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香港での食事の楽しみ方(本格料理を楽しむ:メニュー解読法)

 香港での食事の楽しみ方【夕食編】


海老の大根巻き。広東料理らしい美しい盛り付けだ。

 
せっかく香港に来たのですから、夕食は本格的な中華料理を楽しみたい。ツァーなどで食事付きですと、自分で店を選んだり料理を選んだり出来ないので、香港に行く目的が「食」にある私に言わせると、それでは何のための香港なのか分からなくなってしまいます。香港に行くこと、すなわち、香港で美味しい料理を食べることなのですから。
 で、「香港での朝飯は粥」「香港でのランチは飲茶」と中華料理を楽しんで、夜はどうするのか、という問題です。ここで、「夜」と言ったときに考える食事は、「夕食」と「夜食」です。まず、夕食です。


 香港ではどんな中華料理が旨いのか


潮州料理の花蟹(凍花蟹)

 一口に中華料理と言っても、香港や中国へ行けば、どこでも中華料理です。(もちろん、フランス料理や日本料理など各国の名前を冠したレストランは別ですが、……。)で、星の数ほどある中華料理屋の中から、自分のイメージしている料理を食べさせてくれるレストランを選ばなければなりません。これは、簡単そうだけど難しい。



チャーシュー盛り合わせ

 何故簡単かといえば、運が「悪ければ」、自分の店の専門外の料理でも、すなわち普段作りなれない料理でも出してくれる店はいくらでもあります。そういう意味で、自分の食べたいものを食べさせてくれる店はいくらでもあります。但し、それらが美味しいのかと言うと、多くの場合は美味しくありません。それはそうです。いくらレストランのシェフと言えども、普段作り慣れないものについて細かな味付けまで天下一品にすることは困難だからです。すなわち、自分の食べたい中華料理に辿りつくことは容易なのですが、本当に美味しい料理に辿りつくのはそれほど簡単なことではなく、むしろ難しいと言ってもいいのです。
 だから、香港で美味しい食べ物にありつくためには、自分で店や料理を選択できる程度に、中華料理に詳しくなっておかなければなりません。例えば、○○という中華料理は、広東料理なのか上海料理なのか四川料理なのかといったことは、当然ながら分かっていなければなりません


上海料理の乞食鶏は木槌で粘土から鶏を取り出すパフォーマンスがある

 ツァーで食べればいいじゃないかという考えもあります。私は、それで満足できる方はぜひそうして下さいと申し上げたい。私の知っている限り、ツァーで良く使われるレストランでは、ツァー客だと普段と料理を変えたり、材料を変えたり、ある店ではフロアを変えたり、勿論サービスも変えたりしています。これは、香港人からすれば当然です。何故ならば、ツァー客は一見のお客さんだから、美味しいものを出したからといって、また、近いうちに来てくれる客ではないからです。香港のように厳しい競争社会では、取るか取られるかの客に対しては全身全霊を傾けた料理が出されますが、一見の客に対しては魂の入っていない料理が出されるのです。その魂の入っていない料理であっても、日本より安く材料が手に入ることもあって、香港では、日本と同じ金を払えば、日本よりも旨いものが食えてしまうから始末が悪いと言えます。厳しい言い方をすると、多くの日本人は本当に美味しい中華料理を知りません。だから、そんなツァー料理でも満足してしまうのです。


 ツァー料理批判が長くなってしまいました。本題に戻します。そう、美味しい中華料理に出会うためには、ある程度中華料理に詳しくならなければならないということまでお話ししました。ここでは、ポイントを5点挙げたいと思います。



(1)中華料理の種類・系統を知る

麻婆豆腐は四川料理
麻婆豆腐は四川料理

 第一に、中華料理の種類を知ることです。あなたが食べたい中華料理がどの種類に入るのかを知らなければ何事も始まりません。
 最初に断っておきますが、料理の種類として、「広東」「潮州」「上海」などと並んで、「海鮮料理」を挙げたのは、実は正しい分類ではありません。ただ、香港で店先で材料(魚、蝦や貝類など)を買ってその場で料理してもらうというのは、香港での食の楽しみの一つであり、私としては旅行者の楽しみ方から見た分類として、敢えて一つの分類としています。実を言うと、香港にある海鮮料理店の多くは、広東料理レストランか潮州料理レストランです。

