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広州蓮香楼で美味しい飲茶


 広州蓮香楼で美味しい飲茶


 広州蓮香楼は飲茶の穴場


 たまには、香港から足を伸ばして広州に行ってみましょう。「食在広州」という言葉があるくらい、広州もまた美食で名高い街です。香港から九広鉄道の直通特急で二時間弱、広州に到着します。

 ここでご案内する店は、蓮香楼。広州の繁華街、上下九路の南西の端に位置しています。沙面にも近い西関地区(オールド広州)にあります。このあたりの建物は「騎楼」といって、2階部分が通りに跨るように張り出し、1階部分はアーケードとなり通行人は夏の強い日差しや急な雨を避けることができるようになっています。西洋のコリドール(回廊)建築と広州伝統の建築様式が結合したものだそうです。


 私が訪問したのは、朝七時半ごろ。ホテルを出て地下鉄に乗って、地図を頼りに近くまで来ました。この時間はまだ歩く人も少ないのですが、蓮香楼のある第十甫路沿いは、昼ごろにもなると大変な人出で賑わいます。
なお、広州随一の名店広州酒家や飲茶で有名な陶陶居も第十甫路にあり、蓮香楼から歩いて1分も離れていません。広州に旅行や出張で行かれる時は、ビジネス街からはちょっと遠いのですが、ここ西関地区(オールド広州)に宿泊すると、食事・グルメという点では大変便利です。広州旅行で、広州のグルメを満喫したいのであれば、沙面の西関甹もあわせて、徒歩圏にいくつもの素晴らしいレストランがある西関地区での宿泊がおすすめです。
 ここ第十甫路に来ると、広州酒家陶陶居もあって、この2店は開店早々から人が殺到します。その点、蓮香楼は客足が少し遅いので、ゆったりと朝の飲茶が楽しめます。特に、広州酒家については広州に数多くの支店がありますが、本来の雰囲気はここ文昌路の本店(第十甫路沿い)でないと味わえません。ところが、中国の観光客もそれをよく知っていて文昌路の本店にお客さんが集中するのです。
 そんな時でも代わりに昔ながらの茶楼の雰囲気が味わえるのが蓮香楼で、広州の飲茶の穴場的な存在と言えます。

広州蓮香楼の入り口

 さて、蓮香楼は月餅で有名な店ですが、二階と三階で飲茶ができるようになっています。
車が邪魔ですね。車の陰に月餅の売場があります。お土産に買って帰りましたが、確かに旨い月餅でした。
 さて、飲茶の話です。この店では一部の個室を除き、飲茶時間は8人くらい座れる丸テーブルで相席になります。私は多少北京語を話しますので、同じ席の人と会話を楽しみながら点心をつまもうかなどと思っていたのですが、ここのお客さんも店員も、基本的には広東語を話しています。もちろん広州ですから、広東語が流通しているのが当たり前と考えられる方が多いかもしれませんが、広州も近年の急成長の影響で中国各地からの転入者が増えており、市内の他のエリアでは北京語の方を多く耳にします。ところが、この店では主に広東語が聞こえるのです。さすがに「オールド広州」にある老舗なのですね。

点心メニュー(広州蓮香楼)

 この蓮香楼では、飲茶はオーダー式です。北京語(簡体字)で書かれたメニューに印をつけていきます。何でここだけ簡体字なのって感じですけど、私にとっては分かりやすいメニューで助かります。このメニューを見て、半分くらいの料理をイメージできるようになれば、飲茶はますます楽しくなります。
 ところで、陶陶居もそうなのですが、この店では飲茶を始める前に食器や箸などをお茶で洗う道具が運ばれます。いわゆる洗杯です。お椀にお茶をこぼして、その中で湯飲みなどを転がして洗います。周りの人のやり方を見ながらやってみましょう!



 蓮香楼で伝統的な飲茶を楽しむ

中国茶器で飲茶(広州蓮香楼)
 
 広州蓮香楼でも、店に入り人数を聞かれ、テーブルに着いたときに質問されるのは、お茶の種類です。日本人だと思われるとジャスミン茶にしますかなどと聞かれますが、ここは普洱茶(プーアー茶)にしましょう。広東語でいえばボーレー茶です。点心をよくつまむときには普洱茶が良いでしょう。と言うのは、普洱茶には油を分解する効果があって、多少食べ過ぎでもカロリーをそんなに心配しないで良いからです。(普洱茶の効能についてはこちらで紹介しています。)
 普洱茶の場合は上のような茶器セットが出てきます。夜間からポットにお湯を入れ、その後に茶海(小さなピッチャーのような形をした茶器)にお茶を入れ、それから茶杯にお茶を移します。こうすることでお茶の濃さを一定にすることができるのです。茶杯の中でぬるくなったお茶は茶盆に捨ててください。洗杯に使ったお茶も同じく茶盆に捨てます。このように茶器を使って普洱茶を飲むと、お茶の楽しさというものも味わえるのです。
 このような茶器が出てくるレストランは広州酒家と蓮香楼くらいのもので、他のレストランではポットから茶杯に注ぐスタイルなので、味わいが違います。

