関羽と華陀も祀られているマカオの康公廟

関羽と華陀も祀られているマカオの康公廟


マカオの康公廟は三国志と関係があるのか


 マカオはマカオ歴史地区と呼ばれる30を超えるユネスコ世界遺産があって、いつも観光客で賑わっています。セナド広場聖ポール天主堂跡といった人気のスポットでは、土日ともなると大変な混雑になります。というのも、マカオは2005年に中国人の自由旅行を認めていますが、香港や台湾はまだ認めていません(申請と承認が必要になります。)ので、大陸の人たちから見てマカオは行きやすい観光地であり、人気が高いからです。
 そんな昼間や夜の雑踏を避けたいと思って、夜明けとともにセナド広場、聖ドミニコ広場(板樟堂前地)や聖ポール天主堂跡のあたりを散歩して、世界遺産を独り占めした気分を満喫した後、世界遺産ではないですが「康公廟」という名前が道しるべに見えたものですから、散歩ついでに足を伸ばしたのが私の康公廟への初めての訪問のきっかけです。朝8時前でしたので、上の写真の通り、門は閉ざされていました。香港にある文武廟より立派な感じのする寺院です。


 セナド広場から歩いて5分くらいでしたけれども、せっかく来たのに入れずに残念という気持ちで立ち去ろうとした時、目に入ったのが、閉ざされていた門に描かれていた二人の武将です。

 
 ちょっと漫画チックに描かれていますが、どう見ても右は関羽ですし、そうなると左は張飛です。ここ康公廟というのは、国防の功績が讃えられ康公に封じられた漢代の武将、李烈(康公真君)だと聞いていましたので、何故ここに関羽と張飛が描かれているのか、さっぱり見当がつきません。


 さらに門の上には、劉備が関羽と張飛を従えて諸葛亮を訪問する三顧の礼まで描かれています。ここは、三国志関連の寺院かと思いたくなってしまうそんな入口なのです。このような入口を見せられると中を見学しないわけにはいきません。
 しかし、まだ開門していませんし、何時になったら開門するかも分かりません。結局、近くの大龍鳳という茶楼で朝飲茶をして、さらに付近の散策を終えた10時過ぎにここ康公廟に戻ってきたのです。




康公廟は漢代の李烈を祀る寺院


 さて、康公廟に戻ってきました。上の写真にあるように、渦巻き型の線香が焚かれ、境内は線香の煙でいっぱいです。こういう寺院の光景は、媽閣廟香港にある文武廟と同じですね。
 康公は文武両道で医術にも長けており、生存中は漢の功臣として民を守っていましたが、成仏後も時々霊力を発揮し、災難を防いで民衆を守ったとされています。また康公には、戦いで苦境に至ったときれ、馬の足跡を鴨に消してもらって敵の追跡から逃れて危機を脱したという逸話があるそうです。そうしたことから、康公はその後決して鴨を殺さないことを誓ったそうです。康公を敬う信者は、康公を祀る前には鴨を食べないとされています。



 右が康公です。完全に神様の風貌になっています。左側は誰なのでしょうか。
 この康公の像が据えられているのが寺の中央で、左右に小部屋があります。

 
 一つの小部屋には上の写真の関羽の像がありました。青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)を持ったほぼ等身大の凛々しい関羽像です。関羽の青龍偃月刀と張飛の蛇矛などという武器は実は実在してなくて云々という話もありますが、青龍偃月刀らしきものを持っていれば関羽らしく見えるものです。赤ら顔の立派な関羽像でした。

 
 上の写真は入口脇にあった馬大将軍なる像です。この像のモデルが誰なのかはわかりません。



康公廟の華陀殿


 そして、康公の像が据えられているのが寺の中央で、左に関羽像のある小部屋があるところまでお話ししましたが、反対の右側には華陀殿なる名前が付けられています。三国志によく出てくる医者の華陀を祀っているのでしょうか。