料理の特徴 代表的な料理
広東料理
(粤菜)
広東省で生まれた料理。
素材の持ち味を活かした料理が基本。香港では最も一般的。
白灼蝦
化皮乳猪
清蒸石斑魚
潮州料理
(潮菜)
広東料理の一分野。潮州とは広東省東部海岸沿い。高級海鮮料理が有名だが、家庭料理も見逃せない。 鹵水鵝片
〔虫豪〕煎
潮州凍蟹
上海料理
(滬菜)
揚子江下流流域での料理の代表格。
一般的に味付けが濃く、甘辛い料理が多い。
清炒蝦仁
上海蟹
小籠包
北京料理
(京菜)
北京地域の料理。広東→上海→北京→四川の順に味付けが濃くなる。
その分、素材そのものの味から遠くなる。
北京〔火考〕鴨
木須肉
水餃
四川料理
(川菜)
揚子江上流地域を中心とした中国内陸地域の料理。スパイスを効かせた料理が特徴である。 麻婆豆腐
青椒肉絲
回鍋肉
海鮮料理 店頭で素材を選び、好みの調理法で、食べさせてくれる店。
上級者向けだが、これを始めたらやめられない。
白灼蝦
清蒸石斑魚
蒜茸〔火局〕龍蝦


棒棒鶏(バンバンジー)も四川料理

 上の表に料理の特徴や代表的な料理を挙げています。代表的な店はガイドブック等で調べて欲しいと思います。ただ、ガイドブックに出ている店がいい店かというと、必ずしもそうではありません。料金の高い店はなるほど外れが少ないのですが、ただ、それだけのコストを支払うのだったら、よその店ではもっと旨いものが食べられるかもしれません。そんなこと言ってしまったら、ガイドブックを見てくださいなどという言い方は、無責任な言い方になってしまうのですが、そこが香港の難しいところで、実はシェフが変わる、店の場所が変わるなど、変化が激しいところなので、私の現在の知識なんか、すぐ陳腐化してしまうのが香港なのです。だから、「この店は美味しい」と私が書いても、その後にシェフが代って料理が旨くなくなってしまう店もありますし、私が書いた場所から移転してしまう店も少なくないのです。だから、私自身が無責任にならないためには、可能な限り、店の固有名詞は出さないに越したことはないのです。


南Y島(ラマ島)の海鮮料理レストラン

 
それではどういった店を選んだら良いのか。前に書いたことと重複しますが、地元の人で混んでいる店を探したら良いのです。とは言っても、香港に住んでいる人ならともかく、短期間の旅行者にとって、これは結構つらいことです。ただ、とにかく、レストランを見かけたら観察するのです。大人数の家族同士で食べている香港人が多い店は、結構安くて美味しいところが多いのです。自分の舌に合う店が見つかるまでは、そのようにして努力します。失敗も重ねながら、努力して初めて、本当に満足できる「自分の味」に到達できるのです。

(2)ある程度メニューを解読できるようにする


 美味しい中華料理に出会うためのポイント、その第二は、メニューをある程度解読できるようにすることです。上にメニューで使われる単語をいくつか載せていますが、少なくともこれくらいは分かっていて欲しいと思います。でも、これが分かったくらいでは、メニューの解読は2割くらいしかできないことも分かっていてください。最近の旅行のガイドブックにはかなり詳しくメニューの解読法などが載っていますが、あそこまで仮に分かっていたとしても、イメージの違う料理が出てくることがあります。だから、完璧に分かろうとすることは諦めて、ある程度読めるようにすること、使われている素材が分かることくらいで満足すべきだと思います。香港で美味しい料理に出会うためには、むしろ、このメニューの解読より、ここで言う他の4つのポイントの方が重要だと思います。

