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老舗の潮州城酒楼で本格的な潮州料理


 潮州城酒楼で本格的な潮州料理を楽しむ


 潮州城酒楼は香港の潮州料理の老舗店


  私が最も好きな中華料理は潮州料理です。潮州とは、広東省東部のスワトー付近を指します。海の幸に恵まれた地域であり、テーブルには素材の味を生かした料理が並びます。
 私は1990年代の3年間を香港で暮らし、2010年代後半を深圳で暮らしていますが、香港にも深圳にも潮州料理の店は本当にたくさんあります。香港や深圳の広東料理店にも本来は潮州料理であるメニューがいくつも並んでいますから、皆さんが香港で何気なく食べている料理の中にも潮州料理はたくさんあります。
 私が香港で暮らしたころ、家族で最も多く通ったのがこの潮州城酒楼です。当時は香港内に数店ありましたが、現在は尖沙咀東に一店あるだけだと思います。少なくとも30年は続いている老舗店で、20年ぶりくらいに行きましたが、味は以前と全く変わらないという印象を受けました。素材の味を大切にする潮州料理らしい潮州料理で、日本人の舌に合う味付けです。


 香港にある潮州料理は大きく二分できます。一つは高級食材を中心に食べさせる高級海鮮潮州料理レストラン、もう一つは潮州家庭料理を食べさせてくれる潮州大衆料理店です。潮州城酒楼は高級海鮮潮州料理レストランでありながら、潮州家庭料理のメニューも数多く揃えていますから、その日のシチュエーションによってメニューを選べば良いのです。
 ちなみに、上の写真はふかひれスープのメニューですが、一番上はHK$6500ですから約10万円のスープです。これは数人分です。HK$580以下のメニューは一人分(毎位)の値段です。ふかひれスープで一人1万円くらいはになります。

潮州料理の工夫茶

 この日は気の置けない友人と二人で来た気楽な食事なので、潮州家庭料理を選んでいます。上の写真にある工夫茶を飲みながら、メニューから選びます。メニューは、中国語だけの写真なしメニューと英語と日本語付きの写真付きメニューがあって価格は同じですが、メニューの種類は中国語の方が倍くらい多いです。ですから、食べたいメニューがなければ写真を見せるなりして作れるかどうかをスタッフに聞いたら良いと思います。
 ちなみに工夫茶というのは写真のように小さな茶碗で飲むお茶です。鉄観音の一種で消化に良いのだそうですが、あまり飲みすぎるといけないといわれています。香港の中級レベル以上の潮州料理レストランではこの工夫茶が出てきます。
 

潮州城酒楼のおすすめメニュー

潮州鹵水鵝片

 潮州料理の前菜でお勧めしたいのは鹵水料理です。鹵水料理というのは鹵水というたれで煮た前菜で、ガチョウの鹵水料理が最も好まれて食べられています。ガチョウの肉や内臓の各部位を選んで注文します。また、豚肉、豚足や内臓の各部位なども鹵水料理にされています。どの鹵水料理も良く煮込まれている店で食べると、味が染みて柔らかくて美味しいのですが、初めて食べる方におすすめしたいのは、上の写真の潮州鹵水鵝片です。
 見た目にあまり見栄えがしないのですが、とにかく美味い! 潮州料理の前菜として、私は必ず注文しています。あまり好き嫌いのない人だけで食べる場合には鹵水盛り合わせという選択も良いでしょう。

太極素菜羹はおすすめのスープ
 
 香港で良いレストランで食事するときはに来たら、ぜひスープを飲みましょう。
 スープというとすぐフカヒレを思い浮かべる人が多いようですが、フカヒレに1万円出すよりももっといろいろなメニューを楽しみたいという人が多いはずです。ではフカヒレスープ以外でおすすめのスープはないでしょうか?
 そうですね。そんな時に潮州城酒楼で私が注文するのは太極素菜羹というスープです。「羹」という字はとろみスープを意味していて、太極模様は野菜の色から出ています。彩りも、また、太極模様もきれいですが、野菜の味がよく出ていて美味しいのです。ヘルシーなスープです。今日はフカヒレ以外で行きたいというときは、迷わずこれを選んでください。


 潮州料理の家庭料理はメニューが豊富で、日本人の舌に合う家庭料理が少なくありません。潮州の家庭料理でよく知られているのが蠔煎(牡蠣入りのお好み焼き)ですが、少し脂っこいので、この日はエビ入りの薄餅にしました。これも日本人が見るとお好み焼きの一種のような気がします。こちらの方が、衣が薄いので脂っこくありません。
 そもそもこの手の料理は韓国のチヂミやベトナムのパイン・セオ、さらには日本のお好み焼きといった具合に、アジア各地で食べることができます。
 いったい、どこの国が本家本元なのでしょうか?


