杭州の楽しみ方

杭州という街

杭州は中国浙江省の省都で、人口約650万人、うち市街地区の人口約400万人を有する大都市です。上海から151kmの位置にあり、長江デルタ地域の中心都市のひとつです。西湖を中心とした風光明媚な街ですが、越や宋の時代には都が置かれた歴史的な街でもあります。

日本からは、成田や関西空港から直行便が飛んでいます。杭州に進出している企業も増えてきましたので、そうしたビジネス客とあわせて、日本からの観光客誘致にも最近は力を入れているようです。とは言え、香港や北京、上海といった地域に比較すると、日本人観光客は圧倒的に少ない状況にあって、「こうしゅう」と言えば、杭州ではなく広州を思い浮かべる日本人が多いのが実態だと思います。実際に街を歩いていても、日本人観光客はまだまだ少なく、逆に、中国人観光客、恐らくは中国の各地から来ているのだと思いますが、本当に沢山の中国人観光客が目につきます。

杭州と西湖

杭州観光の目玉は何と言っても西湖でしょう。杭州の街は西湖の東側に開けていますが、西湖という湖は、その東側を除くと、いずれも山に囲まれています。山に囲まれているからこそ、一つの完結した風景として私たちの目に入ってきますし、そんなに大きすぎない愛着の湧く風景になるのではないでしょうか。
この西湖の美しさを詠んだ詩人の中で有名なのは、唐代における白楽天と宋代における蘇東坡です。二人とも杭州の行政官として外から来た人間ですが、杭州の、とりわけ西湖の美しさに魅せられ、その美しさを後世に残そうということで、詩を詠み、またその一方で、この湖が水深1.5メートルという浅い湖なので、泥で埋まらないように湖の浚渫工事をしています。白楽天も蘇東坡も、その浚渫工事で出た泥を積み上げて西湖内に堤を作っています。白楽天が作ったのは「白堤」、蘇東坡が作ったのは「蘇提」です。いずれも杭州の街から見ると、今では西湖内のアクセントになっていて、この二人の西湖に対する愛情がひしひしと感じられます。白楽天と蘇東坡という西湖を愛する二人の行政官を持ったことも、西湖が今もその美しさを維持している理由の一つだと言えるでしょう。
西湖は、よく西施という中国史上最も美しいといわれる女性に例えられます。西施は、春秋戦国時代に越王から呉王に召しだされた女性ですが、その美しさのあまり呉王は夢中になり、政治を省みなくなったといわれています。今で言えば、悪女なのでしょうか。それはさておき、蘇東坡の詠んだ詩の中にこんな一節があります。

湖の水が輝く晴天の日が良い。 
山々が霞んで朦朧とした風情も一興である。
西湖を西施に例えるならば、
淡い化粧の時も濃い化粧の時も、いずれ劣らず素晴らしい。



晴れた日も雨や靄で霞んだ日も、西湖の美しさは変わりません。これは、蘇東坡の時代も今も変わるものではありません。最近は、西湖の西側の茅家埠周辺の整備が進められています。蘇提西側のエリアですが、これも西湖を泥で埋めないための整備だといわれています。コンクリート等を一切使わず自然の美しさをそのまま残す工事が施されていて、西湖の美しさを後世に残す名工事だと思います。
このように、西湖の美しさは、数多くの西湖を愛する人々の愛情と努力で、今後とも守られていくに違いありません。

さて一方、杭州の街は、マルコポーロの「東方見聞録」で”世界で最も美しく華やかな土地”と称されていることはよく知られています。「美しく」という部分は西湖の美しさと当時の豪華絢爛な建物を指しているのですが、残念ながら当時の建物は太平天国の乱や文化大革命の時代にすべて破壊されてしまっています。また、「華やかな」という部分は、当時としては広い街路や運河があって、人々や船が頻繁に行きかう姿を指しているのだと思います。ただ、中国の都というのは、長安(現在の西安)や洛陽、さらには北京といったところでは城壁に囲まれた広い城内に碁盤目状の広い道路が作られています。これに比較すると杭州という街は、都であったわりにはこじんまりした町で、長安を模して作ったといわれる日本の平城京や平安京に比較しても規模は小さいのではないかと思います。
もともと都としては小さな町であったこと、当時の建物は残っていないことなどから、残念ながら現在の杭州の街並みからかつての中国の都の華やかさを推し量ることはできません。そうした意味で、今の杭州観光のハイライトはやはり西湖だということができます。

