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四川料理(深圳の一般レストラン編)|アジアグルメ図鑑(香港)


 四川料理(深圳の一般レストラン編)


香港や深圳での四川料理事情 


 四川料理というのは、そもそも四川省が本場の料理で、麻婆豆腐や回鍋肉、担担麺など、辛い料理で知られています。私が思うに、もともと四川の山奥では新鮮な素材が入りづらいため、素材の味よりもスパイスなどの味付けでもって、美味しく食べられるように工夫した料理ではないかと思います。良い素材が手に入る香港では、素材の味を殺してしまうような調理法は好まれず、素材の味を生かす広東料理が発達しているわけです。その結果、同じ中国人といっても、香港人は一般的に辛い料理を好みません。ですから、香港で本格的な四川料理を食べようとして四川料理レストランに行っても、あまり辛くない四川料理を食べさせられることが多いような気がします。
 上の写真は、深圳にある俏江南というレストランで食べた麻婆豆腐です。この俏江南は中国全土に100店舗以上を有する中国を代表する四川料理チェーンです。本部のある北京には20店舗以上、上海にも10店舗以上の店を構え、ここ深圳にも4店舗あります。

 この深圳という街は、その殆ど95%以上の人が深圳以外の地域からの移住者で、四川省から来ている人も少なくありません。本場の四川料理を知っている彼らからしてみると、香港や広州で昔から営業していた四川料理レストランで食べる四川料理は四川風料理にしかすぎず、四川料理では決してないのです。そこで、深圳には数多くの大小さまざまな本場の四川料理レストランが、四川の人たちにより開店し、その中の最高峰の一つが俏江南です。

 
 
 私がこのアジアグルメ図鑑の中で香港の四川料理をこれまで一切紹介してこなかった理由は、香港には美味しい四川料理レストランがないからです。香辛料の使い方が中途半端で香港の四川料理は、日本の四川料理と同じくらい本場の味ではないと私は思っています。四川料理の辛さは「麻辣(マーラー)」です。「麻」は山椒などによる痺れる辛さ、「辣」は唐辛子などによる尖った辛さです。一般的に香港では、この「麻辣(マーラー)」の味が好まれないので、味付けが極めて不十分なのです。

 
 本場の辛い四川料理を食べたいのであれば、香港から深圳まで来ていただくしかないのです。高級店なら俏江南渝郷人家が良いでしょう。俏江南についてはこのサイトの中でも紹介していますので、そちらをご覧ください。
 また、深圳で私が最近よく利用している缪氏川菜という四川料理レストランは、中の上くらいのレベルの手ごろな四川料理レストランです。日本で会社帰りに寄るラーメン屋のような気分で使っている店ですが、この店でも本格的な四川料理を味わえます。上の写真にある川北涼粉やその上の虎皮青椒は、いずれも缪氏川菜で食べたものです。缪氏川菜についても別ページで紹介しています。
 このページではレストランのグレードをもう少し下げて、日本人一人でも安心して入れる一般的な四川料理レストランを紹介します。



 華僑城(OCT)の巴蜀風


 巴蜀風は深圳に数店舗の店を構える四川料理レストランチェーンです。レストランと呼ぶべきなのか食堂と呼ぶべきなのか迷う所ではあります。日本人一人でも安心して入れる店だと言いつつも、私はこれまでこの店で日本人を見たことはありません。それはこの店のある華僑城(OCT)が深圳の中心部からちょっと外れているからなのかもしれません。
 場所は、地下鉄羅湖線の華僑城駅前にあるSeaview O'City Hotel Shenzhen(深圳海景奧思廷酒店)の裏にある食堂街の一角です。駅を降りてすぐですから道に迷うことはないでしょう。この食堂街は日本人出張者も入りやすい清潔で値段も手ごろなレストランが揃っています。

 
 この日は出張で深圳に来ています。夕食を一人で食べることになりますが、こういう時、日本ですとラーメン屋でも蕎麦屋でもとんかつ屋でも、あるいは居酒屋でも、どこでも入れます。ところが中国では、なかなか日本人一人で入りやすい店というのはないものです。そういう時にこのレストラン街は、清潔でこじんまりしたレストランというか食堂が軒を連ねているので入りやすいのです。
 広東料理、西安料理、中国東北料理や韓国料理といったレストランが並び、その中にここ四川料理レストランの巴蜀風があるのです。因みに英語や日本語は全く通じませんが、ホテルの裏なので外国人の姿は時々見かけます。
 さてこの日注文したのは、まず、よだれ鶏です。中国語では口水鶏と書きます。見た目にもかなり辛そうですが、実際に食べてみるととにかく容赦のない本場の辛さです。

 
 鶏肉は期待していた以上に味が濃く食感も柔らかい美味しい肉です。この肉が激辛の特製だれに浸されて出てくるので、よく味が染みているのです。辛い料理が大好きな私としては嬉しいくらいに好みの味です。ですけど、口中がかなり麻痺してきたようです。

 
 そんなことも想定されていたので、よだれ鶏(口水鶏)とあわせて春雨スープも注文しておきました。辛さで麻痺てしまいそうな口の中を和らげてくれます。
 この選択自体は間違いなかったと思いますが、本当のことを言いますと、この春雨スープはよだれ鶏(口水鶏)が来て、次に担担麺が来て、担担麺も半分以上食べて口の中は麻痺したもののお腹いっぱいになってしまった頃に、ようやく出てきたのです。中国人客が殆どのこのレストランでは、こういう軟弱な料理の注文の仕方をする客はいないので、調理がきっと後回しになったのでしょう。私にしてみれば「おい、出してくる順番が違うぞ!」と文句の一つも言いたいところですが、それが庶民のレストランらしいところですから、許してあげましょう。

