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北京の什刹海

(1998年11月29日以来)

什刹海-アジア写真帳(北京)Beijing


 私はアジアの街を訪ねたときは、必ず毎朝散歩をします。朝はその街の普段着の姿を見せてくれることが多いからです。それは中国でも同じで、公園に行けば太極拳やダンスなどを楽しむ人々であふれていますし、街の小吃店は朝から賑わいその街の臭いを充満させてくれています。
 ここ北京での朝のおすすめスポットの一つが、什刹海です。什刹海は北海公園の北側に位置して、前海、后海と西海で構成されています。上の写真は后海で、沢山の釣り人たちが釣り糸を垂れています。


 また、后海の外周を巡る道路は散歩する人やジョギングする人が沢山います。本当に気持ちの良い朝を過ごすことができます。彼らと一緒に散歩していると、北京の人たちの精神面での生活の豊かさみたいなものを感じてしまいます。昼間の北京の雑踏がうそのように、静かなたたずまいです。


 中国も犬をペットとして飼う家庭が増えてきていて、朝散歩をするとかわいいワンちゃんに沢山出会います。以前は、中国で犬といえば大きな野良犬みたいなのが多かったのですが様変わりです。


 什刹海では前海の南側は夏になると蓮の花が一面に咲き、とても美しい景観が広がります。私が行った時期はちょっとシーズンを過ぎてはいましたが、まだ、蓮の花が前海の南岸を埋めていました。


 前海に咲いていた蓮の花です。杭州の西湖や蘇州の拙政園留園といった蓮の名所の花に比べるとちょっと小振りな蓮の花ではありますが、可憐な美しさを感じます。




 什刹海の前海と后海の所に架かる銀錠橋付近には、小さな屋台が出ます。中国の首都、北京でもこうした庶民的な街の風景は随所に残っているのです。
 奥の建物には「后海酒巴」と書いてありますが、「后海バー」という意味です。前海から銀錠橋あたりまでは、夜になるとバーのネオンが光る場所でもあるのです。


 一つ上の写真の奥に写っている自転車は桃の行商です。因みに、桃は中国が原産地で、中国では紀元前から食用として栽培されていたといわれます。日本の桃も伝わった時期は定かではありませんが、中国から伝来しています。今思うと、本場の桃を2・3個買って、日本の桃と味比べをすべきだったですね。


 さて、銀錠橋から鼓楼の方へ伸びている道が煙袋斜街というショップやカフェが建ち並ぶ通りです。地元民ではなく主として観光客向けのショッピング・ストリートです。


 そんな煙袋斜街にある嘉香茶荘という中国茶専門店です。日本のガイドブックなどにも出ているので期待して行ったのですが、ご覧の通りの規模の店舗ですから、推して知るべしのレベルの専門店です。英語が話せる店員がいるという観光客の店にすぎません。中国茶を買うなら、むしろ地元の人たちが行く大柵欄の張一元茶庄の方をおすすめします。


 什刹海周辺は地下鉄の便が悪いので、バスかタクシーで行くことになると思いますが、このエリアの中を移動するときには三輪車(人力車)が便利です。什刹海を起点として、鼓楼や南羅鼓巷方面に行く場合などは、徒歩で行くと時間もかかるので、三輪車を使うと良いと思います。


 胡同巡りの起点として什刹海を考えるなら、まず、什刹海の前海と地安門西大街が接するところにある荷花市場がそのスタートになります。この辺りはかつては数多くの屋台などが集まるエリアで、その屋台街が「荷花市場」と呼 ばれていたそうです。最近、この「荷花市場」という名前が再び使われるようになり、上の門をくぐるとバーやレストランが集積したエリアになっています。




 三輪車には、什刹海地区のどこからでも乗れますが、荷花市場から地安門西大街東に沿って東にある三輪車の車庫に行くと、本当に沢山の三輪車乗りのおじさんたちがお客さんを待ち受けています。三輪車はほどほどのスピードで胡同を走ってくれますので、景色を見るも良し、カメラを構えるも良しで、なかなか印象深い旅の思い出になります。時間があれば、四合院見学にも連れていってもらうとなお良いと思います。


 胡同の中でも、什刹海周辺は比較的裕福の人たちの邸宅が多く、この通り辺りはそんな雰囲気が漂う通りです。駐車している自動車などがどうしても写真に写ってしまうので、写真で見ると普通の道路に見えてしまいますが、実際にその場に立ってみるとなかなか雰囲気の良いエリアです。こんな道路を三輪車は走って胡同巡りをしてくれるのです。


 観光客向けのカフェやショップが集積している南羅鼓巷までは、什刹海から三輪車で行けばすぐです。1時間か2時間程度の時間貸しで三輪車を使えば、途中、胡同や鼓楼、鐘楼、恭王府といった見所を回りながら南羅鼓巷まで来ることができます。南羅鼓巷で少しショッピングを楽しみながら、洒落たカフェで一休みすると、過去と未来がミックスされた不思議な半日を楽しめるのです。


アジア写真帳(北京)