香港のトラム(路面電車)|アジア写真帳(香港)

香港のトラム(路面電車)


香港のトラム(路面電車)

 香港で観光客に人気のある交通機関の第一は、スターフェリー。そして、二番目は、二階建ての路面電車、トラムではないでしょうか。トラムは、香港島の北側を、西は堅尼地域(ケネディタウン)から、上環中環湾仔、銅鑼灣 、北角(ースポイント)などを経て、東の筲箕湾(ショウケイワン)まで走っています。途中、跑馬地(ハッピーバレイ)に行く支線もあります。
 トラムの魅力の一つが2階建ての電車全体を使った広告です。上のトラムは香水の広告が描かれていて、ちょっと見づらいですが、側面後方には優雅な女性も描かれています。

香港島を走るトラム(キャセイ航空の広告)

 最近見たトラムの広告で、私が最も気に入っているのは、上の写真、アジアマイルです。
 アジアマイルは、香港のフラッグキャリアである(国や地域を代表する航空会社のこと)キャセイパシフィックです。さすがに、2階建て電車の窓や出入り口といった構造を最大限に活用したデザインです。図柄の配置もさることながら、1階の窓によって女性のウエストのくびれが一層強調されているのも見所です。
 こういう広告を見ていると、トラムを眺めているだけで楽しくなってきてしまいます。

セントラル付近を走るトラム

 中環エリアを走るトラムです。トラムは1904年の開業ですから、既に100年以上の歴史を有しています。さすがに香港の風景の中に溶け込んでいます。背景にあるデコボコのビルはリッポーセンターといって、これも1990年くらいにできたビルですから決して新しいビルではないのですが、その特異なデザインにより、人気があるビルです。

立法会大楼の前を走るトラム

 中環の立法会大楼の前を走るトラムです。
 「立法会」とは日本で言えば国会のことですから、国会議事堂前を走るトラムということになります。このコロニアル風の建物の前を走っているトラムを見ると、香港がかつてはイギリスの植民地だったことを思い出させてくれます。ここでも、トラムは風景の中に溶け込んでいますね。

香港の路面電車、トラムの停留所

 それでは、トラムに乗ってみましょう。
 トラムは、距離数や駅数に関係なく、料金は一律2香港ドル(2009年1月現在)です。安いのが魅力というだけではなく、二階席からの眺めも素晴らしいですし、場合によっては、MTR(地下鉄)より早く着くために利用することもあるのです。
 実際に私が香港で仕事をしていた頃、MTRで二駅くらい乗る場合は、MTRよりもトラムを選ぶ場合もよくありました。というのも、MTRの駅は地下深くて、駅に辿りつく時間や待ち時間を入れると、数珠つなぎのように到着するトラムの方が早く目的地に着けることも多いからです。



北角のマーケットを走るトラム

 トラムに乗るなら、やはり庶民の街に繰り出しましょう。湾仔のあたりも面白いですが、何と言ってもおすすめは、北角(ノースポイント)です。トラムの北角(ノースポイント)行きに乗ると、終点手前で、上の写真にある春秧街(CHUN YEUNG St.)という市場みたいなところを通ります。
 ここは一方通行になっていて、電車は向こうからこちらへ向かってきます。警笛を鳴らしながらのろのろ走っているのですが、人々もトラムの前を空けようとはしません。

北角のマーケットをそろそろと走るトラム

 北角(ノースポイント)に行く場合は、中環あたりから乗ると時間がかかってしまいますので、銅鑼灣(コーズウェイベイ)か天后(ティンハウ)のあたりから乗車したほうが良いでしょう。
 2階席に上がって一番前の席を確保するのがポイントです。乗車した時にその席が空いていなくても、心配することはありません。何故なら、終点の一つ前の駅までには、殆どのお客さんが降りてしまうからです。地元の人は、最後の一区間が市場を抜けるため時間がかかることを良く知っているのです。最後の一区間だけでも、2階の一番前の席に座れるはずです。

トラムから見た北角マーケット

 そして、その2階の一番前の席からの眺めです。そんなに広くない通りには、屋台がせり出してきていますし、トラックは通るし、一般の乗用車も通ります。もちろん、マーケットですから、買物客で賑わっています。ここをトラム(二階建て電車)が通り抜けるのです。
 なかなかの迫力です。先日、久しぶりに行きましたが、相変わらずの光景に嬉しくなってしまいました。

香港のトラム

 私の中では、トラムと香港の日常とは切り離せないものなんです。香港の日常の風景にはトラムが走っている姿があるような気がします。日本人から見ると、買物客が世間話をしているすぐ脇を二階建て電車が走っているなど、危ないし、とんでもないという感覚かもしれませんが、香港人にとっては、見慣れた日常の光景に過ぎません。
 また、トラム1階席の混雑は、特に夏場は暑苦しいものですが、だから香港、それが香港、という感覚がしてきて、私には全く苦にならないのです。

トラムは香港らしい風景

 上の写真とこの下の三枚の写真は、2012年11月に香港旅行した際に北角(ノースポイント)付近で撮影したものです。日本のイオンクレジットの広告デザインがなかなか秀逸というか目立ったので、載せておきます。上の写真では二台目のトラムがイオンクレジットの広告です。

トラムに描かれたイオンクレジットの広告

 なかなか目立つデザインで、描かれているモデルさんもスタイルが良くて美人さんばかりです。

香港のトラム
クリックすると大きな画像が出てきます。

 つくづく思うのですが、トラムというのは当然窓がありますから、大きな絵を描こうとしても、ところどころ穴が開いたようになります。一番右の女性の腰の下に運転手がいて、左の女性のウェスト部分が一階席になっています。なかなか大胆な図柄です。
 このデザインが気に入ったので、大きな画像もこちらに用意しています。

北角のマーケットとトラム

 北角(ノースポイント)の市場を走るイオンクレジットのトラムです。例によって、買物客が勝手に線路を横断しますので、安全のためのろのろと走っています。いいですね。北角はいつ来ても楽しいです。

コーズウェイベイ付近を走るトラム

 香港に来たら、ぜひトラムの広告デザインを楽しんでください。また、トラムに乗って、香港の街を巡ってください。そこには、香港の匂い、香港の歴史がいっぱい詰まっています。歩くだけでは分からない別の香港を、トラムの中から見つけるかも知れません。




私がおすすめする一冊
香港路面電車の旅―トラムには香港のすべてがみえる窓がある
 香港のトラムの写真を撮って10数年のキャリアを持つ永田幸子さんの写真に、小柳淳さんのエッセイが添えられています。トラムが走る街に沿って、写真とエッセイが綴られています。
 永田さんの写真は、香港の日常をさりげなくとらえており、ダイナミックに変革する香港ではなく、日常の暖かさを感じさせる写真が殆どです。
 また、小柳さんのエッセイも、肩の力を抜いた文章で、香港をよく理解した方ならではの作品です。
 香港を好きになった方は、この本を読んで、ますます香港が好きになるでしょう。香港にあまり興味のなかった方は、この本を読んで香港の新たな魅力を見つけるでしょう。
 そんな魅力でいっぱいの、香港好きな私がおすすめする一冊です。