点心メニュー(広州蓮香楼)
 
 上の写真は2014年の蓮香楼の点心メニューです。以前に比べるとメニューが半分くらいに減った感じもしますが、新しくメニューに加わった点心もあります。私のお気に入りだった娥姐粉果や什果蝦網筒もなくなってしまいました。(が、そのうち復活するかもしれませんので、下の方で紹介します。)直近ですと2018年3月にも蓮香楼に訪問しています。その時もほぼ同じメニューです。
 
点心メニュー(広州蓮香楼)

  裏面には粥、腸粉や麺類が出ています。私は一人で来た時にそういった料理は注文しませんけど、焼きそばとかチャーハンとかは11時以降になる旨書いてあります。メニューの種類としては決して少なくありません。むしろ多いくらいです。蒸し物とか粥とか腸粉とかジャンル別に出ていますから、中国語が分からなくてもある程度想像がつく点心がいくつもあるはずです。

美味しい焼売(広州蓮香楼)

 まず、エビの卵乗せ焼売(鮮蝦干蒸皇)です。美味しそうですね。これ、食べてみると見た目以上に美味しいのです。中国人は焼売よりエビ餃子(蝦餃)を好みますが、多くの日本人が満足するのは焼売だと思います。これ、好みの差なのです。
 焼売の中には大粒の豚肉がいくつも入っていて、日本で食べる焼売とは大違いです。加えてエビの卵が口の中でほのかに香って味のハーモニーが流れます。日本と中国の焼売を同じく「焼売」と言ってしまうのが間違いなのでしょう。美味しさが明らかに数段違います。

エビ餃子(蝦餃)(広州蓮香楼)

 蝦餃(ハウガウ=エビ入り蒸し餃子)です。皮から蝦が透けて見えてて、いかにも美味しそうなハウガウでしょう? 実際に美味いんですね、これが。薄い餃子の皮を通して、大きなエビが入っているのが見えます。プリプリのエビはさすがに「食は広州に在り」と言われた広州です。餃子の薄い皮は少し甘さも感じさせる皮です。
 なお、焼売にしても蝦餃にしても、しょうゆなどは一切つけません。点心自体に味が付いているのです。せっかくの素材の味が死んでしまいます。

エビ入り野菜餃子(広州蓮香楼)
 
 続いて、鮮蝦香茜餃です。蝦と香菜などの野菜入り蒸し餃子です。見るからに具がたっぷり入っています。エビは蝦餃に入っているエビより小さいですが沢山入っていて、やはりプリプリしていて合格です。
 日本人の多くは野菜餃子に親しみがあるので、この餃子のように野菜たっぷりの餃子は口に合うと思います。おまけでエビが入っているくらいの気持ちで注文したら良いと思います。

娥姐蒸粉果(広州蓮香楼)

 初めて蓮香楼に来た時、と言うと10年くらい前になりますが、その時の店のスタッフに聞いたおすすめの点心がこれ、娥姐蒸粉果です。日本語で言えば、「美女蒸し餃子」でしょうか。確かに見た目にきれいです。粉果は、米の粉で作る餃子のようなものです。少し厚めの皮ですので、粉果には色々な種類の具が入っていて、入れる具によってさまざまな粉果があります。日本人にはなじみやすい点心だと思います。この店の娥姐蒸粉果には香菜やマンゴー、バナナ、しいたけや豚肉などがくるまれていて、かなり美味しかったです!!
 実は、この娥姐粉果の「娥姐」とは、昔、この粉果を生み出した女性の名前で、その女性はしかも若くて美しかったので、大変な人気だったようです。彼女はガラス張りの厨房でこの娥姐粉果を作り続けていたといわれています。そんな伝説的な点心が、この娥姐粉果です。確かに、美味いです。大満足!!
 ところが、2018年3月現在、娥姐蒸粉果はメニューには載っていません。残念です。ぜひ復活させてほしい点心です。

湯葉巻き(広州蓮香楼)

 同じような点心が続いてしまいましたので、ちょっと趣向を変えてみましょう。野菜の湯葉巻きです。私としては、湯葉巻きは揚げた方が好きなのですが、広州蓮香楼の湯葉巻きはレベル高いですね。合格です。

マンゴー包み揚げ(広州蓮香楼)

 やあ、おいしそうですね。
 什果蝦網筒です。「果物とエビの筒型サクサク揚げ」とでも訳したらよいのでしょうか。エビのすり身とマンゴーを包んで揚げたものです。サクサク感とマンゴーの甘さが印象的です。見た目以上にサクサクしてますよ。
 子供向けの点心なのではないかなどと思われがちですが、大人が食べてもおいしいのです。とは言え、子供に喜ばれるメニューであることは間違いないので、家族連れで来たときなどは、必ず注文してみてください。
 ところが、この点心も2018年3月現在、メニューに載っていません。残念です。

レバー焼売(広州蓮香楼)
 
 たまにははずれもあります。上の写真は猪潤蒸焼売です。肉焼売の上に豚レバーが乗ったものですが、豚レバーがこの焼売に合うかどうかは好みが分かれそうな点心です。私的には、レバーが今一つだし、焼売も固くて、「あれっ?」という評価です。むしろ、定番の陳皮牛肉球の方が良かったかなと思いました。



