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基隆夜市の美味しいグルメ

 

アジアグルメ図鑑(台北)

基隆夜市で餃子、臭豆腐と豚の丸焼き


基隆夜市(基隆廟口夜市)

 台湾の夜で楽しいのは、何と言っても夜市です。台北には、台北最大の夜市、士林夜市もありますが、地元の人たちが集まる雙城一条街通化街夜市の方が、台湾らしくて私は好きです。地元の人が集まる夜市は夜市本来の賑わいがありますし、やっぱり美味しい小吃(B級グルメ)が多いのです。
 そうした意味からすると、基隆にある夜市は地元の人が集まる本来の夜市であるとともに、基隆の港に来る船乗りたちも集まる夜市です。台北から基隆までは、台北駅のバスターミナルからバスで40分程度。バスよりは高いですが、鉄道の特急自強号に乗ればわずか20分強です。台北からは近いです。
 また、九份から直通のバスもたくさん走っています。九份から台北に帰ろうとするとバスの便が少なく苦労するのですが、九份の帰りに基隆に寄り、夜市を楽しんで台北に帰れば楽ちんだし、楽しいことこの上ありません。
 基隆にも夜市はいくつもありますが、最大のものは基隆廟口夜市です。基隆駅やバスターミナルから歩いて10分弱のところにあります。日本人が基隆の夜市と言ったときは、基隆廟口夜市を指しています。この奠濟宮という道教寺院を中心に広がる歴史のある夜市です。上の写真は奠濟宮で、ここが夜市の中心ということになります。奠濟宮のあたりは数多くの提灯で装飾され、大変良い雰囲気です。
  金曜日の夕方8時ごろの基隆廟口夜市です。殆ど地元の人ばかりですが、看板には日本語があふれていて、台湾らしさを感じさせます。
 傘をさしている人が見えますが、ここ基隆は雨が多いことで知られている街で、台北が晴れていても基隆は雨ということがよくありますので、傘を持参した方が良いでしょう。
  上の写真をご覧ください。どうですか、この賑わい。何か日本の居酒屋を見るようですが、最近の日本の居酒屋はチェーン店が幅を利かせていて、最近は日本でもこう言った人間味のある居酒屋が減ってきてしまいました。美味しいものを食べたい人が集まり、飯を食いながら情報交換をする場です。
 この店はワタリガニのおこわが売り物です。これも食べたい、あれも食べたいと目移りしてしまいます。蟹とゴマの香がほんのりと漂います。
 でも近づいてみると、あまり蟹が入っていないので、後ろ髪をひかれながらもパスすることにしました。
 焼イカの店はたくさんあります。それこそ何店あるか分かりません。ただ、食べる順番としてはもう少し後の方がいいかなと思って通過します。



まず、水餃子、焼餃子と酸辣湯 

 そんな具合でキョロキョロしながら、そしてお店を冷かしながら、友人二人とそぞろ歩きしていると、そこに現れたのが餃子のお店。水餃子と焼き餃子(鍋貼)の両方があるようです。友人の一人がどうしても餃子を食べたいということでしたので、まずはここで腹ごしらえです。
 いい感じの水餃子ですね。私は焼き餃子よりも水餃子派ですので、この水餃子はストライクゾーンです。皮が厚めなのは水餃子としては当然で、その皮の味もなかなか良いのです。豚肉と野菜を包んだ水餃子の味は素朴ですけど、箸が次から次へと出てしまう美味しさです。
 写真を見ていただくと分かるように、つやつやしたちょっと厚めの皮が食欲を掻き立てます。手作りの餃子の皮なのでしょう。
  そして、焼き餃子(鍋貼)です。これは日本で食べる焼き餃子と同じですね。特に台湾らしさを感じるものはありません。だけど、日本で食べる餃子にも美味しい店とそうではない店がありますが、この店の焼き餃子(鍋貼)は日本でも美味しい部類の焼き餃子です。皮の良さとたっぷり入った具、そして焼き加減が美味しさのバロメーターですね。
 写真を見ていただくと分かるように、絶妙の焼き加減です。
 そして、スープは酸辣湯です。台湾で食べる酸辣湯は外れが少ないですね。よく煮込まれているので、味が染みわたっていてとても美味しいです。胡椒がたくさん入っていて、香菜もほど良く乗せられています。一軒目でこんなに食べていいのかと思うくらい食べてしまいましたが、どれも及第点で大変満足です。
 実際には上の写真にある通り、ビールを飲みながらの食事です。ビールはコンビニで1ダース買って、それを運びながら店を探していました。屋台ですと飲み物は持ち込み自由なのです。持つ人の負担軽減のため、この店で5本飲みました。
 因みにそれぞれの屋台が持つテーブルとイスはそんなに多くありません。ですから、他の店の食べ物を持ち込むのは厳禁です。あくまでも飲み物は持参OKということです。タイやベトナムの屋台街とはそこが違います。



豚の丸焼きは絶品の味

 豚の丸焼き(ロースト)、基隆廟口夜市
 餃子を腹八分目くらい食べて基隆廟口夜市を美味しい食べ物を探してさらに彷徨います。
 すると何と豚の丸焼きがあるではありませんか。なかなか美味しそうな焼き色です。中国系の人たちは、祝い事や願い事のために集まった時に豚の丸焼き(豚のロースト)をよく食べます。でも、こういう夜市で豚の丸焼きが店頭に置いてあるのは珍しいですね。
基隆廟口夜市の豚のロースト
  もちろんこの場でローストした豚ではなくて、ローストした豚をこの夜市の屋台に運んできたものです。焼き色が素晴らしいですね。これを日本人が見たら可哀想と思う人と美味しそうと思う人に二分されますが、私はもちろん後者です。
 中国や香港では、そしておそらく台湾でも、祝い事や願い事のために集まった時ですとかパーティーの時などに豚の丸焼き(豚のロースト)が出てくることが多いのですが、そういう時は「ここを食べたい」とか言うと、その部位を切ってくれる人がいて、自分が食べたい部位を食べることができます。
 でも、この店では上の写真の左にあるようにパックに肉が入っていてパックで買います。パックですから歩きながら食べられます。皮がパリパリ、肉はジューシーで美味しかったです。基隆廟口夜市に来たら、この屋台を探して食べてくださいね。



