メークロンからマハチャイへ、タイ国鉄メークロン線|アジア写真帳(タイ・メークロン)

メークロンからマハチャイへ、タイ国鉄メークロン線の旅concept

メークロン駅を発車してメークロン市場を通過 


 

 市場の中を軒先すれすれに列車が走るメークロン・トレイン・マーケット。誰もが一度は行ってみたいと思うマーケットです。上の写真はメークロン駅に停車中のメークロン線の二両編成のディーゼル列車です。
 そのメークロンマーケットへの行き方はいろいろありますが、殆どの日本人観光客はバンコクからツアーでこのマーケットを見に行きます。でも、片道1時間ちょっとかけて列車が通るだけのマーケットを見に行くって、時間がもったいなくありませんか。そこで私は、メークロン市場を見た帰りに、タイ国鉄に乗りローカル列車の旅を楽しんだうえに、マハチャイでシーフードを食べるという計画を立てたわけです。

メークロン市場に行って、帰りにマハチャイでシーフード

  この日の私の行動をご説明しましょう。私が考えたメークロンとマハチャイ一日旅行です。行きにロットゥーを利用し、帰りにタイ国鉄を利用しています。なぜ、このようなルートを通るようにしたかは計画の概要のページを参照してください。そのポイントは次の通りです。
  1. バンコク市内の戦勝記念塔駅近くの乗り場から、ロットゥーで朝8時ごろメークロンに向けて出発します。メークロンには9時過ぎくらいに着くはずです。
  2. 11時過ぎに列車が市場を通過しますから、それまでの間に、メークロンの街と市場を散策します。
  3. 12時頃にバーンレームに行く列車が出発しますから、これに乗ってバーンレームヘ行き、そこから渡し船でマハチャイに入ります。
  4. 市場を散策して適当なレストランを見つけてシーフードの昼食をとります。
  5. 昼食を終わって2時頃のウォンウェイヤイ行きの列車に乗れば、3時過ぎにはバンコク市内に到着し、4時前にホテルに帰れる予定です。
 概略、こんなスケジュールです。バンコクからメークロンまでタイ国鉄で行くと片道3時間は覚悟しないといけません。往復ともにタイ国鉄を使うというのは、さすがに時間の無駄でしょう。




  メークロン駅の駅ナカです。レストランが並び、小さな商店も数多くあります。実はこのメークロン駅の列車発着本数は、一日にわずか4往復です。ですから列車の乗客だけを対象とした駅ナカではありません。
 メークロン駅は大きな屋根がついていますから一日を通じて日が当たらず涼しいという特徴があります。つまり、エアコンはないけれども涼しいので、ここで食事をしたりショッピングしたりするという人が沢山来てくれるのです。それに、列車は利用しないけれども観光客もメークロン駅にはたくさん来ますから、彼らも駅ナカにとっては良いお客様です。


 さて、これから私はタイ国鉄のメークロン線に乗って、マハチャイとは川を挟んだ対岸の街、バーンレームに向かいます。ここで問題になるのが列車の運行頻度です。
上の写真をクリックすると、大きな写真が別ウィンドウで開きます。)

 上の写真で、メークロン線の時刻表は、右側の3列で上下になっている部分です。上がバーンレーム発メークロン行き、下がメークロン発バーンレーム行きの列車時刻表です。1日にわずか4往復だけなのです。左から順に、列車番号、発車予定時刻、到着予定時刻と並んでいます。
 バーンレーム発メークロン行きの列車時刻表では次のようになっています。(2014年11月に撮影したものです。 よく変更されるのでご注意ください。)
    7:30 → 8:30
   10:10 →11:10
   13:30 →14:30
   16:40 →17:40
 逆にメークロン発バーンレーム行きの列車時刻表は次のようになっています。  
    6:20 → 7:20
    9:00 →10:00
   11:30 →12:30
   15:30 →16:30
 この時刻表でメークロン駅の発着時刻の前後が、このマーケットの中を列車が通過する時刻になりますので、観光する際に参考にすると良いと思います。

 因みに、上の写真に戻って、左側3列はウォンウェイヤイ発マハチャイ行きの列車時刻表、中央3列はマハチャイ発ウォンウェイヤイ行きの列車時刻表で、列車番号、発車予定時刻、到着予定時刻の順に記載されています。ウォンウェイヤイ・マハチャイ間はそれなりに列車があります。
 
