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アユタヤのワット・チャイ・ワッタラナーム

 

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  ワット・チャイ・ワッタラナーム

アユタヤのワット・チャイ・ワッタラナーム

 アユタヤの見所はほとんど川に囲まれた島のようなところに集中しているのですが、このワット・チャイ・ワッタラナームは、島のの南西、チャオプラヤー川を挟んだ対岸に位置しています。1630年、アユタヤ王朝27代の王が母のために王室寺院として建立したものだと言われています。クメール様式の仏塔が立ち並び、ビルマ軍との戦いで破壊されたものの、1987年に改修されました。このワット・チャイ・ワッタラナームの特徴は、クメール様式の仏塔が建ち並んでいることと、中央祠堂を囲むように小塔と回廊があることです。

アユタヤのワット・チャイ・ワッタラナーム

 アユタヤの遺跡は、栄華を極めたアユタヤ王朝がビルマ軍によって侵略された際に徹底的に破壊されたアユタヤ王朝の都です。したがって、ワット・ヤイチャイモンコンなど一部を除き、どの遺跡を見ても、首を斬りおとされた仏像が並び、建物なども大きく破壊されてしまっています。このワット・チャイ・ワッタラナームもその例外ではないのですが、この寺院は建物や回廊跡が比較的よく残っていて、アユタヤ時代の寺院の骨格みたいなものを私たちに教えてくれます。

アユタヤのワット・チャイ・ワッタラナーム

 カンボジアのアンコール遺跡は何百年もの間森の中に眠っていたことにより、自然により破壊されたものですが、いくつかの寺院はかなり修復され、往時の佇まいを取り戻しています。アンコール遺跡では寺院の中に中央祠堂があり、いくつかの祠堂や本堂などを結ぶ回廊が境内を巡り、壁にはデバターが彫られているという当時の建築物の特徴を、アンコール観光の中で感じることができます。
 これと比較すると、アユタヤではビルマ軍によって破壊された程度がひどく、殆ど原形をとどめていないため、往時の寺院などの状態を想像することすら難しいと常々私は考えています。ところが、ここワット・チャイ・ワッタラナームだけは、建物が比較的程度よく保存されているため、往時の姿を思い浮かべることが可能なのです。

アユタヤのワット・チャイ・ワッタラナーム

 そうした意味ではワット・チャイ・ワッタラナームは貴重な遺跡です。
 そのうえ、場所がアユタヤの島の外側にありツアー客も少ないため、比較的静かな遺跡です。このページの写真をご覧いただいても分かる通り、静かにアユタヤの風情を楽しめる寺院なのです。私が好んでワット・チャイ・ワッタラナームを訪問する理由がここにあります。

アユタヤのワット・チャイ・ワッタラナーム

 寺院の周りはよく整備されていて、駐車場の方から入ると上の写真のような光景が広がり、美しい仏塔群に圧倒されてしまいます。しかも、観光客が少ないのでこの雰囲気にたっぷりと浸れるのです。
 それでは場所の説明をします。

アユタヤの地図
ここをクリックすると大きな地図が別ウィンドウで開きます。
 
 上の地図をご覧いただくと分かる通り、アユタヤの市街地は川に囲まれた島のようなエリアに集中していて、アユタヤの多くのスポットはこの島のような場所にあります。島の外にあって有名なのは、地図の右下にあるワット・ヤイチャイモンコンくらいのものです。
 では、私おすすめのワット・チャイ・ワッタラナームはどこにあるかというと、上の地図の左下の凡例がある部分の左上くらいなのです。ここは島の左の橋を渡らないと行けないので、ちょっと行きづらいのです。しかも、橋の手前の道路が渋滞しやすく時間を読みづらいので、バンコクからのツアーではワット・チャイ・ワッタラナームをコースに入れていないものが多いようです。
 ワット・チャイ・ワッタラナームに行くのなら、アユタヤまで公共交通機関で来て、トゥクトゥクを利用して観光することもおすすめします。



ワット・チャイ・ワッタラナームの回廊

アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナームの回廊

 ワット・チャイ・ワッタラナームの回廊です。
 ワット・チャイ・ワッタラナームは中央に少し高い祠堂があって、これを取り囲むように、正方形の形の回廊が残っています。回廊とはいえ、既に屋根は全くなく、壁も崩壊している部分が多い状況です。
 そして、回廊の四隅に大きな仏像を安置した塔が建てられ、正方形の回廊の各辺の中央に中央祠堂に抜ける門が配置され、その門の中にも大きな仏像が安置されているというデザインです。アンコール遺跡などと同じくシンメトリックな配置なのです。このワット・チャイ・ワッタラナームが建てられたのが1630年、アンコールワットは12世紀末ですから時期も規模も全く違いますが、ここに来た瞬間にアンコール遺跡を思い浮かべたのは、そのシンメトリックな設計にあります。

アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナームの塀
 
 回廊で壁が残っている部分は、アンコール遺跡でよく見かけた連子窓です。しかも、アンコール遺跡でよく見られる偽の窓で、連子窓の偽窓です。これを見ると、アンコール遺跡にいるような気持になってしまいます。

アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナームの仏像
 
 回廊に並ぶ仏像は例外なくお顔が斬りおとされています。戦争の無常さを感じさせます。。

アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナーム

 上の写真の正面は回廊の四隅の塔です。ここを見ると、回廊の外側を背にして仏像が並び、四隅の塔の手前にだけ回廊の内側を背にして仏像が一体だけ安置されていたことが分かります。
 正面に見える塔の中に大きな仏像が見えます。

アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナーム
 
 一つ上の写真で四隅の搭の中に見えた仏像です。この仏像は原型を比較的とどめていますが、例えば仏像の頭のまげは破壊されています。


 別の塔では、首が切られた仏像もあります。塔の中の仏像の多くはこの状態です。

 
 

 また、なかには、土台以外の殆どが残っていない仏像もあります。これらは破壊された後、盗難にあったのだろうと思われます。

 

 そんな当時の激しい戦争を感じさせる回廊ではありますが、回廊の内側には芝生が植えられ、とても爽やかです。芝生の向こうに回廊や仏塔が建ち並ぶワット・チャイ・ワッタラナームの景色が広がっていますので、ここでポーズをとって写真を撮る女性が多いようです。しかも、観光客が少ないので、自分だけ写った写真も存分に撮れるのです。

 
アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナーム
 
 そして、観光に疲れたら回廊跡の柱に腰かけてスマートフォンを操作します。アユタヤで撮影した写真をソーシャルネットワークにアップロードしているのでしょうか。それとも、アユタヤ観光の感激を家族や恋人にメールで伝えているのでしょうか。
 いずれにしても、観光客も少なくゆったりとした時間が流れているワット・チャイ・ワッタラナームでは、あわただしい観光は似合わないのです。



 ワット・チャイ・ワッタラナームの本堂跡

アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナームの本堂跡

  ワット・チャイ・ワッタラナームについては資料が少ないので自分なりに想像しないといけないのですが、上の写真は恐らく、この寺院の本堂跡だと思われます。この本堂跡から見るワット・チャイ・ワッタラナームの景色は絶景です。
 本来はここに壁や屋根があって中央祠堂などの仏塔は見えなかったはずなのですが、建物が一切なくなってしまったがゆえに、絶景ポイントになってしまったのです。

アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナームの本堂跡

 この本堂内には、恐らくは三体の大きな仏像が安置されていたと思われます。現在残されているのは中央と向かって右側だけです、左側の仏像は破壊されて跡形も残っていません。
 二体の仏像の奥に見えるのが中央祠堂です。

 
アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナーム

 少しアップして見ると、なるほど向かった左側にも仏像を設置できる台座らしきものが残っていることが分かります。ここワット・チャイ・ワッタラナームの設計思想はシンメトリック、すなわち対称性です。ですから、左側にも仏像がないと、設計思想から考えてもおかしいのです。
 
 
アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナームの修復された仏像

 本堂中央の仏像です。首が切られていないのではなく、たまたま残っているパーツをつなぎ合わせて修復し、恐らくお顔については新たに彫ったのではないかと思われます。恐らく左側の仏像がないのは、そうしたパーツさえも全くなくなってしまっていたからではないでしょうか。

 
アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナームの仏像

 向かって右側の仏像です。子仏像も中央の仏像と同じく、 たまたま残っているパーツをつなぎ合わせて修復し、お顔については新たに彫ったように見えます。こうした修復作業をしてあったからこそ、ここが本堂で三体の仏像が祀られていたことなど、往時の姿を思い浮かべることができたのです。

アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナームの風景
 
 本堂の一番奥の方から三体(今は二体)の仏像と中央祠堂方面を見たところです。この仏塔のシンメトリックな絶景はアユタヤ観光で最も印象に残る風景の一つです。
 言うまでもありませんが、仏像の手前に続く四角い台は本堂の柱の台座です。


 本堂跡から中央祠堂を取り囲む回廊方面を見たところです。破壊された仏像越しに、仏塔が建ち並ぶ風景は壮観です。では、ワット・チャイ・ワッタラナームの仏塔を見てみましょう。

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ワット・チャイ・ワッタラナームの仏塔

アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナームの仏塔

 上の写真の奥に見える階段つきの仏塔が中央祠堂です。手前が回廊の四隅にある塔で、この塔の中に仏像が安置されていることは既に述べた通りです。回廊の壁が少し残っていますね。

 
アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナームの仏塔

 上の写真は中央祠堂です。往時はここに繊細な彫刻などが施されていたものと推測されます。今は、風化してその面影はありません。

アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナームの仏塔

 上の写真も中央祠堂です。往時はきらびやかに装飾されていたに違いありませんが、現在は赤茶けた色をしています。この赤茶けた建物が並ぶ姿がワット・チャイ・ワッタラナームらしいところです。他のアユタヤ遺跡とは趣が異なります。

アユタヤ、ワット・チャイ・ワッタラナームの仏塔

 回廊の外から中央祠堂を見上げたところです。手前に見えるのが正方形の回廊の各辺の中央にある中央祠堂に入るための門です。
 中央祠堂はそれほど大きな祠堂ではありません。ワット・チャイ・ワッタラナームは寺院としても大規模ではありません。でも、この寺院にはアユタヤ王朝絶頂時の寺院のモデルを想像するに足る建造物が残っています。そして、何度も申し上げて恐縮ですが、観光客が少なく、アユタヤ遺跡の旅情に十二分に浸れる静けさがここにはあります。
 私の最も好きなアユタヤ遺跡はワット・チャイ・ワッタラナームです。アユタヤ観光をするなら、ぜひ、アユタヤまでロットゥーなどの公共交通機関で来たうえで、トゥクトゥクを利用してワット・チャイ・ワッタラナームも含めて観光することもおすすめします。