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台湾の十分老街と十分瀑布

 

アジアグルメ図鑑(台北)

十分の天燈(ランタン)上げと十分瀑布


十分駅周辺

 瑞芳から平渓線に揺られて30分弱、台北からですと乗り換え時間も入れて約一時間半、列車は十分駅へと到着します。台北から十分に行くためにはMRT木柵駅からのバスの方が早いし楽なのですが、台湾のローカル線、平渓線の風情が旅情を掻き立てることを考えれば、私は時間がかかろうとこの平渓線を利用することをおすすめします。平渓線は日本統治の時代に、石炭の炭鉱から石炭を運んだり、炭坑労働者の交通の便として敷設されたもので、今も日本の列車が使われています。この路線は電化されていないので、ディーゼル列車が走っています。
 土日ですと沢山の観光客がここ十分駅で下車します。昼ごろ十分駅に着く列車は日本の通勤電車並みに混雑していますが、その混雑もここ十分駅までです。
 十分駅周辺の有名な見どころというと、線路上での天燈(ランタン)上げと台湾のナイアガラと言われる十分の滝(十分瀑布)でしょう。
 駅を出て、線路沿いの道を歩けばすぐに、たくさんの天燈(ランタン)屋の看板や空に舞い上がる天燈(ランタン)が目に入ってきます。線路の上を観光客が歩いているのは、列車が1時間おきにしか通らないからです。日本ではなかなか見られない風景です。
 この線路際の通りには観光客向けの様々な店が並んでいます。最も目立つのは天燈(ランタン)屋さんで、天燈(ランタン)を上げたい人は、天燈(ランタン)屋でランタンを買って筆記用具を借りてランタンに願い事を書けばよいのです。いくらだか忘れましたけど、結構安いです。3個分買うと、割引になったりしています。
 土産物屋もたくさんあります。「十分好運」という名のキャンディ屋さんです。命名が素晴らしいですね。ご利益があるかもしれないので、私も二箱買いました。 
台湾、平渓線十分駅付近
  列車が通るとになると、天燈(ランタン)を上げていた人も線路外に出て列車が通過するのを待ちます。私は十分に来る前は、香港の北角タイのメークロン市場のように、市場の中を列車が通るのかと思っていましたが、きちんと柵のある線路を走ります。屋台の軒先ギリギリを列車が走るタイのメークロン市場市場の人ごみの中を二階建て電車が走る香港の北角のような迫力はありません。十分はのどかな田舎町の風情です。



天燈(ランタン)上げ

 列車が通り過ぎると、線路上のあちこちで天燈(ランタン)上げが始まります。天燈(ランタン)屋は上の写真でも左にありますが、線路の右にも左にもいくつもあります。天燈(ランタン)の色は自分の好きな色を選べば良いのではありません。本当は願い事などの内容により天燈(ランタン)の色が次のように異なります。
ランタン上げ(台湾、平渓線十分)
 紅色⇒お祝い事
 橙色⇒財産関連の願い事
 黄色⇒事業、学業
 緑色⇒成長、誕生
 青色⇒希望、夢
 紫色⇒ロマン、遊びごと
 白色⇒平安、健康
 淡いピンク⇒愛情、ロマンス
 といった具合ですが、十分で上がっているランタンを見ると、圧倒的に紅色が多いですね。皆さん、そんなのお構いなしに天燈(ランタン)を上げているように感じます。
台湾、平渓線十分のランタン上げ
  天燈(ランタン)を上げることに夢中になっていて、色なんか気にしていないみたいですね。様々な願い事が書かれた天燈(ランタン)が十分の空に舞い上がっていく様子は圧巻です。この日は小雨模様でしたが、お構いなしに天燈(ランタン)は上げられていきます。
  私も天燈(ランタン)を上げようかと思っていたのですが、4人で四隅を持って同時に手を放してあげていくようですから、一人旅では無理ですね。それに、四面に願い事を書くのも大変です。
 日本人や韓国人の団体観光客も天燈(ランタン)を上げていましたから、どうやら天燈(ランタン)は日本語もちょっとは通じるのかもしれません。
  線路際の商店で飼っていると思われる犬です。天燈(ランタン)が上がるのを見ています。本当かな? 
  そして、一時間たち、また、列車が走ります。



