は、今後出てくる激辛料理に備えて口を中和する料理としいう位置づけで注文した料理だったのですが、唐辛子がクラゲにまとわりついていて、むしろこれが一番辛かった感じです。
 でも、美味しいですね。クラゲをこんな風にして食べたのは初めてです。

 
 わずか10元の豆料理です。豆料理とは言え、湖南料理ですから辛くないはずがありません。生き生きした唐辛子が美味しそうですね。この料理もサラダ感覚で注文した料理です。
 辛い料理を食べると水を飲んで口の中を中和させようとする日本人が多いのですが、辛く感じている時に水分で薄めようとしても、実はさらに辛さが増してしまいます。最も良い中和方法は生野菜などを食べることです。これは中華料理でもタイ料理でも同じです。この豆料理をサラダ感覚で注文したという意味は、後々の口の中の中和剤としての位置づけだったのです。
 ところが生野菜のつもりで注文した料理も唐辛子でしっかり味付けされていて、美味しいではないですか。


 続いて、よだれ鶏(口水鶏)です。これは四川料理の定番ですが、湖南料理風なのか、少し味付けが違うような気がします。この日食べた料理の中ではこれが一番辛くなかったかも知れません。もっとも既にこのあたりで舌の感覚がすっかりマヒしていますので、良く分かりません。
 上の写真ではよく見えませんが、大きめに切った鶏肉が入っていて柔らかいです。このよだれ鶏は美味しいです。


 蓮根の酸辣和えです。
 実は最初に5品注文した時に、この料理は辛さを抑える口休めのつもりで入れたメニューでした。日本語メニューで「酸辣和え」と書いてあって、この意味を少し酸っぱくて少し辛い和え方をしていると勝手に解釈した私たちに誤解がありました。
 食べてみると、クラゲと争うくらいとんでもない辛さでした。嬉しい誤算です。但し、ストレートな辛さというよりも酸っぱ辛いという辛さですから、辛さの質が違います。「少し酸っぱくてすごく辛い」という味付けです。
 もともと私は蓮根が大好物ですので、この料理、大変気に入ってしまいました。唐辛子さえあれば簡単な料理ですので、自宅でも作りたいと思います。

 


 湖南の自慢料理が続々


 さて、いよいよメインディッシュに入ります。孜然排骨というこの店、滴水洞湘菜館の自慢料理です。日本語では湘菜(湖南料理)風スペアリブと名付けられています。カレーやクミンで複雑な味付けがなされていて、他の料理の味付けとは一線を画しています。でも、基本的に辛い料理です。


 少し拡大してみました。スペアリブのお肉も十分についていて美味しそうです。
 こういう料理を食べるときは、お上品にお箸で食べようなどと思ってはいけません。手でスペアリブを持って、スパイスをできるだけ落とさないように口へ運びます。そして、骨にむしゃぶりつくのです。むしろ、獣のように野蛮に食べてみると、こういった料理の美味しさが倍増します。
 お肉もやわらかくジューシーで大満足です。


 滴水洞湘菜館の料理はおいしいですね。二人ともすっかり気に入ってしまって、もう少し注文することにしました。どれを食べても辛いので、隣席の女性二人が食べている唐辛子だらけの料理も注文しました。大変辛そうに見えたからです。干し豆腐炒めなのですが、横から見ていたので唐辛子しか見えず、あたかも唐辛子だけの料理に見えていたのです。
 上から見るとわかるように、豆腐の唐辛子炒めの上に唐辛子を乗せて運ばれてくるのです。大きな唐辛子がたくさん入っていて辛そうに見えますが、実はこれが最も辛くない料理でした。大きな唐辛子は辛さがまろやかですね。


 大きな唐辛子は辛さがまろやかですね、とは言っても食べてみたら、唐辛子ですからやっぱり相当辛かったです。唐辛子をなめてかかってはいけません。


 仕上げは、お店の名前を冠した炒飯、滴水洞炒飯です。お店の名前を冠した料理ですから、相当な自信作と考えて良いでしょう。遠目に見るとそんなに辛そうには見えませんが、‥‥。


 やっぱりこれも辛かったです。それもそのはず、近くで見るとグリーンの唐辛子でいっぱいです。このチャーハン、美味しいです。もうお腹がいっぱいなのに、二人でこのチャーハンまで完食してしまいました。
 なんだかんだ言いながら、ビールも随分と進んでしまいましたし、料理もしっかり食べてしまいました。唐辛子に食欲をそそられて、今日は食べ過ぎました。


 本当はデザートも食べたかったのですが、もうデザートでさえ、入り込むすきがないほど、食べすぎです。しかし、この店には辛くない料理はあるのでしょうか。ひょっとしてデザートも辛いのかもしれません、などと考えてしまうくらい辛いもの好きな私たちにはピッタリのお気に入りのレストランでした。
 この日の心残りは毛氏紅焼肉という毛沢東の名前を冠した紅焼肉を食べなかったことです。毛沢東の大好物が唐辛子と紅焼肉だったことは十分に承知していたのですが、メニューの写真ではあまり辛そうに見えなかったものですから、実は注文を思いとどまったのです。今考えてみると、このレストランの料理で辛くない料理はなかったので、いつもとは一味違う紅焼肉だったのかもしれません。
 湖南料理の滴水洞湘菜館は、価格もリーズナブルで大満足です。夕方7時には待つ人の行列ができる超人気店でした。次回も6時ごろにはこの店に来て、毛沢東の紅焼肉を食べてみたいと思います。



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