早茶・一人飲茶に適した5店を紹介 |
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香港では早朝が飲茶のゴールデンタイム |
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![]() かつての蓮香楼(現在は蓮香茶室)の入口 |
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香港島上環にある飲茶で有名な蓮香楼(現在は蓮香茶室)の入口。 飲茶ができる店の隣りには新聞や雑誌などを売っている売店が有ることが多い。そこで、新聞などを買って飲茶をしながらのんびりと読む。香港人にとって飲茶をするのは日本人が喫茶店に入るようなもの。まさに「お茶」を飲みに行く感覚だ。お茶を飲みながら新聞を読んだり、友人と話をしたりしながら、いくつか点心をつまむ。 これが飲茶なのです。 ご飯を食べに行くのではなく、お茶を飲みに行くところ。ついでに、点心をつまむというのが本来の飲茶です。だから、次々とお皿の料理を平らげる必要なんてないし、思い出したように点心などをつまめばいいんです。 |
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![]() かつての蓮香居の朝 |
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| 上の写真は移転前の蓮香居。平日朝8時くらいの写真です。香港のビジネスマンやビジネスウーマンたちは朝の時間も大切にしますし、通勤も遠い人が多いですから、朝に飲茶でゆっくりするという人は稀です。ここ蓮香居や蓮香楼に飲茶に来る人は地元の年輩の方が多いのです。そして、点心のワゴンを押して回る女性もちょっと年季の入った方が多くて、どうでしょうか、まさに昔の香港の飲茶風景がここ蓮香居には残っていたと言えます。 |
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![]() 大陸からの観光客であふれかえる蓮香楼(現在は蓮香茶室) |
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ところが、大陸と香港との往来が爆発的に増加し、香港に大勢の大陸からの観光客が増えると、蓮香楼や蓮香居のような人気店は大陸からの観光客であふれ、両店ともにかつての香港の飲茶風情を一気に失っていきました。 香港で一人飲茶をすることが多い私は、かつては蓮香居や蓮香楼に通ったものでしたが、香港なのに香港ではなくなっているこの両店から足が遠のき、騒々しいけれども一人の空間が尊重される飲茶空間が残っている店、つまり香港の飲茶風情が残っている店へと、興味が移ってきたのです。そして、点心が美味しくないとお茶も美味しく感じませんから、そういう店の中でも、点心が美味しい店を厳選して通うようにしています。 |
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![]() お茶と食事の茶碗と洗うための器(荃湾の海連茶楼) |
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このページでは、そうした香港の伝統的な飲茶風情が残っている店を5店紹介しています。また、飲茶をするなら朝のうちが最も飲茶らしい時間帯ですので、いずれも早朝の飲茶(早茶)ができる店、そして私は一人飲茶が多いので一人飲茶ができる店を5店紹介しています。 |
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![]() 陸羽茶室の食器 |
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このページで紹介する店のうち4店は香港人が日常的に飲茶する時に利用する生活感があるお店です。一店だけ性格が異なるのは、陸羽茶室です。香港最高峰の飲茶店で、100年以上にわたる歴史と伝統を重んじている名店です。ここは料金も高いので生活感など微塵もありません。あるのはかつての植民地時代の香港です。 その雰囲気を壊してしまいそうな客は二階以上のフロアに通されてしまいます。店の風格に合う客だけが一階で飲茶できます。因みに私は一階には入れます。 |
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![]() 九龍・順徳公漁村の飲茶セットと点心注文シート |
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| さて、早茶の話に戻しましょう。 香港では朝の時間に茶楼に行って新聞を見ながらお茶を飲み、点心をつまむというのが一つの生活スタイルでした。ですから、朝というのはどの店でも飲茶タイムということで、点心がメニューに並びます。本格的な広東料理はランチの時間までは提供されません。 また、そうした飲茶習慣があるので、飲茶の値段は早朝だけ割引があります。店や曜日によって異なりますが、20-40%くらいの割引です。(早茶割引と言います。)そうした割引を用意することで、常連客を掴んできたのです。この早茶割引がないのは、私がおすすめする5店の中では陸羽茶室だけです。 このように、早朝は飲茶を提供する店にとって最もお客さんが入るゴールデンタイムであり、利用者にとっても最も廉価に飲茶を楽しめるゴールデンタイムなのです。 |
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![]() 元朗・大栄華酒楼の点心メニュー |
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| 私も本当はワゴン式飲茶の方が香港らしくて好きなのですが、このページで紹介する5店のうち、ワゴン式飲茶は海連茶楼1店だけです。特に、メニューを見て点心を想像できない観光客などにとっては、実物を見て指差しで点心を選べるワゴン式の方が安心感もあるのです。 でも、それ以上に大切なのは香港の飲茶風情を体験することだと信じて、この5店を選びました。メニューの読み方については、香港の飲茶、広州・深圳での飲茶の中で紹介していますので、それを参照してください。 では、①香港の飲茶風情が残っている②早茶(早朝の飲茶)ができる③点心が美味しい④一人飲茶もおすすめできる、という四つの条件を満たすおすすめの5店を順に紹介していきます。 |
