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ミシュラン入り、鳳城酒家本店で朝飲茶


 ミシュラン入りした鳳城酒家で早茶(朝飲茶)


上環のおすすめ飲茶、鳳城酒家上環店はページを移動しました。

鳳城酒家と広東料理 

 
 鳳城酒家は香港に9店舗を有する老舗のチェーン店です。伝統的な広東料理を得意とするレストランで、どの店舗も評判は悪くありません。私も太子にある本店のほか、北角店、銅羅湾店と上環店を利用したことがあります。なかでは、本店と北角店が老舗の風格を感じさせてくれるので特に気に入っています。上の写真は本店の看板です。
 鳳城酒家の発祥は広東省の順徳です。順徳料理は広東料理の一つで、もともと広東料理の源流の一つだと言われています。順徳は広州市のすぐ南に位置していて、珠江三角州の中の古い街の一つです。河川が多いことから魚の養殖が盛んな一方で、酪農が盛んで牛が多くいるようです。そんな土地柄もあって独自の食文化が生まれたわけです。
 今も順徳には鳳城酒家という店があって、営業しています。私もつい先日順徳に行ってきたのですが、鳳城酒家に行くまでもなく、美味しい順徳料理のレストランを見つけてしまいましたので、順徳の鳳城酒家はこちらで紹介しています。素晴らしい飲茶を体験しました。。

 
  昔から「食在広州」と言われる一方で、「厨出鳳城」(料理人は鳳城から出る)と言われ、多くの料理人を輩出してきた街です。周富徳氏の両親や娥姐粉果を作り出した娥姐も、確か順徳の出身だと思います。
 そんな独自の食文化を有する順徳ですが、広州に近いのでその料理や味付けが広東料理に呑み込まれてしまって、今は順徳料理という看板を出すレストランは少なくなっています。鳳城酒家は「順徳の名店」という看板を出しているものの、メニューは広東料理全般にわたり、いわゆる海鮮ものも広東料理として出していますので、お間違いなく。


 鳳城酒家本店の店内です。鳳城酒家の他の店舗に比較すると、テーブル間隔に余裕があってゆったりしているところが気に入っています。本店の営業時間は朝9時からで、早茶(朝飲茶)をするには若干遅い時間です。上の写真は私が9時5分に店に入った時に撮ったもので、9時半にはテーブルがいっぱいになっていました。一人か二人で来ればその後の時間も相席でテーブルを確保できますが、大人数ですと待つ必要が出てくるでしょう。

鳳城酒家本店(香港・九龍)

 この鳳城酒家本店が2018年のミシュランに掲載されました。言われてみれば、確かに味の水準は高く安定していますので当然かもしれません。派手さはありませんが、大御所としての安定感を感じさせるレストランなのです。茶具なども派手さはないですが、シックな感じです。落ち着いた大人の飲茶を楽しめる店、それが鳳城酒家本店です。



鳳城酒家本店で早茶(朝飲茶) 


 鳳城酒家本店の点心メニューです。早茶の時間帯(11時まで)は基本的にこのメニューと排骨飯などのぶっかけ飯メニューだけです。意外に少ないのです。また、この中にはいわゆる順徳点心というのもありません。ですが、それぞれの点心のレベルが高いですから、日本人にとってはきっと満足できる飲茶になると思います。
 欠点としてはオーダーの入れ忘れなのか、他のテーブルにもっていってしまったのかは分かりませんが、大体3割くらいの確率でオーダーしても料理が出てこないことがあります。私だけなのかもしれません。もう私は慣れっこなので、ちょっと遅いと思ったらまた注文するようにしています。


 いくつか鳳城酒家本店の点心を紹介します。まず海老焼売です。この海老焼売は香港の焼売の中では特にビジュアルですごさは感じさせません。焼売の上に乗っているものが貧弱なので、むしろ地味すぎるほど地味なくらいです。でもこれが結構おいしいのです。香港人は圧倒的にエビ餃子(蝦餃)の方を好みまが、ここ鳳城酒家では海老焼売がイチオシなのです。

