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深圳のグルメ|アジアグルメ図鑑(香港)


 深圳のグルメ


深圳のグルメ(深圳のレストランは美味しいのか) 


  香港と陸続きの街、深圳。
 かつては人口3,000人の漁村だった地域が、鄧小平さんの改革・開放路線の象徴として、経済特区に指定された以降、あっという間に人口が膨れ上がり、今では人口1400万人と東京都を上回る人口を誇る現代都市に変身してしまいました。
 私が仕事をしていた90年代前半の時代は、まだまだインフラが整備されていない状態でしたが、21世紀になり、道路や建物、それに道行く人たちを見ていると、随分と先進国に追いついてきたという感があります。地下鉄に乗れば、香港にいるような感覚になりますし、道行く人もファッションセンスは見違えるほどよくなりました。


 この深圳という街は、その歴史からも想像できるように、その殆ど95%以上の人が深圳以外の地域からの移住者です。ですから、中国各地の本場の料理を楽しめるのが深圳の魅力です。もちろん香港でも中国各地の料理を楽しめます。でも、それは香港人の舌にアレンジされた香港流の料理です。日本で食べる中華料理が本場の中華料理と違うように、香港で食べる四川料理や上海料理は本場の四川料理や上海料理とはかけ離れているのです。
 ですから香港で美味しいのは広東料理です。深圳では、広東料理も四川料理も上海料理も湖南料理も、その他中国各地の料理を、本場の味で楽しめるのです。ただ、深圳のレストランはピンからキリまでありますから、レストラン選びは大切です。このページではそうしたことも含めて、深圳でのグルメの楽しみ方を紹介します。



広東省は広東料理の本場、だから広東料理

 

 深圳では中国各地の本場の料理が食べられます、とは書いたものの、深圳は広東省です。ですから広東料理の紹介から始めるのが筋でしょう。
 上の写真は羅湖の佳寧娜で食べた広東料理の清蒸石斑(ガルーパの蒸し)です。ガルーパはハタ科の海水魚で香港では高級魚として知られています。クエなんかもガルーパの一種です。ガルーパ(石斑)と一口に言っても種類がいろいろあって、青斑や紅斑は比較的手ごろな値段ですが、東星斑や老斑は高級な部類です。この日食べたのは老斑です。ガルーパについてはこの清蒸にするのが一番良いと思います。ネギ、生姜とともに蒸して塩などで味を調えています。ごま油も少々入っています。身が締まったガルーパの味を最も引き立ててくれる味付けです。最近は、ガルーパを汁ごと取って、白いご飯にかけて食べてしまいます。私の最も好きな広東料理です。

広東料理の前菜、ローストと鹵水盛合せ(深圳、品味軒)

 中華料理では前菜が欠かせません。広東料理の前菜には様々なものがありますが、やはり一押しはロースト料理です。ガチョウのローストとかチャーシューとかですね。それから潮州料理の鹵水料理も外せません。
 上の写真はそんなローストと鹵水料理の盛合せで、グランドメルキュールホテル深圳にある品味軒で食べたものです。品味軒はホテルの宿泊客や結婚式・各種宴会のお客さんくらいしか利用しない知名度の低い広東料理レストランですが、レベルの高い広東料理を食べさせてくれる名店です。ローストと鹵水料理を両方食べたいなどという出張客の勝手な要望に応えるようなこの盛合せ料理は品味軒ならではです。

広東料理の定番、白切鶏

  ローストや鹵水料理以外では、白切鶏もおすすめです。白切鶏は広東料理では最もポピュラーな鶏料理で、広東料理レストランならどこでも食べられます。蒸した鶏肉をネギソースで味付けしたものです。美味しい白切鶏の条件は、まず鶏肉が美味しいこと、茹で加減、そして茹でる時に使用するスープの良し悪しが味を左右します。茹でる時のスープというのは鶏肉を茹でてできたチキンスープなのですが、これが濃厚であればあるほど、白切鶏の味も濃厚になると聞いたことがあります。これは濃厚なスープの中で茹でられる鶏肉自身の旨みが鶏肉の中に閉じ込められるからだそうです。
 上の写真の白切鶏も品味軒です。ここの白切鶏は実に芳醇な味わいで肉も柔らかく、まさに最高級の白切鶏と言えます。


  ロースト料理や白切鶏を前菜で食べると脂っこいなどという方もいらっしゃいます。美味しい広東料理レストランで食べれば決してそんなことはないのですが、では高級レストランであれば脂っこくないのか、高級レストランはどこでも美味しいのか、と言われるとそうでもありません。ですから、レストラン選びが大切なのです。
 また、脂っこいと感じるかどうかについては個人差もあります。そこで、あまり中華料理を食べ慣れていない日本人と食べるときには、私は上の写真にある野菜の上湯料理をメニューに入れるようにしています。野菜炒めにするとまた油料理になってしまいますので、上湯料理(スープ煮)にするわけです。野菜はその日によって変わりますが、上の写真は豆苗のスープ煮です。その日一緒に食べたあまり本場の中華料理に親しんでいない中年日本人が喜んで食べたのは言うまでもありません。これも品味軒です。


 脂っこくない料理ということであれば、豆腐料理をメニューに入れることがあります。例えば、豆腐の鹵水料理とか上の写真にある潮州家庭料理の定番、潮州風揚げ豆腐がおすすめです。
 潮州風揚げ豆腐は揚げたての豆腐に塩などで味付けをしたシンプルな料理です。潮をベースにした素朴な家庭料理ですので、日本人には食べやすい料理だと思います。

 

 また卵料理もメニューに組み込むと日本人は食べやすくなります。エビ玉やカニ玉がポピュラーですが、上の写真は潮州蠣煎という潮州料理です。牡蠣入りのお好み焼きとでも言いましょうか。これまた、懐かしい家庭の味です。潮州料理は、一方では、フカヒレスープや海鮮料理の高級な料理も少なくないのですが、もう一方で、家庭料理の方は、本当に日本人好みのさっぱりした中華料理なんですよ。 深圳の潮州料理なら、羅湖の佳寧娜がおすすめです。地下鉄の羅湖駅からも歩けますが、最寄の地下鉄駅は国貿です。