このくらいの単語は知っておこう

【猪】豚肉 【鴨】アヒル 【鶏】鶏肉 【鴿】ハト 
【鵝】ガチョウ 【牛】牛肉 【牛排】牛ロース 【牛柳】牛フィレ
【蛋】卵 【蝦】海老 【龍蝦】ロブスタ 【石斑】ガルーパ
 【帯子】ホタテに似た貝 【魚翅】フカヒレ 【田鶏】蛙 

【炒】強火で炒める 【爆】強火ですばやく炒める
【煎】少量の油で炒め焼く 【〔火考〕】直火であぶり焼く 
【炸】多量の油で揚げる 【煮】スープに煮込む 
【焼】水分が無くなるくらいに煮込む  【灼】ゆでる 【湯】スープ 
【鹵】たれにつけこむ 【〔保/火〕】土鍋煮込み 【酔】紹興酒に漬け込む
【片】薄切り 千切り【塊】ぶつ切り 【末】みじん切り【丁】さいの目切り
 【丸】団子状 【全】丸ごと

(3)香港で美味しく食べられる中華料理の種類を知る


ホタテと春雨のニンニク蒸しは広東料理らしい味付け

 美味しい中華料理に出会うためのポイント、その第三は、香港で美味しい中華料理の種類を知ることです。一般的に、香港で美味しい中華料理は、広東料理と潮州料理であると言われています。これは正しいのかといわれると、私の知っている限り、残念ながらその通りだと思います。要は、地元の人々の舌に合った料理を出すレストランというのは、旨いのです。そういった意味で、上海料理も、レベルは高いといえます。これは、多くの上海人が香港に移り住んできたという歴史から来ています。(勿論、香港人の大部分は、現在の広東省出身です。)
 したがって、最近私が香港に短期間で行く場合は、潮州料理、広東料理と上海料理を食べようとしています。2泊するなら、潮州と上海、3泊するなら、これに海鮮を入れる。もう一泊するなら、広東料理を加えたいですね。



魚香茄子は日本人の舌に合う家常菜

 それから、もう一つの観点として忘れてはならないのは、日本で食べたらとんでもない値段を取られてしまうような、いわゆる「高級料理」を食べたいのか、それとも、「家郷菜」とか「家常菜」といわれる、いわゆる「香港の家庭料理」を食べたいのか、これをはっきりしておくことも大切です。これによって、同じ潮州料理でも行くレストランも違えば、注文するメニューも全く異なってしまいます。私の場合は、お金持ちじゃないので、普通は家庭料理コースですけど。
 こんな感じで、出発する前に食べようとしている料理の種類を決めます。それから、毎日のメニューを頭で考えておきます。そうしておくと、旅行に行く前にも香港を楽しめるし、実際に行ったときには、自分の目指す料理にありつけるというので、一挙両得なのです。


本格的な四川料理を食べたいなら深圳で(写真は深圳の俏江南 
 
 麻婆豆腐、棒棒鶏、エビチリや回鍋肉など、日本人によく知られた中華料理には四川料理が数多くあります。どうしても本場の四川料理を食べたいなら深圳に足を伸ばすことをおすすめします。香港中心部から国境を通って片道1時間で深圳には行けます。
 この深圳は香港の隣で急成長している人口2000万人を超える街です。人口でも面積でも香港を上回る街です。その殆どの人が深圳以外の地域からの移住者で、四川省から来ている人も少なくありません。本場の四川料理を知っている彼らからしてみると、香港や広州で昔から営業していた四川料理レストランで食べる四川料理は四川風料理にしかすぎず、四川料理では決してないのです。そこで、深圳には数多くの大小さまざまな本場の四川料理レストランが、四川の人たちにより開店しています。その中の最高峰の一つが俏江南です。気軽に食べられる四川料理レストランとして私が最近よく利用している缪氏川菜もおすすめです。
 四川料理を食べたいなら、香港で食べるなんて愚は避けて、深圳に行ってみましょう。四川料理なら深圳です。
 