 
 で、本来は締めに出てくるはずの担担麺です。本場の担担麺はスープなしのはずですが、ここ巴蜀風ではスープ入りの担担麺です。

 
 上から見た方が分かりやすいのですが、この担担麺、量が半端ではないです。二人前くらいの量ですね。二人で食べに来てシェアして食べてちょうど良いくらいの量です。上から見るとスープの上に出ている麺の量もかなりありますね。それから担担麺のシンボルともいえるひき肉はそれほど量は多くありません。
 日本人はこのまま食べてしまいそうですが、それはいけません。

 
 スープと麺をよくかき混ぜてから食べましょう。上から見たり横から見たりした担担麺は全然辛そうに見えませんでしたが、実は底の方に激辛の調味料のタレが隠されています。ですから麺とタレをよくかき混ぜて味を染みこませてから食べることになります。
 この担担麺、麺が日本人好みの味で美味しいです。それからタレはしっかりと麻辣の味で、激辛です。辛さを緩和するはずだった春雨スープがなかなか出てこないので、激辛のよだれ鶏をつまみながら激辛の担担麺を食べるという悪魔のような夕食になってしまいました。しかも、担担麺の量が多いのに、担担麺をほぼ食べ終わりもうほぼ満腹状態の時に、言い換えれば忘れたころになって春雨スープが出てきたわけです。

 料理が出される順番に問題があったとはいえ、料理自体は味の水準が高く、また店員も常ににこやかな対応をしてくれて、ここ四川料理レストランの巴蜀風への私の印象は悪くありません。今や、華僑城(OCT)のSeaview O'City Hotel Shenzhen(深圳海景奧思廷酒店)に宿泊した時には必ず一回は食べる私の行きつけのレストランなのです。



三十三間堂


 中国の友人に誘われて「今日は三十三間堂に行きましょう」と言われた時には、日本食レストランに行くのかと思っていました。場所は竹子林近くの深国投広場の二階にあるレストランです。エスカレータを二階に上がって店構えを見たときでさえ、まだ日本食レストランだろうと勘違いしたくらいです。
 私は深圳に来た時に日本食を食べようなどと考えたことは一度もありませんし、通算で100泊以上していますけれども、日本食を食べたことなど1回しかありません。ですから、三十三間堂が四川料理だと分かった瞬間に嬉しくなたことは言うまでもありません。

  
 
 この日は二人での食事ですが、昼食が二人とも遅かったので比較的軽めの料理を選んでいます。
 まず茄子の唐辛子和えです。茄子が旬だったこともあり注文した料理です。冷菜ですからビールを飲みながらつつきます。少しピリッとしていますが、唐辛子さえ避けて食べればビールの良いつまみになります。この味初めてです。気に入りました。


 続いて蒸し鶏の唐辛子味です。蒸し料理の白切鶏に唐辛子ソースをつけて食べるものです。四川料理の鶏料理ですと、棒棒鶏(バンバンジー)や口水鶏(よだれ鶏)が一般的ですが、これは私も初めての経験です。

 
 その中国人によると、鶏肉は白切鶏としてこのまま食べても美味しいのだそうですが、ここは四川料理なので特製の唐辛子だれを付けて食べます。広東料理である白切鶏を唐辛子ソースをかけて四川料理風に食べるという趣向のようです。残念ながらちょっと中途半端な味とも言えます。

 
 鶏肉はまずまずの水準です。美味しいです。このレベルのレストラン、いわゆる家族や友人などとちょっと高級なレストランで、というくらいのレストランで出される鶏肉は日本で食べる水準と変わるものではありません。結構美味しいのです。一般的に、鶏肉だけでなく豚肉もそうした傾向にありますので、私が中華料理を中国で食べる時には鶏肉や豚肉が多くなるのです。
 この料理についてはタレをしっかりつけるとなかなか軽快な味ながらもピリッとした辛さが印象的です。ただ、四川料理というほど激辛の味付けではなく、辛い料理が苦手な人向きのメニューだと思います。

 
 野菜は定番の空心菜炒めにしました。むしろ辛かったのはこの空心菜炒めでした。これは一見広東料理に見えますが、四川料理風の味です。私としては十分に満足できた味です。


 そして締めは、私のリクエストで担担麺です。四川料理の締めは、この担担麺か麻婆豆腐にしてしまうのが私の通例です。麻婆豆腐の時はご飯も注文して、ご飯に麻婆豆腐をかけて食べます。
 この担担麺もたれと麺をよくかき混ぜてから食べることは言うまでもありません。比較的マイルドな辛さの担担麺です。

 この三十三間堂というレストランは、本場の四川料理レストランというよりも、広東人向けのマイルドな味の四川料理レストランのようです。実はこのレストランに連れてきてくれた私の友人も広東省出身の人間です。一般の日本人にはこのくらいの四川料理の方が馴染める味かもしれません。激辛を求めるなら、高級四川料理レストランの俏江南缪氏川菜やこのページの上の方で紹介した巴蜀風がおすすめです。