 広東料理のメインディッシュというと、上で紹介した蒸しガルーパ(清蒸石斑)なのですが、三人くらいいないと食べきれない大きさなので、一人か二人の時には違う料理を頼まないといけません。佳寧娜丹桂軒のようなレストランですと鮑(アワビ)を個数を指定して注文できるのでおすすめです。
 上の写真は佳寧娜大連鮑のチーズ風味焼きです。一つ38元(日本円で650円くらい)ですから、嬉しくなる安さです。この鮑だけはナイフとフォークで食べます。
 
 
 コリコリした食感、アワビの甘みとチーズの香りが意外にマッチします。ウーン、と唸ってしまいます。潮州料理の味付けというよりもフランス料理を食べているかのようです。中華料理の香りが全くしません。香港で海鮮料理を食べても、やはりこの料理のように西洋料理のような味付けをすることがよくありますので、別に驚くほどではないのでしょうが、ここは深圳です。深圳の料理水準もこのレベルまで上がってきたかと思うと、嬉しくなってしまうのです。
  大連産の鮑もいいですし、味付けも最高です。とにかく美味しいです。

広東料理レストランのガチョウのレバーフランスワイン味
 
 上の写真は品味軒で食べたガチョウのレバーフランスワイン味です。これも広東料理です。広東料理は新しい料理を次々と生み出してきています。この料理などもフランス料理に触発されて開発した新しい広東料理です。
 一人ずつにこうして体裁よく盛りつけてサーブされます。まるでフランス料理レストランに来ているみたいですね。このガチョウのレバーが、上手く調理されているのです。レバーの生臭さが全くなく、食感はレバーだけれども実にまろやかな味なのです。そこに赤ワインの香りがほのかにしていて、フランスワインなのかどうかは分かりませんが、とにかく満足度の高い料理です。
 中国のレストランでは一般的に一皿の量が多く、しかも一人用のセットなどは置いていません。出張で深圳に来たときなど、一人とか二人で夕食になることは少なくないものです。そんな時でも私は、一人であっても臆せずに中華料理のレストランに行って、メニューを見て「位」と書いてあれば一人前用ですから、量が少ないので「位」と書いてある料理を中心に注文すれば良いのです。

 
 
 もっと庶民的な料理を食べたい、日本人の舌に合う料理を食べたいということであれば、上の写真の魚香茄子〔保/火〕がおすすめです。〔保/火〕というのは、保の下に火という字で、いわゆる土鍋煮込みのことです。潮州料理にはいろいろな土鍋煮込み料理があり、〔保/火〕仔料理と言われています。この日行ったレストランのメニューには魚香茄子〔保/火〕はなかったものの、何種類かの〔保/火〕仔料理があったので、魚香茄子〔保/火〕はできるかと聞いたところ、できますよということだったのでお願いした一品です。そのくらい潮州料理、広東料理ではポピュラーな料理です。
 さて、この魚香茄子〔保/火〕ですが、これがもう癖になる旨さです。魚香という調味料は若干辛味もありますが、むしろ甘辛い微妙な味付けです。旨い店で食べると、とろ火で長時間煮込んでいますから、魚香の風味が茄子によく染み込んでいて、「これは旨い!!」と思わず叫んでしまいたくなるほどです。これを注文するときは、もちろん普通のおかずとしても食べるのですが、どちらかというと白いご飯にこれをぶっかけて魚香茄子飯として食べることが、私の場合は一般的です。(周りの人でそんなことをしている人は決して多くありませんので、念のため。)すると、不思議や不思議、ご飯が進んでついついご飯をお代わりしてしまいます。
 出張中は体力を結構使います。魚香茄子飯のようなどんぶり飯は食欲が進むので、体力低下の防止に良いのです。一人飯になったときなどは、魚香茄子〔保/火〕と上で紹介した前菜、それに野菜料理を加え、もちろん米飯も注文すれば、あっという間に上等のお一人様セットが出来上がるのです。

 福建炒飯(あんかけチャーハン)

 福建炒飯です。日本語でいえば、あんかけ炒飯でしょうね。香港ではあまり炒飯は食べない私ですが、食べるとすれば福建炒飯を食べたいという気持ちがあって、時々注文します。福建炒飯はもともとは福建料理ですが、今では広東料理としても定着しているメニューです。と、私は福建出身の料理人に聞いたことがあるのですが、一説によると、「天津にはない天津麺」や「中国にはない中華丼」と同じように、福建にはこんな炒飯はないという人もいます。
 さて、普通の炒飯の上にあんかけがかかっている状態で出てきますので、よくかき混ぜて炒飯とあんかけをなじませた上で食べます。これは日本人好みの味ですよ。

 
 

 一方、チャーハンで日本でなじみの深いのは玉子チャーハンでしょう。玉子チャーハンは中国や香港では揚州炒飯と言われています。揚州は上海近くにある要衝で、三国志などにも出てくる歴史ある街です。隋の時代から続く揚州点心発祥の地で、いま私たちが香港や広州、深圳などで食べる広東点心もその原型はこの揚州点心です。
 もちろん広東省や香港で食べる揚州炒飯が美味しくないというわけではないのですが、こだわりのある私としては揚州点心を食べるなら揚州か上海、蘇州あたりでと考えていて、広東省や香港に来てチャーハンを食べるなら福建炒飯だと決めているのです。上の写真の炒飯は揚州の老舗レストラン、冶春茶社で食べた本場の揚州炒飯です。