(4)メニューの組立ての達人になる

広東料理の前菜、ローストと鹵水盛合せ(深圳、品味軒)
前菜を盛り合わせで注文するのも無難な選択の一つ

 
第四に、スープ、前菜とか、デザートといったメニューの組み立てです。これは、一緒に食べる人数によっても異なるのですが、まず、前菜、これは食べたいですね。それから、スープ、これも捨てがたい。そして、メインディッシュとして何を食べるか、ここが一番のポイントです。料理を何皿頼むのかということも大切なポイントです。香港や中国のレストランでは、一皿あたりの分量が、特に表示されている場合を除き、日本よりずっと多い。倍かそれ以上を想定していいと思います。香港人の注文の仕方を見ていると、注文するお皿の数は、基本は「人数+1」です。3人で行ったら、4皿注文するのが一般的ということになります。デザートはこの数の中に入りません。また、人数が少ない場合は、スープはその枠外で計算します。(スープを入れると、人数+2品になるという意味です。)
 だから、中華料理を二人で食べに行ってもあまり種類を食べられません。少なくとも4人、できれば6人以上で食べたいところです。



化皮乳猪(子豚の皮のロースト)

 メニューの組立てとしては、素材が偏らないようにすること、味付けが似たようなものにならないこと、そして、料理の種類[広東料理、潮州料理等]の特徴を生かしたメニューにする、などに気をつけて選ぶことが重要です。

 
潮州料理の鹵水鵝片(ガチョウの「鹵水(ロウ水)」煮込み)
 ★前菜

 まず、前菜。ここは、広東料理だと焼味かな。個人的には、化皮乳猪(子豚の皮のロースト)なんか大好きですね、一緒に食べる人の好みによってあひるのローストになってしまうこともあります。潮州料理だと、鹵水鵝片で決まり。上海料理だったら、クラゲの冷菜をおすすめしたいと思います。
 
白灼蝦(ゆでえび)
 
 そして、もう一つ前菜のうちに入ってしまうけど、小エビの料理。広東料理と潮州料理では白灼蝦(ゆでえび)、上海料理では清炒蝦仁(むきえびの炒め物)。この小エビ料理は、香港に旅行で行く人なら、ぜひ食べてもらいたい。日本のエビよりずっと美味しい小エビを、シンプルな料理だけど、とても美味しく食べることができるということを経験してもらいたいのです。人数の関係で前菜を一つにしなければならないのなら、焼味系をやめて、小エビにすることをオススメしたい。

 
殻をむいてから首をひねれば頭が簡単に取れます
 
 白灼蝦(ゆでえび)について言えば、小さすぎず大きすぎずのエビがこの料理では旨いですね。それから、日本人の大好きなエビのチリソースですが、これは四川料理なので、香港では人気がありません。大体において、私なんかは、素材の味を殺してしまうチリソースを海鮮料理に使うこと自体がもったいないと思ってしまいます。鮮度の落ちたエビならそれでもやむをえないと思いますが、香港のエビをそんな食べ方で料理するのは、もったいないのです
 
そして、特製だれに付けて食べれば、美味しいのです
 
 やはり、新鮮なエビは白灼蝦(ゆでえび)にして、写真のように皮をむいて特製だれに付けて食べれば、今まで何故こういう食べ方をしなかったのだろうと、過去の食体験を思わず反省してしまうほど、美味しい体験ができるのです。

  
太極素菜羹(太極模様のスープ)
太極図模様の野菜スープ。見た目もきれいだし美味しい。

★スープ

 次にスープです。中華でスープといえば、フカヒレスープがあまりにも有名です。確かにフカヒレスープは旨い。だけど、旨いものは高い。そこでなのか、それとは全く関係ないのかは知りませんが、フカヒレと蟹のスープとか、フカヒレとイカのスープだとか、いわゆる純粋でないフカヒレスープが存在します。これだと、フカヒレスープほど高くなく、庶民のお財布でも注文することができます。でも、私の経験上、金をケチってフカヒレと蟹のスープなんか飲むと、やっぱりもう一つ満足できなくて欲求不満になってしまいます。フカヒレはフカヒレなのです。「ごった」フカヒレスープはあまりオススメできないな。さて、フカヒレ以外のスープですが、香港のスープはどれも美味しいです。食べなれないフカヒレスープを飲むのも経験としてはいいですけど、それ以外のスープにも挑戦して欲しいと思います。私は殆どハズレに当たっていません。野菜のスープも美味しいですよ。大極模様の野菜スープなんかは見た目も緑と白のコントラストが綺麗で、日本から来た人に好評だったものです。それから、スープとは一線を画するけど、上海料理では、スープの代りに「砂鍋」といわれる土鍋煮込みスープを注文することにしています。「砂鍋」の前後に「魚頭」と来れば魚の頭が入っているし、「什錦」と来れば五目土鍋スープです。これがいいダシが出ていて、旨いんです。勿論、庶民の料理ですけど。