 潮州城酒楼で忘れてはならないのは魚香茄子煲です。煲というのは、いわゆる土鍋煮込みのことです。
 魚香茄子という料理は中国各地で食べられますが、香港や広東省で食べられている魚香茄子という料理と香港や広東省で食べられる魚香茄子煲というのは味付けが全く異なります。魚香という調味料は若干辛味もありますが、むしろ甘辛い微妙な味付けです。
 中国の他の地域で食べられている魚香茄子は中華鍋で炒めた料理でむしろ辛さを強調した料理です。これに対して香港や広東省で食べられている魚香茄子煲はひき肉を入れてとろ火で長時間煮込んだ土鍋料理で、魚香の風味が茄子によく染み込んでいて、茄子の甘さが引き出され、「これは旨い!!」と思わず叫んでしまいたくなります。食べ慣れてしまったせいかもしれませんが、なかでもここ潮州城酒楼の魚香茄子煲の味が最もお気に入りです。
 これを注文するときは、もちろん普通のおかずとしても食べるのですが、どちらかというと白いご飯にこれをぶっかけて魚香茄子飯として食べることが、私の場合は一般的です。(周りの人でそんなことをしている人は決して多くありませんので、念のため。)すると、不思議や不思議、ご飯が進んでついついご飯をお代わりしてしまいます。
 ご飯にかけるのは邪道かもしれませんが、良いのです、旨ければ。

潮州料理は海鮮料理も素晴らしい

香港の茹でエビ(白灼蝦)

 一緒に食べる人数にもよりますが、三人以上で潮州料理を食べるなら、海鮮料理も注文しましょう。潮州料理は素材の味を大切にしますから、日本人好みの味を楽しむことができます。
 是非食べたいのは茹でエビ(白灼蝦)です。エビを茹でただけの簡単な料理で、ちょっと辛いたれをつけて食べます。日本人はエビの殻を剥くのが下手なのでコツをお教えすると、エビの頭をちぎってから殻を剥けば実は簡単にエビの身だけになりますから、そのエビの身にたれをつけて食べれば良いのです。熱いうちに食べるのが最も美味しいので、茹でエビ(白灼蝦)が出てきたらさっさと食べるのが肝心です。
 こんな簡単な料理が美味しく食べられる理由は、素材の良さと新鮮さにあります。

ガルーパ(清蒸石班魚)

 さて、メインディッシュです。3人以上で食べるなら外せないメニューが清蒸石斑です。石斑はガルーパという魚です。ガルーパはハタ科の海水魚で香港では高級魚として知られています。クエなんかもガルーパの一種です。ガルーパ(石斑)と一口に言っても種類がいろいろあって、青斑や紅斑は比較的手ごろな値段ですが、東星斑が最も高級な部類になります。ガルーパの種類と重さで値段が決まりますから、その日の予算に合わせて魚を選ぶことになります。
 清蒸石斑というメニュー名にある清蒸というのは、野菜とともに蒸し上げる調理法で隠し味で紹興酒なども入っています。この調理法で出来上がるガルーパは日本人の好みに合うさっぱりした味わいです。これもスープを白いご飯に少しかけて食べると食欲が増進されます。魚香茄子煲と同様に、ご飯が進んでしまうのですが、これまた香港人はそんな食べ方をしていません。(大陸では時々見かけます。)

潮州料理のデザートは鴛鴦水晶包

 メインディッシュでガルーパとご飯を食べたら、いよいよデザートタイムです。潮州料理のデザートといえば、鴛鴦水晶飽です。あんこ味と黄な粉味の団子です。鴛鴦というのは二種類の味があるという意味です。
 他に潮州料理のデザートとしては反沙芋头があって、もちろん潮州城酒楼のメニューにもあります。反沙芋头の方が甘さが強く、また、量も多いですので、人数が多いときはこちらも試してみるとよいでしょう。反沙芋头を含めて潮州料理の家庭料理については深圳の郷里頭鵝肉飯店のページで紹介していますので参考にしてください。



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