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深圳のワゴン式飲茶、華洋酒楼|アジアグルメ図鑑(香港)


 深圳の金都酒楼でノスタルジックな飲茶

金都酒楼はカフェテリア式飲茶

深圳の飲茶のすすめ、金都酒楼

 深圳という街は私が知っている1992年以降、一貫して工事が続いています。街ができても時代が変わると再開発が始まり、古い街は次から次へと壊されていきます。が、ここ南山区の蛇口エリアには古い住宅地もあちこち残っています。とはいっても、2000年前後に開発されたエリアです。
 南山区の四海公園近くにもそんな古い住宅街が残っていて、その住宅街 の奥に忽然と現れるのがこのページで紹介する金都酒楼です。いかにもその時代の入口です。店に入る前からノスタルジー感全開のレストランです。

蒸籠が並ぶ金都酒楼の朝茶
 
 この金都酒楼は広東料理レストランです。朝から晩まで営業していますが、私が行くのは専ら早朝です。いわゆる早茶と言って、朝は7時から飲茶だけの時間になっています。飲茶というと大別して「オーダー式飲茶」と「ワゴン式飲茶」がありますが、この店はどちらでもありません。オーダーシートもなければワゴンで売り歩くスタッフもいません。上の写真の通り、点心が置いてあるだけです。



金都酒楼の飲茶はカフェテリア方式

 私はこれを「カフェテリア式飲茶」と名付けました。まさにカフェテリア方式です。お客さんはこの点心が並んでいるところに来て、食べたい点心を取る代わりに、後ほど紹介する点心カードにスタンプを押してもらい、帰りにそのスタンプカードをレジに持って行って精算するという仕組みです。
 どうですか、この点心が並ぶ姿の壮観さは?

点心の蒸籠が並ぶ姿は圧巻(金都酒楼)

 こうした蒸した点心のワゴンが三つ並び、写真を取り忘れていますが、そのうち一つは饅頭が並べられます。それ以外に腸粉のワゴンと粥のワゴンがあります。メニューを見ても何が出てくるかわからない日本人にとっては、こうして蒸籠の中が見えるように並べられていると、大変注文しやすいと思います。このようなカフェテリア式飲茶の店は、深圳市内にここ以外にもう一つ知っていますが、そんなに多く存在しているものではありません。

蒸籠が並ぶ金都酒楼の朝茶
 
 カフェテリア方式を店の立場で考えてみると、実は一番コストを下げられる方法です。すなわち、オーダー式ですと点心をオーダーに応じて都度作るので、最もコストがかかります。また、ワゴン式ですと、点心はまとめて作れるものの、ワゴンを押して売り歩く人の人件費がかかります。このカフェテリア方式ですと、点心はまとめて作れるし、販売にかかるスタッフも多くは必要としません。
 ですから、ここ金都酒楼は格段に安くて、しかも、たくさんの種類の点心が揃えられているのです。

飲茶の時間帯も厨房で粥を注文
 
 そして、粥や焼きそばといった類のものは、上の写真のコーナーで注文すれば作ってくれます。小さな厨房ですので、作る料理は飲茶用に限定されています。点心カードを持って口頭で注文するか、言葉ができない人は料理名を書いて渡すことになります。食べたい料理がない場合などに代わりの注文がどうなるかなんてやり取りになってしまうと言葉ができない人はお手上げです。ハードルはちょっと高いですけどぜひチャレンジしてみてください。

点心カード(金都酒楼)
 
 これが点心カードです。朝茶の時間は、特が11元、頂が13元、超が15元で優でも17元です。この安さは一体何なんだと言いたいところですが、これこそカフェテリア方式の賜物なのです。
 早茶の時間は、地元のご老人たちがたくさん集まります。ほとんどが常連で、皆さん自分の席が決まっているみたいで毎回同じ場所に座っています。かくいう私も週に3~4回くらい行くのですが、7時半ごろに行っても私が座る席はいつも空いていて、やっぱりもう私の席になっちゃったんだと嬉しいような恥ずかしいようなそんな気持ちになります。実は私もこの金都酒楼の朝茶時間の常連なのです。


 金都酒楼の点心

プリプリのエビ餃子(金都酒楼)

 では、金都酒楼の点心を紹介しましょう。その前に全体的な味のレベルですが、深圳の中では中の上といったところでしょうか。深圳では普通に美味しいレベルです。横浜中華街にあれば上の中レベルでしょう。ということはかなり美味しいと言って良いと思います。
 まず、飲茶の点心では最も人気のあるエビ餃子(蝦餃)です。小さめではあるもののプリプリしたエビが4つくらい入っています。そこは良いのですが、ちょっと皮が厚いところが難点です。でも美味しいです。

 
飲茶の焼売(深圳・金都酒楼)