 

 その理由はこれです。
 アップした写真で見ていただくと分かるのですが、焼売の中にエビがくるまれているのです。実際には一つの焼売の中に二尾のエビがくるまれていて、それがプリプリなのです。チャラチャラした点心屋では、肉焼売の上にエビを乗せて海老焼売と言っていますが、鳳城酒家では焼売の中にエビを入れているのです。ビジュアルに派手さはないけれども食べると分かるというのは、こういうことです。とにかく美味しいです。

 
 そして、もう一つ、焼売があります。レバー焼売です。レバーが大きすぎて焼売の中に入らないので、この焼売の場合はレバーを外出ししています。


 焼売の部分は皮に包まれていなくて焼売の中身そのものです。ですから、焼売の上にレバーが乗っているのではなく、焼売の中身を皮ではなくてレバーでくるんでいるという風に考えた方が良さそうです。
 それでも、朝からこんなに脂っこいのは食べられないなどという声が聞こえてきそうですが、 これが意外に脂っこくいのです。私自身がレバーを大好物にしていることもあるかもしれません。一人で二つ食べても脂っこくて大変という印象は全くないです。むしろ、レバーと焼売が一緒になった美味しさに心躍り、力が湧いてくるという感覚です。これもおすすめの点心です。



鳳城酒家本店の山竹牛肉球(香港・九龍)

 そして山竹牛肉球です。見た目も他店の牛肉球に比較すると繊細さが分かりますが、味も繊細です。うーんと思わずうなってしまいます。私がいろいろ食べてきた牛肉球はもっと脂っこいのです。ここ鳳城酒家本店のは酢をつけなくても良いくらい、脂っこさや肉のくささを感じさせません。一口食べただけで気に入ってしまいました。

 

 私の場合、お茶は大抵は普洱茶(ポーレー茶)を注文しています。普洱茶が点心には最も合うような気がしますし、油も落としてくれるのでカロリーの過剰摂取も防止できるという効果も期待できます。
 その普洱茶茶との相性抜群なのがイカのニンニク蒸しです。 酒のつまみにもなりそうな味付けで、こういう味付けが日本にないのが不思議なくらいです。一気に食べるというよりも、お茶をゆっくり楽しみながら、友人や家族との会話を楽しみながら、時々つまむという感じの点心です。一人飲茶の時は少し持て余すかもしれませんが、普洱茶との相性を考えれば、これもぜひおすすめしたい点心です。


 次は、私の好きな鮮蝦腐皮巻(エビの湯葉巻き揚げ)です。湯葉巻きのサクサクに揚がった食感とエビのプリプリ感が何とも言えない味で、本当に癖になってしまいます。この店の鮮蝦腐皮巻は油が軽いので、特に揚げたサクサク感が心地よいです。ご覧のとおり醤油が出てきています。醤油や酢が出てこない焼売や蝦餃はそのまま食べますが、、醤油を出てきた場合には。 それをつけることを推奨しているということになります。私の好みからすると、ここの鮮蝦腐皮巻はそのままで食べても美味しいと思いますが。

 

 ちょっとかじったところをお見せしましょう。
 サクサクッと揚がった湯葉の皮の中に、エビが見えますね。朝から揚げ物を食べるということに日本人は抵抗感を感じるかも知れません。私も店によっては辟易するような揚げ物もあります。その点、個々鳳城酒家の点心なら安心です。美味しいですよ、、これ。


 お腹にたまる点心としてぜひおすすめしたいのが鶏肉入りの特製粽(ちまき)です。驚くのはまずその大きさです。 他の店ですと蒸籠の中に3つか4つの粽が入っているものですが、鳳城酒家ではドーンと一つ入っているだけです。この粽の大きさにまず驚きます。

中華粽は蓮の葉を開いた習慣の香りが素晴らしい。
 
 中華粽は包みを開いた瞬間に広がる香りの豊潤さが魅力です。同じテーブルで相席している人が振り向くほど、香ってきます。私は得意げに食べ始めるのがこの粽を食べるときの常です。