深圳のローストご飯は蛇口徳記焼臘飯店で決まり
 
 広東料理系のB級グルメというと、一つに焼鵝飯や叉焼飯をはじめとした焼臘(ロースト)があり、もう一つにワンタンメンをはじめとしたヌードル系があります。最初にお断りしておくと、ワンタンメンをはじめとした香港でよく食べるゴムのような麺を食べさせてくれる店は、深圳では匹敵するようなB級グルメ店は現在のところ見つかっていません。麺ですと、桂林ビーフンとか担担麺の類で美味しい店がいくつかあります。担担麺は下の四川料理の中で紹介します。
 一方、焼臘(ロースト)ですが、これも香港レベルの店というとなかなか見つからなかったのですが、蛇口の徳記焼臘店は深圳では珍しく香港並みの美味しい焼鵝飯を食べさせてくれるので、私はよく利用しています。20軒以上食べ歩いてようやく見つけた美味しい焼臘店です。

ガチョウのローストご飯(深圳蛇口徳記焼臘)
 
 上の写真が徳記焼臘店の焼鵝飯(ガチョウのローストご飯)です。香ばしく焼き上げた皮を噛むと、ジューっと肉汁があふれ出てきて、噛めば噛むほど美味しさが増すという、まさに香港並みの味を持つ焼鵝です。深圳にはこうしたロースト屋は数多くありますが、香港並みの味を安定的に提供してくれるのは、ここ徳記焼臘店だと思います。蛇口の老舗店です。



香港や深圳での四川料理事情 


 四川料理というのは、そもそも四川省が本場の料理で、麻婆豆腐や回鍋肉、担担麺など、辛い料理で知られています。私が思うに、もともと四川の山奥では新鮮な素材が入りづらいため、素材の味よりもスパイスなどの味付けでもって、美味しく食べられるように工夫した料理ではないかと思います。良い素材が手に入る香港では、素材の味を殺してしまうような調理法は好まれず、素材の味を生かす広東料理が発達しているわけです。その結果、同じ中国人といっても、香港人は一般的に辛い料理を好みません。ですから、香港で本格的な四川料理を食べようとして四川料理レストランに行っても、あまり辛くない四川料理を食べさせられることが多いような気がします。
 上の写真は、深圳にある俏江南というレストランで食べた麻婆豆腐です。この俏江南は中国全土に100店舗以上を有する中国を代表する四川料理チェーンです。本部のある北京には20店舗以上、上海にも10店舗以上の店を構え、ここ深圳にも4店舗あります。

 この深圳という街は、上で書いたとおり、その殆ど95%以上の人が深圳以外の地域からの移住者で、四川省から来ている人も少なくありません。本場の四川料理を知っている彼らからしてみると、香港や広州で昔から営業していた四川料理レストランで食べる四川料理は四川風料理にしかすぎず、四川料理では決してないのです。そこで、深圳には数多くの大小さまざまな本場の四川料理レストランが、四川の人たちにより開店しています。その中の最高峰の一つが俏江南です。

 
 
 私がこのアジアグルメ図鑑の中で香港の四川料理をこれまで一切紹介してこなかった理由は、香港には美味しい四川料理レストランがないからです。香辛料の使い方が中途半端で香港の四川料理は、日本の四川料理と同じくらい本場の味ではないと私は思っています。四川料理の辛さは「麻辣(マーラー)」です。「麻」は山椒などによる痺れる辛さ、「辣」は唐辛子などによる尖った辛さです。一般的に香港では、この「麻辣(マーラー)」の味が好まれないので、味付けが極めて不十分なのです。
 本場の辛い四川料理を食べたいのであれば、香港から深圳まで来ていただくしかないのです。
 
 高級店なら俏江南渝郷人家が良いでしょう。俏江南についてはこのサイトの中でも紹介していますので、そちらをご覧ください。
 また、深圳で私が最近よく利用している缪氏川菜という四川料理レストランは、中の上くらいのレベルの手ごろな四川料理レストランです。日本で会社帰りに寄るラーメン屋のような気分で使っている店ですが、この店でも本格的な四川料理を味わえます。上の写真にある川北涼粉やその上の虎皮青椒は、いずれも缪氏川菜で食べたものです。缪氏川菜についても別ページで紹介しています。
 このページではレストランのグレードをもう少し下げて、日本人一人でも安心して入れる一般的な四川料理レストランを紹介します。

 深圳でのおすすめは四川料理です

四川レストラン、俏江南の激辛よだれ鶏

 四川料理を食べるなら香港ではなく深圳でという話をしてきましたが、深圳のレストランで最もレベルが揃っているのが四川料理ではないでしょうか。上で紹介した広東料理も地理的には本場ですし美味しいレストランもありますが、費用対効果、いわゆるコスパで考えると、香港にかなわないのです。正確に言えば、コスパから考えて香港並みの味の水準にあるレストランが限られているのです。上で紹介したレストランは私なりに合格の水準ではあります。
 一方、四川料理では、深圳で食べられる本場に近い味の美味しい四川料理は香港では残念ながらなかなかお目にかかれません。例えば、上の写真のよだれ鶏(口水鶏)は四川料理の定番で私の大好物ですが、これが深圳ではどこで食べても美味しいのです。上の写真は俏江南のよだれ鶏(口水鶏)です。


巴蜀風は深圳に数店舗の店を構える四川料理レストランチェーンです。レストランと呼ぶべきなのか食堂と呼ぶべきなのか迷う所ではあります。日本人一人でも安心して入れる店だと言いつつも、私はこれまでこの店で日本人を見たことはありません。それはこの店のある華僑城(OCT)が深圳の中心部からちょっと外れているからなのかもしれません。
 場所は、地下鉄羅湖線の華僑城駅前にあるSeaview O'City Hotel Shenzhen(深圳海景奧思廷酒店)の裏にある食堂街の一角です。駅を降りてすぐですから道に迷うことはないでしょう。この食堂街は日本人出張者も入りやすい清潔で値段も手ごろなレストランが揃っています。

口水鶏(よだれ鶏)は激辛(深圳、缪氏川菜)
 
