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アジア写真帳(ベトナム):ベトナムでの道路横断術


アジア写真帳(ベトナム)


 ホーチミンシティの朝。通勤・通学のバイクが颯爽と駆け抜けていきます。ここはサイゴン大教会裏の交差点です。二人乗りのバイクは家族を会社や学校に送って、自分も出勤する人です。三人乗り、四人乗りのバイクもいます。ホーチミンシティでは、バイクは庶民の移動に欠かせない交通乗用具です。
 白いアオザイを着ている子は高校生です。その前で運転しているのはお父さんでしょうか。朝ご飯は食べたのかな。それとも途中の屋台で食べるのかな。そんなことを考えながら活気ある街を見て回ります。
 アジアの街歩きというのは、こういう生活臭さを嗅ぐ旅ともいえます。名所でもない旧跡でもない、何でもないどこにでもあるアジアの風景を見て回るのが私は好きです。


 この雑踏、このバイクの嵐のような出勤風景が何ともホーチミンシティらしいですね。アジアの活気が本当に感じられる風景です。ところで、バイクに乗っている人の頭をご覧ください。ベトナムでのヘルメット着用率が大変高いことに気づきましたか。おそらくは90%を優に超える着用率です。この着用率の高さが実現できた背景には、日本からの指導がありました。日本でヘルメット着用率を高めたときのノウハウをベトナム政府に指導したわけです。



シクロ


 話がちょっとそれますが、ここでシクロの話をしましょう。上の写真は1998年の写真です。当時は自転車タクシーのシクロが幅を利かせていました。
 自転車ですから、歩くよりは速いですが、ゆったりと進みますので、街をじっくりと見ることができます。シクロに乗りながら、写真を撮ることもできます。雨が降れば幌がありますし、しかも値段も安いので、これを利用しない手はありません。当時、私は時間貸しでよくシクロに乗っていました。
 値段については、言い値の3分の1程度で交渉をして、相手が折れるまでその値段を貫くと、本当の相場が分かります。その値段では乗せない運転手が続けば、その値段は安すぎるということです。値段交渉が決裂した場合は、別の運転手に対して、もう少し高い金額で交渉をすることになります。


 シクロの安全性については、少し注意が必要です。このように雑然とした広い道路を走りますので、自動車に衝突しそうなこともたびたびあります。でも、このシクロの運転手というのは、さすがにプロです。衝突しそうで衝突しません。スリルたっぷりですけど、事故にあわないという不思議な乗り物です。
 シクロの安全性でむしろ問題にしなければならないのは「ひったくり」です。シクロの後ろから二人組みのバイクで近づいてきて、カバンやカメラの紐をつかんでから全速力で走り去るという「ひったくり」が多くなっています。シクロに乗るときは、カバンやカメラはしっかりと両手で抱えるなど、注意が必要です。
 で、そろそろ本題である「ベトナムでの道路横断術」の話に入りましょう。上の写真で横断歩道を渡る一人のベトナム人がいます。バイクやシクロに囲まれて一人で広い道路の中央を横断しています。この人はなぜ事故にあわないのでしょうか。



ベトナムでの道路横断術(道路の安全な渡り方)


 ベトナムの道路です。二車線の道路が一方通行になっています。ホーチミンシティではこういう道路が一般的ですね。さて、こうした安全に渡る方法をご説明しますが、あくまでもアジアでの生活が長くこうした横断になれている私のやり方を紹介するものであって、「安全な横断術」を紹介しているものではありません。慣れない人や日頃から注意散漫な人は決して真似しないでください。事故にあっても一切の責任は負えません。まず、注意事項から説明します。
 第一に、ベトナムの道路を横断するときには、これを二車線道路として考えてはいけません。四輪車であれば二車線ですが、バイクでは六車線くらいなってしまいます。六車線道路の注意力が必要だということです。上の写真を見ると、なるほど六車線かも知れないと思うはずです。
 第二に、ベトナムでは通常の交差点は常時右折可です。信号のある交差点では、このことに注意が必要です。
 第三に、バイクのドライバーは必要なとき以外はサイドミラーを見たり、周囲を見たりしません。前方だけ見ています。一般的に良く見えるのはドライバーの正面の20度くらいの範囲です。この範囲内であれば良く注意してみていますが、この範囲を超えたところで動いているものに対しては、殆ど注意が働かないものだと思ってください。


 次に危険な渡り方を説明します。
 第一に、自分の力というか技で横断しようとすることです。これは、ベトナムやアジアにちょっと慣れた方に多い方法です。渡るスピードに緩急を付けて渡る方法です。突然小走りになることも含まれます。ベトナムのドライバーは、信号や横断歩道がなくても歩行者は道路を横断するものだと思ってくれています。ただ、飛び出してくることは想定していません。上で書いた通り、前方の20%の視野の中で一定のゆっくりした速度で動くものに対しては十分に察知し避けてくれるものなのです。一番対応できないのは、自分勝手にスピードに緩急を付けて渡る歩行者に対してなのです。
 第二に、カーブや交差点の直後などでの横断です。前方の20%の視野に入らないところで動いているからです。すなわち、視野の死角なのです。四輪車の後ろにいるバイクにも、同じ意味で注意が必要です。横断者はドライバーの死角も考える必要があるのです。