麻辣臭豆腐

  さて、私が大好きな台湾のB級グルメは臭豆腐です。臭豆腐には、上の写真のように焼いたもの、揚げたもの、煮たものがあります。臭さで言うと、順に煮たもの、揚げたもの、焼いたものになるでしょうか。ですから、まだ臭豆腐の美味しさが理解できないという方は、まず焼いたものから挑戦する方がハードルが低いので良いでしょう。
 しかしながら今日のメンバー、私を含めた三人ともが、臭豆腐は臭くなければならないという信念(?)の持ち主です。したがって、焼いた臭豆腐の屋台は数多くありましたが、そうした屋台には見向きもしません。今回改めて気づいたのは、臭豆腐の屋台は圧倒的に焼いた臭豆腐店が多いということです。
基隆廟口夜市の麻辣臭豆腐の屋台
 でも、これだけ広くて大きい基隆廟口夜市です。どこかに煮た臭豆腐屋があるはずだと信じて歩き回ること20分、ようやく麻辣臭豆腐の看板を出した屋台を発見しました。この麗葉という麻辣臭豆腐の屋台は30年を超える老舗の麻辣臭豆腐の店で、台湾で麻辣豆腐の人気を高めた功労者の一つだとも言われています。
 奥にテーブルも見えます。ここで臭豆腐を食べてみましょう。
 麻辣臭豆腐の屋台ですけど、上の写真のように揚げただけの臭豆腐も出しているようです。揚げた臭豆腐も美味しそうです。揚げただけの臭豆腐の場合は、これに豆板醤のたれか醤油をかけて食べます。
臭豆腐の調理(基隆廟口夜市)
 せっかくですから調理過程を見学しましょう。豆腐に臭豆腐にするための各店が工夫したタレを染みこませて揚げます。揚げた臭豆腐は鍋の上に並べられています。この過程まででできた臭豆腐が揚げ臭豆腐です。
  私たちが注文した麻辣臭豆腐はこの揚げた臭豆腐とは別の豆腐を使って作っています。このいかにも辛そうなタレの中に豆腐を入れて煮込むのです。煮込んだ臭豆腐が最も臭い臭豆腐だということは先にも書いた通りです。
 麻辣臭豆腐の鍋です。鍋の仕切りの向こうで豆腐を煮込みます。手前のコンニャクみたいなものは鴨の血を固めたものです。鴨の血なんて言うと、おどろおどろしいイメージを持つ人が日本人には多いと思いますが、辛いスープで煮込まれているのでそれ自体にあまり味はしません。ちょっと歯ごたえがあるかなっていう食感で、血の臭いはあまりしません。中華圏で麻辣系の鍋を食べると鴨血ですとか豚血を固めたものが入っていますが、豚血も同じ感覚です。きっと栄養価が高いので、医食同源の考え方から素材として人気があるのでしょう。
 麻辣臭豆腐は、本来はこのようにスープの中に臭豆腐と鴨血が入って鍋料理のように出てくるのです。
  ところが、どこでどう間違えたのか、私たちに出された臭豆腐は残念なことに揚げ臭豆腐でした。私の発音が悪かったのかな、なんて大いに反省しているのですが、どう考えても麻辣臭豆腐と揚げ臭豆腐(炸臭豆腐)を間違えられるほど発音が悪いはずもありません。言い間違えたのかもしれません。
 とにかく出されたものは食べましょう。この麗葉という麻辣臭豆腐の店では、醤油をつけて食べさせるようです。醤油をかけて食べると確かに臭豆腐の臭さが少し緩和されるとともに何となく深い味わいになるような気がしました。
 私のように中国の大陸を数多く訪問していると、臭豆腐の店の価値というか評判というのは臭ければ臭いほど高いように感じます。この傾向は台湾とは少し異なっているようです。その証拠に台湾の臭豆腐は私が大陸のあちこちで食べる臭豆腐に比べると全く臭くないのです。この程度の臭さで臭豆腐と呼ぶには抵抗があると感じるくらいです。ある意味、多くの日本人にとって台湾の臭豆腐は食べやすい臭豆腐だと私は思います。台湾の臭豆腐なら、過半数の日本人は対応可能だと私は思うのです。(台湾の臭豆腐が美味しいと感じた方はぜひ大陸にも行っていただき、さらに臭い臭豆腐に挑戦してもらいたいと思います。)
 そして、麻辣臭豆腐の話に戻るのですが、最も臭い臭豆腐である煮た臭豆腐を麻辣味にして臭いを少し弱くして食べやすくしたものが麻辣臭豆腐なのではないだろうか、そんな気が私にはしてきました。揚げ臭豆腐に醤油をかけたりするのも同じ発想です。そこが台湾と大陸の臭豆腐の差かななんて思いつつ、次回、基隆廟口夜市の麗葉に来た時は必ずや老舗店麗葉の麻辣臭豆腐を食べようと誓ったのでした。

 台北の夜市も良いですが、基隆廟口夜市は雰囲気が最高ですし、食欲をそそる屋台が沢山あります。おすすめの夜市です。
 台北の夜市情報はこちらです。(士林夜市雙城一条街通化街夜市