 そして上の写真は、私が最近よく利用している缪氏川菜という四川料理レストランのよだれ鶏(口水鶏)です。缪氏川菜は、中の上くらいのレベルの手ごろな四川料理レストランです。日本で会社帰りに寄るラーメン屋のような気分で使っている店です。この店でもふっくらした鶏肉を使った激辛のよだれ鶏を食べられるのです。この店では四川料理メニューが豊富で、本格的な四川料理をいろいろと楽しめます。上の写真にある川北涼粉(太いうどんみたいな料理)やその上の虎皮青椒(大きなトウガラシのようなピーマン)は、いずれも缪氏川菜で食べたものです。

 
 さらにレベルを落として、巴蜀風という深圳に数店舗の店を構える四川料理レストランチェーン(食堂チェーンというべきかも)で食べたよだれ鶏が上の写真です。こんな庶民の店でも日本の四川料理レストランならいっぱしの値段がつけられているレベル以上のよだれ鶏を食べることができるわけです。
 この三つのレストランのよだれ鶏は見た目にもかなり辛そうですが、実際に食べてみるとどこもとにかく容赦のない本場の辛さです。四川料理本来の辛さである「麻辣(マーラー)」の味なのです。これが香港では味わえない味なのです。

 
 どこ行ってもよだれ鶏を食べているのかと言われそうなので、違う鶏料理も食べているところを紹介しましょう。
 上の写真は蒸し鶏の唐辛子味です。蒸し料理の白切鶏に唐辛子ソースをつけて食べるものです。竹子林近くの深国投広場の二階にある三十三間堂という四川レストランで食べたものです。これは私も初めての経験でした。日本では食べられない様々な四川料理を深圳では味わえます。四川料理の鶏料理の前菜では棒棒鶏(バンバンジー)が日本では有名ですが、もちろん深圳でも食べられます。ただ私の好みとしては、辛さがマイルドな棒棒鶏(バンバンジー)よりよだれ鶏(口水鶏)がおすすめです。

夫妻肺片は四川料理の冷菜(深圳の缪氏川菜)
 
 四川料理の冷菜で地元の人に人気のあるのが、上の写真の夫妻肺片です。夫婦肺片は内臓を回教料理の香辛料を効かせて煮込んだ冷菜です。日本人から見ると変な料理名ですが、屋台の食堂をしていた夫婦がセンマイなど豚の内臓肉を使ってこの料理を開発したところ、爆発的な人気を得て、以来夫婦は豊かな暮らしをしたという言い伝えがこの料理名の語源です。
 この料理、四川料理レストランでしたら、大体どこでもメニューに入れてあります。そのくらいポピュラーな料理なのです。日本人は四川料理というとすぐに棒棒鶏(バンバンジー)、エビのチリソース、回鍋肉(ホイコーロー)や麻婆豆腐を注文したくなるでしょうが、せっかく深圳では本場の四川料理を食べられるのですから、日本ではあまり食べられないメニューにもぜひ挑戦してみてください。
 この夫妻肺片という冷菜も結構スパイシーな料理ですから、食欲を引き出してくれます。写真は缪氏川菜の夫婦肺片です。ここの夫婦肺片は水準が高いです。美味しいです。

 
 これも中国ならではの四川料理です。白片肉のニンニクソースがけです。この料理も四川料理の定番の一つで、日本でもよく知られています。なぜこの料理を中国ならではと呼ぶかというと、日本の白片肉と比べると、写真にある通り、ニンニクの量が半端ではないからです。強烈な量のニンニクを使用しています。私はもう既にこの中国スタイルの白片肉に慣れてしまったというか、こちらの味の方が好きになってしまったというか、もう全く違和感がないのですが、初めて深圳の白片肉を食べる方は、ちょっと面食らうかもしれません。まあ、これが本場の味ですから、十分に味わってください。

 
 そして、四川料理の激辛メニューの一つ辣子鶏も忘れてはならないメニューです。ここ缪氏川菜の辣子鶏は普通に辛いです。ということは日本のレストランに比較すると、超激しく辛いです。ビールが思わず進んでしまいます。唐辛子をよけながら鶏肉をというか鶏肉の骨の周りを食べていくのですが、鶏肉を箸でつまみながら食べるのでなかなかなくなりません。ビールや酒がどんどん進みます。好きですけど、ガンガン食べていかないとなくならないので大人数の時向けのメニューだとも言えます。4人くらいいれば完食できると思います。

 毛血旺(豚の血豆腐と内臓の唐辛子煮込み)
 
 ついでに激辛料理ということで紹介しなければならないのは、何と言っても毛血旺(豚の血豆腐と内臓の唐辛子煮込み)です。見るからに激辛料理と思われがちですが、唐辛子をよけながら食べますので、見た目ほど辛くないのです。とはいえ、スープの中のもやしを食べると唐辛子が絡みついていて、この料理を始めて食べる人はそうしたことを知らないので、咳き込んだりしてしまいます。私の大好物の一つなのですが、激辛好きの猛者の方と一緒の時以外は注文していません。普通の日本人の味覚では、この辛さの料理を食べさせると四川料理が嫌いになってしまうかもしれないからです。
 レバーみたいなものが少しだけ見えていますが、これが豚の血豆腐(豚の血を豆腐状に固めたもの)です。毛血旺の魅力は何と言ってもスープの複雑さです。聞くところによれば20種類以上のスパイスを入れ、辣油、山椒、唐辛子と酢で味を加減するそうです。と言っても、もともとは余った食材をごった煮にした屋台料理ですから、繊細な味というよりも豪快な味と言った方が良いでしょう。

干鍋料理(深圳の四川料理、缪氏川菜)
 