 
 メークロンからバーンレームまでのタイ国鉄の乗車賃はわずか10バーツ、バーンレームから渡し船に乗ってマハチャイへ行き、マハチャイからバンコク・トンブリ地区にあるウォンウェイヤイ駅までのタイ国鉄の乗車賃も10バーツですから、メークロンからバンコクまで、タイ国鉄で行くと25バーツ(渡し船が5バーツ)で行けてしまうのです。
 それでもガラガラなのは、列車の本数が少ないのと、タイでは鉄道よりもバスの方が公共交通機関として発達しているからだと思います。


 ガラガラな列車と言っていましたが、さすがに発車前には座席の60%くらいは埋まるくらいの乗車率になってきました。殆ど地元のタイ人の方で、旅行者は少ないようです。タイ人の方の殆どはバーンレームよりも手前の小さな駅で降りてしまいました。やはり、バーンレームからバンコクやマハチャイの方へ行くタイ人はバスを使うのでしょう。

  
 さて、 バンコクまでロットゥーで帰れば1時間なのに、わざわざタイ国鉄でバンコクに帰ろうとしたわけの一つに、列車の車窓からメークロン市場を見てみたらどうなるかという興味がありました。
 上の写真はメークロンの駅ナカのレストランです。左下に列車の窓が見えますね。もう、列車は走り出しています。


 そして、メークロン駅の大きな屋根の部分を抜けると、駅前の大通りには観光客があふれています。バシャバシャ写真が撮られています。ヒーローになった気分ですが、私も負けじとバシャバシャとシャッターを切ります。
 でも、私がきちんと写真を撮れたのはここまででした。

 
   マーケットの中に入ると、私の位置からでは折りたたんだテントしか見えなくなります。かろうじて人の姿が見えたのは上の写真を含め数枚でした。と言うのも、列車は時速20q以上で走っていますし、テントとは車両から殆ど離れていないし、ということで被写体にしようと思っていた観光客や店の様子などは撮影しようがなかったのです。
 列車の中からマーケットの様子を写真を撮ろうと思ったら、車両の最前部に行って、窓越しに撮影するしかないですね。



メークロン駅からメークロン線でバーンレームへ


 メークロン駅を出発し、列車はあっという間にメークロンマーケットの中を駆け抜けていきました。車窓に広がるのはタイの大地。塩田あり、雑木林ありで、ところどころに木造住宅が見えます。タイの田舎を走っている実感がします。
 上の写真は通路を隔てた反対側に座っていた家族連れの乗客です。観光客の姿はほとんど見られません。


 時刻表だと1時間なのですが、私の乗った列車はメークロン線の終点であるバーンレーム駅まで1時間半かかりました。どこかで長い時間停車したということもないので、ただ単に予定のスピードが出なかった(出さなかった)だけです。
 バーンレームは港町マハチャイとはチン川を隔てた対岸にある街で、メークロンの方からバンコクに鉄道で移動する場合は、この駅で下車して渡し船でチン川を越える必要があります。しかしながら、バーンレームまで列車に乗る人はそれほど多くなく、したがって駅構内も人が閑散としています。


 渡し船の乗り場が分からなかったので駅員に「マハチャイ」(「マーチャイ」と言った方が通じます。)と言いながら、右左を指差したところ、方向を示してくれました。渡し船乗場まで歩いて10分程度と聞いています。閑散としたバーンレーム駅を後にしました。



 バーンレームからマハチャイへ渡し船で移動

タイのシクロ(自転車タクシー)
 
 バーンレーム駅から渡し船乗場までは、もともとは歩くつもりでした。標識も出ていると聞いていましたし、今も出ているとは思うのですが、意外に見つかりません。前を行くタイ人の観光客も道を間違ったのか右に行ったり左に行ったり試行錯誤しています。
 そんなところへタイミングよく表れたのがシクロ(三輪自転車タクシー)です。バンコクではすっかり見かけなくなったシクロがここバーンレームにはあるんですね。言葉は通じませんが「マーチャイ。ボート。」と言うと、「20」と答えが返ってきました。メークロン線1時間半の運賃の倍は高く感じますが、日本円に直せば70円ですからガタガタ言う話ではありません。
 渡し船乗場までは思っていたより距離があって、確かに歩いて10分はかかりそうです。シクロに座って心地よい風を受けながらの移動は、快適そのものです。ここバーンレームに何人くらいのシクロドライバーがいるのか分かりませんが、今回の移動では彼以外のシクロは見かけませんでしたから、まさにラッキーでした。

