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荃湾の蓮香桟でワゴン式飲茶|アジアグルメ図鑑(香港)


 荃湾の蓮香桟で伝統的なワゴン式飲茶


蓮香桟は香港蓮香楼や蓮香居の姉妹店 

香港?湾、蓮香桟の入り口

 ビルの賃貸契約終了に伴い2019年上期までで閉店すると発表されていた中環の蓮香楼は、予定通り2月末で閉店しましたが、3月中旬から蓮香茶室と店名を変更して再スタートを切りました。名前は変わったもののシステムやメニュー等は蓮香楼の時代と全く変わりません。ビルの建て替え時期が先に延びたのか中止になったのか、事情はよく分かりません。なお、上環にある蓮香居は引き続き同じ場所で営業しています。
 一方、蓮香楼と蓮香居の姉妹店として、荃湾(つぇんわん)で2018年2月に蓮香桟という店がオープンしました。このオープンが蓮香楼の閉店発表の時期に重なったものですから、蓮香楼が荃湾に移転するなどというフェイクニュースが香港中をかけめぐったものです。
 上の写真は、蓮香桟の入り口です。

香港?湾、蓮香桟の店内風景

 蓮香桟は蓮香楼や蓮香居と同様に、今や香港ではほとんど見られないワゴン式の飲茶が楽しめる店です。香港で伝統的な飲茶をしたいという場合、最高級である陸羽茶室と庶民派と蓮香楼・蓮香居がおすすめだったわけですが、蓮香楼が閉店してしまうと自ずと蓮香居が混んでしまってなかなか入れないという状況が容易に想像されます。そんな時にここ蓮香桟の存在を知っていれば、ちょっと遠いのですが伝統的な飲茶をここで楽しむことができるのです。

 
香港?湾、蓮香桟があるビル

 では、蓮香桟がある荃湾(つぇんわん)の街についてちょっとだけ紹介します。荃湾は地下鉄荃湾桟の終点で、香港は大きく「香港島」「九龍」と「新界」という3つのエリアに分かれていますが、新界に属しています。地下鉄荃湾桟は香港島の中環から九龍の尖沙咀、旺角や太子等を通って荃湾までつながっています。中環から荃湾までの所要時間は30分です。
 上の写真の右側の建物が蓮香桟が入っている緑楊坊というショッピングセンターで、その先に高架に築かれている荃湾駅が見えるかと思います。要は駅に連結したビルに入っているということです。

 

 荃湾駅を出たらC出口から出ます。するとこの広場に出ます。この広場を挟んで反対側が緑楊坊になりますので、そのL1フロアを進み、左に入る右段の階段がある通路を行けばすぐに蓮香桟があります。なお、この写真はC出口の上のフロアから写しています。

香港?湾、蓮香桟
 
 荃湾駅の改札を出てから3分かからないうちに蓮香桟に着きます。蓮香楼や蓮香居に比べると内装が新しい分だけモダンで清潔な感じがします。
 蓮香桟で飲茶ができる時間帯は朝6時の開店から夕方4時までだと思います。ご参考までに、香港の食べログ的存在のOPENRICEというサイトを見ると、蓮香桟の評価はかなり低いものになっています。これは、恐らく、ランチタイム(飲茶もできます)とディナータイム(飲茶メニューはありません)で提供される広東料理の質の問題だろうと思います。私が既に10回以上行った経験では、蓮香桟の点心の質は高いですし、お茶も美味しいです。また、サービスについても特に問題ありません。飲茶で利用しているだけの私には、低い評価が信じられません。



香港蓮香楼と蓮香居について

香港中環、蓮香楼
現在は蓮香茶室となった以前の蓮香楼
 
 さて、蓮香桟の紹介に入る前に、香港蓮香楼と蓮香居について触れておきたいと思います。
 香港蓮香楼は、広州蓮香楼から分家した形で、1926年に開業した茶楼です。現在は広東料理レストランですが、もともとは茶楼ということで、お茶を飲むお店で、お茶菓子的な意味合いで点心を出していた店です。ですから、創業当時からお茶と点心が売りものの店で、恐らく当時からワゴン式で点心を提供していたのだと思います。
 その後、広東料理レストランに生まれ変わり、朝から夕方までは点心も出しますが、夕食時以降は点心以外の本格的な広東料理を提供するレストランになっているということになります。
 では、その点心は美味しいのかというと、香港では中の上くらいではないでしょうか。もっと美味しい点心、見た目が素晴らしい点心を出すレストランは香港にはいろいろあります。でも、昔ながらの古風な飲茶、悪く言えば、やかましい飲茶、雑然とした飲茶を楽しむとすれば、ここ蓮香楼か蓮香居なのです。

