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蘇州の平江路|蘇州古典園林の魅力

(2010年5月1日以来)

蘇州らしい散歩道、平江路SUZHOU

拙政園から平江路へ 


 昔の蘇州、と言っても、ずっと昔の宋や明の時代の蘇州の話を読むと、蘇州は東洋のベニスと呼ばれていた時代もあって、運河が四方八方につながり、運河を走る舟が人々の足となっていたようです。また、その運河の風情が蘇州の一つの魅力だったわけです。そんな運河の様子が残っているエリアと言うと、城内の東にある平江路界隈ではないでしょうか。


 平江路のあたりは、南北に走る運河に東西に走る細い運河があちこちで交わり、なるほどこれだけ運河が発達していれば人々の足になるということが実感できる街です。運河が縦横に走るということは、それだけ橋も必要で、蘇州らしい運河を見て、蘇州らしい橋を渡るという繁華街とは一味違った蘇州を味わうことができます。


 そうした風景が広がる平江路ですから、最近は観光名所としても人気が出てしまってきていて、運河の周りの建物も新築されたりして、上の写真のような歴史を感じる建物が少なくなってきてしまったことは残念です。


 とは言え、運河と運河をすべるように走る小舟を見ながら、広い散歩道をゆったりと歩ける平江路は、蘇州市外の雑踏を忘れ、昔の蘇州へ思いを致すのに絶好の場所で、私も蘇州に来ると必ず足を向ける散歩道の一つです。




 散歩道としての平江路は、拙政園の近くから始まります。
 上の写真は拙政園から運河に出るまでの道ですが、歴史を感じさせるほとんど平屋建ての建物が建ち並ぶ小路を運河の方へと進んでいきます。このくらい鄙びている道の方が歴史を感じさせてくれるので、私は好きです。
 こんな道を拙政園の方から歩いていると、右側の建物がなくなり運河が並行して走る道になります。左側に昔風の建物が並び右側に運河が走る平江路の風景が広がります。


 典型的な平江路の風景が上の写真でしょうか。なかなかのどかなものです。


 観光客にも人気が出てきた平江路には、昔の民家を改造したホテルや上の写真のようなカフェもできつつあります。この程度のものであれば、それほど平江路の雰囲気を壊すものではないので、乱開発されているという状況ではありません。こういったカフェの椅子に腰掛けて平江路の雰囲気に浸るのも悪くないものです。


 電動自転車の修理屋さんが客待ちをしています。一日運河を見ながら、何人来るか分からないお客さんをじっと待っています。これものどかな蘇州の一風景です。よく飼いならされた犬も一緒に客待ちをしています。




 時々、小舟も通ります。観光客向けの舟は、上の写真の通り新しい船もあったりして、安全性の面では良いことなのですが、ちょっと風情に欠けるかなと思います。
 中国らしい運河を見たいのなら、やはり西塘周荘といった水郷古鎮にいくことをお勧めしますし、街中の運河ということであれば紹興が大変良い雰囲気を持っていますのでお勧めです。


 最近は観光客も増えてきた平江路ですから、観光客の喜びそうなお店もできてきています。上の写真は中国茶道具などを中心に品揃えをしている店です。値段は蘇州の街中とほぼ同じ水準です。


 建物に二枚のオールド上海のポスターが張ってある建物があって、思わず足を止めてしまいました。この平江路にオールド上海のポスターは良く似合います。


 このポスターが張ってあるのは土産屋さんでしょうか。実は中に入ったことがないので分かりません。


 上の写真は扇子や骨董品などを売っている観光客相手の土産物屋さんです。
 こうしていくつかお店を見ると分かるのですが、昔の建物を少し改造するだけで、できるだけ平江路の雰囲気を壊さないように店を開いていることが分かります。


 ギャラリーやアトリエも少しできました。こういう店が平江路に似合うんですね。
 あと数年経ったら、ひょっとして平江路の周辺が上海の田子坊のようになっているかもしれません。もっとも、蘇州は、上海に比べるとずっと田舎ですから、そんなにアーティストが集まらないとは思いますけれども。


 ちょっと小腹がすいたのなら、点心なんかは如何でしょうか。平江路を見ながら小龍包などの点心をつまめる店が、平江路を小新橋巷との交差点から南へ少し下ったところにあります。品芳茶社という店です。

 
 
 この品芳茶社では、点心はすべてアツアツの状態で出されますし、味はどれも水準に達しています。とはいえ、いわゆる飲茶の専門店とか老舗とかいった店ではないですから、そんなに期待して行かれても困る店ですが、平江路を眺めながら小吃を食べられるこの店は、私の貴重な隠れ家になりそうです。
 上の写真は西山碧螺茶餅です。蘇州郊外の西山で採れた碧螺春(蘇州の有名な緑茶)で味付けされた餅菓子で、お茶とゴマの組み合わせがおいしいです。熱々の出来立てだということもあるのかもしれませんが、これは大満足です。