 そして、私の四輪車の二車線(バイクの場合は六車線)道路の横断方法です。しつこいようですが、慣れない人や日頃から注意散漫な人は決して真似しないでください。事故にあっても一切の責任は負えません。「安全な道路横断術」ではありませんので、誤解のないようにしてください。
 最も歩道に近い車線を走っているバイクとの間に一定のすき間(私の場合はバイクが5秒くらいで走る距離)があれば渡りだします。手前から二番目のラインを走っているバイクに対しては一番の注意を払います。二番目のバイクが急ブレーキや急ハンドルをしないで済むテンポで歩くのです。そのテンポで歩き続けると、三番目のラインから六番目のラインまで渡り切れるのです。要は、堂々と自分のテンポで渡ると事故にあわないのです。
 要は、ドライバーは自分の20%の視野の中に歩行者を認識しているので、その動きを予測して緩やかにハンドルやブレーキ操作をしてくれるのです。ですから、同一方向に走る車線においては途中で停まるのは、逆に危険なのです。ドライバーの予測範囲を超えた行動を歩行者がすると、事故になるわけです。
 以上の渡り方はバイクだけの場合です。四輪車はハンドルでよけることはできない(横にバイクがいる)ので、以上の法則が使えません。


 上の写真のような対面方向の場合は、上の考え方で片側ずつ歩いていきます。
 最初は、現地の人と一緒に、言い換えれば現地の人を盾にしながら横断してコツをつかんでください。何度もこれを繰り返したうえで、自分が自分の意思で最初の一歩、二歩、三歩を踏み出したときに、横のベトナム人が同じテンポで歩いているようになれば、ベトナム人の横断法を理解したということになるでしょう。 


 上の写真はホーチミンシティのチョロンです。信号のない交差点をバイクが縦横に走り、左折・右折するバイクも沢山あります。こういう混沌とした道路が最も横断に難しく、横断歩道があっても、何ら安全は保証されません。私はこういうところも渡れるようになりましたが、上記の法則以外に別の法則に対する理解も必要です。ただ、皆さんは、こういうところは渡らずに、交差点から離れて一方通行のバイク六車線の法則が効く地点を渡るようにしてください。
 ベトナムで交通事故になっても、ベトナムの法律で補償されるだけですので、日本での交通事故とは比較にならないような低い補償しか得られません。しかも痛い思いをするのはあなたです。旅先での冒険心はほどほどにして、無理な横断はやめましょう。

懐かしい1997年のホーチミンシティ


 急に古い写真になります。1997年です。
 ここは、ホーチミンシティの旧市街。このような屋台が無数に続いて、肉屋や八百屋といった食料品を売っているかと思えば、その隣で衣料品や雑貨を売っていたりしますし、電気製品までもが売られていました。
 そして、こうした屋台へも、ホーチミンシティの人はバイクに乗って買物に来ます。日本人ならバイクをどこかにおいて買物をしますが、ここではバイクに乗ったまま品物を選びお金を支払います。うーん。横着と言うべきか、便利な街と言うべきか。マクドナルドのドライブスルーもこんなところにヒントを得たのだろうか、などと思ってしまいます。
 ここ、今は人が少ないですけど、もっと人が多いときも、バイクで直接店先に乗り付けています。これは、やっぱり、便利な街と言うべきかもしれません。


 ぶらぶらしていたら、広い通りに出ました。
 上の写真は、市場にバイクで買物に来ていた高校生。デジカメで写真を撮った後、撮れた写真を画面で見せたら、喜んでいました。これから、今日の夕食を買物するとのことで、そういう意味ではお手伝いですから、女性は若い子も働き者なのでしょうか。
 ところで、ベトナムでは、パジャマは立派な外出着です。


 一方、おじさん達はベトナム将棋に興じています。よく分からないですけど、ベトナムではこうやって昼間から遊んでいる男性たちをよく見かけますね。
 道端にある屋台の椅子で話し込んでいたり、ボーっとしていたりするのは、たいてい男性です。写真のように将棋をしている人の方が、よほどまともに見えます。なんて書きながら、私は同じ屋台カフェでボーっと道行くベトナム人を眺めていたのでした。


アジア写真帳(ベトナム)




アジア写真帳(ベトナム) 目次

ホーチミンシティ ハノイ
中心部を歩く

ホーチミン市
人民委員会周辺


サイゴン大教会と
郵便局周辺


市民劇場周辺

コンチネンタルホテル

マジェスティックホテルと
サイゴン川周辺


旧市場とパスター通り


ベンタインマーケット

ベンタイン市場

朝のベンタイン市場


安全な旅行のために

ベトナムでの道路横断術
チョロンを歩く

チョロンを歩く

チョロン・バスターミナルと
路上市場


ビンタイ市場とその周辺

庶民の台所、サータイ市場

ティエンハウ寺
(天后廟)


チャタム教会



メコン川ツアー
カイベー水上マーケット


シンツーリストの
メコン川ツアー


カイベーの水上マーケット

ライスペーパー工場等の見学
旧市街を歩く

ハノイの旧市街

ハノイの街を歩く

ドンスアン市場

B級グルメの旅
【ベトナムB級グルメ図鑑】


ベトナムの屋台が集合
ニャハンゴン


バインミーもヌードルも
ニューラン


フランスとアジアの香り
私の好物、バインミー


飲茶なら香港の名店、満福楼

スイーツのファニー

プリンで有名なキムタイン

ベトナムB級グルメ図鑑では
ベトナムのグルメ情報を
いろいろ紹介しています



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