海連茶楼のワゴン式飲茶(香港)
同じく荃湾にある海連茶楼のワゴン
 
 話はそれますが、実はそれ以上に伝統的な飲茶風情を楽しめる店が荃湾にあります。それが上の写真の海連茶楼です。海連茶楼は団地の一階に入っていて、ほとんど地元の人しか来ない茶楼です。ただ、茶楼という店名をつけているだけあって、お茶が美味しいです。そして、点心を乗せたワゴンが店内を回ってくれます。蓮香楼や蓮香居のワゴンに比べると大きいワゴンで、さまざまな種類の点心が乗せられています。ただ、場所が分かりづらいのと、広東語以外は全く通じないという超ローカルな店ですので、相当の香港リピーターでないと楽しめない店と言えます。


こちらは蓮香桟の店内
 
 そこで価値が出てくるのがこのページで紹介する蓮香桟です。蓮香茶室や蓮香居には最近は中国の大陸からの観光客が増え、香港らしさが薄れてきたような感じがします。あたかも観光客用の茶楼のような気さえします。本来の飲茶屋らしい雰囲気はここ蓮香桟にあるのです。


 蓮香桟の点心

香港?湾、蓮香桟でワゴン式飲茶

 その点、蓮香桟には観光客らしい姿は今のところほとんど見かけません。店の中は恐らくは地元の香港人が殆どで、普段着の飲茶風情が感じられます。お茶は、蓮香楼や蓮香居もそうですが、まずまず美味しいお茶が出されます。と言っても、私はいつも普洱茶(ポーレー茶)を飲んでいますから、他の種類のお茶でも美味しいのかどうかは本当は知りません。

ワゴン式飲茶の蓮香桟
 
 点心はワゴンで運ばれてくる点心から選びます。例によって、お姉さま方が点心の名前を広東語で連呼してワゴンを押してきてくれるのですが、私のように広東語が分からないと、エビ餃子と焼売くらいしか聞き取れません。焼売だって、普通の焼売もあれば、レバー焼売、ウズラ焼売なんかもありますから、言葉が聞き取れない人は蒸籠のふたを開けて指差しして注文することになると思います。

香港?湾、蓮香桟の点心メニュー
 
 メニューは、蓮香楼や蓮香居と共通のものがあります。でも、回ってくる点心の種類はこのメニューよりずっと多いですし、このメニューに書いてあるからと言って常時その点心が回ってくるわけではありません。ですから、繰り返しになりますが、ワゴンが来たら蒸籠のふたを開けて指差し注文、これが良いのです。
 でも、どうしてもある点心が食べたいという場合には、このメニューの中から注文することができます。店員にその旨を伝えてください。

点心カード

 蓮香桟には点心のオーダーシートはありません。代わりに点心カードがあります。上の写真の右下に写っているカードのことです。
 点心の値段は種類によって異なります。蓮香桟では安い方から、小→中→大→特→超という分類で、腸粉はこの分類外になります。詳しくは一つ上の写真の価格表を参照してください。

蓮香桟の焼売(香港)
 
 では蓮香桟の点心を紹介しましょう。
 まず、日本人が大好きな焼売です。上にプリプリのエビが乗っていて、焼売には豚肉がゴロゴロ入っています。日本で食べる焼売はもちろんですが香港の低レベルな店で食べる焼売とは素材が違います。価格が高くても大したことのない焼売を香港ではよく見かけます。(それでも日本の焼売よりは数段美味しいです。)ここ蓮香桟では伝統的な香港らしい焼売を食べることができます。

 
蓮香桟のウズラ焼売(香港)

