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九份の阿妹茶楼

 

アジアグルメ図鑑(台北)

阿妹茶楼は千と千尋の湯婆婆の屋敷?


阿妹茶楼は九份随一の人気の茶館

九份の阿妹茶楼
 九份観光の魅力は、昔ながらの古い街並みであり、老街での買物やB級グルメであり、美しい海岸線であり、それぞれが魅力にあふれています。そして、もう一つ、この阿妹茶楼の存在も九份の街並みや夜景を語るとき、忘れるわけにはいきません。九份観光のパンフレットや雑誌等での紹介を見ると、この阿妹茶楼なしで九份を説明しているものには滅多にお目にかかりません。
九份・阿妹茶楼と長い石段
 ですから、九份に来る観光客の殆どはここ阿妹茶楼の前を通り、写真を撮影していくことになります。確かに、長い石段の横に建つ阿妹茶楼の建物は風情があふれるものです。残念ながら私は見たことがないのですが、夜になってライトアップされると、さらに風情が増してきます。
 さて、阿妹茶楼の阿妹というのはオーナーの幼名だそうです。「阿」は親しみを感じて使う字ですから、意味があるのは「妹」だけです。恐らくはオーナーの上には何人かのお兄さん、お姉さんがいるに違いありませんし、ひょっとしたら末っ子かも知れません。何人か目の子供で女の子の場合に「阿妹(アーメイ)」という幼名をつけることが多いのです。
 
 九份観光のハイライトがこの通りですから、老若男女、九份観光に来た人なら誰もがこの狭い階段を上り下りします。ですから、この階段はいつも混雑しています。不思議なことにこの階段を通る人に不機嫌な表情をしている人は見かけません。ここを歩く人の楽しそうな顔、幸せそうな顔、満足そうな顔を見ていると、私も元気になります。
阿妹茶楼をバックに結婚記念写真
 九份観光のハイライトの一つですから、結婚記念の写真を撮影するカップルもいます。
 中国、香港や台湾では結婚記念の写真を最近では何百枚も撮影するのが一般的になっています。半分かそれ以上はいくつものセットがあるスタジオ内で撮影し、残りをロケで撮影するのです。衣装を10回以上変えるのも珍しいことではありません。日本ですと結婚式の写真だけですが、それとは別に結婚記念の写真を撮影するのです。ある中国人の女性曰くは、結婚式の写真は親のために撮影するのであって、自分たちのためには結婚記念の写真を撮るのだそうです。新婦にとって、旦那さんになる人と丸一日から三日程度、二人の記念に写真を撮影しているときは本当に幸せを感じるそうです。なるほど、それなら分かります。
 阿妹茶楼が有名なのは、その風情あふれる建物にもよるところが大きいのですが、宮崎駿の「千と千尋の神隠し」に出てくる湯婆婆の屋敷のモデルになっているとされていることも小さくありません。上の写真で、女性二人の後ろには「『千と千尋の神隠し』に出てくる湯婆婆の屋敷」と日本語で書いてあります。
 「神隠し少女、湯婆婆の屋敷」と書いてあります。宮崎駿さんがここ阿妹茶楼に来たことはどうやら事実のようで、この阿妹茶楼と九份老街からインスピレーションをもらって、湯婆婆の屋敷のイメージが出来上がっているのかもしれません。
 なお、ショーケースの横に茶器が並んでいるのは、ここ阿妹茶楼がお茶を提供するレストランだからです。茶楼としての阿妹茶楼の素晴らしさについては後述します。