香港に行くなら必ず食べたい。蒸しガルーパ清蒸石斑魚

★メインディッシュ


 そして、いよいよメインディッシュ。香港では、何と言っても、「清蒸石斑魚」(蒸しガルーパ)が一番です。ちょっとした店に行けば、生簀からすくってきて「これでいいか」「○○元だよ」とレストランの人が見せてくれます。こぶり過ぎると味は落ちます。イキのいいやつを選んで欲しいと思います。一方、上海料理で魚というと、白身魚の甘酢あんかけみたいのが主流で、勿論美味しいのですが、豪華さに欠けます。


深圳で旬の上海蟹(深圳の江南厨子)
ご存知、上海蟹。シーズンは秋。

 魚のついでに蟹の話しを。蟹といえば上海蟹があまりにも有名ですが、おいしいけど、食べるところが少ないなあ。香港人に言わせると、上海よりも香港のほうが美味しい蟹が食べられるといいます。旨い蟹が香港に持っていかれてしまうからだといいます。だから、香港人は時期が来ると、こぞって上海蟹を食べに行き、「あそこの蟹は安くて旨かった」などと翌日は蟹談義になります。そうやって、香港人がみんな食べたがるから上海蟹は、香港においてますます値が上がってきてしまうのです。確かに旨いので、1回は食べてみる価値はあるかもしれません。一方、潮州料理で蟹といえば、花蟹です。蒸すと赤く染まって綺麗だし、豪華さもあります。味はまあまあといったところでしょうか。私の場合、6人以上くらいで潮州料理を食べるときには注文するようにしています。


高級食材のアワビ

 高級品では鮑(アワビ)があります。鮑のステーキなんかはかなり旨いです。ただ、お金は随分と取られてしまいます。接待のときは別として、自分で食べる気はしないなあ。どうしても食べたくなったら、マカオとか深圳や東莞あたりまで行って食べたら、随分と安く食べることができます。私もマカオや東莞でよく鮑を食べたものです。
 もう一つ海鮮ものでは、帯子(ホタテのようなもの)があります。これは、ブロッコリーと炒めたり、イカと炒めたり、豆腐に乗せたりで、さっぱり系の料理になることが多いので、私は好んで食べています。私としては、栄養バランスから考えて、野菜と炒めるのことが多いですね。これも、私が香港に行ったときのお決まりのメニューの一つです。


深圳・蛇口市場で海鮮料理(香港から行けます)
 
 香港で海鮮料理を廉価に食べるなら、次の選択が良いと思います。
 まず、移動時間最短で行こうと思えば九龍の金山海鮮酒家です。安くてお手軽に海鮮料理を楽しめます。
 第二に、家族連れの場合や香港観光はもう何度もしているというような場合です。ハイキングと海鮮料理をセットで楽しめるラマ島で思い出を作ったらいかがでしょうか。船の旅と軽いハイキング付きです。詳しくはリンク先を見てください。

 ロブスター(香港で海鮮料理)
 
 第三に、香港まで来たのだから中国本土にも足を踏み入れたい人や、とにかく安い価格で沢山のシーフードを楽しみたいという欲張りな方には、深圳・蛇口市場の海鮮料理をおすすめします。市場でシーフードを買って近くのレストランに持ち込み加工してもらうという来料加工(代客加工)という方法でシーフードをいただくのです。まさに価格破壊された食事形態です。
 香港の中心部から深圳蛇口まで片道二時間程度はかかりますが、とにかく安い、しかも美味しいシーフードを楽しめます。香港と中国本土の違いも十分に理解することができる旅になります。詳しくはリンク先を見てください。

