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アジアグルメ図鑑−揚州、本場の揚州炒飯


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 揚州。日本ではあまり馴染みのない土地ですが、中国ではその歴史にたびたび名前が出る街です。日本人に分かりやすく説明するならば、上海から長江(揚子江)に沿って西に進み、南京の手前にある都市ということになるでしょうか。また、中国の歴史に明るい人ならば、長江(揚子江)と京杭運河(北京と杭州を結ぶ運河=隋の時代に作られた。)が交差する交通の要衝と言えば分かるでしょう。
 清の時代には揚州の塩商人が清の富を集中させ豪華絢爛な庭園文化も生まれるなど、その時代時代で繁栄する街なのですが、交通の要衝というその地理的な性格から、歴史の変わり目には必ずと言って良いほど戦火で失われてしまうという歴史を辿っています。
 揚州といえば、「塩商人」「痩西湖(上の写真)」などが浮かびますが、私の場合は何と言っても「揚州炒飯」や「湯包」などのグルメが頭に浮かんでしまいます。街は戦火でなくなっても食文化は延々と引き継がれるのです。

 
 そんな揚州は揚州点心で有名です。揚州の点心というと、どうしても富春茶社の名前が第一に挙がってしまいますが、富春茶社にも劣らない点心の店としては冶春茶社冶春花園があります。中国では揚州炒飯以前に揚州点心が有名で、この揚州点心を食べさせてくれる名店の揚州炒飯は、本当の「本場の揚州炒飯」なのです。
 上の写真は冶春茶社です。歴史を感じさせる店構えですね。

 
 冶春茶社で食べた本場の揚州炒飯です。冶春茶社に入って注文したときに、「揚州炒飯は二人には多すぎるので?麺(煮込みそば)のほうがいいですよ」とお店の人にアドバイスされたとおり、4〜5人前の量のチャーハンが出てきました。
 中国での代表的な炒飯が揚州炒飯です。いわゆる玉子炒飯なのですが、中国で初めて炒飯に卵を絡めたのが揚州出身の調理人だったそうで、その出身地をとり、これを揚州炒飯と呼ぶようになったと聞いています。日本で食べる炒飯の多くも、この揚州炒飯が原型です。
 冶春茶社の揚州炒飯は、至って普通の玉子炒飯です。普通の、全く普通のどこにでもありそうな炒飯に見えますが、これがすこぶる美味いのです。さりげない飾りのないシンプルな玉子チャーハンが、何故こんなに美味いのでしょう。

 
 揚州には4回行っていて、当然ながらその都度本場の揚州炒飯をいただいています。その中で最もおいしかったのは、上の写真にある盛宴の炒飯で盛宴炒飯と言います。
 お椀で注文したのですが、これが意外に量が多くて、日本ならどんぶりの大きさです。これも玉子チャーハンですから、やはり揚州炒飯の一種類です。さすがに店の名前を冠した炒飯だけあります。味付けがすこぶる良いのです。そして、ご飯の炒め方も少しパラッとした軽い感じで心地良いのです。実は他の料理でお腹いっぱいになってしまっていたので、炒飯が来てもあまり食べられないと思っていた私なのですが、何とどんぶり一杯分の炒飯を完食してしまいました。
 本当に旨いです、盛宴炒飯。インターネット上でもこの盛宴炒飯を絶賛する書き込みが多いのですが、揚州ナンバー1の揚州炒飯です。このどんぶり一杯で10元(日本円120円。2011年9月現在。)というのは信じられません。

 
 揚州に行く機会がありましたら、本場の揚州炒飯をぜひ食べてもらいたいと思います。老舗の富春茶社冶春茶社冶春花園は当然のことながら、地元で大人気の盛宴もおすすめです。そして、上の写真にある揚州点心にもぜひトライしてみてください。揚州点心は香港や広州で食べる広東料理の点心の原型になったもので、日本人の口には合うと思います。
 以下に、揚州のその他のレストランで食べた揚州炒飯を紹介します。



 揚州格蘭雲天大酒店のレストラン


 せっかく揚州に来たので、今日は揚州炒飯を食べようということで、どこで食べるか悩んだのですが、結局、宿泊している4つ星ホテル、揚州格蘭雲天大酒店(グランドスカイライトホテル揚州)の2階のレストランを選びました。このホテルは2010年にオープンしたばかりなのですが、従業員教育がなかなかしっかりしていて、また、英語を話すスタッフも多いのでびっくりさせられます。フロントは勿論のこと、客室清掃のスタッフの一部も英語を話します。設備は機能的で新しく、また、揚州一の観光地である痩西湖にも徒歩五分くらいで行けるという立地の良さも魅力です。
 そんな具合にこのホテルが気に入ってしまったので、ついついホテルの中華レストランに行ってしまったのですが、例によって、今回も一人旅なので、あまり多くの注文はできません。揚州名物の蟹粉獅子頭と揚州炒飯が食べられれば良しです。
 まず一品目は、蟹粉獅子頭、蟹粉入りハンバーグです。上海や蘇州などでさんざん食べてきた蟹粉獅子頭も、やはり本場、揚州の蟹粉獅子頭には敵いません。かなり旨いです。