阿妹茶楼で台湾高山茶を飲む

阿妹茶楼からの台湾東海岸の景色
 阿妹茶楼の中には、茶楼とレストランがあります。昼るの明るい時間帯であれば、私がおすすめするのは茶館です。お茶も美味しいのですが、それ以上に感動するのは、上の写真のような眺望です。台湾東部の海岸線を一望できるテラスがあって、そのテラスとそれに続く二階の半分が茶楼として使われています。真夏ですと暑くて大変かもしれませんが、時期さえ良ければ、テラスの端に座って眺望を楽しんでほしいと思います。
 ここ阿妹茶楼では梨山烏龍茶、凍頂烏龍茶、東方美人や高山茶等々様々なお茶を楽しめるようになっています。また、茶菓子のついている中国茶セットがあって、お茶の銘柄を指定して注文するよりも安くなっています。変な料金体系だと思ってよくよく聞くと、お茶の銘柄指定をすると缶入りのお茶が出てくると言っていましたから、きっとお茶の量が違うのだと思います。ここは迷わず、セットで高山茶を注文しました。なお、ここは日本人のお客さんも多いですから、店員も片言の日本語で説明してくれます。
 お茶のセットは茶盆など中国茶のセットが出てきて、茶盆の横にある茶葉を入れて自分で中国茶を淹れることになります。写真にはありませんが、テーブルの横にやかんと火鉢が置かれています。
阿妹茶楼の中国茶セット
  中国茶の淹れ方・作法については、係の女性が日本語で説明してくれるようです。私は説明不要だったのでお断りしました。横で聞いていたら、あまり上手な日本語ではないですが、実際に一杯目を実演して淹れてくれますので、日本人観光客も見よう見まねで淹れることができるようです。
九份・阿妹茶楼からの景色
  私のテーブルからの眺めです。美味しいお茶を飲みながら、一面に広がるこの絶景を楽しめるのです。九份の魅力が老街だけではなく景色にもあることを、阿妹茶楼のテラスからの眺めは教えてくれます。天気が良ければいつまで見ていても見飽きない美しい景観が広がっています。まさに癒しの空間です。
  セットでは中国茶にお茶請けの茶菓子がついています。ココナッツ饅頭や緑豆糕など典型的な台湾の茶菓子を楽しめます。これらの茶菓子の多くは、日本人の感覚からすれば甘すぎるくらいの味付けですが、一口で丸ごと食べるのではなく、少しずつ食べると確かにお茶請けとして中国茶を美味しくいただくことができます。
  もともと私が九份に行こうと思ったのは、ここ阿妹茶楼でお茶を楽しむことが最大の目的でした。期待以上の景色と美味しい中国茶が楽しめたので大満足です。この阿妹茶楼は確かに素晴らしいので次回の台北来訪時にもまた行きたいとは思いますが、結構混んでいますので今回のように良い席が確保できるかが心配です。なお、半数くらいは日本人観光客のようで日本語が通じますので、観光客も安心して訪問できる店だと思います。
  夕暮れのライトアップされた阿妹茶楼です。もう少し暗くなってからの方が雰囲気が出てくるようですが、やむなく夕暮れ時のショットです。なるほど昼間とは趣の異なるシックで美しい阿妹茶楼の風景になります。
  阿妹茶楼の前の石段も夕暮れ時になっても人の流れが衰えることはありません。ちょっとこの時間だけ人が少なくなったという時を見計らって撮影しても、上の写真の通りです。これより暗くなると、さらに人の流れに勢いが増しそうです。