鳩(ハト)のロースト(香港)
せっかくだから鳩は丸焼きローストにしたい
 
 さて、メインディッシュとして海鮮もの以外はどうか。まず、語りたいのはハトです。広東料理では、ミンチのレタス包みも丸焼きも結構美味しい。日本のハトと違って養殖ものですから、上野公園のハトを捕まえて焼いてもあの味は出ないと思います。

 私としては、せっかく香港に来たのですから、鳩は丸焼きローストにして食べてもらいたいと思います。鶏肉よりもふっくらとして味も良いです。癖になる味です。昼の時間も食べられますから、酒楼(レストラン)レベルの店でしたら、まずまず美味しい鳩のローストを食べられるはずです。小吃店や茶餐庁クラスの店ですと、美味しくローストできていないケースが多いので注意してください。

ガチョウのロースト(ローストグース)
ローストと言えばガチョウ(鵝鳥)のロースト
 
 ロースト料理で忘れてはならないのは焼鵝、ガチョウのロースト(ローストグース)です。ロースト料理の中では最高級と言われていて、確かに美味しいレストランで焼鵝を食べると、パリパリに焼けた皮を口に入れた後から後から、肉汁がジューっと口の中に広がります。高いレストランが美味しいのかと言われると、ある程度の相関関係はあるかもしれませんが、高ければ必ず美味しいとは限りません。ただ、高ければ肉質だけは良い傾向にあることは間違いありません。
 私は肉汁が口に広がる焼き加減を重視しているので、そうなると例えば焼鵝で有名な鏞記酒家は好みではないのです。


上海料理のこじき鶏

 鶏の系統では、上海料理にこじき鶏が有名です。鶏を蓮で包んで、さらにその周りを粘土でくるみ、強火で焼いたもので、焼いて固まった粘土をお客さんに木槌で割らせるというショー的要素があるだけでなく、割れた粘土の中から、ジュージュー香り豊かに姿を見せる蒸し焼きされた鶏も感動的です。これも美味しいですね。日本から来た子供がいるときには、これを注文することにしていました。


上海料理の紅焼肉

 上海料理で肉というと豚肉です。私のよく行く雪園飯店の豚膝の煮込み(紅焼元蹄)は絶品です。これはもうくせになる味です。こればかりでなく豚を使った上海料理では、東坡肉(豚ばら肉のしょうゆ煮込み)や紅焼肉も有名です。若干脂っこいところが欠点ですが、いずれも日本人の舌には合うと思います。大人数で食べるときには注文したい料理です。
 中華料理で牛肉の料理というと、あまり美味しいのに出くわしません。香港では、鶏・豚、牛の中で、最も人気がないのが牛です。

豚膝とジャガイモの激辛煮込み
激辛で暴力的な辛さを誇る暴力豚脚
 
 雪園飯店の豚膝の煮込み(紅焼元蹄)は写真が見つかりませんが、四川料理の暴力豚脚という料理は画像がありました。豚膝料理は店によっては豚肘になっていたり豚脚になっていたりしますが、いわゆる日本の豚足とは部位が違います。
 膝の部位は肉が多いので、良心的なレストランに行くと二人で食べに行っても「二人じゃ無理ですよ。食べきれません。」と店のスタッフからオーダーを止められてしまうことがあります。そのくらい量が多くて胃腸への負担も多くかかります。でも美味しいですからまた食べたくなる悪魔のような料理です。上の写真の暴力豚脚はどこの四川料理レストランでも食べられるというメニューではありません。人気が出てもいけないので、ここでは内緒にしておきます。



 ★あっさりした料理
 
ホタテと豆腐のXO醤蒸し

 あっさりしたもので香港らしい料理というと、 ホタテと豆腐のXO醤蒸しが頭に浮かびます。これは広東料理の定番料理の一つで、良い店に行けばいくほど、ホタテの鮮度が良くなるし大きなホタテになるので、できるだけ高級店で食べた方が良いと思います。ホタテを使った料理ということでは、上の方に写真を載せていますが、ホタテと春雨のニンニク蒸しもおすすめです。