 十分の滝(十分瀑布)は台湾最大の滝

  平渓線を十分で下車し、天燈(ランタン)上げの風景を見て、いよいよ十分の滝(十分瀑布)へと歩いていきます。私は普通に歩いて20分だったのですが、他の人のブログなどを見ると、30分では歩けないなどと書いてあったりします。きっとその人は最短距離を歩いていないのだと思います。最短距離は、十分駅から線路左際の道を瑞芳方面に向かって直進し、片道一車線の広い道路をとにかく直進するだけです。すると、「十分の滝(十分瀑布)入口」という看板が見えますから、そこを下って、その後は道なりです。
 上の写真は「十分の滝(十分瀑布)入口」という看板から土産物屋の横の階段を下って1分くらい歩いたところにある吊り橋手前です。
 このつり橋を渡ると十分の滝(十分瀑布)はすぐです。
 この辺りは台北からわずか一時間半、車なら一時間もかからずに来れるのに、こんなにも自然が豊かで驚かされます。本当に、この先に立派な滝があるのだろうかと不思議な気持ちになるほど、台北から近いのです。
  上の写真は十分駅から歩いてきて吊り橋を渡ったところから撮ったものです。右が歩行者用の吊り橋で、左側は鉄道の線路です。
 十分の滝(十分瀑布)は十分駅から瑞芳側に戻ったところにありますから、瑞芳から列車に乗っていると進行方向右側にこの吊り橋が見えます。列車の中から予め見ておくだけで、位置関係が頭に入りますので、列車で行かれる方はこの吊り橋を見逃さないでください。
台湾のナイアガラ、十分の滝(十分瀑布)
  そして、吊り橋から五分も歩かないところに忽然と十分の滝(十分瀑布)が現れます。凄い水量です。吊り橋で渡った川の少し下流にこの滝があるという位置関係です。
十分の滝(十分瀑布)
  落差は20mと小振りなものの幅は40mある滝で、その形状がナイアガラの滝に似ているので、「台湾のナイアガラ」と呼ばれています。十分の滝(十分瀑布)の写真を見ると、私が行った時ほど水量がない写真が多いようです。一年を通してこれほどの水量があるというわけではないようです。
台湾の十分の滝(十分瀑布)
  私が行ったのは土曜日で、十分の滝(十分瀑布)に着いたのは10時半頃だったと記憶しています。その時間でも観光客が多く、滝に近づくには根気が入ります。昼過ぎになると観光客はもっと増えますので、見に行くなら、私と同じように朝の早い時間を選んだ方が良さそうです。見る価値は十分にある美しい滝です。



 十分駅と静安橋、そして十分老街

 
 さてこのページの冒頭で、十分駅周辺の有名な見どころというと、線路上での天燈(ランタン)上げと台湾のナイアガラと言われる十分の滝(十分瀑布)だと書きましたが、それらだけを見て十分駅を去るのは少しもったいないです。十分駅周辺を少し散歩してみましょう。
 まず、駅とは線路を挟んで反対側にある静安橋です。人がすれ違うことができるくらいの狭い吊り橋です。十分駅と街道や十分老街とを結んでいる橋です。
台湾、平渓線十分にある静安橋
 橋を渡りだすとすぐに分かることですが、この橋からの眺めはなかなか爽快です。山々が連なり、 川が流れる素晴らしい景色を堪能することができます。
 上の写真は橋の半ばまで来た時に見える風景です。 日本にもありそうな素朴な山村で、ふるさとの匂いがしてきます。
 振り返れば、十分の駅が見えます。上の写真の左端が十分駅です。十分駅が山を背景にして作られていることが分かります。 
 十分駅周辺の街道です。 台北から来たバスはこの街道を走ります。十分が山々に囲まれたエリアであることが分かります。
 十分の古い街並み(十分老街)です。正面に見えるのは小学校で、 この十分老街では日本の昭和時代のような風景が続きます。でも、建物構造はやっぱり台湾式です。
  手前に見えるのは、十分老街にある民宿。この民宿の建物は現代的な外壁デザインに変わってしまっていますが、一階を歩行者が歩けるようになっている台湾らしい建物が続きます。今は殆ど観光客も通らない静かな通り、それが十分老街です。
台湾、平渓線十分駅
 十分駅に戻ってきました。十分駅では上りも下りも、日中の列車は一時間に一本しかありません。 平渓線は単線のため、その列車も十分駅で車両交換のため長く停車します。台湾鉄路ホームページの時刻表などで予め発車時刻を調べたうえで、十分駅周辺の散策をすると良いと思います。
 十分の滝(十分瀑布)を見て駅周辺の散策をしても二時間くらいでしょう。さらに、十分駅周辺でランタン上げをすると、ランタンに願い事を書いたりする時間も入れて二時間ギリギリか、場合によっては3時間かかるかもしれません。
 十分駅構内にある記念切符の宣伝看板です。静かでのんびりしていて心が洗われるような街、十分はまさに幸福の街だと私は思います。 
  なお、十分駅の駅舎内にはWifiが通じています。たまたま入ろうとした駅周辺のカフェではWifiが使えなかっので、この駅舎内のWifiを利用しました。

おすすめの本: 歩く台北 2018

 私が利用して便利だった台北のガイドブックはこれ、「歩く台北」です。新しいビルが次々に建設されている台北の街歩きには、最新の地図代わりになるガイドブックが欲しいものです。
 MRT(地下鉄)が次々に開通している台北での私の歩き方は、地下鉄の駅を中心に考えるようになってきました。この「歩く台北」では、主要駅を中心に駅周辺のショッピングやグルメの店を紹介していますので、その点が使いやすいのです。駅ごとに出ている詳細な地図は、私の台北歩きに欠かせません。薄くて軽いことも、街歩きの地図としての位置づけからすれば、嬉しいことです。
 さらに言えば、私が買っているのはKindle版です。ご承知のようにKindle版はKindle端末に加え、iPadやAndroid端末でも利用できます。私はiPadにダウンロードしていますから、旅行先にタブレットを持っていけば、ネット環境がないところでも、いつでも自由に情報にアクセスできるのです。