 そして、焼売です。グリーンピースが乗っています。香港や深圳でもグリーンピースの乗った餃子というのはほとんど見かけません。グリーンピースを焼売に乗せたのは崎陽軒が始まりかと思っていましたがそうでもなかったようです。
 味はどうかというと、これはかなり美味いと言って良いと思います。崎陽軒と比べても美味しいかと聞かれると、比べること自体が金都酒楼に失礼だというくらい金都酒楼が勝っています。焼売に詰まった肉、カニ、そして上に乗ったエビ、このような豪華な焼売には日本ではなかなかお目にかかれません。日本の焼売と香港・深圳・広州の焼売とは、名前が同じで姿が似ていても違う料理だと考えた方が適切です。そのくらい味が違います。とは言え、香港、深圳の中ではそれほど驚くような味ではありませんので、その点はお間違えないようにしてください。

 
牛肉丸(深圳・金都酒楼の飲茶)
 
 続いて牛肉丸です。ビーフボールです。牛肉焼売で皮がついていないものと考えてください。これも美味しいのですが、もともと少し油っこい点心なので、金都酒楼では蒸籠を渡すときに「酢をかけるか」と聞いてきますので酢をかけてもらうと良いと思います。上の写真で皿の底に見える黒い液体が黒酢です。黒酢をかけるとこの点心がいかに美味しいかわかってもらえると思います。私が金都酒楼で最もよく注文する点心の一つです。

深圳・金都酒楼の朝茶が面白い
 
 蛋白紫菜巻です。シーフードなどを半熟卵の白身で包み、それを海苔巻きにした点心です。これはあまり見かけない点心ですが、お茶に合いますね。海苔は日本の海苔に比べたら美味しくないのは当然ですが、香も良く結構美味しい点心です。常連の人たちは私を含めよくつまんでいる点心の一つです。

エビ野菜餃子(深圳・金都酒楼の飲茶)
 
 エビ野菜餃子です。見た目も美しく、味もさっぱりしていて私好みの味です。エビは一尾だけであとは野菜だけですが、私としては蝦餃よりもこちらの方が好みです。間違いなく日本人が好む点心の一つでしょう。そう言えば、この金都酒楼には何十回と行っていますけど、日本人に会ったことがないですね。場所が分かりづらいからですかね。

トウモロコシ餃子(深圳・金都酒楼の飲茶)

 この点心は皮が厚くて何が入っているのかよくわかないでしょうけど、私もそうでした。金都酒楼に通い殆どの種類の点心を食べてしまいそうな頃、最後の最後に選んだ点心の一つがこれでした。スタッフに聞いてみたところトウモロコシ餃子だということが分かりました。なるほどよくよく見ると皮を通してトウモロコシらしい黄色の中身が見えます。

トウモロコシ餃子
 
 中を見てみるとこんな感じです。トウモロコシがぎっしり入っています。このトウモロコシが皮が破れてこぼれださないように、厚めの皮でくるんでいるようです。
 トウモロコシを餃子にするなんて邪道だなどという感覚で、ずっと避けていた点心ですが、いざ食べてみるとこれが意外に美味しいのです。今ではすっかり考えを改め、時々つまむ点心の一つになっています。

深圳・金都酒楼の朝茶

 正しい点心名は分かりませんが、シーフードボールXO醤味です。味はまさに私がつけた名前の通りです。これ、日本人の口に合う美味しい点心です。私もよく食べる点心です。朝ですからあまりヘビーになり過ぎないように点心をつまみ、一時間くらい時間をかけてお茶を楽しむのが私の習慣ですが、そんな時にぴったりの点心だと思います。昼とか夜(ここ金都酒楼は夜も飲茶をしているようです。)には合わないかもしれません。

飲茶の定番、湯葉巻き(深圳・金都酒楼の飲茶)

 今度は飲茶の定番、湯葉巻きです。この湯葉巻きは見た目の通り、味付けとしては日本人から見ると濃いめです。でも、だからこそお茶と一緒につまむ点心としてよく合うのです。日本人はとかく餃子や焼売系に注文が偏りがちなのですが、こうした点心も入れることにより変化が出て飲茶がますます楽しくなります。

金銭肚(深圳・金都酒楼の飲茶)

 お茶によく合う点心というと、金銭肚も忘れてはなりません。金銭肚は豚の胃袋(ガツ)のことです。これを柱候醤という黒コショウと牡蠣エキスをベースにした中華調味料で味付けて蒸しています。色が黒っぽいのは、柱候醤の色が出ているからです。
 もちろんこれでお酒を飲めば良い肴になるということも分かりますが、飲茶ですから金銭肚をつまみにお茶を飲みましょう。



 お腹にたまる点心

叉焼饅頭(深圳・金都酒楼の飲茶)
 
 お腹にたまる点心ということでいくつか紹介します。まず饅頭系です。饅頭の類で最もおすすめなのは、やはりチャーシュー饅頭でしょう。ふっくらした饅頭の中に美味しいチャーシューが入っています。一口で饅頭と言っても、饅頭自体はそれぞれ異なります。このチャーシュー饅頭の饅頭部分は日本の中華饅頭のイメージにぴったりで、ふっくらしていて日本人には気に入られる食感だと思います。

チャーシュー饅頭(深圳・金都酒楼の飲茶)
 
