旺角(モンコック)と女人街

旺角(モンコック)と女人街

旺角(モンコック)は暗くなってからが面白い


 夕刻の香港地下鉄(MTR)旺角駅の出口です。私は香港に3年間勤務していました。その当時は香港内のあちこちに仕事で手かけていたものですが、旺角(モンコック)付近だけは仕事の用事がなかったため、旺角に行くときはいつも夕方以降でした。そんな過去もあってその後に香港に行く機会がたびたびあっても、旺角(モンコック)に行くときはいつも暗くなってからです。
 MTRを出て、旺角の街に入り込んだ瞬間から始まるこの雑踏が私は好きです。そして、他の看板よりも目立たせようとしてどんどん張り出してくる看板の迫力が大好きなのです。


 昼間だって決して人が少ないエリアではないのですけれども、暗くなってくると人が湧き出てきます。上の写真の通りは車も走る道なので、見た目に比較的すっきりしています。


 上の写真の看板の出し方などは、いかにも香港らしくって私は好きです。歩きながら看板を見ていると、ある場所からは見えないけど少し歩けば見えてくる看板もあれば、近くになるとある看板を見せなくするために同業他店のデカい看板が出てきたりします。そんな看板のせめぎあいを見ることに夢中になり過ぎると、車道を走る車に惹かれそうになりますから気を付けてください。


 この日旺角(モンコック)に来た目的は、久しぶりに女人街に行ってみようと思ったからですが、旺角の雑踏と看板のネオンを見ているうちに、旺角の街をふらふら彷徨いたくなってきました。暗くなると、ますます妖しげに輝く街、旺角(モンコック)です。



旺角(モンコック)には美味しそうなものがいろいろ


 旺角(モンコック)の街を歩いていて目につくのは、食べ物屋さんの多いことです。いわゆるB級グルメ店です。特に、焼臘店と言われるロースト(焼き味)屋さんが目につきます。私がロースト屋が好きだからなのかもしれません。


 店頭にぶら下がっているローストです。見るからに美味しそうではありませんか。こういう風景を見ると、私は涎(よだれ)が垂れてしまいそうになるのです。


 焼き味屋さんばかりではありません。バーベキューや煮物など、こういう屋台の店も夜になると数多く現れてきて、旺角(モンコック)の街はさながら街じゅうが飲食店みたいな様相を帯びてくるのです。

 
 四川の酸辣湯なども売るテイクアウトの店の前は、人だかりが切れません。きっと美味しいのでしょう。参考までに書きますが、大概の香港人は辛い料理を苦手にしています。したがって、こういう四川料理の店でも出てくる料理に辛さのパンチがありません。日本人向きの味ともいえるかもしれません。本場四川の辛さを求めるのは、香港では困難です。だから私も香港で四川料理は食べません。


 逆に、香港ではスイーツは美味しいと思います。香港を代表するスイーツのチェーン店の一つ、許留山も当然ながら旺角に店を構えています。許留山のスイーツについてはこちらをご覧ください。
 というわけで、女人街に向かって旺角の街を歩いていると、食べ物屋さんばかりが目に入ってしまうのです。まっすぐ来ればMTR(地下鉄)旺角駅から女人街まで歩いて5分くらいなのですが、食い物屋さんについつい目が行ってしまったので、30分くらい歩いてしまいました。



女人街


 で、ようやく女人街に到着しました。女人街は、昼間は何もない通菜街という通りに、夕方から露店が出始め、夕方になると約1㎞にわたる大屋台街が現れるのです。私としてはここで買いたい物があるから来るわけではなくて、香港の熱気を感じるために来ています。
 もともと女人街はその名の通り、女性向けのファッション、雑貨品などを販売する露店が集まるエリアでした。ところが、旅行ガイドなどでその名が知られ、観光客も集まるようになると、観光客向けのお土産品的な商品を取り扱う店も増え、今では何故女人街という名前にしているのか分からなくなりそうです。
 上の写真は旺角駅から来た入口のところですが、ここには女性向けの洋品店があって何となく女人街という名前がしっくりきます。足つぼマッサージ屋の宣伝も見えますね。


 こういう屋台街はバンコクのパッポンストリートもそうなのですが、大人がギリギリすれ違えるくらいの広さの通路を挟んで、両側に屋台が並びます。上の写真にあるような感じでもみ合うように歩くのです。


 中国風の扇子とか衣装とか、この辺りの露店は土産物屋で観光客相手の店です。ここで、女人街での値切り方について説明します。
 値切らなくてもいいような値段なのですが、私の場合は値段を聞いて50香港ドル以上の場合は値切ります。値切り幅は言われた価格により異なりますが、最近ではお店の人の言い値の30%程度の価格を言うようにしています。そうするとお店の人が70%の価格差を幅寄せしようとして値段を下げてきますが、それで幅寄せの交渉に応じてしまったら客の負けです。もし、店の言い値の30%が途方もなく店の利益を損ねる場合には、店の人は幅寄せ交渉を始めません。むしろ、言い値の30%の価格を譲らず、そこで帰ろうとすると追いかけてくる時さえあります。ましてや言い値の50%程度まで妥協すれば、必ずと言ってよいほど、「OK」「OK」「フレンド」という言葉が連発されます。値切りを楽しむわけですから、ギリギリまで値切る必要なんかないのですけれども。


 上の写真のように、アイフォンケースなどもよく売られています。品揃えが豊富です。日本では手に入らないデザインのものが殆どですから、気に入ったものがあれば、香港旅行の思い出にアイフォンをお持ちの方にはおすすめしたいお土産です。広東語も英語もできる必要はありません。店の人が電卓を持っていますので、電卓さえ叩ければ値段も交渉できるのです。


 相変わらずニセモノもこの女人街では売られています。私としてはあまりおすすめできませんけど、お好きな方はどうぞ、という感じです。
 とにかく、この女人街という1㎞くらいの露店街は、昔ながらの香港らしい一角ですから、香港旅行に来て、夜に時間のある方は話のタネにぜひ行かれることをおすすめします。