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鳳城酒家上環店 |
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![]() 鳳城酒家上環店での早茶風景 |
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| 香港島でおすすめするのは、鳳城酒家上環店です。 私が鳳城酒家上環店で初めて飲茶したのは今から30年以上前。当時から店舗が2回移転して店内はモダンになりましたが、客層は95%以上が香港人で、観光客の姿を殆ど見かけない店です。 広東料理の源流の一つとされる順徳料理のレストランで、ランチタイムや夕食時には本格的な順徳料理を提供している名店です。 |
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![]() 鳳城酒家上環店の点心セット |
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このページの上の方で、早茶時間には割引があるという話をしましたが、この店には早茶時間だけ提供される点心セットというメニューもあります。こういう点心セットが早朝だけ何故あるかと考えると、それは一人飲茶の人が多いからです。 エビ餃子(蝦餃)、焼売、潮州粉果などがセットされています。一人飲茶の時には重宝します。早茶時間帯も点心についてはすべての点心を注文できますから、大勢で来た時はいろいろな点心を楽します。 |
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![]() 鳳城酒家上環店のチャーシュー腸粉 |
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早茶の時間帯は、点心セット以外に日替わりで10品程度が割引価格になっています。そのなかで割引価格メニューによく登場するチャーシュー腸粉などは、腸粉の味として超一流ですし、ビジュアル的にもこれに勝る腸粉を見たことがありません。 鳳城酒家上環店については、リンク先で詳しく紹介していますので参照してください。 |
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九龍・佐敦の順徳公漁村 |
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![]() 順徳公漁村での早茶風景 |
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九龍でおすすめしたいのは佐敦にある順徳公漁村です。その名の通り、ここも順徳料理をベースにした広東料理レストランですが、他店ではあまり見かけない順徳ならではの点心がいろいろあります。 店内は写真の通り、香港の年配者が殆どです。いわゆる飲茶習慣を持つお客さんばかりの店なのです。店内は基本的に相席です。テーブルでお客さんたちが楽しく談笑していますが、これは必ずしも一緒に連れ立ってきた仲間ではなくて、毎日のように来ているなかで顔見知りになっている間柄が多いようです。これは上で紹介した鳳城酒家も同様です。 |
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![]() 順徳公漁村の百花釀魚肚(魚の浮袋のエビのすり身と蟹子乗せ) |
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| この店に来たらぜひ食べたいのが蟹仔百花釀魚肚(魚の浮袋のエビのすり身と蟹子乗せ)です。この点心は日本人には殆どなじみがないかもしれませんが、香港では人気の点心の一つです。蟹仔は蟹子、百花釀はエビのすり身、魚肚は魚の浮袋のことで、味についてはその豪華さを想像してみてください。 ビジュアルだけではなく味の面でも最高の点心です。 |
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![]() 順徳公漁村の四宝滑鶏扎 |
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四宝滑鶏扎(鶏肉入り四つの食材包み)。「扎」という字は包むという意味です。湯葉で四つの食材を包んでいますが、包む食材は店によって異なります。この店で包まれているのは、鶏肉、魚の浮袋、中華ハム、里芋です。 四宝滑鶏扎は茶碗で湯葉の包みを解いて食べるようにします。間違っても湯葉で包んだまま大きな口を開けて食べないようにしてください。四つの食材の味を口の中でミックスさせるのではなく、一つずつ味わっていきます。蒸している間に他の素材の味が良くしみ込む魚肚(魚の浮袋)が特に美味しいです。 |
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![]() 香港・順徳公漁村の均安魚餅 |
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均安魚餅です。均安というのは順徳にある地名で、均安地区で食べられていた魚餅(さつま揚げみたいなもの)が、広東の点心として広く食べられるようになったものです。作り立ての魚餅は特に香り高く美味しく食べることができます。こういう順徳ならではの点心が多いのもこの店の特徴です。 順徳公漁村については、リンク先で詳しく紹介していますので参照してください。 |
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荃湾の海連茶楼(ワゴン式飲茶) |