 
 そして中を開けると、まず鶏肉やシイタケなどの香りが周囲に広がって、そこには色の薄いモチ米が美味しそうに粽になって現れてきます。この時に広がる香りの素晴らしさに嬉しくなります。鳳城酒家の粽には醤油は一切使われていないそうです。醤油の味付けがない代わり素材の味が染みわたっているのです。


 素材ではもち米以外では鶏肉が最も多いのですが、しいたけや筍といった素材も見えます。これらの素材に干しエビや紹興酒などの隠し味が効いて、絶妙の香りが染みわたっているのです。この粽は香港の中でもかなりレベルが高いと私は評価しています。試していただく価値は十分にあります。

鳳城酒家本店のデザート(香港・九龍)
 
 鳳城酒家本店でのデザートのおすすめはこれ、小豆入りココナッツプリンです。ココナッツプリンの美味しさもありますけど、小豆の量が絶妙ですね。さっぱりしていてちょっと甘くて、食後にいただくのにちょうど良い味なのです。マンゴープリンなどもありますが、鳳城酒家本店では私はいつもこれです。

鳳城酒家本店(香港・九龍)
 
 香港での伝統を感じさせてくれる鳳城酒家本店の飲茶。メニューも奇をてらわず、オーソドックスな点心が並んでいます。ここで飲茶をすると何かほっとした気持ちになります。
 一方、鳳城酒家上環店の飲茶では、もっと多くのメニューが並んでいます。こちらも飲茶の激戦地である上環で勝ち抜いてきただけあって、美味しいです。鳳城酒家の飲茶ということでは、本店と上環店がおすすめですね。



 鳳城酒家でディナー


 さて、鳳城酒家は朝や昼の飲茶もおいしいのですが、ディナータイムの本格的な広東料理も捨てがたいものがあります。夜のメニューは中国語で書いた写真なしのメニューだけですので、メニューは豊富ですが慣れない方にはちょっと難易度が高いかもしれません。
 写真上は夜のメニューのうちで鳳城酒家の人気メニューだけを取り出したものです。このメニューは本店以外でも共通だと思います。但し、どの支店でも同じレベルの味を期待できるのかというと必ずしもそうではありません。同じチェーン店でも厨士の良し悪しで味は違ってしまうのです。私がおすすめするのは、本店か北角店です。銅羅湾店味が落ちます。上環店は以前は美味くなくてしばらく行かなかったのですが、少なくとも場所が移転してからは美味しくなりました。調理スタッフもその間に代わったのでしょう。他の店は行ったことがないのでわかりません。
 では、このメニューの中からいくつか簡単に紹介しておきましょう。

鳳城酒家の脆皮炸子鶏(鶏のパリパリロースト)

 まず、最初に紹介するのは脆皮炸子鶏(鶏のパリパリロースト)です。香港では美味しい焼き味(ロースト)をいろいろな店で食べることができます。ガチョウのローストと言えば香港島セントラルにある鏞記(ヨンキー)が有名ですし、子豚のロースト(化皮乳豬)も広東料理の名物です。香港の街を歩けば、焼き味(ロースト)専門店はあちこちにあって、店先に美味しそうな焼き味(ロースト)がぶら下がっています。
 そんな焼き味激戦地の香港にあって、私の印象が最も強いのがここ鳳城酒家の脆皮炸子鶏(鶏のパリパリロースト)です。先ほど紹介した鏞記(ヨンキー)のガチョウのローストが美味しいなどと言う日本人は多いのですが、正直申し上げると鏞記(ヨンキー)のローストは日本人には脂っこすぎると思います。鏞記(ヨンキー)が美味しいと言う人には、ぜひ鳳城酒家の脆皮炸子鶏(鶏のパリパリロースト)を味わってもらいたいと思います。
 中華料理の名前には、調理法が入っているケースが良くあります。日本語で「焼く」という意味の漢字だけでもいくつもあります。「脆皮炸子鶏」という字の「脆」の字は食材の表面をパリパリに焼くという意味合いになります。その名前の通り、パリパリに皮が焼かれて出てくるのが、この脆皮炸子鶏(鶏のパリパリロースト)なのです。いい焼き色ですね。そして、光沢も素晴らしいです。