 阿妹茶楼周辺も素晴らしい

  阿妹茶楼の前の石段は豎崎路と言われています。老街のメインストリートである基山街から豎崎路を少し降りた右側に阿妹茶楼があります。この通りは大変人気のある通りのようですが、恐らくは長い石段の両側に広がる建物、看板や提灯のある風情が良いからではないでしょうか。
 この豎崎路をもう少し下ってみましょう。
九份の九戸茶語
 下った先は上の写真のところで軽便路という道と交差します。正面に見えるのは九戸茶語という茶楼です。すごい数のお客さんが九份に来ていることが分かります。
 九戸茶語から軽便路を左に行くと見晴らしの良い場所に出ます。また、九戸茶語の裏側は建物がないので良い見晴らしが期待できます。このことは九戸茶語の並びにある店にも同様に言えることです。
  九戸茶語のメニューです。こういうメニューを見てしまうとレストランだと勘違いする方も出てくるのですが、九戸茶語は阿妹茶楼と同様に、茶楼です。カフェみたいなもので、日本の喫茶店がサンドイッチやカレーライスをメニューに加えているのと同じです。ですから正直申し上げて料理のレベルは台湾のレストランなどと比較すると、ほとんど期待できないはずです。このような茶楼ではお茶を飲みお茶請けをつまむのがベストで、小腹がすいていても少し点心を注文する程度にとどめた方が良いと、私は考えています。
  阿妹茶楼に行った日ではなく、別の日に九份に来た際、この九戸茶語に入ってみました。この日は天気が悪いので、阿妹茶楼ではなく海の見える席に屋根のある九戸茶語に入ったわけです。天気さえ良ければ阿妹茶楼にそれほど劣らない眺めです。雨が降っていたので二時間弱、雨宿りしました。
 ただ、この九戸茶語は茶楼としては殆ど最低の品揃えです。中国茶の種類が殆どなく、茶楼を名乗るにはおこがましいほどの品揃えです。もちろん、お茶請けなどありません。また、茶楼では当たり前のポットをテーブルに置くことさえしませんので、お茶を一杯飲み終わるたびにお湯を請求する必要があります。日本人団体客御用達の店のようで、30分ごとくらいに日本人団体客数十名がやってきては、10人に対して一人の指導員が台湾茶芸の方法を大雑把に説明し、その後10分くらい滞在させて席を立たせるという繰り返しです。あわただしいです。
 団体客以外は殆ど来ませんでしたが、ここを見て茶楼とか台湾茶芸が分かったような気持ちになって日本に帰る団体客の方々が気の毒になりました。
九份の水心月茶坊
  上の写真は九戸茶語から軽便路を左に曲がり、九戸茶語の二つ先の並びにある水心月茶坊です。ここも二階が茶楼になっていて、建てられている場所からして見晴らしが良さそうです。九份で最も最初にできた茶芸館、九份茶坊の支店だそうです。店舗もお洒落な内装で、九份に次回来た時にはここで景色と中国茶を楽しむのも良いなと思っています。
  軽便路を九戸茶語まで戻り豎崎路を基山街まで登ります。左手に見える提灯がいくつもぶら下がっている建物が阿妹茶楼です。上で夕暮れ時の写真を紹介しましたが、夜ライトアップされた時のここ豎崎路は大変幻想的です。私は写真でしか見たことはありませんが。
 
 そして、豎崎路を登って阿妹茶楼まで来ました。
 阿妹茶楼周辺は九份の中でも最も景観の良いエリアだと思います。海岸線の風景だけでなく、街並みについても、台北旅行の良い思い出になる場所ですし、心が癒される観光地だと思います。九份は台北市内から1時間半程度しか離れていませんので、時間に余裕があればぜひ九分まで足を伸ばし、ここ阿妹茶楼周辺の風情と景色を楽しんでもらいたいと思います。

 なお、基山路を中心とした九份老街の紹介についてはこちらのページで、また、台北市内から九份への行き方についてはこちらに掲載していますので参考にしてください。

        

おすすめの本: 歩く台北 2018

 私が利用して便利だった台北のガイドブックはこれ、「歩く台北」です。新しいビルが次々に建設されている台北の街歩きには、最新の地図代わりになるガイドブックが欲しいものです。
 MRT(地下鉄)が次々に開通している台北での私の歩き方は、地下鉄の駅を中心に考えるようになってきました。この「歩く台北」では、主要駅を中心に駅周辺のショッピングやグルメの店を紹介していますので、その点が使いやすいのです。駅ごとに出ている詳細な地図は、私の台北歩きに欠かせません。薄くて軽いことも、街歩きの地図としての位置づけからすれば、嬉しいことです。
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