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アジアグルメ図鑑(中国江南)-周庄(周荘)古鎮の万三蹄

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周荘の運河と舟

 中国江南地方には水郷古鎮といわれている街が数多くあります。なかでも周庄(周荘)古鎮は「中国第一水郷」といわれるほど、人気を誇っています。周庄(周荘)古鎮は江蘇省と浙江省の境目に位置していて、両方の特色を併せ持つのだなどと説明されていますが、そんなことよりも昔からの水郷の街がこれほど広域にわたって保護されているだけでも、見る価値は十分にあります。
 周庄(周荘)という街は、元から明の時代に大いに栄えた歴史があって、この時代に周庄(周荘)を有名にしたのが、商人、沈万三です。(もともとは「瀋万三」ですが、「瀋」の字は、文化大革命で簡体字が生まれて以降、「沈」になりました。ですから、同じように遼寧省の瀋陽市の「瀋」の字も簡体字では「沈」になります。)
 「万三××」という品物や料理が周庄(周荘)に多いのは、この沈万三の名前に由来しています。

周庄(周荘)を行く舟

 周庄(周荘)古鎮は、歩いてゆっくり回っても2時間くらいで回れるのですが、折角来たのですから、中国の水郷古鎮の風情に十分に浸ってみたいものです。歩いて回るだけではなく、舟に乗って回ってみるのも良いと思います。
 「生きている百年の古鎮」と呼ばれる西塘古鎮もいいですが、周庄(周荘)古鎮も素晴らしいです。

周庄(周荘)の朝の風情

 また、周庄(周荘)古鎮は上海からも十分に日帰りで観光できる場所なのですが、それだけに日中は大変な賑わいで、古鎮の静寂さを味わうことができません。時間に余裕さえあれば、古鎮に一泊して朝の古鎮を回られることをおすすめします。上の写真のように、誰もいない古鎮を独り占めできるというのは、本当に贅沢な気持ちになれるものです。運河に映る建物の影がきれいですね。
 


周庄(周荘)の名物、万三蹄

 さて、周庄(周荘)古鎮での名物料理といえば、写真の万三蹄です。周庄(周荘)古鎮のあちこちで売られています。豚肉の脚の醤油煮込みです。沈万三はこの料理を大変好んで食べたようですが、名前の由来はこんな感じです。
 明を築いた朱元璋は、元との商いで大きな富を築いた沈万三を快く思っていなかったため、いろいろな無理な要求を沈万三に突きつけていました。けれども、無理と思えるような要求に対しても、沈万三は財力に物を言わせて実現していってしまいます。ある時、朱元璋が蘇州に来て沈万三が宴に招待した際に、この豚肉の脚の醤油煮込みを朱元璋に食べさせたところ、朱元璋は大変これを気に入って料理名を尋ねたそうです。それまでは「豚の脚(中国語では「猪蹄」といいます。)」と呼んでいましたが、このうち「猪」の発音が朱元璋の「朱」と同じであるため、沈万三は、つまらないことから朱元璋の怒りを買ってはならないと考え、咄嗟に「万三蹄」ですと答えたそうで、以来、この料理を万三蹄と呼んでいるようです。

 
周庄(周荘)の万三蹄

 お店で売っている万三蹄をアップにしてみました。旨そうですね。でも、ちょっとカロリーが心配です。

 沈万三の一生について興味があれば、また、これから周庄(周荘)古鎮に行こうとしているなら、ぜひ左の小説を読んでみてください。この小説は中国でテレビドラマ化されただけあって、なかなか面白い内容です。
 私なんかは、沈万三の行動力と意思決定力に感心してしまいます。明を築いた朱元璋との確執もよく描かれています。ビジネス小説として読んでも、また、歴史小説として読んでも、大変面白い小説です。沈万三も英雄だけに、なかなか女性には苦労したようですね。


周庄(周荘)のレストラン

 さて、この日、昼過ぎに蘇州からのバスに乗って周庄の街に着いた私は、バスターミナルから古鎮の入口にあるホテルに行く途中で、早速万三蹄を食べることを目的にレストランを物色します。
 そして、ここ、周庄農家土特菜館なるレストランを発見です。初めての周庄ですから、どのレストランが旨いかなどは分かりません。ただ、雰囲気を見て旨そうな店を探すのです。


 時間はもう2時半くらいで、他のお客さんはいません。メニューを見せてもらっていると、お茶碗セットがこんな感じで出てきました。「消毒された綺麗な食器を使っているんだ」と見せるために、ラップに包まれて出てきます。これは、中国の田舎のチョイ高級な店でありがちなセットです。

キクラゲ入り肉野菜炒め

 今回の周庄見学は一人旅です。万三蹄を食べるので、あまり沢山の料理を注文できませんが、少しさっぱりした感じの料理を頼む必要があります。
 まずは、キクラゲと肉野菜炒めです。炒め物の定番ともいえる料理です。さっと炒められていて塩加減もよく、旨いです。無難な選択でした。

周庄(周荘)の万三蹄

 そして、出てきました。万三蹄です。脂ぎった沈万三を思い浮かべてしまいます。圧倒されるような迫力で、どーんと出てきました。ダイエット中の私としては、目に毒な料理です。
 注文したときも店の親父さんに言われましたが、一人で食える量ではありません。だからご飯ものは注文しなかったのですが、この万三蹄を見たらご飯と一緒に食べないと食が進まないような気がします。

周庄(周荘)の万三蹄

 スープから取り出し、お皿の上に肉を乗せると、どうです、旨そうでしょう?
 実際に食べてみると、見た目ほどには脂っこくなく、食べやすいです。肉は柔らかいし、醤油で煮込んだ味付けも私好みです。旨いです。程よく煮込んであります。



 
周庄(周荘)の酸辣白菜

 酸辣白菜も注文しておきました。万三蹄とご飯を一緒に食べながら、酸辣白菜で口の中をさっぱりさせて、また、万三蹄を食べる。そして、時々、キクラゲ入り肉野菜炒めもつついてみる。豪勢な昼食です。
 時間は既に二時半を回っています。夕食は夕食で、どこかで食べたいと思っていましたが、この日はここで腹一杯万三蹄を食べてしまったものですから、夜になっても空腹になりませんでした。結局、私の周庄初日の昼食兼夕食でした。

 そして、まさか、翌朝、万三麺という万三蹄の入っているラーメンを食べることになるとは、この時は全然考えてもいませんでした。


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