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杭州酒家、行列のできるおすすめレストラン


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 杭州飯店は老舗の杭州料理レストラン

 
 杭州に観光に来たら、せっかくだから杭州料理を食べてみましょう。杭州料理というのは、中国の八大料理に数えられる伝統のある料理です。そもそも杭州という街が、その昔、宋の都であったことから、人と富が集まり料理が進化したという歴史があります。杭州は上海に近いですから、上海料理のレストランに行っても杭州料理のメニューを食べることはできるのですけれども、杭州で食事するなら老舗の杭州料理レストランで杭州料理を味わってみましょう。例えば、張生記知味観新新飯店の新新庁などがおすすめです。
 このページで紹介する杭州酒家もそうした老舗レストランの一つです。数年前に改装したころから、このレストランは地元の人たちや観光客が群がる人気レストランになりました。夕方6時には入りきれないお客さんたちが店の外にも溢れ出す、まさに『行列のできるレストラン』なのです。

 
 場所は杭州の繁華街、湖浜エリアで延安路に面しています。地下鉄龍翔橋駅から歩いてすぐの好立地です。夕食を食べるなら、予約をするか早く行く(5時ごろ)かしないと入れないと思います。
 入れない場合は知味観本店が近いのでこちらを利用することもできます。知味観本店も行列ができますので多少は待つことを覚悟してもらう必要がありますが、知味観本店は広いので開店は比較的早いと思います。


 1枚もののメニューから料理を選びます。メニューは中国語表記だけです。
 まず、八宝菜です。上の写真が八宝菜です。日本の八宝菜とは全く姿かたちが違います。八宝菜は、当たり前ですが中国が発祥で、日本に伝わる途中で、あるいは伝わった後に日本の八宝菜へと姿を変えていったのです。
 実はメニューでは、八宝菜は冷菜の一つとしてラインナップされています。価格も12元だったでしょうか、極めて安いのです。その時点で全く違うイメージの八宝菜が出てくることを確信していたうえでの注文です。もやし、きくらげ、にんじん、セロリ、‥‥。八種類あるかどうかは分かりませんが、さっぱりした味付けで冷菜としては期待通りです。


 そして、龍井蝦仁です。川エビの龍井茶炒めです。龍井蝦仁は伝統的な杭州料理の一つで、杭州に来たらぜひ一度は食べてもらいたいメニューです。
 杭州をはじめとした中国江南地域においては、上海料理や准揚料理もそうであるように、湖沼や河川の魚介類を素材としてよく利用します。これらの素材を美味しく食べるために、臭みを隠すための味付けが施されているのが特長のような気がします。海の素材を利用する潮州料理や広東料理ほどあっさりしていない理由がここにあります。それでも、新鮮な食材の味をできるだけ生かした料理にしていくのが、シェフの腕の見せ所です。


 新鮮な川エビを龍井茶とともに炒め、龍井茶の香りをほど良くエビの染みこませてあるのが龍井蝦仁です。エビの良し悪しと龍井茶の香りがこの料理の決め手です。ダメなレストランでは、エビがグニャグニャしていて食感が悪かったり、お茶の香りがどんよりしていて重たい味になってしまいます。
 ここ杭州酒家の龍井蝦仁は素材も調理法も合格点に達していて、廉価ではありますが美味しい龍井蝦仁を食べることができます。因みに、2015年7月の時の価格は58元でした。楼外楼や張生記といった高級レストランの半額です。



杭州酒家の人気料理は悶騒南瓜


 この日はこの後に脂っこい重たい料理が続くので、さっぱりした料理ということで、冷菜の八宝菜以外にもう一つ食べやすい料理をメニューに加えました。酸辣土豆絲(ジャガイモ千切りのスパイシー和え)です。スパイシー和えなどと私は訳しましたが、字の通り酸っぱくて辛い味付けです。どちらかというと酸っぱさが強いです。この料理自体が美味しいというほどでもないですが、ヘビーな料理を食べる時は、私はこういった酸辣系の料理があると、箸がすすむのです。

 
 そして、杭州料理の定番、東坡肉です。
 この東坡の肉と名付けられた料理は、西湖を舞台にした詩を書いている蘇東坡に由来しています。日本ではあまり知られていませんが、蘇東坡は宋の時代の杭州地域の太守(首長)でした。蘇東坡は西湖に蘇堤を作ったことでも名を残していますが、こうした工事に関わった労働者たちの労苦に報いるために、蘇東坡が振舞った肉料理が蘇東坡の名を取って、「東坡肉」と呼ばれているのです。
 私は東坡肉が好きなので、どこのレストランでも注文してしまいます。杭州では東坡肉はどのレストランでも一個単位で注文できるので、ついつい東坡肉を注文してしまうのです。

 
  東坡肉は、脂身のある豚肉をトロトロになるまで醤油漬けで長時間煮込んだ料理で、見た目ほど脂っこくないのが特徴です。
肉の状態がよく見えないので、お皿に移して分解してみました。どうです? とろとろに煮込んでありますね。杭州酒家の東坡肉は、なかなか美味しいですね。見た目ほどには脂っこさがなくて、肉は柔らかく、醤油の味がほど良く染みこんでいます。杭州の老舗レストランで食べる東坡肉はどこも美味しいです。その日の体調にもよるかもしれませんが、張生記が一番私の口に合います。ここ杭州酒家や知味観新新飯店の新新庁などもかなり美味しい部類に入ると思います。
 

 そして、いよいよ杭州酒家の看板料理というか、大人気メニューである悶騒南瓜という料理です。南瓜はカボチャのことで、悶の字には悶々とするという意味のほかに閉じ込められる意味もあります。
 左側はピザパンのように見えますけれども、このピザパンの中にカボチャが閉じ込められているのです。ピザパン、カボチャ、そして中華料理という組み合わせに、まずは驚いてしまいます。さらに言えば、右側のポテトみたいなものもパンです。このパンをくりぬいたところにカボチャを入れてあるのでしょう。くりぬいたパンを軽くトーストしてその上にクリームを乗せています。


 悶騒南瓜の中は上の写真のようになっています。
 これ、美味いですよ。この奇想天外な組み合わせが実にバランス良く美味しい味に仕上がっているのです。人気が出るのも分かります。実は私がこのただ悶騒南瓜を食べていたら、両隣のテーブルからそれぞれ中国人が来て、この料理は何という名前の料理?と聞いてきました。美味しいかと聞かれて、美味しいよと答えたら、両隣のテーブルでこの料理が追加注文されました。恐らく地元の人ではなく、他の都市から杭州観光に来た中国人でしょう。

 この料理は日本でも真似できそうな料理ですね。パン自体は日本の方が美味しいパンを作れますし、きっと杭州酒家に負けない味の悶騒南瓜が作れると思うのです。近所の手作りパン屋さんに教えてみようと思います。
 でも、ここで私はハタと考えてしまいます。これが中華料理なのだろうか、伝統的な杭州料理なのだろうか。私の結論は、そりゃ、違います。ここ杭州酒家では、龍井蝦仁や東坡肉といった伝統的な杭州料理を楽しんだ後に、デザートのつもりで悶騒南瓜を数人でつついたら良いのだと思います。それが杭州酒家での食事法でしょう。


 杭州酒家は超人気店です。入れなかったら、近くにある知味観本店で我慢しましょう。知味観本店も伝統的な杭州料理を食べさせてくれる名店です。上に地図も載せてあります。



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