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杭州の楽しみ方

杭州を一言で言うと、本当に美しい街です。上海や蘇州などとあわせた旅にして二日間くらいで通過してしまうには、あまりにも惜しい街だと思います。ゆっくりと街の良さを感じるためには一週間、少なくとも5日くらいの時間が欲しいところです。
西湖周辺の風光明媚な場所を散策したり、霊隠寺やお茶で有名な龍井まで足を伸ばしたり、あるいは、解放路周辺や清河坊の店を冷やかしたりするだけでも、3・4日はかかります。しかしながら、本当の杭州の良さというのは、西湖周辺の柳の下で、本を読んだり何もせずぼーっとしていたりして過ごすところにあるのではないかと思っています。また、茶室でゆったりとお茶を楽しむのも杭州の楽しみ方の一つだと思います。そういうわけで、可能な限りゆったりとしたスケジュールで楽しんでもらいたい街だと思います。

食事は、杭州料理といって中国八大料理といわれる由緒正しい料理が中心になります。日本ではあまり食べ慣れない味が多いかもしれません。日本でも有名な料理は東坡肉(トンポウロウ)くらいでしょうか。広東料理と比べると、脂っこいですね。私は嫌いではないですが、もし、杭州料理が口に合わないと思ったら、広東料理の店に行くとか、市内各地にある日本料理の店に行くとか、選択肢はあります。

また、杭州でぜひチャレンジしてもらいたいものが、足浴(足マッサージ)です。市内のあちこちにお店があります。私が行ったのは[女册]娜娜という大型店でしたが、実は市内の二つの支店に行ったのですが、いずれも広くて衛生的な店でした。足浴の内容については、ここを参照してください。05年8月のときは、1時間半で98元でした。この内容でこの値段は大満足間違いなしです。日本語、英語ともに通じませんが、「マッサージ」という単語だけは通じます。なお、店舗情報については、杭州ナビを参照してください。

日本人観光客が困るのは、日本語がほとんど通じないことでしょうか。日本語どころか街では英語もほとんど通じません。地下鉄はまだないので、バスやタクシーでの移動ということになりますが、現地に着いたらすぐに杭州市の地図を買うなりして、主要スポットの位置関係を最初に頭に入れて行動を開始するのが良いでしょう。杭州市の地図にはバスの路線図もついていますので、効率的な動き方を考えると良いでしょう。

日本からの直行便で杭州に入り、杭州から直行便で帰ることを想定すれば、次のようなスケジュールが良いのではないでしょうか。これを基本に、街の散策、買い物や足浴(足マッサージ)を適宜入れたり、朝は必ず西湖湖畔の散歩をするなどして雰囲気を楽しめば、杭州の旅は忘れられない思い出になるでしょう。

主たる行き先 観光のポイント
一日目 柳浪聞鶯周辺
雷峰夕照
柳の下で西湖からの風に吹かれる。
雷峰塔から西湖の全景を見て、位置関係を把握する。
二日目 白堤から曲院風荷
西湖遊覧
途中、平湖秋月や岳廟にも寄る。
湖上からの風景を楽しむ。
三日目 杭州の周辺部 霊院寺、龍井、六和塔などに足を伸ばす。
四日目 西湖西側 茅家埠や郭荘周辺を散策。
曙光路の茶室にもぜひ寄りたい。
五日目 予備日 午前中だけなので、行きそびれた所や再度行きたい所を回る。


 


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