 辛い料理ばかり続いてしまいましたので、辛くない料理も紹介しておきます。四川料理だからと言って辛い料理ばかりではないのです。辛い料理は多いものの、メニューの中に少しだけそんなに辛くない料理を入れるのが四川料理レストランでのオーダーのコツです。
 上の写真は、最近中国全土で大人気の乾鍋(干鍋)料理でカリフラワーの鍋炒めです。乾鍋(干鍋)料理も四川料理の一つと聞いていますが、今は中国全土で人気の料理で、四川の香辛料を使って作る炒めものに近い鍋料理です。特に重慶風ですと、香辛料がふんだんどころか、これでもかというくらい使われて激辛の炒め物になります。上の写真のカリフラワー炒めは激辛ではなく、少しピリッとしている程度の辛さです。メニュー全体が脂っこいので、比較的サッパリした野菜料理が欲しかったので注文しました。箸休めとして、サラダ代わりにいただくと、他の料理も食べやすくなります。



魚香茄子(深圳の四川料理、缪氏川菜)
 
 そして、辛くない料理のもう一つのおすすめは魚香茄子です。広東料理のところで紹介した魚香茄子〔保/火〕はこの料理の土鍋版で広東料理風ですから、四川料理店で食べる魚香茄子〔保/火〕は写真からも想像できるように、それよりは若干辛い味付けです。そういう意味では広東料理レストランで食べる魚香茄子とは一線を画しています。とは言え、魚香をベースにした料理ですからほどほどの辛さで、ご飯がすすむこと、この上ありません。

 
 さあ、そろそろ主食の話に移りましょう。
 日本でもお馴染みの担担麺です。本場の担担麺はスープなしのはずですが、ここ巴蜀風ではスープ入りの担担麺です。この担担麺、量が半端ではないです。二人前くらいの量ですね。二人で食べに来てシェアして食べてちょうど良いくらいの量です。上から見るとスープの上に出ている麺の量もかなりありますね。それから担担麺のシンボルともいえるひき肉はそれほど量は多くありません。
 日本人はこのまま食べてしまいそうですが、それはいけません。スープと麺をよくかき混ぜてから食べましょう。上から見たり横から見たりした担担麺は全然辛そうに見えませんでしたが、実は底の方に激辛の調味料のタレが隠されています。ですから麺とタレをよくかき混ぜて味を染みこまてから食べることになります。
 この担担麺、麺が日本人好みの味で美味しいです。それからタレはしっかりと麻辣の味で、激辛です。出張者の一人飯におすすめです。


 深圳出張者の一人飯で、今日はとにかくラーメンだけでいい、担々麺だけで十分という方には、四川省成都のチェーン店蓉李記がおすすめです。深圳市内だけでも既に5~6店ある四川小吃の専門店です。私は深圳の定宿が福田バスターミナルの近くなので、福田バスターミナルの下にあるお店で食べています。
 担々麺の本場、成都に本部を置く食堂ですから、本場らしく担々麺は汁なしです。


 もちろん上の写真のようによくかき混ぜて食べます。 麺は中太麺で担々麺のたれがよく絡んでくれます。辛さは期待通りの辛さで、日本でいえば激辛ですが、深圳の担々麺としては驚くほどの辛さではありません。この担々麺におかずを一品、二品つければ出張者の夕飯としては十分です。出張中は何かと会食が多く食べすぎになりがちですので、たまにはこんな軽い料理で済ましたくなるのです。


 蓉李記はすっかり私のお気に入りになってしまったのですが、毎回担々麺を食べても面白くありませんから、たまにはスープ麺の重慶小麺も食べます。このラーメンはご覧のとおりラー油べったりのように見えますが、食べてみるとこの世にこんな辛いラーメンがあって良いのかというくらいの超激辛ラーメンです。私のような辛いもの好きのものでさえ、最初は半分食べて完食をあきらめようかと思ったくらいです。でも、この重慶小麺は麺がすこぶる美味しいのです。ですから、もちろん完食しました。スープは飲み干せませんでした。きっと飲むためのスープではないと思います。
 重慶小麺はそんな悪魔のような超激辛ラーメンですが、日本に帰ってきてしばらく経つと何故かまた食べたくなるラーメンで、もう三回食べてしまいました。重慶小麺を食べるときには辛くないおかずを必ずつけましょう。因みに蓉李記の担々麺、重慶小麺はいずれも16元です。(2016年3月現在)

麻婆豆腐でご飯がすすむ

 でも、四川料理の仕上げは、米飯をもらって麻婆豆腐をかけて食べるのが一番多いと思います。いわゆる四川料理レストランで食事をするときは、他の料理もいろいろ食べたいので最後に麻婆豆腐とご飯を注文してご飯にかけて食べるのです。
 ポイントは、最初に他の料理と一緒に注文しないことです。香港のレストランならご飯は後にしますかとか聞いてくれるのですが、深圳のレストランではそんな配慮は期待できません。最初の注文時に麻婆豆腐と米飯は最後に出してねと伝えても最初に出てきてしまうことはよくあるのです。他の料理をおいしく食べるためには最初から米飯を食べてお腹いっぱいにはしたくないのです。



 上海料理もあります

 深圳で旬の上海蟹(深圳の江南厨子)
 
 中国での秋の味覚として最も有名な料理は上海蟹です。上海蟹に代表される上海料理レストランも深圳にはたくさんあります。この「上海蟹」という言い方は日本特有のもので、中国では「大閘蟹」と言い、陽澄湖産のものが最高級とされています。陽澄湖は蘇州市や昆山市などに属していますから、蘇州人に言わせるとこれを「上海蟹」というのは間違っているということになります。
 それはともかく、上海蟹はシーズンともなると上海料理レストランに限らずメニューに加えられ、「大閘蟹」のポスターやのぼりが深圳市内にあふれます。せっかく上海蟹を食べるのなら上海料理レストランで、それも評価の高いレストランで食べたほうが無難です。私は西湖春天や小南国など、安心して食べられて、かつ、比較的リーズナブルなレストランで食べています。上の大閘蟹は西湖春天グループの最上級店、江南厨子で食べた蟹です。