 こちらはウズラ焼売です。焼売の上に鶉(ウズラ)が乗ったもので、鶉が嫌いでなければ、これも美味しい焼売です。ですが常識的には、普通の焼売が必食の点心で、人数が多い時などに注文するのがウズラ焼売ということになるでしょう。地元の人や私のように蓮香桟にたびたび来ている人は、その日の気分で焼売の種類を選ぶことになります。
 蓮香桟の焼売にはもう一つレバー焼売もあります。あいにく蓮香桟ではまだ食べたことがないというか、回ってきたことがない点心ですが、レバー焼売ももし見かけたらぜひ食べたい点心の一つです。参考までに陸羽茶室のレバー焼売(リンク先のページの下の方で紹介しています。)をご覧ください。食べたくなること間違いありません。

蓮香桟の牛肉球(香港)

 こちらは焼売ではなく牛肉球です。焼売から焼売の皮を抜いたようなものです。この点心はそのまま食べると臭みが強いので、ワゴンのおねえさんが酢をかけるかと聞いてきますので、酢をかけると臭みや油っこさが消え、食べやすくなります。実は、私の大好物の点心の一つがこの牛肉球です。

蓮香桟の綾魚球(香港)
 
 牛肉球と同じようなものに綾魚球があります。これは魚のボール、つまりつみれです。綾魚は鯉の一種で香港や広東省ではよく食べられています。これをつみれにしたものです。牛肉球と同じように臭みがあるので、酢をかけて食べます。牛肉球に比べると油っこさがありませんが、私は油っこい方が好きなので牛肉球を好んで食べています。人によって好き好きがあると思います。



蝦餃(ハウガウ)、香港荃湾の蓮香桟

 香港点心の一番人気は蝦餃(ハウガウ)です。蓮香桟でもやはり人気の点心の一つです。見た目に皮がちょっと厚くて透明感が不足しているところが残念ではありますが、食べてみると、やっぱり美味しいです。

蝦餃(ハウガウ)、香港荃湾の蓮香桟

 と言うのも、中はプリプリのエビがたくさん入っていて、さすがに老舗茶楼の蝦餃(ハウガウ)という味です。これだけ贅沢に新鮮なエビが使われている蝦餃(ハウガウ)は香港でも数少ないと思います。味は満点に近いです。
 それだけに皮の厚さが残念です。

蓮香桟のエビ野菜餃子(香港)
 
 エビ野菜餃子です。透明感のある皮に包まれていて、日本人が好みそうなビジュアルです。香港の点心というのは、舌で楽しませるだけでなく眼でも楽しませる料理です。お茶を飲みながら家族や友人らとおしゃべりをする時のアテですから、眼で楽しませると話が弾むのです。
 このエビ野菜餃子は新鮮なエビが使われていて、食感が良く大変美味しいです。エビ餃子(蝦餃)が回ってこない時はこれで十分に代用できます。ここ蓮香桟ではないですが、日本から友人が来た時などに私が必ず食べさせるのが焼売とこのエビ野菜餃子です。日本人ならほぼ例外なく気に入ってしまう点心なのです。ただ、美味しくない店では蒸し過ぎて皮が美味しくなくなっていることがよくあるので、美味しいレストランで食べるようにしましょう。

フカヒレ餃子(香港・蓮香桟)
 
 最近他の店ではあまり見かけませんが、フカヒレ餃子も蓮香桟にはあります。蓮香グループのような伝統を重んじる茶楼には欠かせない点心メニューの一つです。その名の通り、餃子の中にフカヒレが入っています。ではこれはかなり美味しいのかというと、実はそうでもありません。香港の年配者にとっては伝統の一品として価値がある一方で、日本人観光客の立場で考えると香港に行ってフカヒレ餃子も食べたよと周りの人に自慢するネタになるくらいでしょう。
 実は私はあまり食べません。

准山滑鶏扎
 
 蓮香桟だけでなく、蓮香グループの各店で人気のある点心が上の写真の准山滑鶏扎(鶏肉とキノコの准山巻き)です。「扎」という字はまとめるとか一括りにするとかといった意味で、鶏肉、アミガサダケやサトイモとともに、准山という漢方によく使われる食材が一括りにされています。透明な食材が准山です。

医食同源の准山滑鶏扎

 一遍に口に入れることはできないので、お椀でばらして食べています。これが正しい食べ方なのかは知りませんが、こうするしかないです。
 美味しくて身体にも良い点心。これぞ、医食同源、香港点心の真骨頂です。ぜひ試してみてください。