鍋貼大明蝦(エビのトースト揚げ)

 鍋貼大明蝦(エビのトースト揚げ)です。トーストの上にエビを載せてサクサクに揚げたもので、マヨネーズをつけて食べます。鍋貼というのは日本でいう焼き餃子のことですが、中国では焼くだけの鍋貼もあれば揚げた鍋貼もあります。この料理が鍋貼と冠してあるのはエビの下に敷くパンとエビがサクサクに揚げてあるからでしょう。
 食べてみると、サクサクした食感はいいですし、エビも美味しいです。自慢料理だけあって最初は美味しいと言っていたのですが、二つ食べると三つ目が食べづらくなってしまうのです。一人1~2個で十分でしょう。そういう意味では三人以上で来た時に注文したら良いメニューかも知れません。

 本場の順徳料理の紹介


 順徳料理についてはこのページの冒頭で若干触れていますが、つい先日順徳に行って本場の順徳料理を食べてきました。私が持っている順徳料理の特徴をまとめると、次のようなものです。
 ・素材は魚、牛がよく使われる。
 ・味付けで柑橘系の陳皮がよく使われる。
 ・点心にも特徴的なものが多い。
 ・高級店では目でも楽しめる料理を出してくれる。
 上の牛バラ肉の鍋は子曰・禮というレストランで食べたものですが、自慢料理と書いてあります。酪農が盛んですから牛肉は現地で手に入ります。また、ミルクを使った料理が少なくない点が順徳料理の特徴です。

ホタテのネギソース蒸し焼き(順徳、香雲軒)
 
 ここから3枚の写真は香雲軒といって順徳でも最高級の広東料理レストランで食べたものです。むしろ順徳料理レストランと位置付けるべきかもしれません。
 上の写真の料理はホタテのネギソース蒸し焼きです。見た目には濃い味付けに見えるものの、素材の味を生かした味付けです。素材の味を殺さない調理法なのです。この点が順徳料理の特徴の一つなのかもしれません。
 それから見た目に美しい盛り付けというのも、上の写真から分かっていただけると思います。

倫敦?(ロンドンケーキ)(順徳、香雲軒)
 
 順徳点心で最もよく知られているのが、倫敦糕(ロンドンケーキ)でしょう。甘すぎず香り高く美味しい点心です。倫敦(ロンドン)と言っても英国には全く関係なく、順徳にある倫敦(ロンドン)という地名に因んでいます。同じく順徳の地名を付けたものに、陳村粉があります。陳村粉は河粉を改良して薄く滑らかな食感の麺です。
 さて倫敦糕(ロンドンケーキ)ですが、これは水牛のミルクを使った中国菓子で柑橘系の香りもします。この陳皮を隠し味で使うのが順徳料理の一つの特徴です。順徳で食べる倫敦糕はさっぱりした味でいっぺんに好きになりました。

順徳らしいお粥(順徳・香雲軒)

 最後に順徳のお粥の紹介です。順徳らしいお粥ということで、刻み野菜と魚の粥というのをオーダーしました。初めて見た名前です。魚は順徳の川魚でしょう。そして食べてみると、陳皮(柑橘系)が隠し味で入っていて、魚の生臭さを消しています。この味付けこそが順徳料理の真髄です。朝に食べる粥としては大変おすすめできるさっぱり系で食べやすい中華粥です。

 順徳料理、素晴らしいです。順徳の香雲軒というレストランが素晴らしいというだけではないと思います。鳳城酒家ではこういう料理はディナータイムのメニューにいくつか入っています。次回、鳳城酒家ではそうした順徳らしい料理にいくつか挑戦したいと思います。



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