 そして、饅頭の中はちょっと濃いめに味付けされたチャーシューがこぼれんばかりに入っています。少し甘めに味付けされていて食べやすいです。ただ、このチャーシュー饅頭はボリュームがありますから、私のように一人で朝茶をする者にとっては、これ一つでお腹いっぱいになってしまいます。複数で来た時に注文すると良い点心だと思います。

流沙包(深圳・金都酒楼の飲茶)
 
 地元の人に人気のある饅頭は、上の写真にある流沙包です。カスタードクリーム饅頭です。本来はこぼれそうなくらいトロっとしたカスタードクリームが入っている点心です。流沙包という名前の由来もそこにあります。
 私は金都酒楼では一回しか食べたことがないのですが、その時はカスタードクリームが全然トロっとしていなくて乾いた感じさえしました。以来、金都酒楼では流沙包を食べたことはないので確たることは申し上げられませんが、そんなにおすすめできる点心ではありません。

腸粉(深圳・金都酒楼の飲茶)
 
 お腹にたまる点心の二つ目は腸粉です。写真はチャーシュー入りのものですが、ほかにエビ入りや卵入りなどもあります。腸粉については他の点心とは別のワゴンに並べられます。そこでその日ある腸粉の種類を聞き、その中から選択することになります。
 さて、金都酒楼の腸粉の味は極めて一般的です。腸粉自体にもう少しふっくら感や柔らかさがあると良いと思います。そういうわけで、私はあまり腸粉を注文することはありません。

中華粥(深圳・金都酒楼の飲茶)
 
 で、何を食べているかというと粥です。しかも皮蛋痩肉粥です。
 粥については、ワゴンにも数種類が用意されていますが、どうも保温状態が良くないようでアツアツの粥ではありません。そこで、上で紹介した厨房に行って粥を別途注文するわけです。注文を受けてから調理するので時間は5分かそれ以上かかってしまいますが、だからこそアツアツの粥にありつけるわけです。

皮蛋痩肉粥(深圳・金都酒楼の飲茶)
 
 出来立ての中華粥は作り置きの粥と比べると、満足感がかなり異なります。皮蛋痩肉粥は点心カードで「超」としてカウントされますが、オーダーメードですから嬉しくなります。そこの方に具は固まっていますので、上の写真のように、よくかき混ぜて食べると美味しいです。トロトロのお粥は香港の中華粥専門店(羅富記元朗・發記)に匹敵する美味しさだということをお知らせしておきます。

状元及第粥はポピュラーな中華粥
 
 上の写真は、こちらも伝統的な広東粥の一つ、状元及第粥です。広州で中国の役人になるためのテスト(科挙)にトップで合格した人がテストの前日に食べたと言われる粥です。以来、これを食べると状元(科挙の主席合格者)の栄誉を手にできるとされたことから、状元及第粥と呼ばれるようになりました。
 大変ポピュラーな粥で、お粥屋さんやこうした酒楼の粥メニューには必ず入っていると言っても過言ではないお粥です。

 状元及第粥はポピュラーな広東粥
 
 では、この状元及第粥には何が入っているのでしょうか。上の写真でお分かりかと思いますが、モツです。要はモツの入った中華粥なのです。
 科挙に合格し役人になるということは被支配者階級から支配者階級へのスタート地点に立ったようなものです。ましてや状元(トップ合格)ということは将来の大出世も手に入れたようなものです。そんな縁起の良い粥なのです。
 味のことを書いていませんでした。モツが普通に好きな人であれば気に入る粥です。私もその一人ですが、朝からモツ粥というのはどうも私にはよろしくない感じがして、皮蛋痩肉粥を注文することの方が多いです。

深圳・金都酒楼の飲茶
 
 最後に少しだけデザートになりそうな点心を紹介しておきます。「デザートになりそうな」とわざわざ断っているのは、デザートとして並べられているものではないからです。
 上の写真は饅頭の中にあんこを入れてそれをスライスしたもので、饅頭が並べられているところに一緒に置かれています。デザート自体は、主食で食べたものと逆の味付けにすると良いと思うので、全体的に甘い点心がなかった時には、これを最後につまむとデザートらしくなります。

深圳・金都酒楼の飲茶

 また、上の写真の美容ヨモギ羊羹は全然甘くない点心でむしろヨモギの味が際立っています。美容に良いとのことですので、ぜひ女性はチャレンジしてもらいたいものです。この点心ですと、例えば流沙包や叉焼包といった甘い点心を食べた後でも口の中をさっぱりさせてくれますし、また、他の点心を食べた後でもデザートっぽく食べられるという点で、おすすめの点心です。ヨモギの味ですから、好みは分かれる点心には違いありませんが。

深圳・金都酒楼の伝統的な飲茶風景
 
 以上、金都酒楼の紹介をしてきました。上の写真からも雰囲気は伝わるかと思いますが、まさに昔ながらの飲茶風景がここにはあります。殆どの常連客は近所のご老人の方々でホワイトカラー系の人は殆ど来ません。この徹底した茶楼風情が私にはとても魅力的なのです。香港の飲茶は最近洗練され過ぎてしまいました。こういう飲茶こそ、私が求めていた飲茶風景なのです。


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