 
野菜のスープ煮
 
 野菜については、海鮮と一緒にした炒め物もありますが、私のおすすめはスープ煮です。上湯○○という料理名です。特に広東料理では良いスープの中で煮た野菜というのは、フランス料理に匹敵する味わいになります。ぜひ一度お試しを。

牡蠣のお好み焼き(香港、阿鴻小吃観塘本店) 
潮州料理の蠔煎(牡蠣入りお好み焼き)
 
 それから、牡蠣のお好み焼きなども、さっぱりした味付けなので、他の料理との組み合わせの中でよく選択しています。これらは日本の料理の味付けに近いものがありますので、中華料理はもう飽きたという人にも勧められる料理です。上の写真は阿鴻小吃本店で食べたものです。

 
牡蠣の卵焼き
 
 大人数で行って品数を多くとるときなどは、いわゆる日本でいうところのカニ玉とかエビ玉などをメニューに入れても良いと思います。香港ではプリプリしたエビが美味しいので、かに玉よりもエビ玉がおすすめです。私個人的には、牡蠣が好きなので、牡蠣玉にしていますが、‥‥。

香港・金山海鮮酒家の美味しいエビ玉
 
 もちろん香港にもエビ玉はあります。上の写真がそのエビ玉です。例によってプリプリのエビですから、日本で食べるエビ玉と全然違います。ですが、香港でエビを食べるなら上で紹介した白灼蝦(ゆでえび)を優先したいのです。そうするとエビ玉を食べることは本当に稀になってしまうのです。
 ではどんな時にエビ玉を食べるかというと、レストランに行って水槽を見て白灼蝦(ゆでえび)にする小さなエビが売り切れている場合と生きが悪い場合です。そんな時は迷わずエビ玉を注文するのです。

これが本場の潮州料理
 
 あっさりした料理ということであれば、私は潮州の家庭料理をおすすめしています。日本の味にも相通じるような潮州家庭料理の味付けは、きっと日本人の舌にも合うと思います。香港に潮州料理レストランは沢山あるものの高いか安いか両極端にあって、どうも本場の潮州家庭料理を食べさせてくれません。潮州家庭料理のおすすめは深圳の郷里頭鵝肉飯店です。リンク先で詳しく紹介していますので興味のある方は是非参考にしてください。
 
★ご飯もの


香港で最もポピュラーな炒飯は揚州炒飯

 さて、メインディッシュの後に、チャーハンか焼きそばを食べたくなるのが日本人です。私もかつはそうしていました。でも、今では、白飯をもらって、蒸しガルーパとかおかずをかけて食べるようになりました。それで十分満足できるからです。でも、中華料理を食ったら、やっぱりチャーハン、ヤキソバがなきゃ、という人のために一言。



私のおすすめは福建炒飯(あんかけ炒飯)。かき混ぜてから食べる。

 香港のチャーハン、ヤキソバは、はっきり言って旨い。広東料理店では、チャーハンを頼むようにしています。特に福建チャーハンがオススメです。チャーハンの上にあんかけの具がたっぷり乗っているので、お椀に分ける前にこれをよくかき混ぜて食べること。私も一時期、福建チャーハンにハマリました。


焼きそばには酢をかけると脂っこさが消える
 
 ヤキソバは、ちょっと脂っこいので酢をたっぷりかけて食べると美味しく食べられます。細麺では伊麺[イーメン]が主流で、これは比較的さっぱりした味です。それでも、日本の油と違いますので、日本人には少し脂っこい感じがします。そうした時は、酢をたっぷりかけてみてください。美味しく食べられるはずです。

 
私のおすすめ、干炒牛河
 
 香港で人気のある焼きそばの一つが干炒牛河。きしめんのような幅広の麺と牛肉の焼そばです。見た目に脂っこく見えるかもしれませんが、黄ニラが沢山入っていますので、黄ニラの爽やかさでもって中和されています。河粉は米でできた麺ですから、そもそも食感が良いですし、さっぱり系の味です。特に年配者の中に見た目の判断で干炒牛河を避けるような傾向があるのですけれども、百聞は一見に如かずで、ぜひ挑戦してもらいたいものです。
 私は大好きです。もちろん、酢を十分にかけて食べています。