蓮香桟の美味しい腸粉
 
 もう一つ、蓮香桟の名物料理に腸粉があります。腸粉は美味しくない店と美味しい店の差がはっきりしていて、ここ蓮香桟の腸粉は、腸粉自体が美味しいのでもちろん美味しい腸粉の店の部類に入ります。美味しい腸粉を食べたことのない人には腸粉の差は分からないのですが、蓮香桟の腸粉を食べると他の店で食べる腸粉が物足りなくなるかもしれません。
 この日はエビ入りの腸粉にしてみました。プリプリの新鮮なエビが大変美味しいです。欠点は、腸粉はお腹にたまりやすいので、一人飲茶の場合、腸粉を食べると他の点心をあまり食べられなくなってしまうことです。

チャーシュー饅頭はおすすめ(香港・蓮香桟)
 
 腸粉以外のお腹にたまる点心ではチャーシュー饅頭もいいですね。生地がフワフワでやっぱり本場の饅頭は違うなと感じるはずです。これは香港人の常連さんたちにも人気の商品です。

香港のチャーシュー饅頭(荃湾・蓮香桟)
 
 饅頭を割ると、中にはこんなにたっぷりチャーシューの餡が入っています。チャーシューも多くてチャーシューがゴロゴロ入っている状態です。こんなにたっぷりとチャーシューが入っていて美味しくないはずがありません。餡は日本で食べるチャーシューまんや肉まんより甘いので、初めて食べる人は少し驚くかもしれません。でもきっと気に入る味だと思います。

香港荃湾蓮香桟の馬拉糕(マーライコー)
 
 馬拉糕(マーライコー)です。日本では中国風カステラなどと呼ばれています。確かそんな感じです。違うのは馬拉糕は出来立てのものを食べることができるということです。朝の早茶で蓮香桟に行くと、まさに出来立ての馬拉糕を食べることができます。馬拉糕もできたてのものとそうでないものとでは味も香りも随分と違ってしまいます。できたてのアツアツの馬拉糕はレベルの高い日本のカステラを食べ慣れている日本人でも美味しく感じる点心です。
 大きさも見てください。急須と比べるとよくわかると思いますが、かなり大きくて食べがいがあります。でも、そんなにお腹にたまるものではないので、最後の一品として食べると良いかもしれません。

銀針粉などはその場で調理

 
 蓮香桟にはホールの中に簡易調理場があります。蓮香桟に来るとワゴンに乗っている点心にどうしても目が行きがちですが、この調理場でないとできない点心もあります。特におすすめは銀針粉という麺類です。上の写真で炒めてもらっているのが銀針粉です。

蓮香桟で銀針粉を炒めてもらう(香港荃湾)
 
 上の写真は銀針粉の調理を始めるところです。
 この調理場では他にピーマンの肉詰めとか腸粉の炒めたものとかも作っています。銀針粉でも調理に3分間くらいかかりますから、混んでいるときはちょっと待ち時間が長くなってしまいます。

蓮香桟の銀針粉(香港荃湾)
 
 銀針粉は香港の伝統的な家庭料理で、レストランや茶餐庁でも殆ど見かけることのないメニューです。先が針のように尖っていることからその名が付けられたそうです確かに上の写真でも先がとがっているのを確認できると思います。
 エビやチャーシューなどと一緒に炒めてあります

蓮香桟の銀針粉(香港荃湾)
 
 食べてみるとプチプチしていて弾力のある麺です。これ、美味しいですね。日本では食べたことがないのに、なぜか懐かしい味がします。まさに家庭料理の味ですね。日本人の味覚に合う味だと思います。
 ただ、お腹には意外にたまります。一人で行ったときにはこの銀針粉を食べてしまうと、他の点心をあまり食べられなくなるという欠点はあります。二人以上で蓮香桟に行ったときに試してみてください。

香港荃湾の蓮香桟

 蓮香桟は、蓮香楼、蓮香桟と同じ蓮香グループの新しいレストランです。香港では数少なくなったワゴン式飲茶を楽しめる数少ない店の一つです。荃湾という場所柄、観光客がほとんど来ないので、香港本来の伝統的な飲茶風情に浸りながら美味しい点心を味わえるおすすめのレストランです。機会があればぜひ足を運んでください。
 もっとディープな飲茶ということであれば、試しに同じ荃湾にある海連茶楼もおすすめです。