深圳で美味しい上海蟹(江南厨子)
 
 この日は11月中旬で、季節的にはオスの白子が育ってきていてオスが美味いと言われる時期なので、私が食べたのがオスです。味噌がいっぱいで食べ甲斐というかしゃぶり甲斐のある大閘蟹です。
 一方、同行者は卵が好きなのでメスを注文しました。因みにメスが食べごろと言われているのは旧暦の9月までです。でも、この日食べたメスは卵がいっぱいで同行者は大満足していました。このように、江南厨子の大閘蟹(上海蟹)は素材が良いのです。大閘蟹(上海蟹)を食べるなら良いレストランを選ぶべきという理由はここにあります。

 
 深圳の上海料理の水準は香港と大差ありません。かつての香港は上海人がそれほど多くなかったので庶民的な上海風食堂が多かったのですが、今では美味しいレストランがいくつもあります。ただ、同じ水準の上海料理ということであれば深圳で食べたほうが二割以上は安いのではないでしょうか。ただ深圳の場合は当たりはずれの差が大きいので、このページで紹介しているようなレストランに行くことが大切です。
 上の写真は上海料理レストランでの前菜として有名な西湖藕韵といって、蓮根にもち米を詰めて甘く味付けた杭州の伝統料理です。前菜として食べられます。外婆家という人気チェーン店で食べたものです。外婆家は深圳市内ではKKモールと会展中心の二か所に店舗があります。

鎮江肴肉は上海料理で定番の前菜
 
 上海敗料理の前菜として有名な料理に、鎮江肴肉があります。鎮江は、上海や蘇州から長江(揚子江)に沿って南京方面へ行ったところにある街で、鎮江黒酢でよく知られています。鎮江肴肉は、豚もも肉の塩づけハムで、鎮江名産の黒酢をつけて食べます。
 この江南厨子の鎮江肴肉は本場の味そのもので、大変口当たりが良く、食感も良いです。香港の上海料理レストランでこのレベルの鎮江肴肉を出してくれる店はそうそうないと思います。


 再び、杭州料理の定番です。龍井蝦仁(小エビの龍井茶炒め)です。杭州は最高級中国茶である龍井茶の産地です。龍井茶で香りをつける料理もまた、杭州料理の特徴の一つなのです。川や湖沼で採れた小エビを龍井茶とともに炒めているので、龍井茶の香りがほど良くて美味しいです。
 上海料理ですと龍井茶で味付けをしない清炒蝦仁という塩味の料理になります。どちらも油が悪いとせっかくの味付けが台無しになりますので、一定レベル以上のレストランを選ぶことが大切です。

  
上海小南国の蟹粉豆腐
 
 上海蟹で有名な上海では、蟹粉豆腐も定番料理です。上の写真は小南国で食べたものですが、ここの蟹粉豆腐は他の店で食べる蟹粉豆腐と比べて、圧倒的に蟹粉が沢山入っていて、蟹の風味が強いのが特長です。と言って、味付けが濃いというのではなく、蟹の風味が淡白な豆腐の味をうまく引き立てているという感じです。小南国は深圳市内に三店ありますので、使いやすいレストランだと思います。

 
 上海料理というのは、いわゆるシーフードよりも、湖沼の蟹やエビ、川(揚子江)の魚を使う料理ですので、エビ、カニ以外では肉料理が日本人の口に合います。
 鶏肉では乞食鶏(鶏一羽を蒸し焼きにしたもの)も有名ですが、深圳では食べたことがないので省略します。上の写真は外婆家で食べた茶香鶏です。鶏の蒸し焼きですが、杭州料理らしく龍井茶の香りを淡くまぶしています。これはさすがに美味しいです。外婆家の人気ナンバー1メニューです。

上海料理の紅焼肉(上海・小南国)

 上海料理の豚肉では紅焼肉(豚バラ肉の煮込み)が定番です。脂身のある豚肉がトロトロになるまで長時間煮込まれた料理で、見た目ほど脂っこくないです。多少の脂っこさは気にされない方でしたら、きっと大満足する味付けだと思います。

深圳の江南厨子で食べた東坡肉
 
 杭州料理の東坡肉も豚バラ肉をトロトロになるまで煮込んだ料理で、若い人がいるときは、この二つのうちのどちらかをメニューに組み込むのが私流です。
 さて、東坡肉という料理の由来です。詩人として知られる蘇東坡は宋の時代の杭州地域の太守(首長)でした。蘇東坡は西湖に蘇堤を作ったことでも名を残していますが、この工事に関わった労働者たちの労苦に報いるために、蘇東坡が振舞った肉料理がこの料理です。「東坡肉」という名は蘇東坡の名を取ったものです。
 この東坡肉は江南厨子で上海蟹を食べた時に注文したものです。油っこくなく美味しいです。軟らかく煮こまれていて、相当な時間煮込んだものだろうと思われます。もともと豚膝肉の煮込みを注文しようとしたのですが、「二人では量が多いから絶対に食べきれません。東坡肉にした方が良いですよ」とスタッフの人にアドバイスされ、注文を変更した経緯にあります。次回はもっと大人数で来て豚の膝肉に挑戦しようと思います。

本場の揚州炒飯
 
 そして、上海料理の炒飯といえば、広東料理のところでも紹介した揚州炒飯です。上の写真の揚州炒飯は小南国で食べたものですが、実に具だくさんですね。はっきり言って、かなり美味しいです。日本の炒飯など食べる気が起こらなくなるほど完成度の高い味付けです。

上海・小南国で本場の上海焼きそば
 
 ただいつも迷ってしまうのが、炒飯を選ぶか、焼きそばにするかです。実は上海焼きそばも美味しいのです。上海焼きそばは太い麺を使っていて、広東料理の焼きそばとは全く異なります。結構脂っこいのですが黒酢をかけると食べやすくなります。黒酢さえかければ、日本人好みの味に変身すると思います。