  華陀殿の中に入ると、ここも線香の煙が充満しています。正面に大きな像があるので見てみましょう。


 優しい顔をしたおじさんが鎮座しています。おじさんなどと言ってはいけないのでしょう。神として崇められているのですから。ただ、顔を見てもこれが華陀なのかは確信が持てません。

 

 ところが、像の下に位牌のようなものがあって、「漢代良医華陀先師」と書いてあるではないですか。これは間違いなく三国志に出てくる医者の華陀の像です。

 
 この部屋には華陀の弟子たちと思われる9人の像もあります。花も飾られていましたが、薬草と思われる草もあったりして、なるほど華陀を祀る部屋らしい飾り付けです。

 この寺に祀られている康公は文武両道で医術にも長けていたことは先ほども書きました。漢の功臣だった康公が尊敬していたのが文(医)の世界では華陀であり、武の世界では関羽だったのではないでしょうか。そうしたことから、中央に康公が祀られ、左に関羽、右に華陀が祀られていると考えると、一見何の関係もないような、この三人の配置が理解できるような気がするのです。



 近くの大龍鳳茶楼で朝飲茶

 
 冒頭でも書きましたように、私が康公廟を見つけたのは朝の散歩中で8時前でした。まだ門が閉まっていて門が開くのは9時か10時頃でしょうから、その頃にまた戻って来ようと思っていたのですが、周りを見ると、「茶楼」の文字が入った大きな看板が見えます。そこで朝食でも食べて時間をつぶしてから戻るのも良いでしょう。大龍鳳茶楼です。こんなところに茶楼があるなんて思ってもみませんでした。

 
 上の写真は大龍鳳茶楼を正面から見たところです。朝8時前ですが、しっかりお客さんが入っていますね。入口には鶏肉などがぶら下がり、飲茶用の蒸籠なども見えます。庶民的で良さそうな雰囲気です。ということで、思いがけずマカオで朝から飲茶ができる恩恵に浴することになりました。この大龍鳳茶楼は、未確認ですが7時には開店しているようです。


 上の写真は朝7時半過ぎのマカオの大龍鳳茶楼の様子です。地元の人の姿しかありません。したがって広東語しか聞こえません。私の北京語はほぼ通じません。英語や日本語などもってのほかです。こういうローカルな店というのは旅情を掻き立ててくれるので最高です。
 この飲茶屋の詳しい話は別ページに掲載していますのでそちらを参照いただきたいのですが、その時に食べた点心をいくつか紹介しておきます。

 
 さて、一人で朝飲茶をしたこの日、私が注文した点心は三品です。
 まず、上の写真の湯葉巻スープ煮です。実はメニューではスープ煮ではなかったのですが、スープが来てしまいました。この点心を持ってきたときに、店員が広東語であれこれ説明していましたけれども、実は今日はこれしかないんですよ、みたいなことを言っていたに違いありません。広東語しか通じないから確認がしようがないし、私としてはスープ煮でも構わないのでありがたく頂戴しました。美味しいです。庶民の点心の味です。

 
 そして、上の写真は 娥姐蒸粉果。日本語で言えば、「美女蒸し餃子」でしょうか。確かに見た目にカラフルできれいです。香菜やにんじん、ゴボウ、しいたけや豚肉などがくるまれていて、お味も美しい。本当に美味しいのです!!
 なお、粉果は、米の粉で作る餃子のようなものです。少し厚めの皮ですので、粉果には色々な種類の具を入れていて、入れる具によってさまざまな粉果があります。具が沢山入っていて味にバラエティもあるので、日本人にはなじみやすい点心だと思います。

 こんな具合に朝飲茶で点心と地元の飲茶屋の雰囲気を味わって時間をつぶしたわけです。詳しくは大龍鳳茶楼で朝飲茶のページを参照してください。なお、もっと本格的な飲茶ということであれば、康公廟から歩いて5分くらいのところに陶淘居という広東料理レストランがあって、こちらでは香港や広州と同レベルの点心が食べられます。ただ、陶淘居は朝9時の開店です。

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