 拙政園から歩いてくると、ちょうど休憩したくなる頃にこの店が見えてきます。ここで食べた点心については、こちらのページで詳しく紹介しています。



観光客で賑わう平江路 

 

 休日の平江路です。平江路も蘇州の観光地の一つとして人気が出てきましたので、結構な人出です。昔の蘇州を感じさせる通りに、若い人もたくさん集まってくるというのは、中国経済が一定程度熟成してきた証拠かもしれません。 

 

 一方、陽当たりの良い場所では年配の方や子供連れの方がくつろぎ、 思い思いの時間を過ごしています。

 

 でも、これだけ人ごみが多いと、 平江路が本来持っている風情はあまり感じられなくなってしまいます。私としては、もう少し静かな平江路を散策したいという気持ちが強いので、そういう人は休日とか昼過ぎとかいった人出の多い時間を避けた方が良いと思います。

 

 人出が多ければ屋台が出ます。こういう屋台での食べ歩きを期待しているのであれば、観光客で賑わう休日の午後あたりが良いのでしょう。でも、蘇州で食べ歩きをするなら、店の数が圧倒的に多い山塘街の方がおすすめですね。

 
 

 色とりどりの点心が並ぶこの店などは、ちょっとした腹ごしらえにちょうど良いかもしれません。美味しそうなものもあります。

 
 

 中国人の新婚さんがプロのカメラマンに平江路で記念写真を撮ってもらう姿を多く見かけるのも、天候の良い休日の午後です。

 

 この日も、あちこちで記念写真を撮る新婚さんたちの姿を見かけました。

 
 

 この道の奥でも撮影中ですね。

 
 

 沢山のカップルを見かけましたが、私が見て一番絵になったのが上の女性で、この子は新婚さんではなくて、撮影会社のスタッフだったようです。でも、いいポーズとってくれてますね。

 
 

平江路付近の路地には昔の蘇州がある 


 昔の蘇州らしい街並みは、平江路と交差する細い路地の両側に広がっています。どこも生活観あふれる道で、中国に来たなあという実感が沸きます。私が初めて中国に来た頃というのは、大体こんな街並みだったのですが、最近はどの街に行っても開発が進んで、なかなかお目にかかれなくなってきた風景です。


 平江路から蘇州古典園林の一つ「耦園」に向かう細い運河沿いの道、小新橋巷です。この道も雰囲気のある道です。耦園は観光客は少ないのですが、庭園としての完成度は高く、お客さんが少ないだけにゆったりと中国庭園の心に浸ることのできる私のおすすめスポットです。拙政園から平江路と小新橋巷を通り耦園に回るのには、20分少々の時間がかかりますが、心休まる私のおすすめコースです。


 小新橋巷の風景です。天気の良い日には、上の写真のように布団を干している光景を良く見かけます。

 

 上の写真は別の路地で撮影したものです。
 両側に住宅が建つこうした路地では、洗濯物が干されている光景をよく見かけます。ここが最も陽当たりが良いからなのでしょう。 中国らしい風景です。


 電線に洗濯物を干しているところかなと思ってしまいそうですが、ここでは電線と並ぶように紐をめぐらせ、洗濯物を干しているのです。


 時々人力車も通るこの路地は、昔の蘇州を彷彿させる貴重な一角です。平江路と交差する多くの路地でこうした光景を目にします。平江路の人出が多く、平江路では風情が感じられないときは、こんな路地を当てもなくさまよって、昔の蘇州風情に身を任せるのも良いかもしれません。


 どこの路地もその路地なりに生活感があって風情があります。ここでは、陽澄湖の大閘蟹(いわゆる日本で言う「上海蟹」)の看板が目立ちますね。陽澄湖は蘇州にあります。つまり、上海蟹などと日本では呼ばれていますが、本当は蘇州の大閘蟹なのです。因みに、中国には上海蟹という単語はありません。上海蟹という名前は日本でしか通用しないのです。
 私は陽澄湖まで行って、本場の大閘蟹(蘇州陽澄湖の蟹)を食べてきました。詳細はこちらのページで。

 
 
 平江路付近の運河です。かつて蘇州が「東洋のベニス」と言われていたことを思い出させてくれるくらい、狭い運河が縦横に走っています。昔はこの運河の小舟が蘇州の人々の大切な交通機関だったのです。

 
 
 運河沿いの建物には、歴史を感じさせるものも少なくありません。蘇州風情を感じさせる街角です。


 平江路の脇道の路地を彷徨っていたら、また、平江路に戻ってきました。運河沿いに走る平江路は広いし、車はほとんど通らないので歩きやすいので、やっぱりいいですね。

 
 

 でも、人出が多いこの時間は、私の好きな平江路ではありません。明日の午前中に出直そうという気持ちになって、別の路地を戻ることにしました。

 平江路は拙政園の入口から干将東路の地下鉄相門駅付近まで続く散歩道です。拙政園の帰りに寄るか、あるいは地下鉄相門駅から拙政園獅子林まで歩くつもりで来てください。

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