 深圳の飲茶は美味しくて美しい

 
 上の写真は2016年の深圳です。90年代の香港のような飲茶風景が深圳ではよく見受けられます。深圳には中国各地からの人々が集まってはいるものの、飲茶という伝統的な広東スタイルはそうした人々にも広く受け入れられています。飲茶が盛んだということは飲茶のレベルが高いということにもつながります。
 深圳の飲茶では、上のような伝統的な茶楼もある一方、モダンでスタイリッシュな飲茶もあります。深圳の飲茶を一言でいえば、美味しくて美しいのです。

深圳の華洋酒楼はワゴン式飲茶
 
 深圳の飲茶はほとんどがオーダー式です。香港の陸羽茶室蓮香居中央飯店などで見られるワゴン式飲茶というのは深圳ではほとんど見かけません。私が知っているのは上の写真の華洋酒楼だけです。これは、深圳という街が香港と広州の間に立地していても、広東人の街ではなくその住民は中国各地から移り住んできた人たちが殆どであるという歴史と無関係ではありません。
 でも、そうはいっても最近は数多くの香港人が深圳に居住するようになってきていることもあって、深圳の飲茶レベルが香港と肩を並べるようになってきていることは既に書いた通りです。そして、ここ華洋酒楼にいると、味も雰囲気も香港と何ら変わりはありません。

 
 さて飲茶とは、読んで字のごとし、お茶を飲むことです。お茶を飲むついでに点心をつまむのです。そうした点心の花形はハウガウ(エビ餃子)です。上の写真は、深圳駅前、シャングリラホテルの香宮(シャンパレス)のハウガウです。エビが大きいのです。そして、餃子の皮が薄いのです。いろいろなレストランでハウガウ(エビ餃子)を食べている私ですが、評価のポイントは①皮の薄さ②エビの大きさ③エビのプリプリ度です。このうち、①と②は間違いなくトップ水準だと思います。ただ、エビのプリプリ度という点では、少し新鮮さに欠けるのか、プリプリ感が足らないのです。したがって、視覚的には100点ですが、味覚的には60点でぎりぎりの合格というところでしょうか。
 ハウガウ(エビ餃子)が深圳で最も美味しかったのは唐宮海鮮舫、次点で丹桂軒でしょうか。

 
 これらのレストランに負けていないのが、華僑城にある概念粵菜です。まず驚かされるのは見た目の美しさでしょう。純粋な蝦餃(ハウガウ)ではなく、鮮蝦菠采餃です。薄い餃子の皮にきれいに新鮮なエビとほうれん草が入っていて、餃子の頭には蛯子が載せられています。広東料理というのは、視覚と味覚と両方で楽しめる料理なのですが、そんな広東料理の素晴らしさを見た瞬間に感じさせてしまう見事な点心です。
 食べてみると、これがまた美味しいのです。エビにプリプリ感があって、エビの甘みとほうれん草の味が見事に調和しています。

深圳・唐宮海鮮舫のエビ焼売
 
 一方、日本人に愛されている点心は焼売です。上の写真は唐宮海鮮舫のエビ焼売です。日本ではなかなか食べられない鮮度の高い海老が乗っていて、焼売の中には肉が詰まっています。この唐宮海鮮舫は2016年現在、深圳で最も美味しい点心を出してくれる店だというのが私の評価です。昼前後はかなりの待ち時間になりますが、早朝なら待たずに入れます。

 
 焼売の中は上の写真の通りで、豚肉、エビと椎茸が見えます。ぎっしりと肉が詰まっていることがお分かりかと思います。日本の焼売のようにひき肉ではありません。ゴロッと肉の塊が入っています。手を抜いていない本物の味です。この焼売ですと、香港や広州の点心のレベルに勝ることはあっても、決して引けを取りません。

 
 焼売ということでは、丹桂軒の蟹子麻辣焼売も忘れることができません。焼売については香港や中国内で数えきれないくらい食べている私ですが、この味は私にとっては初めての味です。蟹子が焼売の上に載っていて、これに辛い辣油などがかかっているのです。四川人も多い深圳らしい焼売です。

深圳・唐宮海鮮舫の点心
 
 日本人は蒸した点心が好きなので、もう少し蒸した点心を紹介しましょう。
 上の写真は唐宮海鮮舫の鮮蝦豆苗餃です。透明感があって薄い皮の中に豆苗やエビが見えます。こうした点心の見栄えだけ見ても、唐宮海鮮舫が一流の広東料理レストランであることが分かります。食べてみると、プリプリのエビの感触と香りが豆苗のすっきりした味とマッチして大変美味しいです。

 
 蒸した点心では、潮州粉果もおすすめです。粉果は、米の粉で作る餃子のようなものです。少し厚めの皮ですので、粉果には色々な種類の具を入っていて、入れる具によってさまざまな粉果があります。日本人にはなじみやすい点心だと思います。潮州料理レストランの潮江春で食べたものです。

深圳・唐宮海鮮舫の蝦入り湯葉巻揚げ
 
 今度は揚げ物です。唐宮海鮮舫で食べたエビと野菜の湯葉巻揚げです。上の写真では、揚げ具合の絶妙さがどこまで伝わるか分かりませんが、とにかく食べやすい湯葉巻揚げなのです。例によって、朝飯時間に食べに行ったのですが、この爽やかな湯葉巻揚げは朝の点心としてもおすすめできます。

 
 今度は饅頭です。日本人には肉まんがなじみですが、香港や中国ではチャーシュー饅頭がポピュラーです。でもそれ以上に地元の人に人気があるのは、上の写真の流沙包、カスタードクリーム入り饅頭です。中を開けると、たっぷりのカスタードクリームが入っています。
 ふわふわの饅頭の中に甘いカスタードクリームがたっぷり入っている饅頭です。その名の通り流れ出すようなクリームです。それほど大きくないので、ペロッと食べてしまいました。食べやすいのです。実は、この流沙包は丹桂軒の飲茶タイムの人気商品の一つのようですが、それもうなづける美味しい点心です。

