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北角の潮楽園で潮州鹵水飯


 北角の潮楽園で潮州鹵水飯


 潮楽園は香港の下町、北角にあります

 北角(Northpoint)は香港島の庶民の街。トラムが市場の中を抜けていく春秧街(CHUN YEUNG St.)で有名な街です。
 マーケットの人ごみの中で、トラムが立ち往生しているかのような光景。こんな日常が繰り返されています。いつからこんな風になったのかについて、私はよく知りませんが、少なくとも30年前もこうでした。
 トラムの車両には運転席は一つしか付いていません。つまり、前後が決まっているということです。ですから、終点で折り返すときにループ線を作って折り返すことになりますが、ループ線を作れない所では、もともと道路だった場所に線路を敷くことになります。上環もそうですし跑馬地(Happy Valley)も同じです。
 北角の場合は特に市場近くの道路にループ線を作ったものですから、そのうちにループ線を敷いた道路までが市場のようになってしまったのです。上の写真はトラムの二階席から見た春秧街(CHUN YEUNG St.)の様子です。トラムが走ってきても誰もトラムのために道をあけてくれません。ここでは人の歩く速さでしかトラムは走れません。
 春秧街(CHUN YEUNG St.)には写真のような店が軒を連ねていますから、時には納品の車両が停車して、5分も10分も立ち往生してしまうことさえあります。
 このエキサイティングな風景については姉妹ページのアジア写真帳の「トラムが市場を走る街、北角」のページで紹介しています。

  このページで紹介する潮楽園は香港島のそんな下町、北角にあります。地下鉄で行っても良いですが、せっかくですから銅羅湾あたりからトラムに乗り換え、北角行きに乗っていくことをおすすめします。北角のトラム駅からは、歩いて3分くらいです。
 北角から先に行くトラムはこのループ線を通りませんから、春秧街(CHUN YEUNG St.)を走りません。くれぐれもご注意ください。

潮楽園に来たらミシュランの鹵水鵝飯


 店の外観も日本の小さな中華料理屋のようですが、店の中に入ってもやはり日本の小さな中華料理屋の雰囲気です。こんな小さな店が、わざわざ日本から来た旅行者にとって価値のある店なのだろうかと誰もが心配になると思います。実際に、私が時々食べに行っても日本人らしき人に会った試しはありません。でも、価値は大ありなのです。

 上の写真は店内に貼ってあるミシュラン店の一覧です。一番上に英記麺家、二番目にここ潮楽園の名前が見えます。英記麺家も実は日本では殆ど知られていないラーメン屋で、香港のラーメンというとエビワンタン麺ばかり知られていますが、ここは日本人の大好きなチャーシュー麺で有名な店です。
 英記麺家にせよ、潮楽園にせよ、個人経営の小さな食堂がミシュランでも紹介されているという香港B級グルメの層の厚さを、身をもってと言うか、自分の舌で感じることができる貴重な店なのです。
 潮楽園には幅広いメニューがありますが、外してはならないのが鹵水料理です。鹵水料理というのは鹵水というたれで煮た前菜で、ガチョウの鹵水料理が最も好まれて食べられています。ガチョウの肉や内臓、また、豚肉、豚足や内臓の各部位なども鹵水料理にされています。どの部位であっても良く煮込まれている店で食べると、味が染みて柔らかくて美味しいのです。肉料理なのですが、鹵水で煮込まれて日本人好みの優しい味になっているのです。
 この日注文したのは三拼鹵水鵝飯です。ガチョウの肉を含めた三種類の鹵水料理とご飯、スープのセットです。
 三種類の鹵水料理でこの日選んだのは、ガチョウの肉(鵝片)、豚バラ肉(五花腩肉)とハチノス(金銭肚)です。上の写真でそれぞれを確認できますか。
 ガチョウの肉(鵝片)はここに来たら絶対に注文すべき部位です。上の写真で上の方に乗っているのがガチョウの肉です。この美味さは私がいくら形容詞を使っても表現しきれません。ぜひ、自分の舌でご確認ください。
 下の方に豚バラ肉やハチノスも見えますが、次の写真でこれらを紹介しましょう。

潮州料理は海鮮料理も素晴らしい

 豚バラ肉(五花腩肉)は今回初めて注文しました。美味しくなくはないのですが、他の潮州料理レストランでは、もう少し厚切りの豚バラ肉が出てきます。そういう意味では少し残念です。次回は違うのを注文しましょう。
 一方ハチノス(金銭肚)は素晴らしい出来です。これは私がよく注文する部位ですね。なお、一番下には揚げ豆腐が入っています。鹵水が染み込んだ上げ豆腐も美味しいですから、お忘れなく。
 ご参考までに、上の写真は別の人気店で食べたガチョウの鹵水盛り合わせで、肉以外に大腸、肝臓、腎臓等々が鹵水料理になっています。ガチョウですから内臓は小さくても仕方ないのですが、肉の部分が潮楽園とは大きさがずいぶん違いますよね。こんな風に鹵水料理には様々な部位が使われているのです。
 もっとも三品選ばなくても良くて、ガチョウの肉だけにしても良いと思いますし、ハチノスとか豚の頸肉とか私のおすすめを一品足すだけでも良いと思います。当たり前ですが、一種類だけの方が値段は安いです。
 さて、また潮楽園の写真に戻ります。
 ご飯と海苔入りダックスープを付けた定食の写真です。言い忘れましたが、鹵水料理を食べるときはスープの後ろにある透明なたれをつけます。もともと脂っこくないうえにこのたれをつけると本当にさわやかな味わいになります。
阿鴻小吃観塘本店
 このページで紹介した鹵水料理がおいしい店としては、観塘にある阿鴻小吃があります。阿鴻小吃は、北角に本店があった潮州料理レストランで、香港で最も評価の高い潮州料理店で、店の外には入りきれない席待ちの人があふれる超人気店でした。ただ、本店が北角から観塘に移転してしまい、行きづらくなってしまいました。香港空港にも支店がありますが、はっきり言って味のレベルは観塘の本店には遠く及びません。観塘方面に行く用事があれば、阿鴻小吃で鹵水料理を味わうのも良いでしょう。


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