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![]() 海連茶楼のワゴン |
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海連茶楼は、荃湾の古い高層住宅の一階にある地元の人のための茶楼です。ここに来るお客さんの殆どは近所にお住いの方々や仕事で近所に来た方々だけではないでしょうか。九龍や香港島にいる香港人にとってはわざわざ来るような場所ではありません。 ですが、日本人にとっては飲茶の原点を見るような店ですので、一見の価値はある店です。ただ場所が荃湾駅から歩いて10分くらいですので、観光で来た日本人は行きづらい場所だと思います。行き方はリンク先で紹介しています。 |
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![]() 海連茶楼の早茶風景 |
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| 海連茶楼は香港ではもう珍しくなったワゴン式飲茶の店です。ワゴンの上の点心にはふたが付いていませんから、テーブルから立ち上がってワゴンの中をのぞけば、お目当ての点心があるか否かはすぐに分かります。この店は点心種類が豊富で新しい点心が出来上がると、ワゴンの中を入れ替えて回ってきます。ワゴンを楽しみに待ってください。 蒸籠が何枚か積まれている場合は、下に積まれている点心がアツアツですから下から取る方が良いですね。店員さんも協力してくれます。 |
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![]() 海連茶楼のテーブルとふかひれ餃子 |
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海連茶楼のテーブルの上です。テーブルは相席で、一人当たりのスペースはあまり広くないですから、一度に取る点心は二つくらいまでですね。すぐに回ってきますからその時にまた取ってください。この店には注文シートはなくて、料金は食べた蒸籠やお皿で数えますから、空いた蒸籠などは片づけません。 因みに、上の写真でテーブルの上に見えるのがふかひれ餃子という伝統的な点心です。これは私もよく取る点心です。 |
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![]() 海連茶楼の麺のワゴン |
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麺類もワゴンで回ってきます。この店は半分以上がお一人様のお客さんですから、麺類も一人分で提供されます。これは当たり前のようですが、香港や中国では他で見たことがありません。ですから飲茶で麺類を注文することは滅多にない私でも、この店では時々いただいています。 ワゴンに見えるのは、上が銀針粉という香港の伝統的な麺で、短く食べやすい麺。下が伊麺という、香港で最もポピュラーな麺です。 |
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![]() 海連茶楼の伊麺焼きそば |
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| 伊麺の焼そば、一人前です。小さなお椀に入れられますが、山盛りなのでお腹いっぱいになります。そして美味しいです。ぜひお試しください。 海連茶楼については、リンク先で詳しく紹介していますので参照してください。 |
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元朗の大栄華酒楼 |
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![]() 大栄華酒楼の早茶風景 |
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| どんどん香港島や九龍から離れていきますが、今度は元朗の大栄華酒楼です。この店も香港を代表する老舗酒楼(レストラン)で、伝統的な飲茶を楽しめる名店です。店内は5-6年前に改装されましたが、料理やスタッフ、そして客層も何かレトロです。 ここで早茶していると、心が和むのですよね。それはスタッフの心遣いかも知れないし、ノスタルジックな点心かも知れないし、集まってくるお客さんの雰囲気なのかも知れません。 |
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![]() 大栄華酒楼の百花醸北姑(シイタケのエビすり身乗せ) |
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| 大栄華酒楼は歴史ある老舗レストランですから、伝統的な本格的な点心がいろいろあります。そのなかの百花醸北姑(シイタケのエビすり身乗せ)などは、ぜひ食べてもらいたい点心の一つです。百花がエビすり身、北姑がシイタケです。この点心などは、手がかかりますから、香港でもメニューに置いてない店が少なくないです。素材が良くないと美味しくない点心ですから、こういう点心は大栄華酒楼のような老舗で食べるべき点心だと思います。 |
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![]() 大栄華酒楼の馬拉糕(マーライコー) |
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そのくせ、大栄華酒楼で最も人気のあるのは奶黄馬拉糕(カスタードクリーム入りのマーライコー)なのだそうです。庶民的な点心です。 香港で普通に食べる一般的な馬拉糕(マーライコー)に比較すると、カスタードクリームの味が強い分だけ甘みが増しています。私は飲茶の時にあまり馬拉糕(マーライコー)は注文しないのですが、ここ大栄華酒楼に来た時だけは例外です。やっぱり何度食べても美味しいのです。 美味しい普洱茶(ポーレー茶)を飲みながらつまむ甘い馬拉糕(マーライコー)に、レトロな香港の飲茶風景が良く似合います。 |