 
 饅頭の一つに潮州ニラ饅頭があります。私が潮江春に飲茶に来ると必ず注文する潮州の名物点心です。ニラが嫌いでなければきっと気に入る味です。少し脂っこいのは覚悟しておいてください。写真手前に見える専用たれをつけて食べます。


 上の写真は大根のXO醤炒めです。広東料理レストランで食べる大根の炒め物には余りはずれがないため、私がよく注文する料理です。この料理も比較的よく見かける点心で、大根餅よりこちらのほうがおすすめです。
 食べてみると、これがまた美味いのです。家でも作ってみようかなと思うほど、美味しくて箸が進んでしまいます。ビールが欲しくなる料理でもあります。華僑城にある概念粵菜で食べたものです。

チャーシュー腸粉(深圳・唐宮海鮮舫)
 
 お腹にたまる点心として私がよく食べるのは腸粉です。お腹に溜まる料理というのは変な言い方です。他の点心だって結構お腹に溜まりますので、変な言い方だということは重々承知したうえでも、やはり私にとっては空腹時にはこれらの料理を注文したくなってしまうので、私の点心分類として「お腹に溜まる料理」というのがあるのです。
 上の写真は、蜜汁又焼腸。チャーシュー入り腸粉です。「粉」という字が入ると米から作られたことを意味します。そして、「腸」というのは豚の腸に似ているからつけられたといいます。とすると、腸粉というのは、米からできた豚の腸みたいな意味合いなのでしょうね。チャーシューだったりエビだったり、いろいろな具が腸粉にはくるまれます。

 
 飲茶時間には粥も注文できます。最もポピュラーな粥は皮蚤痩肉粥(皮蛋と豚肉入り中華粥)です。皮蛋と豚肉はお粥の底の方に沈んでいますので、下の方からすくってお椀に盛り付けると良いと思います。上の写真は油條と刻みネギも入れて盛りつけた時の写真です。これなら、皮蛋と豚肉も見えますね。丹桂軒で食べたこの粥は美味しいのではありますが、私の好みでいえば、米粒が見えないくらいトロトロに煮込んだ粥のほうが好きです。


 飲茶の楽しみの一つに、デザートがあります。マンゴープリンとか西米露(タピオカ入りココナツミルク)あたりが定番です。
 上の写真は丹桂軒のマンゴープリンです。真ん中の赤いものはスイカです。コンデンスミルクをかけて食べましょう。マンゴープリンは何度食べたのかわかりませんが、美味しいものは何度食べても美味しいのです。
 幸せな味です。マンゴーの香りとほどよい甘さが調和して、これぞマンゴープリンの味です。満足です。

 
 上の写真は潮江春で食べたエッグタルトです。マカオのエッグタルトよりも美味しいです。さくさくした食感のパイ生地も美味しく、日本の有名ケーキ屋さん顔負けです。エッグタルトは、意外に普洱茶(ポーレー茶=プーアル茶)に合います。飲茶の締めくくりにお勧めします。

 
 お洒落なデザートということであれば、上の写真の概念粵菜のドリアンパイなどはいかがでしょうか。
 パイの形がドリアン風で、可愛いですね。そして食べてみると、ねっとりしたドリアンの味が口の中に広がります。さすがは高級住宅街の高級広東料理レストランである概念粵菜です。このデザートも視覚と味覚の両方で楽しませてくれます。素晴らしい!の一言です。
 
   
 デザートでは、地下鉄国貿駅近くの尚品居もおすすめです。可愛猪仔包(可愛い豚ちゃん饅頭)がどうやら最人気商品のようですが、味で勝負しているのが上の写真のマンゴー腸粉です。マンゴーがたっぷり入っていて甘い冷えたデザートです。視覚的にも味覚的にも完全に合格です。
 4人くらいで食べてちょうど良い大きさかも知れません。実は一人で食べに来たものですから最初に戦意を喪失しそうになったのですが、食べ始めたら美味しくて完食しました。そのくらい美味しいデザートです。このマンゴーを腸粉に包みデザートとして食べるという発想は、ありそうで今まで見なかったですね。


 同じく 尚品居のデザートでもう一つ紹介したいオリジナルは麻雀パイのココナッツプリンです。これも視覚的に訴えてきます。実は、メニューの点心では白發中だったのですが、数字の牌になってしまったのが残念です。デザートとして考えればとても美味しくいただけます。
 しかし、可愛い子豚の饅頭といい、この麻雀牌のココナッツプリンといい、発想が素晴らしいですね。こんな店が東京にあったら、連日、押すな押すなの大盛況になること間違いありません。香港でもこんな可愛い点心を食べられません。食べるなら深圳まで来ないといけないのです。ここ尚品居では蝦餃や焼売のような伝統的な点心や粥、焼きそばといった料理もあります。羅湖駅周辺に来た時の私の隠れ家です。

 
 以上見てきたように、深圳の飲茶は意外に素晴らしいのです。ただし、レストランさえちゃんと選べばという前提付きです。紹介してきたのはどちらかというと見栄えの良い点心でしたが、伝統的な茶楼スタイルの店でも美味しい店はいくつもあります。
 上の写真は大劇院近くの金碧軒です。私が初めて深圳に行った1992年から、現在と同じ場所で同じ内装で営業している広東料理レストランです。飛び切り美味しいというわけではないですが、昼も夜もはずれのない料理を出してくれます。そして、素晴らしいのは飲茶の雰囲気です。地元のおじちゃん、おばちゃん、おじいちゃん、おばあちゃんが三々五々集まり、よもやま話に話を咲かせるという伝統的な茶楼風景がとてもノスタルジックです。
 皆さんも深圳での飲茶を楽しんでください。なお、飲茶の楽しみ方や点心の種類などについてはこちらのページで紹介しています。