 この中華料理レストランは、名前は単に「中餐庁」というレストランという意味の中国語で紹介されているだけですが、広東料理レストランとしてホテルの案内では紹介されています。とは言え、私としては、揚州名物の蟹粉獅子頭と揚州炒飯が目当てですので、それでは広東料理レストランとしての腕前を見ることはできません。
 そこで注文したのが、上の野菜炒めです。写真の通り、フランス料理のような色彩で出されたその味は、確かに広東料理のさわやかさを感じさせる味付けで、これまた、かなり旨いです。香港在住3年間、広東料理にはうるさい私を感動させる素晴らしい野菜炒めです。


 そして、お待ちかねの揚州炒飯の登場です。一人で食べるには、当然多すぎる量の揚州炒飯です。見た目には、海老、ハム、ねぎ、にんじんなどと炒められただけの平凡な玉子チャーハンです。4つ星レストランのレストランなのに、お皿に花などが飾られることもなく、質素な盛り付けで、それがかえって「味で勝負だ」と訴えているようでもあります。

 

 お皿からお椀に入れ替えて揚州炒飯を食べます。
 うーん、絶品。もう、100回か200回か分からないほど食べてきた揚州炒飯ですが、ここ揚州の本場の味は流石です。シンプルな味付けですが、食べても食べても、もう一杯食べたい、そんな気にさせてくれるチャーハンなのです。脂っこくなく、しつこくなく、食欲をそそるチャーハンです。具沢山という訳でもないのに、海老やハムなどの味わいが豊かで、広東料理の野菜炒めをおかずに何杯も食べてしまいました。旨い! 絶品の味です。
 この揚州格蘭雲天大酒店(グランドスカイライトホテル揚州)の2階のレストランは旨いですね。今度また揚州に来る機会があれば、ぜひまた食べたいレストランです。
 


老舗の老街飯庄


 翌日、昨晩の揚州炒飯を思い出しながら、本場は違うなと思う反面、いや、これが本当に本場の味なのか、という気持ちにもなりました。実は昨年、上海南京路にある揚州飯店というレストランで食べた揚州炒飯は、もち米みたいなチャーハンだったのです。昨晩のおいしい揚州炒飯は、広東料理風揚州炒飯なのではないか、そんな思いに駆られてきたのです。
 そこで翌日、今度は、地元の人にも好評な庶民派レストラン、老街飯庄に行きました。目的は、もちろん、揚州炒飯を食べることです。ここなら、本場の揚州炒飯を食べさせてくれるはずです。

 その老街飯庄で、まず注文したのは三品です。この中には揚州炒飯は入っていません。本当は二品にしようと思っていたのですが、揚州では鍋貼(焼き餃子)も旨いということをこの日の観光の途上で地元の人から聞いていたので、鍋貼(焼き餃子)も注文してしまいました。
 まず、?干絲が出てきました。麺類のように見えますが、干し豆腐を細切りにしてごま油や塩などで和えた冷菜で、これも揚州名物の一つです。さっぱりした爽やかな味付けで、旨いですね。この干絲は揚州では何回か食べましたが、どこで食べても旨いですね。流石は揚州料理です。


 次に出てきたのが魚香肉絲です。豚肉の細切りと野菜を魚香という調味料で炒めたもので、中国江南地域ではよく食べられている家庭料理です。ちょっとピリッとした味付けが私の好みで、その好みに合った味付けです。これも合格です。


 そして、鍋貼です。焼餃子かと思ったら揚げ餃子が出てきました。確かに鍋貼の字のごとく、鍋に貼り付いて餃子がてんこ盛りです。はっきり言ってちょっと脂っこいです。期待した味とは隔たりのある鍋貼です。それでも、地元の人から「揚州の鍋貼は旨いんだ」と言われたばかりでしたので、4つ、5つと食べてみました。だんだん味に慣れてきて旨く感じるかなとも思ったからです。
 しかし、やっぱりこの店の鍋貼は私の口には合いません。油が胃にたまっていく感覚です。さあ、口直しに揚州炒飯でも食べるか、と思ったときには、胃が油で半ば破壊され、新たな注文を出す食欲まで失われてしまいました。残念ながら、老街飯庄での揚州炒飯は次回にお預けです。

 ということで、今回の2泊3日の揚州滞在中、本場の揚州炒飯は1回しか食べられませんでした。私としては、ちょっと残念な結果になってしまいました。
 揚州は、清の時代に繁栄を極めた街だけあって、グルメの水準には大変高いものがあります。特に、富春茶社、冶春茶社や冶春花園の蟹粉湯包や包子などは、印象に残りました。次の機会には、そういった店でも揚州炒飯を食べてみたいですね。
 (次の揚州訪問時に老舗の冶春茶社で揚州炒飯を食べました。さすがに旨かったです。)



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