 
 で、シクロを降りたのがここです。上の写真の通路を奥に入ると渡し船乗場があるようです。例えば、バンコクのチャオプラヤ・エクスプレス・ボートの駅周辺に商店やレストランが集積するように、渡し船乗場の駅周辺には商店が集積し、タイ国鉄のバーンレーム駅とは好対照をなしています。

 
 渡し船乗場の標識かなと思って見たのですが、違いました。とすると、渡し船乗場に行くときはThanon Thawai(ターワイ大通り)の標識を目印にしないといけないですね。ここを知らないと渡し船乗場に行けなかったかもしれません。返す返すもあのシクロに出会えたのはラッキーだと思いました。


 上の写真の通路を入りしばらく歩くと、渡し船乗場に出ます。ここがチン川です。マハチャイとバーンレームの間に流れるチン川をまたぐ橋はありませんので、この渡し船が人々の移動手段です。渡し船は二隻の船が交互にひっきりなしに川の両側を結んで走っています。大変便利です。


 渡し船はバンコク市内と同じように、まさに市民の足として活躍しています。原付もそのまま乗船できるようになっています。


 ひっきりなしに走る渡し船ですが、このようにほぼ満席になります。バーンレームから見るとマハチャイの方がずっと大きな街ですから、ショッピングや遊び、あるいは学習など、様々な面で、バーンレーム方面からマハチャイに出てくる人が多いのでしょう。

 

 私船から見えるマハチャイの寺院です。立派ですね。川沿いに建つ住宅も比較的新しいです。私にとっては初めてのマハチャイですが、意外に開けている印象を受けました。 


 タイの地図を見ていただくとわかりますが、マハチャイはチン川の河口付近にある港町で、少し走れば太平洋です。マレー半島からタイ、カンボジア、ベトナムの海岸線に囲まれた湾をタイ湾と呼びますが、そのタイ湾がマハチャイからすぐ近くにあるわけです。
 上の写真は、渡し船から見るマハチャイ港の様子です。たくさんの船が見えます。さすがはバンコクへの水産物の殆どを供給する港町だけのことはあります。

 

 5分もかからないうちに、渡し船はマハチャイに着きます。他の乗客にならって出口へと進みます。バイクも人々に交じって移動します。こんな時に感じてしまうのですが、タイ人の運転マナーは決して悪くないですね。こういう歩行者が多いところでは人の歩くスピード程度でそろりそろりと走ります。どこかの国ではそんな運転はせずに、クラクションを鳴らして歩行者をどけようとするのとは大違いです。

 

 上の写真はマハチャイの渡し船乗場です。立派なゲートです。
 左側に少し見える建物が、後ほど紹介するシーフードレストランで、この日私が昼食をとった場所です。チン川に面しているので、眺めも良いレストランです。

 

 港町マハチャイは水産市場として知られていて、バンコク近郊では最大規模を誇っています。渡し船乗場とタイ国鉄のマハチャイ駅との間に広大な市場が広がっていて、この日水揚げされたシーフードが豊富に並べられています。
 また、マハチャイはエビの養殖地としても知られていて、日本向けの大規模なエビの養殖場もあります。市場に並べられている素材を見ながら、レストランでの献立を考えるのは大変楽しいことです。エビとイカは外せまんね。
 なお、渡し船乗場からタイ国鉄のマハチャイ駅までは歩いて10分弱かかります。したがって、タイ国鉄バーンレーム駅からマハチャイ駅間の乗換については、寄り道をせずに道も間違えずに、という前提で40分程度かかるものと考えてください。


 で、この日の私は、市場を少し見た後で、渡し船乗場横のシーフード・レストランに到着です。そもそもメークロンの帰りにマハチャイ経由でバンコクに戻るルートを選んだ理由が、ここ港町マハチャイでシーフードを食べることにあったのです。
 予想通り眺めの良いレストランで、しかも川沿いの席に座ることができました。料理は上の写真のトムヤムクン、イカのスパイシーサラダと蟹チャーハンです。どれも大変おいしかったので、港町マハチャイでシーフードのページで詳細に紹介しています。


アジア写真帳(タイ・メークロン)

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