 
上海焼きそばも美味しい
 
 上海料理店でチャーハン、ヤキソバを頼むなら、上海炒麺といわれる焼うどんのようなものを注文することが多かったですね。焼うどんのような感じです。
 蛇足ですが、日本で上海焼きそばという料理名の焼きそばを注文しても、あまり本場のうどんのような焼きそばに巡り合えません。そうしたレストランは、あたかも上海料理レストランであるかのように装っていますが、実は上海風レストランであって大した料理が出ないはずです。逆に、この太麺で焼きそばを出してくれる上海料理レストランなら、美味しい上海料理を食べさせてくれるはずです。
 焼きそばばかり詳しく説明してしまいましたが、実は私も仕上げに焼きそばを注文することは少なくないのです。

潮州砂鍋粥(蟹粥)
 
 香港で日本人に人気がある料理に香港粥があります。香港粥というのは正しい分類で言うと広東粥のことで、とろとろのお粥の中にあまり具を放り込まないプレーンな粥です。一方、夕食でおすすめするのは潮州粥です。潮州粥はその広東粥とは一線を画していて、とろとろに煮込んだ粥であることは間違いないのですが、そこに具をこれでもかというくらい入れた粥です。
 潮州砂鍋粥というのは、その粥をテーブルの上の鍋でぐつぐつ煮込んで食べる粥料理と言うよりも鍋料理。まさに砂鍋粥という名前がぴったりの料理です。中国に何日もいると、少し脂っこい料理を避けたくなる日があります。そんな時に食べる料理の一つがこの潮州砂鍋粥です。砂鍋粥の注文時には、セットとして、例えば蟹鍋セットととか蝦と鮑セットとか、そうしたセットがいくつか用意されていますからその中から選ぶこともできますし、砂鍋粥に入れる素材を自由に一から選ぶこともできます。
 潮州砂鍋粥は日本で鍋を食べる感覚で楽しむ料理です。詳しくはこちらで紹介しています。

 

姉妹ページ 中国茶でダイエット,そして健康

ダイエットや糖尿病などの生活習慣病対策で中国茶を飲む日本人が増えています。
私は中国茶を毎日飲むことで、3ヶ月に7kgのダイエットに成功しました。
おまけに、血糖値や中性脂肪の値も大幅に改善しました。

中国茶を正しく飲んでもらうためのイロハを、中国の文献を翻訳して紹介しています。
お茶ダイエットの基本 中国茶の飲み方、31箇条 糖尿病・血糖値と中国茶
中国茶と腹部脂肪(肥満防止) お茶と脳血管病(心筋梗塞) 
愛煙家は毎日お茶を飲むべき

 
★デザート


潮州料理のデザートは鴛鴦水晶包 
潮州料理のデザートは水晶包

 腹一杯になったところで、デザートの注文です。私はさっぱり系のデザートが好きです。西米露とかマンゴープリンといった類のものです。甘い系統だと、潮州料理の水晶飽あたりは好きです。潮州料理は全体的にあっさり目なので、こういう甘いものでも私の胃が受け付けるのだと思います。逆に、広東料理とか上海料理のデザートとしては、さっぱり系が欲しくなるのは、料理が潮州料理に比較すると脂っこいからなのかもしれません。

 デザートについては、昼食のところで詳しく紹介しています。

(5)酒はほどほどに


酒はほどほどに

 最後に、飲み物です。せっかく香港で本場の中華料理を食べるのですから、ビールで腹一杯にならないようにしたいものです。また、舌の感覚を鈍らせないためにも、あまり大酒をくらってはいけません。勿論、食前酒程度に飲むのは、むしろ胃の働きを刺激してくれるので良いと思います。ただ、酒は控え目にして、その後、お茶を飲みながら食べた方が、私は美味しく食べられると思う。折角の香港グルメです。十分に味わって食べてください。因みに、私は酒が大好きな人間なのですが、……。

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