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![]() 大栄華酒楼のイカのニンニク蒸し |
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香港の飲茶で食べる点心というのは洗練されたものが多いのですが、ここ元朗の大栄華では昔ながらの素朴な点心が多いのも特徴です。 上で紹介した奶黄馬拉糕(カスタードクリーム入りのマーライコー)以外にも、例えば、上の写真のイカの煮物などはニンニクがたっぷり効いていて、これはこれでかなり美味しいです。お茶を飲みながらつまむのにちょうど良いのです。まさにお茶を飲むために注文するのに適した点心なのです。大栄華酒楼のイカのニンニク蒸しは私の定番の一つです。 |
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大栄華酒楼の紫薯沙水晶包(サツマイモ味のお団子) |
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素朴な点心ということでは、紫薯沙水晶包も紹介しておきましょう。水晶包は広東省潮州で食後のデザートとして食べられている小さな団子で、紫芋味(サツマイモ味)のお団子です。こういうメニューは、他の店では殆ど見かけません。水晶包というお団子は素朴で美味しいですよ。 私は潮州料理の食後のデザートでしばしば食べています。 大栄華酒楼については、リンク先で詳しく紹介していますので参照してください。 |
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飲茶の最高峰、陸羽茶室 |
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![]() 陸羽茶室一階の早茶風景 |
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香港で飲茶と言えば、まず最初に名前を挙げられるのが、中環(セントラル)の陸羽茶室でしょう。香港最古で、茶室という名前からも分かるように、もともとお茶を飲む場所です。香港はいまさら言うまでもなく、かつてはイギリスの植民地でした。イギリスにはアフタヌーンティーを楽しむ習慣がありますが、香港の飲茶というのはこれとは別のルーツがあります。中国の茶というのはピンからキリまであって、茶室や茶楼には高級なお茶が備えられていて、広東ビジネスマンが商談に利用していたものです。19世紀くらいからのビジネス習慣だと言われています。 高級ビジネスマンや金持ちたちが高級茶を飲みに集った場所、それが茶楼・茶室であり、陸羽茶室はそうした時代の名残なのです。 |
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![]() 陸羽茶室一階の早茶風景 |
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| 天井にはトンボが回り、ステンドグラスの絵がかかっていたりして、普通の飲茶屋さんとは一線を画していますね。二階とも一線を画しています。 この気品はスタッフにも浸透していて、この店のスタッフはまるで執事のように気が利きます。それが利用者を一層心地良くしてくれるのです。ですから私がこの店を利用する時も自然とスタッフにチップを払ってしまいます。それが普通ですし、そうすることで次回来た時も最高級のサービスをしてくれるのです。 |
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![]() 陸羽茶室の蟹肉棉花鶏(棉花鶏蟹肉かけ) |
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点心も最高級です。 せっかく陸羽茶室に来たら陸羽茶室でしか食べられにような伝統的な点心にも挑戦しましょう。 上の写真は蟹肉棉花鶏。陸羽茶室の点心は周期的に変わります。この蟹肉棉花鶏はめったにお目にかかれないメニューの一つです。棉花鶏というのは伝統的な香港点心を蟹肉で味付けしているもので、これは陸羽茶室でしか見たことがありません。 運良くメニューでこの点心を見つけたら、だまされたと思ってぜひ召し上がってください。このように、陸羽茶室にしかない点心がいくつもあります。 |
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![]() 陸羽茶室のレバー焼売 |
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人気点心であるレバー焼売です。レバー焼売は日本には殆どありませんが、香港ではよく見かける点心です。ただこの写真のように厚くて大きい上質なレバーを使ったレバー焼売は他店にはありません。美味いのは当たり前です。 焼売部分を見せるためにレバーを外していますが、本当はレバーが焼売に乗って焼売が全く見えない状態でテーブルに運ばれる点心です。 |
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![]() 陸羽茶室でも洗杯 |
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飲茶には作法などありません。上の写真は洗杯という作業ですが、これも作法ではなく習慣です。でも、陸羽茶室では、特に一階ではこれは作法みたいなものです。こうした洗杯やお茶を淹れる行為の一つ一つを執事のようなスタッフが見て、飲茶を理解してるなと思えば良いサービスをしてくれるし、点心を見てキャッキャッと騒いで写真を撮ったり大声で騒いだりしていると、それなりのサービスしかしてくれません。 ですからこの店を利用される場合は、周囲を観察して雰囲気を掴み、その空気を壊さない振る舞いを心がけると、この店の良さを理解できると思います。 については、リンク先で詳しく紹介していますので参照してください。 |
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