 お腹にたまる点心

蓮あん饅頭(広州蓮香楼)

 お腹にたまる点心というと、私はお粥を選ぶことが多いのですが、ここ広州蓮香楼では莲蓉包、日本語で言えば蓮餡饅頭です。中華まんというとチャーシューとかクリームが入っている饅頭が一般的です。ここ蓮香楼は蓮蓉月餅(日本語では蓮餡月餅)を開発したレストランで、蓮香楼の双黄蓮蓉月餅(小さな玉子が二つ入っている蓮餡月餅)は今でも中国で広く知られた高級月餅です。
 この蓮餡で名を知られている蓮香楼だからこそ、饅頭にも蓮餡を入れたメニューがあるのです。

蓮あん饅頭(広州蓮香楼)

 外見を見てもよく分からないでしょうから中を開いてみます。ふっくらした甘い生地の饅頭の中にドロッとした蓮餡が入っています。実際には餡はもっとたくさん入っています。蓮の餡は甘すぎないので大人が食べても美味しく感じられますし、すっきりした味です。生地の美味しさもあって、私は蓮香楼での必須注文点心にしています。

腸粉(広州蓮香楼)
 
 お腹にたまる料理としては、腸粉もあります。この日は四式蒸腸粉を注文しました。蓮香楼の腸粉はこれまでも幾度となく食べていて、その味付けも素晴らしいという印象を持っています。この腸粉も期待にたがわない美味しい腸粉です。エビ、豚、アワビ、アサリの4種類の具が入った腸粉で、バラエティに富んでいて、またそれぞれが美味しいので大満足です。

美味しいワンタン(広州蓮香楼)

 広州蓮香楼には、ワンタンなんかもありますよ。ただ、さすがにワンタンを食べてしまうと他の点心を食べられなくなってしまうという欠点があります。実際に上の写真も3時か4時くらいに小腹が空いてしまって、蓮香楼に入ったときに食べたものです。また、夕飯は別のところで目一杯に食べるわけですから、ちょうど良い量です。
 味のことを言っていませんでしたね。もちろん、美味しかったです。すっきりしていて重たくない味です。



蓮香楼のデザート

チャーシュータルト(広州蓮香楼)
 
 ここまで蓮香楼の点心を紹介してきています。これまではほぼどれを食べても美味しいという評価でしたけど、あえて申し上げれば、広州蓮香楼の弱点はデザートにあると思います。デザートに関しては香港の飲茶で食べるデザートの方が洗練されていて美味しいですし、見栄えも良いです。
 そんななかで、新作で出てきたデザートが上の写真のチャーシュータルトです。あまり見かけないデザートです。ひょっとして蓮香楼の独自メニューかも知れません。チャーシューとエッグタルトという合いそうもない組合せなのに、不思議に美味しいです。続けて3個食べるとさすがに味がしつこく感じられて顔をしかめたくなります(どんなエッグタルトでも3つ食べればそうなります。)が、最初の二個くらいは感動して食べられるデザートです。中に大きめのチャーシューが入っていて意外性があるだけでなく美味しいデザートと言えます。

カスタードタルト(広州蓮香楼)

 こちらはカスタードタルトです。これも美味しいですね。甘すぎず、といってもキリリとしまった味です。日本の有名ケーキ屋さん顔負けです。これも初めて来たときに店のスタッフからすすめてもらったデザートです。
 ところでチャーシュータルトにしてもカスタードタルトにしても、意外に飲茶のデザートに合います。恐らく中国茶、特に普洱茶に合うのでしょう。
 これらのタルトはデザートとして合格なのですが、他にこれがおすすめというデザートがないところが、先ほど書いた蓮香楼の弱点はデザートという意味です。この弱点は広州の飲茶屋さんに共通した弱点かも知れません。

マンゴープリン(広州蓮香楼)

 例えば、マンゴーブリンです。私はマンゴープリン大好きなんですが、これは駄目ですね。見た目はきれいですが、これではマンゴーゼリーです。味が期待とはかけ離れている状態です。これはいけません。

 さて、この蓮香楼の点心は本当に質の高い味です。なかなか広州に足を運ぶ機会は少ないかもしれませんが、広州旅行をする機会があったらぜひ、この蓮香楼や広州酒家といった西関地区(オールド広州)にある老舗で食事をしてみてください。また、グルメが目的の香港旅行をされる方なら、せっかくですから広州まで足を伸ばしてください。広州は香港から九広鉄道の直通特急で二時間弱、食べに行く価値はありますよ。
 ついでに言うと、広州という街は、本当にお茶の文化を感じさせます。この蓮香楼のある西関地区から、地下鉄で一駅乗った芳村には、芳村茶葉市場という中国最大のお茶の市場があります。興味のある人は、ぜひ行ってみて下さい。午前中に香港を出て広州に向かい、昼に蓮香楼で飲茶して、その後、沙面芳村茶葉市場あたりをぶらついて、夕食を広州酒家で食って香港に帰る、なんていう香港発一日広州グルメツアーは如何でしょうか。


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